吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
今から15年前─杉本鈴美を殺した。
そこからは3ヶ月から4ヶ月のペースで彼女が変わった。証拠になるようなものは全てキラークイーンに爆破させた。
私の手で殺したこともあった。この汚れきった手でシルヴィに触れていた。頭を撫でていた。亡骸の手を褒め、時に舐めまわした口で、シルヴィと話した、シルヴィを褒めた。堕ちる所まで堕ちて汚れきった私だが、シルヴィだけは殺したくなかった。生きて欲しかった。朝、シルヴィに会うことを楽しみにベットから降りる。そんな
もう1週間マトモに口を聞いていない。
私がいつも通りの時間に起きる、朝食を作り終えるとシルヴィはやってくる。これもいつも通りだ。
「…おはようシルヴィ。」
「……おはようございます…。」
前は元気よくこちらに向かってきたのに…、それだけ私が怖いのだろう。
私は胸が苦しく、さっさと食べて行ってきますも言わずに学校へ向かう。
帰りたくないのに学校は終わってしまう。
「ただいま…。」
『おかえりなさい』という声が聞こえない。シルヴィの部屋に向かうと微かに息遣いが聞こえる。
私は自室にこもると、時間を潰す。爪も自分で切ってしまう。しばらくやってなかったせいでヘタクソだが、しょうがない。
夕飯を作り終えるとシルヴィを呼ぶ。返事はないが、
ゆっくりとシルヴィがやってくる。掃除や洗濯はやってくれているが、皿洗いは私がさせない。昼に使った皿はシルヴィが洗っているようだが、朝食と、夕食の皿は私がさっさと洗う。いただきますも、ごちそうさまもなく食べ終える。今日はドラえもんが放送されるが、シルヴィはどうするのだろう?
これが一週間も続いている。シルヴィはこのままお風呂の時間まで部屋にこもる。そして、寝る。私も似たようなものだ。話し掛けようとしても言葉が出ない。なんと言えばいいのか分からない。
だが、今日はたったひとつだけ言えることがある。
「シルヴィ、ドラえもん…見ようか。」
「はい…」
ソファに並んで座りドラえもんを見る。何故かは知らないがシルヴィは、ドラえもんがお気に入りのようだ。
それが終わると、シルヴィは立ち上がり部屋に戻ろうとする。私は咄嗟に手を掴むと、
「待ってくれ!行かないでくれ。」
と言う。
私はいつも通りの時間に起きる。ご主人様が朝食を作り終えると、私は寝室から出る。
「…おはようシルヴィ。」
「……おはようございます…。」
前は頭を撫でるために手を伸ばしてくれたのに…。それだけ私が嫌いなのだろう。
あのキスは最後のキスだったのだ。『これだけしてやるから、もうこちらに近づくなよ』という警告なのだ。
だから、頭を撫でてくれないのだし、行ってきますも言ってくれない。
ボーッとしているとご主人様が帰ってくる。しかし、ただいまという声は聞こえない。私がいないかのように部屋に入ると、夕食まで呼ばれない。夕食のときに思い出したかのように、苦虫を噛み潰した声で、私を呼ぶ。私は嫌いだが、家事はして欲しいのだろう。それでも皿洗いは、させてもらえない。爪切りもしていない。
これが一週間も続いている。私はお風呂の時間まで部屋にこもる。カレンダーを見て今日はドラえもんが放送される日だと思い出す。見たいが言えない。どれだけ最初のように希望を捨てても、ご主人様に愛されたい。ご主人様を愛したい。恋とはこんなに苦しいのだろうか…。
「シルヴィ、ドラえもん…見ようか。」
その言葉がたまらなく嬉しいが、顔には出さず
「はい…。」
という。私がこの家に来て初めて見たテレビ番組がこれだった。内容はよく分からないが、ご主人様と一緒に見ていて面白かったのを覚えている。ご主人様の隣に立てることが嬉しかったのだ。(ソファに座っていたが…)
30分後…エンディングが流れ、次回予告が終わる。
(お風呂に入る時間だ…。)
最近は言われなくても入ってしまう。何度か面倒そうに入れと言われて怖かったからだ。
立ち上がると、
「待ってくれ!行かないでくれ。」
ご主人様に言われる。
二人ははいつも食事をする席に座っている。
「シルヴィ、その…キスの事は済まなかった。」
吉良の言葉はシルヴィの望むソレではなかった。シルヴィは謝ってほしいわけてはない。吉良の勘違いが、シルヴィとの距離を作った。
「…私は大丈夫です。」
シルヴィは嘘をついている。本当はもっと近づいてほしいのに怖いから遠ざけてしまう。シルヴィの思い込みが、吉良との距離を作った。
「それで…その…これは、少ないが謝罪の気持ちだ。」
軽く数十万円は入った茶封筒をシルヴィに渡す。
「…いえ…いりません…。」
シルヴィにとってそんなものはいらなかった。お金が重要なのは知っている。
(でも、お金なんて要らないから、ずっとあなたの隣にいさせてください。)
これがシルヴィの
「受け取ってくれないか…?」
吉良は、それ以外の解決方法が思いつかなかった。金ならいくらでも払えた。
(だから、ずっとわたしの隣にいて欲しい)
これが吉良の
暗い沈黙が流れる。誰も、何も、一言も、かすかな音さえ出さない。
((ダメ元で言ってみよう。))
(嫌われてもいい。)
(殺されてもいい。)
「「あの…あ…先に言っていいよ」いいですよ」
少しの沈黙のあと。
「ご主人様って、彼女とかそういう人、いたりしますか?」
「いないけど…?それが?」
吉良は心の中でシルヴィに説教をされるのではと危惧していた。
「なら、出来るまででいいので、ずっと私をご主人様の隣に置いてください。お願いします。」
吉良はその言葉を聞き全てを理解した。
(うわっ!勘違いか!恥ずかしい!)
「フッフフフ、フハハハハフフフハハハハハ」
「え?え?ふぇ?」
吉良が大声で笑いだし、シルヴィは戸惑う。
「ご…ご主人様?大丈夫ですか?」
しかし吉良は正気に戻り、冷静に考える。
「シルヴィ、シルヴィは私のこと好きかい?主人としてじゃあなく、異性としてだ。」
シルヴィは少し考え、
「多分、そうだと思います。」
力強く答える。
「私はね、殺人鬼なんだ。今まで48人の手の綺麗な女性を殺した。それ以外にもたくさん殺した。それでも?」
すると間髪入れずにシルヴィが言う。
「知ってましたよ?」
「え?なんで?」
吉良は情けない声を出す。
「キラークイーンさんとグレーフから聞きました。」
「それでも一緒にいたいと思いました!ご主人様のことを愛しています。」
吉良は苦笑いを浮かべるしかなかった。
「私もシルヴィを愛しているよ!」
シルヴィの勢いに飲まれつい本音を漏らす。また沈黙が流れるがそこには、さっきの重さはなく、和気あいあいとしていた。
「シルヴィ、好きです付き合ってください。」
「ご主人様、好きです付き合ってください。」
二人は同時にいう。
「もちろん、喜んで!」
「もちろん、喜んで!」
また声が重なる。次に唇が重なる。一週間を埋めるかのように熱く長く、キスを交わす。
「シルヴィ、爪を切ってくれ。」
「ご主人様、頭撫でてください。」
シルヴィは、爪切りを持ってくると、吉良の爪を切り始める。吉良は空いている手で、シルヴィの頭を撫でる。
「しばらく手を綺麗にしなかったな?後でハンドクリームを塗らないとね。」
「…そうですね。」
……To be continued
かと思った?もうちょっと続けるよ。
「ご主人様、私よく怖い夢を見るんです。特に前のご主人様の夢を…。そのせいで夜中に起きることがあるんです。それで…その…もしご迷惑じゃなければご主人様と同じ部屋で寝させてもらえませんか。欲を言えば一緒のベッドで…ご主人様となら、安心できる気がして…」
シルヴィは、顔を真っ赤にしながら言う。
「まぁ、彼女なわけだしいいよ。死体とは寝たこともあったしな。手首だけだけど…。」
「あの…ご主人様、彼女の前で他の女の話するのやめてもらえません?」
殺人鬼よりも人殺しのような目をしたシルヴィがそこにいた。
「あ…ああ、済まない。シルヴィ愛してるよ。」
吉良は小さく頬に口付けをし、ベッドにもぐる。
「シルヴィおいで。抱きしめても文句を言わないなら一緒に寝よう。」
「…私を抱き締めても面白くないと思いますよ?」
冷たい声でいいつつも、嬉しそうな目をして、吉良の布団に入るシルヴィ。
こうしてシルヴィのベットは2度と使われなくなった。
……To be continued(本当に終わり)
余計なことしてすいません。
やりたかったんだよぉ!もうしないと思うけど…。
これにて第1章終了です!
第2章にご期待ください。