本当は開始早々からエロを組み込みたかったんですけど、どうしてもいい混ぜ方が思いつかず、結局は通常回とエロを分ける事に。
でも、そっちの方が書き易くはあるんですよね。
因みに、今回は早速アンケートでリクエストがあった他作品のキャラが登場します。
どの作品の誰なのかは、劇中にてご確認を。
第69話 畔章の海外旅行(イギリス編①)
遂に始まった、俺がIS学園に入学してから初めての夏休み。
俺にとっては、夏休みの序盤から中盤ぐらいに掛けては様々な国で過ごす予定となっている。
図らずもこんな事になってはしまったが、これも色々と経験するいい機会だと判断して、割り切る事にした。
前々から着々と準備はしていた為、夏休み突入と同時に出発は可能だ。
複数の国に行く為、俺の荷物はかなりの量になって、キャリーケース二つ分にまで及んだ。
セシリアもイギリスに帰国するので、俺は彼女と一緒の飛行機に乗ってイギリスに行くことに。
それを知った時のセシリアの喜びようは凄かった。
本当に飛び上がって歓喜して、眩しい笑顔を見せながら俺に抱き着いてきたしな。
イギリスと言えば、セシリア以外にも俺にとって『幼馴染』とも言うべき子達がいるけど、彼女達も元気でいるのだろうか?
一人は確実に会えるだろうけど、もう一人はどうだろうか……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そんな訳で、俺は私服に着替えたセシリアと一緒に空港まで来ていた。
爽やかなブルーのワンピースに身を包み、なんとも美麗な姿を見せていた。
道行く人々がセシリアを見て振り返っていたし。
因みに、鈴やシャルを初めとした他の子達は別の便でそれぞれの国へと帰っていった。
別れ際に『待ってるから』的なニュアンスの言葉を投げかけられて、全員からキスをされた。
見目麗しい美少女達から口付けをされた俺を、道行く男共は色々な感情を込めた顔で見つめていた。
「もうすぐ離陸時間ですわね」
「ならば、俺達も行くか」
「く~ろ~あ~きぃ~……(泣)」
そうそう、俺達の見送りには千冬と束と真耶の三人が来てくれた。
その千冬はさっきからずっと泣きながら俺に抱き着いているけど。
「ほら、そのままじゃクロ君達がいけないでしょ?私達も行くよ?」
「ま…待ってくれ束! もう少し……もう少しだけ畔章分を摂取させてくれ!」
「先輩……」
意外とまともな発言をした束と、完全に呆れて頭を抱えている真耶が対象的に映った。
「先輩の気持ちは痛いほど分かりますけど、私達にも仕事があるんですよ?」
「けぇ~どぉ~……」
「私も手伝ってあげるから。それに、早く終わらせれば、その分だけクロ君とイチャイチャ出来るでしょ?」
「はっ! その発想は無かった!」
「ちーちゃん……」
遂には束すらも呆れる始末。
彼女がこんな顔を見せるって相当だぞ……。
「んじゃ、いってらっしゃい」
「偶にはのんびりと羽を伸ばしてきて下さいね」
「オルコットォ~! 畔章の事を頼んだぞぉ~!」
……最終的に、千冬は両腕を真耶と束に掴まれながら引きずられていった。
「織斑先生の最後のセリフ……普通は男性に女性の事を頼む際に言う言葉ですわよね?」
「だよな……」
なんと言うか……もう支離滅裂になってきてる。
帰国したら、暇な時間はずっと千冬とイチャイチャしていようか…。
きっとそれが、彼女にとって一番の労いになるって思うから。
「では、我々も搭乗ゲートに向かいましょうか?」
「だな」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
飛行機内。
俺は轡木さんに貰ったチケットをもっとちゃんと見ていなかったことを激しく後悔していた。
何故ならば……
「お…落ち着くような……落ち着かないような……」
この座り心地抜群のリクライニングシートに、広々とした空間……。
これって完全にファーストクラスじゃねーか!!
なんでもっと見なかった!?つーか、一体どうやって全ての分のファーストクラスのチケットを手に入れた!?あと、この金はどこから捻出されたんだ!?
「ツッコみ所を探せばキリが無いな……」
飛行機に乗った経験も指で数える程なのに、ファーストクラスなんて生まれて初めてだよ!
周囲の席ではいかにもな金持ち連中が高級ワインを飲んだり、雑誌を読んだりしている。
……明らかに俺だけこの場から浮いてないか?
別に駄洒落じゃないからな?
「す~……す~……」
「セシリア……」
俺に隣に席にいるセシリアは、背凭れを倒してから熟睡している。
よくこの状況で眠れるな……と感心すると同時に、もう一つの疑問が浮かび上がる。
「飛行機の席って、予約した段階で決まっている筈だよな?なんで都合よくセシリアの隣の席を確保できたんだ…?」
轡木さんに関してはもう、深く考えない方が賢明なのかもしれない……。
青く綺麗な空が広がっている窓の外に、轡木さんがサムズアップで笑っている顔が見えて気がした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
何事も無く空の旅を満喫……出来たかどうかは微妙だけど、兎に角、無事にイギリスには到着した。
空港に入り、自分達の荷物を受け取ってから入国ゲートまで進んでいく。
「もう彼女達は待っていると思いますから、少し急ぎましょうか?」
「彼女『達』?」
もしかして、オルコット家のメイドが総動員で来ているのか?
だとしたら、相当に目立っているだろうな……。
難無くゲートを潜り抜けて、セシリアが言っている『待ち人』の姿を探していく。
「どこにいるのかしら……?」
「人が多いとはいえ、探せばすぐに見つかりそうだがな……」
二人で周囲を見渡しながら歩いていると、なにやら妙に周囲から浮いている人物が視界に入ってきた。
「ん?」
「どうしましたの?」
「あれ……」
俺が指差した所には、メイド服を着た茶髪の少女がジッと立っていた。
「あんな所に……」
なんか見た事があるような顔だけど、セシリアの屋敷のメイドさんか?
メイドさんの所に向かって歩き始める彼女の後ろを着いていくことに。
「チェルシー!」
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま」
……チェルシー?
チェルシーってもしかして……。
「君は……あのチェルシー・ブランケットか?」
「はい。お久し振りですね、クロアさん……それとも、畔章さんと言うべきでしょうか?」
「そうだな……。イギリスでは一応『クロア』で通そうかなって思うよ」
「承知しました。クロア様」
「様って……」
妙にくすぐったいな……。
「昔は見習いメイドでしたけど、今ではオルコット家のメイド長を務めているんですのよ?」
「メイド長……。確かチェルシーって俺と同い年だったよな? って事は、18でメイド長に?」
「はい」
「それって……かなり凄い事じゃ?」
「私もあれから精進を重ねましたから」
メイドとしての精進か……。
どんな事をするのか全く想像がつかない。
チェルシー・ブランケット。
イギリスにおける俺の二人目の幼馴染であり、幼い頃からオルコット家に仕えているメイドの家系の出身でもある。
彼女も他の例に漏れず、オルコットの家にてメイドをしていたが、暫く会わない内に大出世を果たしていたようだ。
「あら? 『彼女』は来てはいませんの?話では空港にも一緒に来ると言っていた気が……」
「『あの方』でしたら、今は『3番』です」
「「3番?」」
な…なんでいきなり数字を言う?
「あ……すみません。つい職業柄の癖が出てしまいました」
「「はぁ……」」
メイドの癖って何ぞや。
「……どうやら、戻っていらしたようです」
「……?」
こっちに向かって早歩きで向かってくる人影が見えた。
小柄ではあるが、遠目に見ても、その特徴的な髪の色がよく見えた。
「ピンク色の髪……」
ふわふわな感じのピンク髪と言えば、俺が知る限りでは一人しか知らないが……。
チェルシーやセシリアが言っていた『彼女』とは『あの子』の事か?
「お待たせ~! ちょっと込んでて……」
傍まで来たピンク髪の彼女は、俺を見た途端にピタッと止まった。
「…………誰? この眼鏡を掛けたイケメンは……」
「ルイズ様。この方はクロア・バーテル様です」
「あぁ~…クロアね~……って! クロアァッ!?」
やっぱりこの少女は、あのお転婆少女のルイズだったか……。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
オルコット家に並ぶイギリスの名家である『ヴァリエール家』にいる三人姉妹の三女にして、セシリア、チェルシーに並ぶ俺の幼馴染その3。
多少は我儘で高飛車な部分もあるが、根は優しくて他者を思い遣れるいい子だ。
「嘘でしょ……? これがあの『クロア』なの……?」
ルイズが俺の体を舐めるように上から下まで眺めていく。
こんな風に見られると、ちょっと変な感じだ。
「ひ…久し振りだな? ルイズ……」
「そ…そうね! 久し振りね!クロア!」
いきなり余裕ぶった表情になって、腰に手を当てる。
こんな部分は昔と全く変わってないな。
「って言うか、アンタ暫く見ない内にでっかくなりすぎじゃない? 今、身長どれぐらいよ?」
「えっと……最後に測った時は確か……172cmだったかな?」
「うぐ……! 私よりもずっと大きい……!」
平均的に言えば、俺の身長は低い方だと思うんだけどな。
中には180どころか190オーバーな奴もいるんだし。
「ちょ…ちょっと大きくなってカッコよくなったからと言って、調子に乗るんじゃないわよ!」
「誰も調子になんて乗ってないんですけど」
褒めてるのか文句を言いたいのか、どっちなんだよと言いたい。
けど、これがルイズの感情表現なんだよな。
そう思えば、この言葉もなんだか可愛く思えてくる。
だからだろうか。
自然とルイズの頭に手を伸ばして撫でていた。
「子供扱いするな~! それを調子に乗ってるって言うのよ!」
「はいはい」
「な~で~る~な~!」
反抗しているのは口だけで、実際にはほっぺたをリスのように膨らませながらジッと頭を撫でられている。
う~ん……数年振りに会ったけど、なんか普通に可愛くなってて困る。
「ちょっと? 私もいるんですのよ?」
「あ、セシリアもいたのね。おかえり」
「ただいま……って! それだけですの!?」
「え? 他にも何か言ってほしいわけ?アイタカッタワ~。サミシカッタ~」
「感情が籠ってませんわ!」
この二人の仲も相変わらずか。
でもまぁ、喧嘩するほど仲がいいと言うしな。
彼女達はこれでいいのかもしれない。
「クロアには色々と聞きたい事があるけど、それは後でゆっくりと聞かせて貰うわ」
「「後で?」」
それって……どゆこと?
「ほら、ここで立っててもアレでしょ?早く行きましょうよ?」
「承知しました。お荷物お持ちいたします」
「ちょっとっ!? 何気に畔あk……クロアさんの腕に手を回さないでください!」
「別にいいじゃない、これぐらい。ね?クロア」
「少し歩きにくいけど、それ程苦じゃないしな。別にいいぞ」
「だって」
「じゃ…じゃあ私だって!」
ムキになったセシリアが、ルイズとは反対側の腕に抱き着いてきた。
「行きましょう? ク・ロ・アさん♡」
「お…おぉ……」
「ちょっとっ! なにクロアに色目使ってるのよ!」
「あら? もしかして嫉妬ですの~?」
「このオッパイお化けがぁ~…!」
「なんとでも仰ってくださ~い♡」
なんかセシリアが強かな性格になってる……。
これもIS学園で過ごした結果か…?
「……行こうか?チェルシー……」
「……はい」
結局、空港を出るまでずっと二人は、俺を挟んで口喧嘩をしていた。
周囲の目線は、男からは嫉妬や羨望、女性からはなんとも生暖かいものを感じた。
こう言ったものだけは、日本もイギリスも大した違いは無いんだな……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
(な…なんなのよ……ったく……。確かに最後に会ってから結構な年月は経過したけど、それでもカッコよくなりすぎじゃない!?眼鏡まで掛けちゃってさ……。しかも、心なしか大人のフェロモンっぽいものも感じるし……。あぁ~…もう!まともにクロアの顔が見れないじゃない!)
……なんでさっきからずっとルイズは俺の顔を見ようとしないんだ?
俺達は今、チェルシーが運転する車にて移動している。
メイド服のまま運転する女の子って、なんかすっごい違和感がある。
「チェルシーは車の運転が出来るのか……」
「メイドとしての当然の嗜みです」
「そうなの?」
「私に聞かれても困りますわ」
だよね。
「クロアさんは車の運転に興味がお有りで?」
「いつかは取りたいとは思っているよ」
それで、千冬と一緒にドライブデートとかいいかもしれないな。
免許を取るまでが苦難の道だけど。
それに、最近の車って中古でも結構な額するしな……。
(車を運転するクロアさん……)
(なんて言うか……)
(それは……)
な…なんだ?急に三人共黙って……。
(((絵になり過ぎる!!)))
IS学園に通いながらの免許取得って可能なんだろうか?
ちょっと気が早いけど、戻ったら千冬や真耶辺りに相談してみよう。
(そして……)
(車をカッコよく運転するクロアの隣には……)
(私が一緒に……♡)
んでもって、今度は顔を赤くしてるし。
これは何を想像しているか分かるけど。
「お嬢様に聞いたのですが、学園でもクロアさんは多方面で活躍しているとか」
「へ…へぇ~……。具体的にどんな?」
「各国の代表候補生に勝利し、座学でも優秀な成績を修め、更には先の臨海学校においてはサプライズでやって来たアメリカ代表に模擬戦で見事な勝利を手にしたと」
「…………へ?」
セシリア……一応、愛人云々に関しては何にも言ってないんだな。
実に懸命な判断だ。
「ク…クロアにしてはやるじゃない? それぐらいはして貰わないと……。仮にもアンタは、この私の幼馴染なんだし……」
(ちょっとぉ~っ!? なんか私が知らない内に凄い大活躍してるんですけどぉ~っ!?確かに、クロアは昔から頭も良かったし運動神経も抜群で、剣や槍の腕も抜群だったけど、まさかこれ程だったなんて……。これじゃあ……私がクロアの隣に立つ事なんて……)
驚いたり落ち込んだり、表情がコロコロと変わる奴だな。
「あれ? チェルシーの話が本当なら、セシリアもクロアに一度負けてるって事?」
「そ…そうですわね。でも、クロアさんの実力は本当に凄まじいんですのよ?まるで国家代表……いえ、モンド・グロッソ上位入賞者のような動きを易々としてみせるんですから。それでまだIS操縦歴が半年にも満たないんですから、こればっかりは才能としか言いようがないですわ」
「ふ……ふぅ~ん?そうなんだ~……」
(ちょっと待ってよ? セシリアの実力って確か、イギリスに所属している候補生の中でも結構上だったわよね?それに勝った?冗談でしょ?)
セシリアと模擬戦をしたのは入学したての頃だったな。
数か月前の事なのに、随分と昔のように感じる。
「もう少しで到着しますよ」
「お?」
フロントガラスに懐かしい屋敷が見えてきた。
幼い頃に何度も通った、オルコット家の屋敷だ。
ここからではまだ遠めにしか見えないけど、それでも外観は殆ど変わっていないのがよく分かる。
俺達を乗せた車は一路、懐かしのオルコット家の屋敷へと進んでいくのであった。
……と言う訳で、まずは『ゼロの使い魔』より『ルイズ』のご登場です。
ルイズを書くのは初めての試みでしたけど、想像以上に動かしやすかったです。
ちょっと違和感があるかもしれませんが、その場合は『平行世界の同一人物だから』で納得して頂けると嬉しいです。
釘宮ボイスのキャラって、頭の中でのボイス再生が容易だから、気が付けば脳内で普通にセシリアとルイズが声付きで会話してました。
イギリス編では、もう一人だけ出そうと考えています。
ちょっとした予告ですけど、登場予定のキャラは、畔章ことクロアの元ネタとなったゲームである『アルトネリコ2』からです。
魅力的な女の子が多いシリーズですが、その中でも個人的に一番好きな子をチョイスしました。
勿論、他のヒロイン達も別の場面で登場させるつもりですけどね。