誰でもいいから、私にモチベーションを分けてくれぇ~!!
割とマジで。
ココナ・バーテル。
俺と彼女が初めて会ったのは、アルフマンおじさんが今から5年ほど前に俺の様子を見る為に日本に訪れた時だった。
当時の彼女は今のように活発な少女ではなくて、どっちかと言うと大人しく人見知りの激しい女の子だった。
それは俺に対しても同様で、最初は俺の事もバリバリ警戒していたっけ。
でも、少しずつ接していく内に心を開いていってくれて、今ではすっかり俺に懐いている。
日本とイギリスと言う長距離で離れているため、暇な時は可能な限り電話連絡をして話すようにはしていたんだけど……。
(ここ最近は本当に忙しくて、全く電話してないな……)
いや……忙しいなんて言葉、ココナからすれば言い訳にもならないだろう。
ここはちゃんと謝罪の精神を示すべきか。
因みに、俺はココナの詳しい事情は殆ど知らない。
知っているのは、彼女が孤児であるという事と、ある日突然、おじさんがこの子を連れてきて『自分の養子にする』と言い出した事ぐらいか。
その時は、他のバーテル家の皆も凄く驚いたらしいが、彼が今まで家に齎した功績と、その人柄を信用しているから、次の瞬間には誰もが快く家族の一員として受け入れてくれたらしい。
現在では、ココナは完全にバーテル家の一員となっていて、皆に愛され、皆を愛する優しい少女に成長した。
そのココナが今、俺の胸に抱き着いて、愛おしそうに頬ずりをしている。
「あぁ~…♡本物のクロだぁ~…♡」
「お……おい……」
ここまでストレートな愛情表現をされると、流石に照れる。
「こ…この女の子は一体……?」
「誰なのよ……?」
「こいつはココナっつってな。俺の娘、正確には義娘だな」
「む…義娘……?そんな話、初めて聞かされましたわ……」
「だろうな。家族以外には今初めて話した」
別に他者に口外しても問題ないと思うんだが、もしかして……。
「なんで話して下さらなかったんですの?」
「忘れてた!すまんな!だっはっはっ!」
「わ…忘れてたって……」
「本当に謝る気あるのかしら……」
だと思ったよ。
この人は細かい事は一切気にしない、絵に描いたような豪快な人だから。
しかし、ココナの事は全く細かい事じゃないと思うんだけど……。
「もうクロ!どうして電話してくれなかったの!?ずっと待ってたんだよ!」
「ご…ごめん」
「許してやれ、ココナ」
「でもぉ~……」
「クロアだって、世界で唯一の男性IS操縦者なんて肩書を背負っちまったんだ。きっと、俺等が想像しているよりもずっと忙しい毎日を送っていたに違いない。お前なら分かるよな?」
「うん……」
ざ……罪悪感ががががががががががが……!
確かに忙しかったのは事実だけど、同時にエロエロな毎日を送っていたのも事実。
おじさんなら理解を示してくれる可能性は高いけど、まだ幼いココナには絶対に話せない!
「と…ところで、ココナは今年で何歳になったんだ?」
「11歳だよ」
「もう11か……」
11歳と言ったら、小学5年生ぐらいか?
第二次成長期が始まる頃だからか、ココナの僅かな胸の膨らみが俺に当たっておりますです……。
(にしても、11歳でこれなら、もっと成長すればきっと、誰もが無視出来ないぐらいの美少女になるんだろうな……)
少なくとも、胸の大きさだけなら、既に鈴とラウラといい勝負なってるし。
本人達の前では絶対に言えないけど。
「そうだ。オルコットの嬢ちゃん」
「セシリアとお呼びください」
「なら、セシリア。少し俺から頼まれごとを聞いちゃくれねぇか?」
「私でよければなんなりと」
「助かる」
頼まれごと?
この人にしては珍しい。
大抵の事は自分一人で解決するから、滅多に誰かに何かを頼むなんて事はしないのに。
セシリアをかなり信用しているのか、もしくは、おじさんでは解決できない何かがあるのか。
「実はな、今日から少しの間、出張をしなくちゃいけなくなっちまった」
「読めました。つまり、おじさまが出張をしている間、ココナさんをオルコット家にて預かってほしいと、そう言う訳ですわね?」
「話が早くて助かるぜ。この広い屋敷に一人ぼっちにするのも可哀想だしな。それに、今ならクロアの奴も一緒にいる。アイツとお前さんならココナを任せても大丈夫だと判断した。頼めるか?」
「勿論、喜んでお引き受けいたしますわ」
「感謝する」
おじさんが頭を下げて礼を言う。
何気にこういった事には律儀な人だからな。
「思ったよりもいい人みたいね……。ちょっと怖がって損したかも」
ルイズの中でも、おじさんに対する評価が変わったみたいだ。
「ココナ。ちょっと来い」
「なに?」
ん?いきなりどうした?
「ちゃんとお膳立てはしてやったんだ。後はお前の勇気次第だぞ」
「おじさん……」
「頑張れよ。今時、多少の歳の差なんて気にすんな。お前はお前の気持ちに素直になればいい。クロアがイギリスにいる今がチャンスなんだからな」
「うん……ありがとう……おじさん」
小声で話しているから少ししか聞こえないけど、ココナの事を励ましてる?
「そうと決まったら、早速準備だ。40秒で支度しな!」
「うん!」
元気いっぱいの返事をした後、ココナは色々と準備をする為に自分の部屋と戻っていった。
「おじさん……ラピュタでも見ました?」
「あ?分かっちまうか?実は昨日、日本から取り寄せたジブリのDVDを見てな。久し振りに心が躍っちまった」
「だと思った」
男は幾つになっても、冒険の心は忘れられない生き物なのです。
ココナが宿泊の準備をしている間、俺達は色々な事を話して過ごしていた。
途中で戻ってきたチェルシーの淹れてくれた紅茶と茶菓子を味わっていると、息を切らせて大きな旅行鞄を携えたココナがやって来た。
ココナの準備が出来た所で、俺達はお暇をする事に。
おじさんは最後まで笑って見送ってくれた。
……なんて言い方をすると、なんだか死亡フラグっぽく聞こえるけど、決してそんな事は無いからな!
本当だぞ!
つーか、寧ろ、あの人をどうにか出来る存在がいたら是非とも会ってみたいよ……。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
オルコット邸に戻ってからは、チェルシーの手伝いでココナの荷物整理と部屋までの案内がされた。
いくら気心が知れた人物の義娘とは言え、立場上は客人。
精一杯のもてなしっぷりに、ココナの目が点になっていた。
その後はのんびりと過ごしながら明日の予定を話し合った。
ある意味でやる事は確定しているのだが、それ以外にどうしてもしなくてはいけない事が俺とセシリアにはあった。
それは、オルコット夫妻……つまり、セシリアのご両親のお墓参りだ。
滅多にイギリスには来れないから、行ける時にちゃんと行っておきたいのだ。
それは話すと、ルイズとココナも賛同してくれて、二人も同行する事が決定した。
日本にある俺の両親の墓参りは、戻ってからゆっくりとしようと思っている。
その時は、俺の愛人達も一緒に連れていくべきかもしれない。
彼女達も、それを望むと思うから。
夕食は俺とチェルシーが作ったイギリス料理を食べた。
念の為に弁明しておくが、イギリス料理が不味いのではなくて、単に他の国の人間の舌に合わないだけだ。
少なくとも、俺はイギリスの料理は嫌いじゃない。
割と好きだぞ?フィッシュ&チップスとか。
因みに、ルイズの荷物はヴァリエール家の使用人の人達が急いで持ってきてくれた。
彼等、彼女らを見ていると、何とも不憫な気持ちになったのは言うまでもない。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
夕食が終わり、セシリアを初めとした女性陣は現在、入浴タイムになっている。
いつもならばセシリアが真っ先に畔章も誘っているが、今回は何故か女性だけで入浴している。
美しいブロンドの長い髪をタオルで後頭部に纏めて、誰もが羨むほどの見目麗しい裸体を湯の中に浸けている。
「一日の疲れが取れていくようですわ……」
パシャ……と湯を肩にかける姿は、同じ女性同士でさえもうっとりとしてしまうレベル。
それは、同じ湯に浸かっている彼女達も同じだった。
(うぅ……セシリアってば……ますます綺麗になってない?恋は乙女を美しくするって聞くけど、あれって本当の事なのかしら……)
(うわぁ~……セシリアさんって本当に美人さんだな~…。ココナもあんな風になれたらクロと一緒に……)
ある意味で同じ悩みを持つ少女達は、セシリアの抜群のスタイルを見て色々な事を考えていた。
「本当に私もご一緒してよろしいのでしょうか……?」
「いいと言っているではありませんか。クロアさんの折角のご厚意を無下にしてはいけませんわよ?」
「それはそうですが……」
セシリアに負けず劣らずのスタイルを持つ美少女であるチェルシーも一緒に湯に入っていた。
本来であれば客をもてなす側である自分がこうして一緒にいる事が、どうにも気まずくて仕方が無いようだ。
因みに、畔章は自分から夕食後の後片付けを申し出た。
その時の彼はとても生き生きとしていて、根っこの部分は主夫なんだと思わせた。
「なんかクロアの奴、嬉々としてキッチンに向かってたわね……」
「クロアさんは家事が得意……と言うよりは、趣味に近い感じですから……」
「家事が趣味って……」
「クロは凄いな~…」
ルイズは呆れて、ココナは素直に感心。
性格が見事に現れていた。
「で?こうして皆一緒にお風呂に入ったのはなんでな訳?アンタの事だから、何か理由があるんでしょ?」
「ふふ……。ルイズさんの目は誤魔化せませんわね」
「当たり前じゃない。一体何年、幼馴染をしていると思っているのよ」
「そうですわね」
急に真剣な顔になったセシリアは、未だに状況をよく飲み込めていない三人に向き合った。
「ルイズさん。ココナさん。チェルシー」
「「「はい?」」」
「私は……皆さんの本当の気持ちが知りたいのです」
「「「本当の気持ち?」」」
セシリアの急な発言に、頭上に疑問符を浮かべる三人。
「まぁ……ココナさんは言うまでもないですけど、チェルシー、ルイズさん」
「な…なによ?」
「お嬢様……?」
「貴女達は……クロアさんの事をどんな風に思っていますの?」
「「「………!!!」」」
いきなりの核心を言われ、三人の顔が強張った。
「この際だからハッキリと言います。私はクロアさんの事を好いて……いえ、愛しています。貴女達はどうですか?」
「「「…………」」」
自信に満ちた顔で畔章への愛を言うセシリアはとても眩しく、美しく見えた。
「チェルシー。私は貴女がずっと前からクロアさんの事を好きだった事を知っています。無論、友人や幼馴染としてではなくて、一人の男性として」
「私は……」
「仕えているから、メイドだからと言う理由で女性からの告白を無下にするような人間ではないと、貴女もよく知っているでしょう?」
「はい……」
次にルイズの方を向く。
「ルイズさんも。傍から見ても、貴女がクロアさんの事を完全に異性として意識している事は丸分かりでしたわよ?」
「は…はぁっ!?いきなり何言ってんのよ!?私は別に……」
「ルイズさん」
「う……」
どこまでも真っ直ぐに見つめるセシリアの顔を見て、途端に顔を逸らす。
「同じ女性として、貴女の気恥ずかしい気持ちも理解できますし、納得もします。けれど、ここで勇気を出して自分の気持ちに素直にならなければ、後悔するのはルイズさんご自身ですわよ?」
「それぐらいは私だって分かってるわよ……。でも……」
「やらずに後悔するよりは、やってから後悔した方がずっとマシだと思いますわよ」
「アンタも……そうだったの?」
「はい。私はクロアさんに告白した事を後悔した事なんて一度もありません。それはきっと、私と同じように彼を愛している女性達も同じ筈ですわ」
「……………」
考えるような顔になった後、ルイズは顔の下半分を湯に浸せて黙ってしまった。
「ココナさんは……」
「ココナはクロの事が大好きです!」
「そ…そうですか……」
とても素直な一言に、言い出したセシリアの方が驚いてしまった。
「あの……」
「どうしましたの?」
「クロの事が好きな女の子って、他にもいっぱいいるんですか?」
「そうですわね……。学園にいる女性にも沢山告白されてましたわね。同級生に上級生、先生もいましたし、他にも郊外の女性達にも……」
「例えば?」
「クロアさんと昔からの知り合いであった母娘に、旅館の女将さん、それから……アメリカの国家代表と、そのパートナである軍の女性」
「お…お嬢様?私の聞き間違いでなければ、とんでもない言葉が幾つも飛び出したような気が……」
「お…母娘って言った?それに国家代表ですって?」
「オカミって……なんですか?」
しれっと爆弾発言をするセシリアに、三人揃って驚きを隠せないでいた。
「だけど、私は自分の『好き』と言う気持ちを隠したまま生きたくはありませんわ。例えどんな結果になろうとも、私は絶対に告白していたでしょう」
「お嬢様……」
「セシリア……」
「セシリアさん……」
言葉の一つ一つから彼女の気持ちを感じることが出来た三人は、己の心と真剣に向き合っていた。
「実は私、夜にクロアさんのお部屋を訪ねようと思っていますの」
優美に微笑むセシリアの微笑は、一瞬で三人を赤面させた。
「よかったら、皆さんもご一緒しませんか?」
「「「え?」」」
何気なく放ったセシリアの一言は、甘美な響きを纏って少女達の耳に聞こえた。
「そこで、先達として色々と『お手本』を見せて差し上げますわ」
遂に次回、イギリス編で初めてのエロ回。
多分、何回かに分けてお送りすると思います。