吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
僕には出来ません!彼女を幸せにしたい(切実)
結局、シルヴィの昼食は作る作らないで揉めて彼女は菓子パンを食べている。これも《命令》をして無理やり食べさせたものだ。…何となく卑猥な感じが…いや、しないな。
「シルヴィ、おいで。」
私が手招きをすると一瞬だけ本当に一瞬だけ嬉しそうにする。だが、すぐに表情を戻すと、前のような全てを諦めた無感情の顔になる。
「シルヴィ、私は今でもどんな時でも君だけを思っているよ。」
彼女の手を取り手の甲をなぞる。火傷跡が少しざらつき、私の指の腹に少しばかりの抵抗をする。しかし、それすらをも愛してると伝えるようにゆっくりと撫でる。
思わず頬ずりしてしまったが、歪みひねくれた愛の形として理解して欲しい。
しかし、何の効果も得られないようで、むしろ不気味なものを見るような目をされた。ほんの少し、さっきの場所より離れた場所に座るところを見ると、怖がらせてしまったようだ。
シルヴィのそういう態度は今でこそ珍しいが、前はよくあることだったので気にせず、今回は長くなりそうだ。なんて思いながら彼女がまた心を開いてくれることを楽しみに待つ。
私が、書斎で読書をしているとノックが聞こえる。戸を叩く人物など家の中には1人しかいないので、不思議に思いつつも入るように促す。
「ご主人様、お茶が入りました。こちらに置いておきますね。」
淡々と事務的な口調で言っているが、ほんのちょっぴり
お茶を置いた場所は私の手にこそ届くが万が一零しても本は汚れない位置である。更にいえば、読書もキリがよく少し小休憩を挟もうとキッチンに向かう所でお茶がきた。一口口をつけると、飲めないほど熱くもなくそれでいて別段ぬるくもない、程よい温かさであり、蒸し暑い今日には最適な温度であり、味は言うまでもなくうまい。
私はダージリンに砂糖を少しだけ入れるのだが、人にやらせると甘すぎて口に合わない事が多い。それなのにも関わらず、まるで私の全てを知り尽くされているような気分に陥るほど丁寧で程よい甘さであった。
「この紅茶…」
私が呟くと、感情を押し殺したように
「…お口に合いませんでしたか?」
彼女は尋ねる。
しかし、こぼれ落ちた声からは不安が見て取れる事に完全に感情が消えた訳では無い事に(よく考えれば当然なのだが)少しの安堵をする。
「いや、これほど美味しいお茶は飲んだことが無い。私の為にありがとう。」
私はシルヴィを呼ぶと、頬にキスをする。こういったスキンシップが果たして吉と出るか凶と出るか…。
「いえ…、奴隷としての当然の仕事です。」
どうやら失敗のようだ。まぁ、少しづつ慣らせばいいだろう。
読書に戻り、残り数十頁という所で洗濯機を回す音がする。バサリバサリと布をはためかせる音も聞こえることから洗濯を始めたようだ。汗まみれのワイシャツは洗うのに苦労するだろうな、と益体もないことを考えつつ、読んでいる本がお決まりのセリフとともに終わりを告げる。
次巻予告を見ても続きを買おうとは思えず、駄作を買ったことを後悔する。
ふと時計を見れば夜も更けて、乾燥機を回す音が聞こえ始める。ほのかにアイロンくさいことを見ると洗濯も終わったようだ。
夕食のメニューも決まったことだし、時間もいい頃だ。
シルヴィに作らせるとまた私の分だけになると考え、キッチンに向かい手早く調理を始め、皿を二人分を用意する。
冷蔵庫に鶏肉が残っていたのでごまとほうれん草で和える。ごまのいい香りが漂い私の腹が鳴る。じゃがいもとにんじんを切って簡単なスープ(みんな大好き味噌汁だ。)を作り米をとぐ。…明日お米を精米しに行こう。
「シルヴィご飯ができた。残したら罰を与える。が、残さず食べたら何もしない。」
こう言えばシルヴィは嫌でも食べることになる。まぁもちろん抵抗はしているが、少し厳しくすると、私の心なんてお見通しだとでも言わんばかりに愛想笑いを浮かべいただきますと呟く。
「シルヴィ、美味しいか?」
私が何の気なしにに尋ねると、
「はい、美味しいです。こんなに素敵なお食事を頂いてありがとうございます。」
とかしこまって言う。こそばゆいが奴隷の回答としては満点だ。皮肉だが…そう評価せざるを得ない。
風呂も渋るかと思ったが意外とそうでもなく、疑問に思ったが、それもすぐに分かることとなる。
「ご主人様、今日は夜枷を致しますか?」
「そういう事か…。」
私は小さく呟いたあと、こんな状況でするのは不本意だと思い、
「いや、気分じゃないな…。」
と誤魔化し、シルヴィの手を取りつつ彼女の寝室(最近使ってない)へ向かう。
ベットを見るとほのかにカビ臭く、湿気の多いこの2ヶ月ほど完全に忘れていたことを思い出す。流石にここで寝ろとは言えずに、渋々ソファで寝てもらうことにする。(私のベットでと言わないのはシルヴィがかなりの拒絶をしたからだ。)
それなりにカビ臭くない上等な毛布もあるし、夏場なのでお腹でも出さない限り問題は無いだろう。
「おやすみ、シルヴィ。」
額に口付けをするもなんのリアクションもない事に肩を落としつつ自室に戻りストレッチを始める。時刻は10時45分。まぁ、そこまで早くもないし寝てしまおうか。
…と考えていたが、私はベットの中で眠れずにいた。いつもならある不自然な温かさが、人の気配がないからだ。
ふと時計を見れば今日を過ぎ1時を超えている。この吉良吉影前の人生では起きていたこともないような(数える程度にはあったかもしれない)時間だ。
今の人生では行為をした日はこのぐらいの時間に寝ることになるが、次の日は生まれたての赤ん坊のようにストレスのない朝を迎えられるのでよしとしている。が、明日いや、今日の朝はそうはいかないだろうと、予想する。
仕方ない…次に起きた時本当に信頼を失うかもしれないが、それは我慢しよう。
シルヴィの寝るソファに近づき毛布ごと彼女を抱き起こす。お姫様抱っこの状態で私のベットに寝かせると、反対側からベットに潜り込む。彼女を抱きしめながら、頭を撫でる。そう言えば今日(昨日含め)してなかったな。明日からはもっと撫でてやろう。それこそ禿げてしまうぐらいには…。
私は先程までの不眠はどこへ出かけたのか、睡魔に襲われる。シルヴィを運んだことによるほんの少しの疲労は私の眠気をも運んだようだ。瞼がいつぞやの左手より重くなる感触に安心する。どうやら次起きた時にはストレスなんて微塵も残さない気持ちいい朝が迎えられそうだ。
シルヴィの頭を撫でる手も緩やかに止まりつつある。それでも、寝る寸前まで撫でてやる。
おやすみシルヴィ
……To be continued
いじめるなんて出来ない!少しこういう話を書くだけでも心が痛いのに!早くイチャイチャさせたいです。(><)
今回の話のシルヴィ視点を書いたら次は仲直り編。出来れば仲直り編を1話で済ませたい。