吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
遡ること15分前─
シルヴィは家で本を読んでいた。ドロドロのラブストーリーである。簡単な内容としては、二股をかけている男、そんなやつと結婚を約束してしまった女性、だが、呆気なくバレる浮気!女性は男に復讐をする!最低男の人生転落物語!
というよくあるものだが、シルヴィは暇つぶしに読んでいた。丁度読み終えた辺りでシルヴィの電話がなる。これは前に吉良が買い与えた物だ。
「はい、もしもし?ご主人様どうかなさいました?」
『シルヴィ、すまないが帰るのが遅くなりそうだ。昼食は喫茶店に行くから出かける準備をしておいてくれ。』
「ご主人様、わがままを言ってもいいですか?」
『…?珍しいな。まぁ、限度はあるがある程度は大丈夫だと思うが?』
「ご主人様と一緒にお昼を作りたいです。作りたいものも決まっています。…ダメですか?」
『フフッ良く言えたね。偉いぞ。もちろん一緒に作るのは賛成だ。だが、私も作りたいものがあってね。すまないが長ネギと卵を買ってきてくれないか。家には無いだろう?』
「分かりました!長ネギと卵ですね?」
「じゃぁできる限り早く帰るから、買って待っててくれ。愛してるよ。」
「はい♡ご主人様!私も愛してます♡」
電話を切った後、シルヴィは微かに聞こえた女性の声に疑問を持つ。勘違いだとは思うが、若干の不安を持ったシルヴィは、つい先程まで読んでいた本を思い出した。その中に仕事と偽って浮気相手と会っていたというありがちなシーンがあった。
(まさか、ご主人様に限ってそんな訳ない。きっとただすれ違った人だよね。)
しかし、直前に読んでいた本がシルヴィの不安をいたずらに煽る。
(私、魅力ないからなぁ…。)
シルヴィは、買い物袋を手に取り、シアハートアタックと同じ色をした革財布を袋の中に入れる。革財布の中には五千円札が1枚と千円が2枚、そして、小銭が幾らか入っていた。
(少しでも役に立たなきゃ。ご主人様に捨てられないようにしなくちゃ、前みたいな生活は嫌だ!せめて、ご主人様のそばに居たい!)
家の鍵を閉め、何かから逃げるように家を出る。シルヴィの持てる知識をフル活用した拙い基準で最も良いネギと卵を買う。傷がつかないように袋を重ね、クッションを十分にひく。
スーパーを出て、家の方へ向かう。カラオケ店のある方へ…。
(あれはご主人様?と知らない男の人?やっぱり気のせいだったんだ♪よかっ……え?ちょっと待って女の人?3人も?どうして?え?)
そして吉良は、シルヴィと同じぐらいの背丈の少女の頭に手を乗せ撫でる。シルヴィにするように…優しく…。
それを見たシルヴィの心は呆気なく爆破する。
(もう…何も見たくないッ…!)
視点変更<吉良吉影>
焦点の定まらない目で私とめぐみんの間を見る。
めぐみんはシルヴィを見て一瞬驚き憐れむような目をする。そういった視線に敏感なはずのシルヴィは何故か気付かない。
そして今私は二つのことで焦っている。ひとつは勿論浮気まがいの事をしてしまったからだ。
もう1つはシルヴィが私のことを『ご主人様』と呼んでしまう事だ。もしそうなったらほぼ平穏な生活は送れなくなるだろう。
(お願いだシルヴィ。私のことを呼ばないでくれ。頼む。早く帰ろう。)
しかし、呆けた顔をしているシルヴィは全く気づかない。
「えっと…私の彼女のシルヴィだ。色々と訳ありなのでそこは察して欲しい。あっと…その…私はこれで失礼するよ。」
シルヴィの手を取り家に向かう。
「シルヴィ、帰ろうか?」
「…………」
何も言わないシルヴィの顔を覗き込みながら尋ねる。
「シルヴィ?」
ハッとした顔をして明らかに無理をしているであろう笑顔を浮かべ、手を握り返してくる。
「はい!帰りましょう。
名前を呼ばれるという新鮮な感覚を味わいつつ、そこに微かな怒気と不安や失望が含まれていることに、ある種の恐怖を感じ逃げるように家に向かう。
果たして言い訳はさせてもらえるだろうか?
……To be continued
そのうち吉良に嫉妬させてみたいなぁー