吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
猛暑日だか真夏日だかという無駄に暑い日。
ご主人様は夏バテにやられてしまった。決して弱みを見せず、夏バテや風邪にならないよう注意を払うご主人様が、学生にとっては貴重であろう夏休みを半分すぎた頃、油断してしまったのだ。
「あ"ーずまない。シル…ゴホッゴホッゴホッ!ゲフッ!ゴホッゴホッウウッ。シルヴィ、済まないが…ゴホッ!喉にいいものを買ってきて…ゴホッゴホッ!くれないか」
酷い咳をしながら私に言う。前の風邪とは違い、まだ余裕がある。
「一応病院に行ってはどうでしょうか?」
私が言うと、ご主人様は、ベットから体を起こし、頭を撫でてくれる。ご主人様の暖かい手が、私の髪を通り抜けていく。しかし、ご主人様は、大きな咳をし始める。
「あ…ご主人様!ちゃんと寝ててください。ポカ〇とアク〇リどっちがいいですか?」
タンスからお財布を取り出し、買い物に行く準備をする。
あちゃーそんなに入っていなかった。あまり無駄遣いは出来ないな。
「…アクエリ〇スと、ゼリーが食べたい。」
なんと言うか…弱っているご主人様って素直で可愛いな。いつもの余裕そうな薄気味悪い仮面がない。(私の前ではほとんど外れているとはいえ…少し不気味)
メモ帳にア〇エリス、ゼリーと追記しておく。帽子をかぶって外に出ると、蒸し暑い独特の感触が行動を億劫にさせる。いや、ご主人様のために!
商店街を歩いていると異様な歩き方をする女性らしき人物が遠くに見える。あれは…
「おやー?常連さんじゃないですかー?」
やはりネフィーさんだった。
「?いつもの金髪のかっこいい背広を着たお連れさんはどうしましたー?」
果たしてこれは社交辞令なのか、本音なのか…私が判断に困っていると、私の顔を覗き込んでくる。びっくりして、ご主人様が夏バテであることを言ってしまった。ご主人様は怒るかもしれない。
「そうなんですかー?夏バテねぇ…後でお見舞いに行きますねー?」
ネフィーさんはお仕事があるそうなので、どこかへとフラフラと行ってしまった。
またしばらく歩くと、その人の周りだけ暗黒にでもなっているかのような黒いドレスの女性がやってくる。
「あら?お嬢さん?…お1人?」
オーレリアさんだ。
「いつものカッコいい殿方は?」
うーん、正直私はこの人が苦手だ。別に嫌いじゃないし何かがある訳では無いが、なんとなく怖い。
その恐怖に負けて、つい、ご主人様の夏バテを話してしまった。過ちを繰り返すとは…
「あら…なら、後でお見舞いにむかうわね。」
オーレリアさんはお店を占める準備をするそうなので、不気味な笑みを浮かべてどこかへと行ってしまった。
目的の物を買い終え、家に帰ろうとすると、目の腐った人とぶつかってしまった。
「あ…ごめんなさい」
「うお…あ、スマン」
どこかで見たことのある目の腐り方をしたこの人は確か?
「ん?あ!吉良の彼女の…」
「あ、シルヴィです。吉影くんの彼女のシルヴィです。」
私が言うと、目の腐った人は困ったような顔をして、
「えっと苗字とか、家名ってのはないのか?」
さぁ?私が施設にいた時はシルヴィと呼ばれていたし、前のご主人様には、『おい』とか、『奴隷』と呼ばれていたので分からない。強いて言うなら吉良シルヴィだろうか?(ポッ)
「ごめんなさい、訳あって苗字はないんです。」
「…あ、そっか。なんかスマン」
この人はいつになったら名前を教えてくれるのだろう。
そういう視線に気付いたのか、慌てて名前を名乗る。
「ひ、ひゃか…比企谷だ。比企谷八幡」
噛んだのだろうか…?
ダサいが私は何も言えない。まぁ、気にしないでおこう。
「あ!おれ、人待たせてんだ。スマンが、また今度な」
今回はご主人様が、夏バテである事を言わなかった。
家に帰ると、鍵が開いていた。家の中には弱ったご主人様が居るだけなので閉めたはずなのだが、
「ただ今帰りました…?ご主人様?大丈夫ですか?」
「シルヴィ…?あれはどういうことか説明しようか?」
玄関を開けるとご主人様が壁にもたれ掛かりながら、仁王立ちになっていた。
「ご…ごめんなさい。」
私はなんとなく理解し謝罪をする。要は2人が来たのであろう。私のいないタイミングで、来てしまった訳だ。
ご主人様にとっては弱い自分を見せるのは屈辱的だったのだろう。でも、私には見せてくれるですね?
……To be continued?
因みにその夜ご主人様と同じ布団で寝たら、次の日私も夏バテになってしまった。
……To be continued
次の話はそんな話!