吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
殺人鬼─初めましての1日目
私の名前は「吉良吉影」いつどこで生まれたかは知らないが、殺人鬼だったのは覚えている。
誰かと闘ったのは、覚えている。人間やりたくも無いことをやると、失敗するのを知ったよ。
誰と闘ったか、勝ったのか、負けたのか、なんで闘ったのが、どう闘ったのか。何一つ覚えてない。
でも、私自身についてはしっかり覚えている。
前の時の名前はさっきも言った通り吉良吉影(川尻浩作でもあったが)スタンドと言うものを持っていて、触れたものを爆弾に出来る。最もこの世界では出来る限り使わず、平穏に生きていきたい。人を殺さずにはいられない性を持っている。が、平穏に生きていきたい。
この世界では私は中学生だ。今日からな。
ここに来て3ヶ月、姿は少し幼いが、前の私の姿に似てきつつある。小学生として、三学期を過ごしたが、特に目立たない平穏な、位置につけていたのに、もう新しい環境に
まぁ、最も、客なんて来やしないのだが。
おっと、フラグめいた発言をしてしまった。
(後悔する時には遅いぞ。)
と思っていると、予感は的中、ドアをノックされた。
(チッ、面倒だな。近所に人のいない家で喜んでいたのに来客とは。)
渋々椅子から立ち上がると、怪しい格好の怪しいおじさんがいた。閉めたくなるドアをスタンドを使う時の3倍ぐらいの精神力で、開けたまま返事をする。
「どなたですか?」
男が口を開く。
「やぁ、久しぶりあのときはありがとう。」
はて、こんな知り合いいただろうか?前の私にも居ないような気がするが……。
そして思い出した。
「ああ、この前道に倒れていた……。」
私が最初にこの世界で目覚めて周りを調べていた時に、倒れていたのだ。助けたくはなかったが、助けてしまった。
「あの時、助けてくれたお陰で、生きてお礼ができたよ。ここには、仕事の用事で来てね、お礼をしに来たんだ。」
お礼なんていらないから帰って欲しかった。が、無下にするのも悪い。
「それは、わざわざすみません。でも、お礼なんて……人として当然のことをしたまでですよ……。」
「まぁ、その
そう言って渡された封筒は、明らかにお礼の範疇を超えていた。一悶着あり、強引に渡されてしまった。まぁ、あって困るものな訳では無いしな。
しかし、次にお礼?と言って出したのは、貰って困るものだった。
「そうだ、君一人では心細いだろう、済まないがこの娘も引き取ってはくれないか?」
(なぜ一人だと分かった?この娘?引き取る?)
疑問は多かったが、呼ばれて飛び出てきたのは、大魔王でも、混沌でも無く、少女だった。
「この娘、奴隷だったんですけど、前の主人が死にまして、引き取り手がいなくてですね。私がその主人の……その……、色々をですね……。まぁ、取り立てと言いますか……。そうした時、こいつを押し付けられまして、処分するには心苦しいですし、わけのわからん輩に、売るのも、気分が悪い。そこで、貴方に引き取って貰おうと思いまして。」
(要するに、金をやるから押し付けようという魂胆か。)
そう考えつつ、少女を改めて見る。
ボロ切れの毛布で作った様な服、季節は春とはいえまだ寒いのに露出した白いであろう肌は、青さも帯びている。さらに、首元は簡単に折れそうで、鎖骨が浮き出ていた。そして、一番は、ところかしこに見える赤い傷痕だった。まるで、皮膚を火傷したかのように見えるそれは、さすがに、私の同情心を引き寄せた。
「クッ、わ…わかりました。引き取りましょう。」
男の顔が明るくなる。
「それは、ありがとうございます。まぁ、元が奴隷ですので、そんなに手も掛からないかと、ストレスのはけ口でも、
(ムッ!こいつ…スタンド使いでは無いことは確認してあるが、まさか?)
「おや、もういらっしゃいましたか?」
ああ、ただの冗談か。ビックリしてしまった。
「まぁ、奴隷を彼女にってのは趣味が悪いですかね。」
「おっと、私はこれで失礼します……。」
怪しい格好の男は怪しい笑いを浮かべたまま出ていった。
それを見送った後、奴隷に目を向ける。
私の値踏みするような視線に少し怯えつつ、意を決したように私に話しかけた。
「改めて初めまして、シルヴィと申します。引き取って頂いてありがとうございます。」
「力仕事は出来ませんが、簡単な雑用ぐらいなら出来ると思います。前のご主人様は、私を苦しめるのが一番の使い方だと言ってました。お手柔らかにお願いします。」
なるほど、心の傷は、思ったより深いらしい。気は進まないが、いざとなったら
「奴隷さん……いや、シルヴィさん?」
少し悩んだあと
「シルヴィと呼んでも?」
と聞くと、ご自由にお呼びくださいと言われてしまった。
「シルヴィ、まずはお風呂に入ってくるといい。すまないが綺麗といえる格好では無い。女性にこういうことを言うのは不本意だが、正直汚い。風呂場は、そっちだ。着替えは無いので、私の服でいいかな?」
矢継ぎ早に言って、シルヴィを風呂場に押し込む。
「シャンプーとかの使い方はわかるかい?その服は捨ててしまっていいね?新しいものを買ってやろう。」
(ふぅ、正直耐えられないよ。よく観たらホコリっぽいうえ、フケやら垢まみれだ。まぁ、私が思う奴隷像よりは綺麗だし、あの男もしっかり世話?はしていたみたいだな。さて、どの服ならいいかな?)
「髪も体もしっかり洗ってから湯船に浸かるんだよ。」
がらにも無く
「ふぅ、平穏に生きていきたい。」
ドア越しなので聞こえてはないだろうが、一応小さな声で言う。
1時間と、ゆっくりお風呂に入っていたシルヴィが遠慮がちに、リビングに来る。もう既に昼食の準備を終えていて席につくように促す。14時ぐらいなのでお昼には遅いが何やかんやで食いっぱぐれていたのでお腹がすいてしょうがない。それに、自習(仮)も途中のままだ。
「ストップ、席につく前にこっちに来い。」
多少ぶかぶかだが、そんなものだろう。一旦服を脱がせる。そういうことをするつもりな訳ではなく、汚れの確認だ。だが、その心配もいらなかったな。
「ふむ、しっかり洗えているね。いい子だ。」
頭を撫でようと手を伸ばすと、驚かせてしまった。奴隷としての恐怖だろうか?まぁ、構わず撫でたがね。
「さぁ、席について、君の好みが分からなかったから、スタンダードな作りのサンドウィッチだよ。サンジェルメン程ではないが、とても美味しいよ。」
頂きますを言ってから、一口かじる。自画自賛だと思うがサンジェルメン程ではないが美味い。
ふんわりとしたパンに柔らかいハム、ほんのりとした塩気と甘さの卵。それらの邪魔をしない様に、しかし、しっかりとした主張をシャキッとした食感で伝えてくれるレタス。絶品だ。だが、シルヴィの方を見ると、ひと口も手を付けてない。席にすらついてなかった。
「食べないのか?」
短く聞くと、
「こちらの素敵なお料理は私の分でしょうか?」
と、質問に質問で返された。若干イラついたが、冷静に
「そうだ、見た目も素晴らしいが、味もいいぞ。あくまでも、私の主観だがね。」
続けて食べないのか?と聞くと、小さく
「食べてもいいんですか?」
と、また質問に質問で返された。
(このガキ、質問に質問で返す癖があるな、クッ、イラつきで爪が伸びてきた。サンドウィッチにささってしまうな。全く腹が立つ。)
「食べたいなら、食べればいい。要らないなら私がたべる。サンドウィッチは、嫌いか?」
「いえ、好きだと思います。では、頂きます。」
シルヴィが、サンドウィッチを一口かじると、幸せそうな表情で、こちらを見た。
「このサンドウィッチは……、好きです。とても……美味しいです……。」
「それはよかった。残念だが、おかわりはないんだ。済まないね。その分夕食は、もっと美味しいものを食べさせてあげよう。」
シルヴィは、たっぷり30分以上かけて、サンドウィッチを食べた。
「シルヴィ家の案内をしよう。ついておいで。」
「今いるここがリビングそこが、私の書斎(小さいがね)と言っても、古い教科書ぐらいしかないがね。」
小学生として貰った教科書は、3ヶ月で要らないものとなってしまった。機会があればシルヴィに使わせよう。
「こっちは、……で、ここが……、この部屋は使ってないなここは……として使っている。」
「君の部屋はここだ。十分な大きさだろう?」
ふむ、さっきから頷く程度で一言も話さないな。それもそうか。
「次は街を案内しよう。」
そう言って、多少無理矢理、街を歩かせる。
一通り案内し終わると、私の家からほんの少し遠い程度の場所に服屋を見つける。
あそこで服を見繕うとするか。
to be continued
一日長くね?ってツッコミは聞こえません。自分の各シリーズは長くなりますよ。それと、吉良視点か、シルヴィ視点を分かりやすくするため、各話のタイトルが、殺人鬼表記はずっと吉良視点、奴隷表記の時は、シルヴィ視点、何も無い時はバラバラです。