ここから、畔章のハーレム伝説が幕を開ける!?
放課後になり、俺は帰り支度をする為に鞄に教科書などを詰めていた。
初日と言う事もあってか、今日はいつもよりも一日が長く感じた。
昼食の時も、俺が食堂に移動しようとすると、なんでか他の皆も一緒に後ろからぞろぞろとやってくる始末。
別に見知った仲であるクロエや箒、セシリアが一緒に来るのは一行に構わない。
けど、どうしてクラス全員が揃ってついてくる?
本気で意味不明だぞ?
「あ、馬渡さん。まだ教室にいらしたんですね。よかった…」
「山田先生に織斑先生?」
顔を上げると、そこにはいくつかの書類を手にした山田先生と千冬さんが教室の入り口付近に並んで立っていた。
山田先生が手招きをするので、鞄を持って傍まで行く。
「どうしました?」
「実はですね……馬渡さんの学生寮の部屋割りが決定しました」
「そうですか。確か、このIS学園は基本的に全寮制なんですよね?」
「はい。これには一応、皆さんを保護すると言う意味も含まれてます」
他から見れば、このIS学園の生徒は全てが金の卵にしか見えないらしい。
だからだろうか、学生の頃から色々な国や研究機関がスカウトに来る場合が多いらしい。
実際、この学園が創立した頃はそう言った輩が沢山いたそうだ。
「部屋割りに関しては、私の方でなんとか決めておいた」
「どこなんです?」
「私の部屋の隣だ!」
「へ?」
千冬さんの部屋の隣?
「お前が寮に入る事が決まってから、私もこっちの寮に住むことにしたんだ。お前がいないのに家に帰ってもしょうがないしな」
「それもそうですね」
俺だって千冬さんと離ればなれなんて絶対に嫌だ。
断固拒否するね!
「それで…だ。私は一年の学生寮の寮長を務める事になったんだ」
「だから『織斑先生の部屋の隣』なんですね」
「そう言う事だ」
これからはお隣さんか。
いつでも会いに行けるってのは素直に嬉しいな。
「織斑先生の部屋ってどこになるんですか?」
「寮の一階の一番右端の部屋だ」
「なら、俺はその左隣って訳か」
実に分かりやすい。
これならすぐに覚えられそうだ。
「本当は私と同じ部屋にしたかったんだが、頭の固い連中がどうしても許可しなくてな…!なんとか言いくるめて、妥協案として隣の部屋にさせたんだ」
言いくるめて…の部分が気になるが、言わないでおこう…。
俺の為に頑張ってくれたことが嬉しいし。
「いや……若い男女を一つの部屋に住ませるのは……」
「「今まではずっとそうだったけど?」」
「そうなんですか!?」
何を今更。
俺と千冬さんはもう3年以上も同棲してるんですぜ?
「予め用意してあった荷物の方は、既に部屋に運んである」
「馬渡さん、家の荷物をちゃんと纏めてたんですか?」
「私が事前に知らせていたからな」
「女子力高いですね~…」
男の俺に言われても、正直複雑です。
「勿論、『アレ』も運んでおいたからな」
「ありがとうございます」
千冬さんが耳打ちで教えてくれた『アレ』とは、前に乱交した際に束さんが持って来た玩具一式の事である。
……まさかとは思うが、あの三角木馬は無いよな?
「そうそう、夕飯は18時から19時の間に学生寮にある一年生専用の食堂で食べてくださいね。それと、各部屋にはそれぞれにシャワー室がありますけど、その他にも大浴場もあります。学年ごとに使用出来る時間帯があるんですけど、今はまだ馬渡さんは……「使えるぞ?」…え?」
使える?俺が?大浴場を?なんで?
「私が特別に許可申請を出しておいた」
「ちょ……いいんですか!?馬渡さんは男性ですよ!?」
「だからどうした。寧ろ、男だから一緒に入りたいんだろうが」
それ、絶対に千冬さんの願望でしょ。
俺も千冬さんと一緒に大きいお風呂に入りたいけど。
「だから、入りたくなったら遠慮無く行っていいぞ。勿論、そこで一発するのもアリだ」
「織斑先生!?」
もう山田先生が涙目になってるよ…。
少しだけ同情してしまう。
「なんだ。山田先生も畔章に抱いてもらいたいのか?」
「だ…抱き……!?」
あ~あ……とうとう山田先生がオーバーヒートを起こして気絶しちゃった。
早く誰かがオーバーフリーズしないと。
「相変わらず初心な奴め。そのスタイルなら世の男共は放っておかないだろうに。なぁ?」
「そうですね……って、何言わせるんですか」
「ははは……」
全くこの人は……。
「ほら。これがお前の部屋の番号と鍵だ」
「了解です。…俺って一人部屋ですか?」
「そうだ。だから、誰かを連れ込んでヤっても一向に構わんぞ」
「いやいやいや……学校の寮でそれは……」
「大丈夫だ。ばれなければいいだけの話だだろう?」
「仮にも教師が生徒に淫行を進めるなよ……」
どこまでも自分の欲求に忠実な千冬さんであった。
「因みに、束さんの部屋ってどこになるんですか?」
「アイツは教員寮の一番右端だ」
「よりにもよって、ここから最も遠い場所か…」
気のせいか、俺には束さんの『クロく~ん!?(泣)』と言う叫び声が聞こえた気がした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
畔章が寮へと向かった後、千冬は教室内を見渡してある人物を探した。
「あいつもまだいたか」
目的の人物を見つけると、彼女を手招きした。
「な…なんでしょうか?」
「なに。お前に言っておきたい事があってな、篠ノ之」
そう。目的の人物とは箒の事だった。
「お前……畔章の事が好きだろ?」
「いはsbcらえうぃh!!?」
いきなりのストレートな一言に顔が一瞬で沸騰する箒。
「何を慌てている。別に私は咎めているわけではないぞ」
「だ…だったら何を……」
「篠ノ之……いや、箒。畔章に告白をしたのか?」
「……!!……いえ……まだ……です……」
沸騰した顔が急速に冷めていき、表情も沈んでいる。
「彼と貴女が相思相愛なのは、この一日でよく分かりましたし…今の私に入る隙間なんて……」
今日の畔章と千冬の様子を見て、箒は確信してしまった。
自分の初恋は始まる前に終わっていたのだと。
「はぁ~……」
溜息を吐きながら、箒の頭を出席簿で軽く叩く。
「痛て」
「同じ女として、お前の気持ちはよく分かるつもりだ。だがな、だからと言って自分の気持ちを伝えないまま引き下がるのはどうかと思うぞ」
「しかし……」
「束とクロエは正面から告白してみせたぞ」
「え?」
束の名前が出た途端に顔を上げる箒。
その顔は驚きに満ちていた。
「姉さんとクロエが畔章さんに……?」
「そうだ。あいつ等は自分がフラれることを承知の上で畔章の事を『好き』だと言った」
「…………」
「お前の畔章に対する思いは、その程度なのか?」
「そ…そんな訳は…!」
「だったら……ぶつかってこい。少なくとも、アイツはお前が傷つくような事は絶対に言ったりはしないだろう」
「畔章さんは……優しいですから」
「あぁ。それは私がよく知っている」
真剣な話に惚気話を入れる。
今の千冬は完全に素になっていた。
「更に言うとな、クロエは知っての通りだが、束も畔章の愛人になっているぞ」
「なんとなく、そんな予感はしてました…」
妹だからこそ分かる姉の心情。
悲しい姉妹の性だった。
「織斑先生はいいんですか?自分の恋人に愛人なんてできて……」
「寧ろ、私から許可した」
「えぇ!?」
まさかの大胆告白。
「どうせなら、お前も畔章の愛人になったらどうだ。私は別に構わんぞ」
「そ…そんなふしだらな真似は…!」
「出来ないか?畔章と一緒にいたくは無いのか?」
「うぅ……」
「ほら」
千冬は半ば強引に箒にあるメモ紙を手渡した。
「これは?」
「畔章の部屋の番号だ。直接言って告白してこい。アイツは一人部屋だから、誰かに聞かれる心配も無いしな」
「………分かりました」
「それでいい」
自分の親友の妹が勇気を振り絞った。
その事が単純に嬉しい千冬だった。
「お前がしたいなら、畔章とセックスもしていいぞ」
「にゃ…にゃにを言って!?」
「アイツならきっと、お前に最高の初体験をさせてくれる。クロエも初めてを捧げて、嬉しそうにしていたしな」
そっと耳元でとんでもない事を言いだす。
本当に彼女は教師なんだろうか?
「暗くなってから尋ねるといい。畔章は快く迎え入れてくれる筈だ」
「は…はい……」
悶々とした表情で廊下の向こうへと消えていく箒。
それを千冬は暖かく見つめていた。
「アイツに惚れた女として、同じ男を好きになった女が悲しむのは見ていられないからな」
その一言は、彼女の紛れもない本心から出た言葉だった。
余談だが、真耶はちゃんと復活したが、その後もずっと顔を真っ赤に染めていた。
彼女が堕ちるのも時間の問題かもしれない。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
渡された紙に書かれていた番号の部屋に到着し、俺は荷物の整理をしていた。
部屋自体はまるで高級ホテルさながらの豪勢さで、本当にこの広い部屋を俺一人で使っていいのかと本気で疑ってしまった。
俺が世界で唯一の男性IS操縦者だから、少しでも優遇しようとしているのか?
「にしても……」
私服や本などの趣味に関する物の整理は殆ど終わったが、問題は……
「このバイブとか、どこに仕舞おう……」
普通に考えて、やっぱり見つからない場所がいいよな。
クローゼットの奥とかがいいか?
それとも、開き直って堂々と見せびらかすように置いておくとか。
「……流石にそれはないわぁ~…」
そんな部屋を見たら、俺でもドン引きしてしまう。
「やっぱりクローゼットに袋ごと仕舞うか」
それがいい。下手に悩んでいるよりはずっとマシだ。
つーわけで、俺は迷わず玩具類をクローゼットに封印した。
必要な時以外はここにいてくれ。
「ん?」
あと少しで荷物の整理が終わると思ったら、机の引き出しからある物を発見した。
「こ…これは……!」
一つはローションがたっぷりと入ったボトル。
もう一つは、よくAVとかで見かける電気マッサージ器。
通称『電マ』があった。
「絶対に束さんの仕業だな……」
あの人の愉悦に満ちた笑みが見えるようだよ…。
「これはこのままにしておこう…」
いつか、千冬さんとのプレイで使用するかもしれないが、それまではさっきの玩具達と同様にここで待機な。
「三角木馬が無いのが不幸中の幸いだな」
あれだけは隠しようがないからな。
「おや?もうこんな時間か」
気が付けばいつの間にか夕食の時間に。
道理でお腹が空くはずだ。
「食堂にでも行くか…」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
夕食を食べてゆっくりと部屋で過ごしていると、突然、扉をノックする音が聞こえた。
「こんな時間に誰だ?」
取り敢えずはドアを開けて確かめよう。
「どなたですか~?って……」
「ど…どうも……」
「箒?」
そこには、モジモジしながら立っていた箒がいた。
「どうしたんだ?こんな時間に」
「少し……お話がしたくて……」
そっか……結局、昼間は色々と会って碌に話せてなかったしな。
彼女もきっと、知り合いが殆どいないここに来て、心細く感じているんだろう。
「そっか。じゃあ、中に入るといい」
「お…お邪魔します……」
俺は箒を部屋の中に招き入れて、適当にベットに座らせた。
「お茶を……って、まだ何も無かったんだった」
「お構いなく……」
明日にでもちゃんとお茶とか揃えないとな。
ついでに湯呑とかも。
仕方が無いので、俺も箒の隣に座る事に。
「こうして二人で話すのって本当に久し振りだよな」
「そうですね…。あの頃は千冬さんや姉さんが一緒でしたし…」
「昔は賑やかだったよな~」
「主に姉さんのせいですけどね」
「確かに」
「「ははは……」」
それから俺達は、昔の思い出話に華を咲かせた。
こうして話していると、思った以上に俺と箒の思い出がある事を実感させられる。
「……………」
「箒?」
急に箒が静かになった。
その口はギュッと閉じていて、いつの間にかベットに置いている俺の手を握りしめている。
「畔章さん……」
「どうした?……え?」
次の瞬間、箒がいきなり俺の胸に抱き着いてきた、
姉譲りの豊満な胸が押しつぶされる。
「ごめんなさい……私は今から、貴方の事を困らせる事を言います…」
「お前……」
「私は……篠ノ之箒は……馬渡畔章さんの事が好きです。異性として好きなんです…」
……この告白は、なんとなく予想は出来ていた。
この時間帯に来たのも、きっと千冬さんが彼女の背中を押した結果だろう。
彼女は昔から、俺の事をそんな風に見ていた節があったから。
「貴方が千冬さんの事を好きなのは知っています。けど、それでも私は……」
既に相手がいる男に告白する事がどれだけ勇気のいる事か。
俺にはよく分からないが、きっとここに来るまでに何回も自問自答したんだろう。
その証拠に、今の箒は震えている。
胸の辺りが濡れている感じがするから、きっと泣いているに違いない。
箒がここにいる時点で、千冬さんは箒の事を認めたって事になる。
なら俺は、二人の想いに応えないといけない。
「箒……」
俺は箒の体を静かに抱きしめながら、そっと頭を撫でた。
こんなにも俺の事を想ってくれている女の子の気持ちを無下にしてしまう。
俺は……最低だな。
「畔章さん……一つだけ、お願いをしてもいいですか…?」
「あぁ…。なんでも言ってくれ」
こんな事で免罪符になるなんて思ってないが、それでも彼女の願いを聞いてあげたい。
これはきっと、俺のエゴだ。
「私を……抱いてください」
「は?」
だ…抱く?
「箒……それって……」
「私の初めてを……畔章さんに奪ってほしいんです」
やっぱりかよ!?
絶対に千冬さん辺りの入れ知恵だよ!
「ダメ……ですか?」
そんな泣きそうな目で見ないでくれ!
こっちが辛くなる!
「分かってるのか?これは……」
「承知の上です!私だって色々と考えました!でも、嫌なんです!私の初めてを他の男に捧げるなんて!私は……畔章さんに初めてを差し上げたいんです!」
「………!!」
ここまで言われて……何もしなかったら男が廃るだろう!
なにより、この状況で箒を悲しませるなんて選択肢は絶対に無い!!
「そこまで言うなら……俺が箒の処女を貰う」
「ほ…本当ですか!?」
「本当だ」
涙を流しながら微笑みかけてくる。
その顔を見つめながら、俺もそっと微笑み返した。
思ったよりも長くなりそうなんで、まずはここで一旦切ります。
本番は次回に。