囚われのトワ 〜調教の果てに〜 作:Washi
ダニエル・グリフという男は、非常に恵まれた人間だ。
彼は、エレボニア帝国のグリフ伯爵家の次男として生を受けた。グリフ伯爵家はカイエン公とも縁のある家で、伯爵家の中でも飛び抜けた地位を持っている。よって、所持している財産も莫大だった。
ダニエルの人生は、完璧と言って差し支えなかった。金髪碧眼で長身という、非常に優れた容姿。大きな屋敷。豪勢な食事。身の回りの世話をしてくれる使用人。やろうと思えば、女を囲うことだってできただろう。欲しいと思ったものは、なんでも手に入る。
かつては、貴族特有の横暴な振る舞いもあったりした。だが、トールズ士官学院に入学し、卒業するころには伯爵家の名に恥じない立派な人間に成長した。
なにもかもが満ち足りていた。しかし、1つだけどうしても手に入らないものがあった。
……トワ・ハーシェル。彼のトールズにおける同期であり、生徒会長を努めていた女性だ。ダニエルは、彼女に人生の全てを捧げたくなるほどに、熱を上げていた。
横暴な振る舞いのころのダニエルを相手に、怖じ気ずくことなく正面から向きあう愛想の良さと、芯の強さ。小柄で童顔という、子供にしか見えない容姿でありながら、時折見せる大人のような毅然とした振る舞い。そして何よりも、その可憐な容姿。
トワ・ハーシェルという存在そのものに、彼は心奪われた。学院祭におけるゲリラライブの彼女の姿を、密かに写真として残したりもしていた。
彼女に近づこうと、生徒会にも入った。客観的に見てもダニエルの仕事ぶりは非常に優秀で、トワに頼りにされていた。おそらく、生徒会メンバーの中では最も信頼されていた。
にも関わらず、トワの気持ちがダニエルに向くことはなかった。彼女は、1つ下の後輩であるリィン・シュバルツァーに、惹かれていたのだ。生徒会の仲間として彼女のすぐ近くにいたダニエルには、すぐにそのことが分かった。
そのことを知って以来、互いが卒業するまでの間、ダニエルは猛烈なアタックを続けた。ストレートに想いを告げる。己の地位、財産の大きさをアピールする。持てる物を全て駆使してトワを振り向かせようとした。
しかし、彼女が首を縦に振ることはなかった。そして卒業後、帝国内のNGO巡りをするため、トワはダニエルから遠く離れた場所へ行ってしまった。
それまでにダニエルにできたことと言えば、フラれたことで生まれた気まずい空気を、なんとか元の状態まで戻すことに成功したくらいだった。これからも、友人として仲良くしていこう。なんて、空虚な言葉で誤魔化して。
失恋による深い失意と悲しみ。それは、ダニエルの心を大きく蝕んだ。卒業後は伯爵家の領土の一部を任されていたものの、全くと言っていいほど、仕事が手につかなかった。
食事の量が減り、頬が少しばかり痩せこけた。手を出したことのなかった、女遊びも始めるようになった。
どうして、どうしてと女神を恨む日々が数ヶ月に渡って続いた。やがて、悲しみは怒りに変化し、長い時間を掛けて憎しみに育つ。それは、彼に暗い欲望と強い独占欲を植え付けた。
トワがダニエルのことを愛していなくても、関係ない。彼女が振り向かないなら、力づくで手に入れればいい。たとえ、どのような手段を用いても。事実、彼にはそれを実行に移すだけの力がある。
……数日に及ぶ葛藤の末、ダニエルは良心を捨てて、闇に堕ちることを選んだのだった。
ダニエルが任されている領内に存在する、彼が今回のために用意した専用の屋敷。その応対室にて、ダニエルは雇った猟兵団の隊長とテーブルを挟んで向き合っていた。
「……依頼通り、トワ・ハーシェルの身柄を確保し、地下の部屋に閉じ込めておいた。無論、傷一つつけていない」
「そうか、ご苦労だった。これが、約束の報酬だ」
テーブルの上に、銀色のアタッシュケースを置く。中には、ミラ紙幣がぎっしり詰められている。隊長はケースを開けてそのことを確認すると、ケースを持って立ち上がる。
「では、我々はこれで。今後とも、ご贔屓に」
「ああ、またよろしく頼むよ」
簡潔に挨拶を済ませた隊長は、屋敷から去った。これで屋敷に残っているのはダニエルと、決して彼を裏切ることができない者だけで固めた使用人たち。そして、監禁用の地下室に閉じ込められている筈の、トワ・ハーシェルだけだ。
(……ついに、ここまで来た。もう、後戻りはできないな)
猟兵を用いての拉致監禁。仮に発覚すれば、グリフ伯爵家の名声は地に落ちるだろう。だが、ダニエルはそれを理解した上で、実行に移した。それほどまでに、彼のトワに向ける想いは重かった。
トワを拘束した上で、ダニエルの奴隷になるよう、調教を施す。それが、彼の出した結論だった。
まずは、トワの動向を調べた。どのNGOにも訪問していない、行方不明が発覚しにくいタイミングを伺った。また、あらかじめ各地の有力者に金をばら撒いたり、権力を盾に、誘拐の事実を数ヶ月は発覚しないように根回しをしておいた。そして、猟兵に彼女を拉致させ、自身の屋敷に監禁する。
後は、数ヶ月の猶予を用いてトワを堕とす。そういう計画だ。それなりに苦労はしたが、なんとか誘拐までは成功させた。残るは、調教のみ。
ダニエルは必要な道具を揃えて、トワのいる地下へと下りた。
地下へ続く階段は、脱出がされないよう、厳重なセキュリティーが施されている。地下室に辿り着くまでの間に、扉が3つあるのだ。階段の入り口に1つ、地下室の入り口の手前に1つ、そして地下室の扉だ。しかも、全てオートロックで、登録された指紋による認証でしか開かない。仮に地下室に入ろうとした瞬間を狙って逃げられても、残る2つの扉が脱出を阻む仕組みだ。
赤いレンガ造りの壁の階段を下り、地下室の入り口に到着する。後は扉を開けば、そこには拘束されたトワがいるだろう。ダニエルはゆっくり、入り口の扉のドアノブに手を掛ける。
もし、ダニエルの顔を見たら、トワはどんな顔をするのだろうか。知り合いが犯人だと知って、絶望するだろうか。それとも、泣き出すだろうか。あるいは、あらん限りの罵詈雑言を浴びせてくるかもしれない。
(いや、それはないか)
そこまで考えを巡らせて、彼は苦笑する。あのトワが、簡単に折れたり憎しみに囚われる筈がないと思ったからだ。おそらく彼女なら、ダニエルが誰かに脅されているんじゃないかと考えるだろう。それくらい優しくて、お人好しな人間だ。
そんな彼女だからこそ、ダニエルは愛に狂わされたのだ。外道行為に手を染めてまでして、彼女が欲しくてたまらないのだ。
地下室の扉を開くという、本当の意味での分水嶺。それを踏み越える覚悟を決める。手のひらに汗を滲ませながら、ダニエルは勢いよく扉を開けた。通常の半分程度に照明の明るさを落とした、仄かに薄暗い部屋だった。
「……え? ダニエル、君?」
数ヶ月ぶりに聞いた、愛しい声。最後に姿を見たときと変わらぬ、とても成人しているとは思えない、人形のように小さな体。
間違いない。ダニエルの目の前に、トワ・ハーシェルがいる。ベッドの上に寝かされ、両手を後ろに回した状態で手錠で拘束されている。ダニエルの指示で、猟兵たちにそうさせたのだ。
「……久しぶりだね、会長。いや、もう会長じゃないから、トワと呼んだ方がいいかな?」
努めて、冷たい声で話し掛ける。さも、典型的な悪徳貴族のように。かつてはそんな時代もあったダニエルには、とても簡単なことだった。
「どうして、ダニエル君がここに……? っ、もしかして、ダニエル君も閉じ込められてるの!?」
「……ふふ」
ダニエルは、思わず笑みを漏らしてしまった。予想とは少し違ったものの、思っていた通りにダニエルを気遣う発想に至ったからだ。さすがのお人好しっぷりだと、内心呆れ果てる。同時に、それだけの信頼を彼に向けていたということなのだろう。それが、愛であれば、どれだけよかったことか。
まずは、その信頼を根底から破壊してやろうと、ダニエルは黒い感情を湧き上がらせた。
「いや、そうじゃないよ、トワ。というより、本当はトワだって分かってるんじゃないかい? ……僕が、君を襲った猟兵団の雇い主で、君を監禁している張本人だって」
「そんなの嘘」
「は……?」
あまりにもあっさりと返された否定の言葉に、ダニエルは虚を突かれた。多少なりとも動揺することを期待していただけに、思わず間の抜けた声を出してしまう。
「生徒会で、ずっとダニエル君と仕事してたから分かるよ。ダニエル君は、優しい人だもん。こんなこと、絶対にしたりしないよ」
「……君という人は、なにも分かってない」
ダニエルの両手に、自然と力が入った。爪が、痛いくらいに食い込む。なぜ、ここまで人を信じることができるのか。ダニエルは理解に苦しむ。
煮えたくりそうなくらい、腹が立つ。それだけ信じてくれるのに、なぜ彼を選んではくれないのか。トワは、ダニエルの想いを知っている筈なのに、どうしてその想いが暴走しないと思い込むのか。あっさり、彼女のことを諦めるとでも思ったのだろうか。自身が、そんな大それたことなどできないと、タカをくくっているのだろうか。
(だったら、思い知らせてやる。僕が、どこまで堕ちたのかを)
ダニエルは、ベッドの真ん中で座り込んでいるトワに近づく。彼女は、身じろぎせず、逃げるそぶりすら見せない。毅然とした表情で、じっとダニエルのことを見つめてくる。そんな彼女の態度が、舐められているように感じた彼は、奥の歯を強く噛みしめる。衝動的に引っ叩いてしまいそうだったが、それをなんとか抑える。
ベッドの端に腰掛ける。彼女の顔が、目と鼻の先の距離にまで近くなる。彼女の大きな瞳が、目に入る。そして、気づく。その瞳が、僅かに揺れていることに。それが意味するところは、1つ。
(……なんだ、ちゃんと僕に怯えているんじゃないか)
途端に、ダニエルの胸の内に黒い悦びが渦巻く。彼女を出し抜けたみたいで、心底愉快な気分だった。
舐め回すように、トワの全身を観察する。両手を後ろに回され、手錠によって拘束された不自由な姿。ARCUSや武器は当然取り上げているため、彼女は暴れる以外の抵抗手段を持っていない。そして仮に暴れられたところで、男の力に敵う筈もない。おまけに、地下室の脱出は絶望的。
肉食の獣の中には、獲物の草食動物の足を折るなどして自由を奪った状態で、子供に狩りの練習をさせる種もいるらしい。今のトワは、そんな手負いの獲物と同じだ。この美味しそうな獲物を好きにしていい。自然、ダニエルは舌なめずりをした。
ダニエルが最初に狙いを定めたのは、唇だ。彼はトワの頬を、指先でそっと撫でた。反射的になのか、彼女は反対を向こうとした。それを、彼が下顎を掴んで止める。僅かに抵抗があったが、力で彼が負けることはない。そのまま強引に、クイッと彼の方に顔を向かせた。
「っ、ダニエル君……」
トワのまぶたに先程よりも力が入っているのか、目が大きく見開いている。吸い込まれそうな、緑の混じった琥珀のような瞳。ダニエルを、何度も誘惑した魅惑の瞳だ。その双眸で見つめられる度に、彼は言葉で表せない狂おしい感覚に襲わていたのだ。
「トワ……君が、君がいけないんだよ。君が、こんなにも魅力的だから。君が、欲しくてたまらないんだ」
「ダニエル君? なにを言って……んむ!?」
ダニエルは、問答無用で彼女の唇を奪った。自身の唇を押し付け、強引に舌を捻じ込む。
「んっ!? んんッ、んんゥ!」
口づけから逃れようと、トワの頭がダニエルから離れようとする。それをダニエルは彼女の後頭部に手を回すことで止める。ガッシリと後頭部を固定して、逃げ口を塞いだ。
(これが、トワの唇……熱くて、蕩けそうだ。ずっと、これが欲しかったんだ)
ダニエルは舌先を、トワの舌の方へと伸ばしていく。口づけから逃れられないと悟ったからか、今度は彼女の舌が抵抗の意志を示す。ダニエルのモノを押し返そうと、ツンツンと突いてくるのだ。しかし、その動きは拙かった。舌先を使った動きに慣れていないのが、丸分かりだった。
一方、ダニエルは傷心中、女とたっぷりと遊んでいた。舌先の動かし方も熟知している。トワの突きを受け流し、側面から舌先を潜り込ませる。舌の付け根の、敏感なところを責めてやると、ピクリと彼女の舌が怯んだ。その隙に、一気に舌を絡ませた。
「ん、んむ、ちゅ、んん、っ、んぅ……」
なおも舌先の抵抗は続いたが、ダニエルはその全ての動きをキスへと昇華させていく。彼女にわざと聞こえるように、大きな水音を立てて唾液を混ぜ合わせる。混ぜた唾液をトワの喉の奥まで運び、無理やり飲ませた。彼女に己の唾液を飲ませるという背徳的な行為。ダニエルの支配欲が満たされ、さらに激しく口内を貪る。
その間、トワの体は石のように固まっていた。チラリと、ダニエルは彼女の顔を観察する。時折、苦しそうに吐息を漏らし、小さくて可愛らしい鼻を膨らませている。両目はシワができるくらい、強く閉じている。耳の端が、酒を飲んだかのように赤くなっている。明らかに未経験の反応だ。
そんな無垢な花を、今まさに自身が穢している。そう考えただけで、ダニエルの下半身が熱く滾る。早くも、血が集まってくるのを感じた。
「んんぅ、ふっ、ぅ、んん……ぷはっ!」
トワの口内をたっぷりと楽しんだダニエルは、ようやく彼女を解放した。息苦しかったのか、彼女は肩で息をしていた。耳だけでなく、顔全体が仄かに火照っていた。唾液で濡れた彼女の唇が、いやらしく光っている。
「どうだい? これで少しは、僕が本気だと分かったんじゃないかい?」
「はあ、はあ、はあ……ダニエル君……なんで……」
「前、言っただろう? 君のことが、好きなんだ。いや、愛しているんだよ。君が、欲しくて欲しくて、気が狂いそうなんだよ。でも、君はシュバルツァーのことが好きなんだろう? 僕の気持ちに応えてくれないんだろう? だったら、こうするしかないじゃないか」
それを聞いたトワは、黙りこくってしまった。何かを言おうと口を開いては、一言も発することなく口を噤んでしまう。彼女が今なにを考えているかは、分からない。しかし、確かに言えることがある。彼女がダニエルの変貌を認識し、ショックを受けているということだ。様々な感情が、彼女の内で渦巻いているに違いない。
ようやくトワの、ダニエルに対する信頼を揺るがせることに成功した。彼は内心ほくそ笑む。次は、肉体方面を責めることにしよう。そう決めた彼は、懐を探る。
取り出したのは、無色透明の液体が入った小瓶だ。トワの視線が、小瓶を捉える。
「それは……?」
「君のために、東方から取り寄せたんだ。さあ、飲んでごらん」
ダニエルは栓を抜き、トワの前に差し出す。僅かに、彼女の顔が後ろに下がった。彼女は困惑した様子で、視線を小瓶に固定したまま、じっと動かない。首を横に振ったわけではないが、それが消極的な拒絶を示していることを、彼はなんとなく感じ取った。
無理やり飲ませることも考えたが、ダニエルはトワに、この液体を自主的に飲んで欲しいと思っていた。形だけでも、まずは彼女に従順になってもらうことを重視しているからだ。そこで、彼女に飲んでもらいたくなるように、説得することにした。
「……ところで話は変わるけど、僕の家、グリフ家の力はかなりのものでね。いや、内戦でカイエン公の影響力が削がれたせいか、ますます強くなったとも言える」
「……? えっと……」
これは事実だ。特にラマール州においてはカイエン公がやらかしたことの尻拭いをしたこともあって、影響力を高めている。バラッド侯との繋がりも深いので、四大名門に迫る力を得ることに成功した。そのバラッド侯が帝国政府とのコネクションを築いたので、政府の勢力圏にもある程度力が及ぶだろう。
「実際、猟兵を差し向けて君を監禁するなんてことができるくらいにはね。他には、そうだね……シュバルツァー男爵家の長女が突然事故に巻き込まれたり、帝都のとある雑貨店に、導力車が突っ込んじゃたりするみたいなこともできるだろうね」
「っ!? そんなひどいこと、ダニエル君がするわけ……」
「するんだよ、今の僕なら。それともあれかい? 僕がそんなことしないと信じて、拒否してみるかい?」
「……それは」
トワは、下を向いてしまう。想い人の妹と、家族が人質に取られたも同然だ。元より、選択肢はない。ダニエルは指先で小瓶をいじりながら、再度問う。
「最後に、もう1回だけ聞いてあげるよ。……飲んで、くれるね?」
「……ぅ」
長い沈黙の末、トワは小さく頷くのであった。彼女の顔から1滴の雫が落ち、ベッドのシーツを濡らした。俯いていたため、目元が確認できないのが残念だった。
「さあ、こっちを向いて」
飲みやすいよう、トワの顔を上に向かせる。抵抗は、なかった。
そのとき見えた彼女の表情は、怒りではなく……哀しみを帯びているように見えた。いつも明るく、気丈に振る舞っていたトワ。その彼女が、憂いの混じった暗い顔を見せている。それは、とても官能的な光景だった。
小瓶の入り口をトワに咥えさせる。そのまま小瓶の底を持ち上げて、液体を彼女の中に注ぎ込んだ。最後の1滴まで、余さず飲ませた。
変化は、5分後に訪れた。
「ぅ……はあ、はあ……なに、これ……ぅ、んんぅ……っ」
(おお……これはすごい。あのトワが……こんなに淫らになって……)
トワに飲ませた液体。あれは東方から伝わってきたと言われる、最高級の媚薬だった。曰く、女の性欲と感度を何倍にも高め、どんな女でもすぐに股を開くとのことだった。今のトワの様子を見る限り、効果は絶大なようだ。
「ぁ、んっ、はあ、どこも……触ってないのに、っ……ジンジンする……」
目をトロンと潤わせ、風邪にでも掛かったかのように顔を紅潮させている。汗を滲ませ、甘い声の混じった熱い吐息を漏らす。ベッドに寝転がり、切なげに内股をこすり合わせたり、上半身をくねらせている。スカートがめくれ、下着が丸見えだが、気にしている様子はない。その下着の中心は、楕円形の濡れたような染みが生まれていた。
……誰がどう見たって、発情したメスのようにしか見えなかった。
「っ……ぅん……んんぅ……ぁ、ぅ、あ……ん、からだ……熱い……っ」
ダニエルの股間が、急激に膨らむ。トワの乱れた息に釣られて、彼自身の呼吸もどんどん荒くなる。男としての欲望が、どんどん膨れ上がってくる。
想い人が、ダニエルの前で切なげに声を出し、官能的な仕草を見せているのだ。昂るな、という方が無理な話だ。彼女の体に触れたい、という欲求が強まる。
しかし、ここでいきなり腰のモノを突っ込んでしまったら全てが台無しだ。ダニエルの目的は彼女を犯すことではない。あくまで、彼女を心身共に屈服させることが目的だ。媚薬を飲んでもらったときのように、自主的にダニエルのモノを求めるようになるのが理想だ。無理に貞操を奪うようなことをすれば、屈服させる前に反発心や恐怖心が芽生えてしまうだろう。既に唇を奪ったり、脅迫を行なっているのだ。これ以上はまずいだろう。
まずは、彼女の体を快楽で慣らしていくことに専念すべきだ。早まるなと己に言い聞かせ、暴れ出そうとするオスの衝動を律した。
「おやおや、随分といやらしい声を出すじゃないか。アソコがグチョグチョに濡れてるのがここからでも見えるよ」
「……っ!? だめ……見ないで……はあ、はあ……」
ようやく己の痴態を把握したトワは、恥ずかしそうに目を閉じる。体の向きを変えたり、膝を折り畳んだりしてスカートの中身を隠そうとする。だが、両手が使えないせいか、思うようにいかないようだ。下着こそ隠れたものの、スカートはめくれたまま。透き通るように白い太ももが、下着が見えそうなくらいのギリギリのラインまで露わになる。
見えそうで、見えない。その状態が最も扇情的であることを、ダニエルは今知った。見えないからこそ、中がどうなっているかを想像する自由がある。いやらしい妄想が、頭の中で膨れ上がる。
あらかじめ用意してあった導力カメラを取り出し、何枚か撮影する。後々、様々な用途で使えるだろう。
「今、どんな気分なんだい? 娼婦のように、アソコが気持ちよくて仕方ないのかい? 触りたくて仕方ないのかい?」
「んんっ……ぅ、はあ……へいき……だもん……うぅん、ぁ、んん……ぅ」
そうは言いつつも、トワはさっきからずっとモジモジと腿をこすり合わせている。アソコに、凄まじい快楽の波動が流れ込んでいるのは間違いないだろう。両手が使えないので、自身で慰めることもできない。気持ちはよいが、達するほどではない。今はそんな、生殺しに近い感覚を味わっている筈だ。
媚薬がもたらしているであろう快楽の前に、簡単に屈しない点はさすがと言わざるを得ない。しかし、まだ触れてもいないのに、あの真面目なトワがこの有様だ。実際に刺激を加えてやれば、彼女の理性も簡単に飛んでしまうだろう。
ダニエルは次の段階へと進むことにする。すなわち、トワを快楽漬けにする段階だ。もっとも、媚薬を飲ませたとは言え、今日は調教1日目。あまり派手なことをするつもりはなかった。
ダニエルは、懐からとある小道具を出す。紐がついた、丸いピンク色の物体。紐の反対側は、回転式のつまみがついたプラスチックの板に接続されている。ローター。いわゆる、女向けの大人のおもちゃだ。
「ほら、トワ。これがなんだか分かるかい?」
「ぇ……あ」
トワが薄っすらと目を開いて、ダニエルが手に持っているモノを確認する。ピタリ、視線が硬直して……次の瞬間にはふいっ、と視線を大きく逸らした。いかにも慌てて目を背けた、という感じの動きだった。
「知っているみたいだね。もしかして、自前のを持っていたりするのかい? 望むなら、そっちを使ってあげるけど」
「ぅ……そんなの、持って…っ…ないもん」
「ということは、知ってはいるんだね」
「あっ……ち、ちがっ、違うの!」
ブンブンと首を強く横に振るが、もう遅い。トワは、確かに優秀で賢い。だが、業務以外のこととなると、途端にドジっぷりを発揮することが多々あった。あまりにも綺麗に引っかかったため、ダニエルは笑いをこらえるのに必死だった。
もっとも、トワの歳でローターを知ってたところで、別に驚きはしない。所持しているのがバレるならともかく、知っているのがバレたくらい、恥ずかしがるほどのことでもない。しかし、彼女のような人間にとっては相当ハレンチなことにあたるようだ。元々赤くなっていた顔をさらに真っ赤に染めて、泣き出しそうな顔をしている。この顔を見れただけでも、いたずらをした甲斐があった。
(知ってても知ってなくても、やることは変わらないしね)
カチカチッ、とダニエルは手の中のローターのつまみを回す。すると、ブゥゥンと丸い部分の内部のモーターが回り出して、小刻みに震える。媚薬で敏感になっていることを考慮して、弱めにしておく。
ダニエルはベッドに乗って、トワの眼前に迫る。手を伸ばせば、アソコに触れられるくらいの、近い距離。ダニエルは、指先で触れるか触れないかくらいの力で、太ももを撫でた。
「っ、くっ、ううぅん……っ、ぁ」
トワが小さく悶える。媚薬のせいで、太ももに触れただけで感じる体になっているようだ。円を描くようにして、愛撫を続ける。1周ごとに、より力を込めて。
「んんっ、っ、ぅ、くぅ、んんぅ……ぅ」
声を極力出さないようにしようとしているのか、トワの口からはこもった声ばかりが漏れる。だがダニエルには分かる。その声に、少なからず艶が混じっていることに。自らの分身が悦び、ズボンの中を濡らし始めているのを感じた。少し腰を動かすだけでも、服とこすれて大きな快感が腰から溢れた。入れたい、入れたいと叫んでいるのが嫌でも分かる。
このままだと、服の刺激だけで射精に至ってしまうかもしれない。調教という体裁を取っている以上、自身が先に果ててしまうのはまずい。
(今日のところは、さっさと済ませてしまおう)
ダニエルは、トワの脚に手を掛けた。そのまま彼女が抵抗する間もなく、大きく彼女の両足を広げた。彼女の履いている白の下着が、使い物にならないくらいにグッチョリと濡れていた。しばらく放っておくだけでも、勝手に絶頂に辿り着けるかもしれないとは、思うほどに。
ローターを、片手に持つ。それを、トワのアソコの一番敏感な部分に近づける。触れる直前で、ピタリと止める。
「ぅう……っ……ゃ」
その間、トワはとても大人しかった。脅迫のせいで下手に抵抗できないというのと、媚薬による作用に抗うのに必死でそれどころではないのだろう。濡れたショーツが透けて、淡いピンク色の秘所が薄っすらと浮かび上がっていた。彼女の幼い容姿に反して、アソコからは花の蜜のような甘く、濃厚なメスの香りを漂わせていた。その香りに酔ってしまいそうなほどだ。
「さて……いくよ、トワ」
「ぁ……待っ、て……お願い……ンンゥッ!?」
秘裂の上でぷっくりと膨らんだ、小さな突起にローターを当てた。ビクン! と跳ね橋のようにトワの腰が浮いた。ズレてしまわないよう、しっかりと押し付ける。
「ぁ、あっ、んんッ! ァ、アアッ! ぃ、や……声……ッ、ンン、出ちゃう、アァンッ!」
今に至るまでずっと、決定的な喘ぎ声を出さないでいたトワだったが、ついに限界が来たようだ。艶かしい嬌声を響かせ、腰をくねらせる。口元を覆うための両手を塞がれ、媚薬によって感度を高められていたにも関わらず、ここまで声を出すことを耐えたのは称賛に値するだろう。だが、ローターによる陰核責めの前には、無力だった。
ダニエルは、ただローターを押し付けるだけではなく、刺激に変化をつけていく。少し離しては、再び当てる。ローターの先端を、突起の周りをなぞるように回す。つまみを回して、少しずつ振動を強くする。不規則に刺激に変化をもたらして、トワに快感に慣れる暇を与えなかった。
「ぁ、ゃ、ァア! ン、ン、くっ、ンンッ! ぁ、あ、ア、ア……ッ!」
口を大きく開き、髪の毛をくしゃくしゃに乱しながら、トワは悶絶のよがり声をあげる。ため息と同時に嬌声が漏れ、どんどん遠慮がなくなっていく。
(喘いでいる……トワが、僕の前で股を開いて、僕の手で感じている……そう、これが、見たかったんだ。ずっと、ずっと……!)
トワが激しく快楽に溺れる様を、もっと見たい。そう思ったダニエルは、さらにローターのつまみを回す。振動というより、もはや痙攣と等しいほどの強烈な震えが指先に伝わる。まるで暴れ馬のようで、気をつけないと落としてしまいそうだった。
「っ、ぁ、ァア! アアッ! ん、ンン、ァアアンッ! はぁ、アァ……ッ!」
トワの背中が弓なりにしなり、胸元を大きく突き出す。両脚が生まれたての仔馬のように、ガクガクと脚を震わせる。腰がいやらしく浮いては沈み、男の本能をチリチリと刺激する。汗で濡れた髪が肌に張りついている様子が、彼女の感じている快楽の大きさを想像させる。
「ン、ンンッ! ぁ、いやぁ……な、なんか……なにか……くるぅ……ァアッ!」
「もしかして、そろそろイキそうなのかい? 君を監禁した男の手で、アソコをいじられてるのに? なんてやらしい娘だ」
「っ、違う……もん……! くすりの、せい……ッ、ンン、ァ、ア、アアンッ!」
「確かにね。でも、いずれは薬なしでも君はあられもない声を上げるようになるよ。いずれはね」
(そう、僕がそんな淫乱な体に開発してあげるよ。……だから、今日はイクところを見せてくれ)
ローターの振動の強さを最大にまで上げる。さらに、トワの腫れ上がったクリが押し潰れるくらい、強く押し当てる。
「ひっ!? ぁああああああ!? ぁ、ァ、アアアンン!! ンンッ! ァアアアアッ!!」
部屋中で何度も反響するような大きな悲鳴が上がった。弾けるように、トワの頭が限界まで上を向く。頭と両足を支えに、ブリッジのポーズを取る。ショーツが吸いきれなくなった愛液が脚の付け根から垂れ、ベッドに落ちていく。背中の反りが大きくなるに比例して、嬌声に熱が入ってくる。
「ァ、ァ、ァ、ァアアアア! ンゥ、ァ、ッ、ァ、アアアンンッ! アッ、ッ、ンンゥ!」
言葉にならない、途切れ途切れの嬌声を機関銃のように上げ続ける。気づいているかは分からないが、口の端から涎がこぼれている。トップスがめくれ上がり、汗ばんだヘソの周囲が露わになる。
そんな中、脚や腰がブルブルとけたたましく痙攣している。間違いなく、絶頂が近いのだろう。
「ァ、ン、ンン、っ……め……あた、ま……っしろに、ッ、ァ、ァア、アアア! ッ、ゥウン!」
(そうだ、イけ! イってしまえ! 僕の手で、はしたない声をあげてイクところを見せるんだ!)
興奮が最高潮に達したダニエルは、ねじ込むように、ローターを陰核に突き込んだ。そして、それがトドメになった。
「ァ、ダメッ……! ッ、あついの……ァ、ァ、アアア、ン、ッ、アアア、ッ……ァァァアアアアーーッ!!」
グイ、と腰を突き上げ、トワは2度、3度と痙攣する。金切り声に近い嬌声をとどろかせる。
そして、人形の糸が切れたように、ガクリとベッドに沈み込んだ。目を閉じて、荒々しく口で呼吸をしている。
トワの絶頂を見て心の底から満足したダニエルは、ローターのスイッチを切った。ローターの先端が、ヌラヌラと濡れていた。
「フフ、イったみたいだね。さて、イカされた感想はどうだい? 気持ちよかったかい?」
「はあ、はあ……ぁ……ぅ……っ……はあ」
返事はない。いや、ダニエルの声は聞こえているみたいで、何かしらの言葉を返そうと声を発しているように見える。しかし、それを形にできないほど疲弊しているようだ。
無理もない。媚薬で感度を高められた状態で絶頂まで導かれた上、媚薬の効果そのものはまだ継続している筈だ。相当な消耗を強いられたことだろう。
明日からのことを考えれば、もう休ませるべきだ。そう考えたダニエルは、ベッドから立ち上がる。
「っと、忘れてた。手錠はもう外してあげるよ」
懐から鍵を取り出して、手錠を外す。今のトワに逃げ出すだけの体力はないだろう。また、元々この部屋に監禁するまでの間の拘束具だ。監禁した以上、もう拘束は不要だ。
「後で食事とかを運ばせるよ。あっちの扉は、浴室だから」
それだけ告げて、ダニエルは部屋を後にする。明日の調教はどうしてやろうと、さらに肥大化した黒キ欲望に身を委ねながら。
トワの受難は、まだまだ始まったばかりだ。
3~4話構成の見込み。