吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
case-31[キスして]
どんよりとした雲がかかり、昼間なのにも関わらず薄暗い日のこと、
「雨降ってますねー。出かける予定は無しですね。」
「ああ、そうだね。シルヴィお茶のお代わりは?」
「あ!私入れますよ。」
キッチンに入る彼女を目で追いながらカップに少しだけ残ったアールグレイを飲み干す。
「シルヴィ、そのエプロン似合ってるね…。まるで新妻のようだよ。」
「私が新妻なら、旦那さんはご主人様ですね♡」
エプロンの端をつまみながらシルヴィはクルクルと回る。
「…シルヴィ、可愛いね。」
そう言うとおもむろに彼女を引き寄せキスをする。
しかし、彼女はその様子に驚く。吉良は不安気な顔をしながら、
「嫌だったか?その、すまない」
「す…すみません。少し驚いてしまって、前のご主人様の所では急に殴られたのことがよくあったので、
2人が憂鬱な顔を浮かべると、比例して雨は強くなった。
「シルヴィ、キスしてもいい?」
「…はい!」
それでも、幸せは簡単に訪れる。
case-32[そばにいて]
「シルヴィ、一生私のそばにいてくれるかい?」
プロポーズとも聞こえるセリフを、傍らに座る彼女にかける。
「ええ、勿論です。ご主人様の望むままに、私は生きていますから。」
給料3ヶ月分ではないがそれよりも重い言葉をお互いに掛け合う。
case-33[抱きしめたい]
2人はいつものようにテレビを見ている。内容はただの恋愛ドラマだが、人気の俳優や女優を使っている。
男が女に想いを伝えめでたくハッピーエンドとなった所で吉良は鼻で笑う。
「こんな典型的な恋愛があるのか?それこそドラマだけの話だろう?」
「でも、女性としては憧れるんじゃないですか?カッコイイ男性に抱きしめられたら嬉しいと思いますよ?」
「シルヴィも?」
彼女は少し考えて、
「私はどんなにかっこいい人に抱きしめられても恐怖しか感じないと思います。…でも、ご主人様になら抱きしめられたいです。」
という。その様子は誇らしげで彼女がどれだけ吉良を思っているかがわかる。
「シルヴィ抱きしめていい?」
「ええ、むしろずっと抱きしめてください」
case-34[撫でさせて]
とある日、シルヴィは買い出しということで家に居ない。いつもなら吉良もついて行くのだが、テスト前という事で、出掛けるのが禁止になっている。
何の気なしにテレビをつけると、ちょうど昼の娯楽番組がやっている。
「女性から見て、彼氏、旦那にされたくない事か…。まぁ、見てもいいだろう。」
性根が小心者の彼は不安気に見る。
『3位!恩着せがましい奢り!』
(まぁ、そうだろうな。だが、私の場合シルヴィが働いている訳でもないのでしょうがないだろう。恩着せがましくもないはずだ。)
『2位!店員に横柄な態度をとる!』
(これは常識の問題だろう。私はそんなことないはずだよな…。うん…大丈夫。だと思う。)
『1位!不躾に体を触る。または過剰なスキンシップ!』
アナウンサーの言葉に吉良の体に電流が走ったような感触を覚える。
(もしかして、頭撫でるの嫌だったりする?内心気持ち悪がられてる?たしかに最初からしてたし馴れ馴れしかった?)
「帰りましたー。今日はお野菜が安かったので野菜炒めですよ?」
「あ、ああ。野菜炒めか、うん、美味しいよな。」
吉良はあまりのショックに口調がおかしくなりつつ、冷や汗を垂らしながらわかりやすく動揺する。
その様子を見て心配そうにするシルヴィを愛おしく思い手を伸ばす。シルヴィも、吉良のすることに察しがつき、頭を出す。が、すんでのところでやめてしまう。ますます不審な顔をしつつシルヴィは問う。
「どうかなさいました?」
「いや、頭撫でてもいいか?」
「ええ、いつでもどうぞ?」
暫く撫でていると、
「ところで、どうして撫でていいか聞いたんですか?」
シルヴィに聞かれ、さっきあったことを答える。
「ふふふっ、そんなわけないじゃないですか。私はこうして頭を撫でられていると幸せなんです!」
case-35[シルヴィ]
「シルヴィ」
「はい?どうかしました?」
「いや、愛してるよ」
一人の少女の笑い声が響く。どうか2人が幸せでありますように
……To be continued