吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
「あなたみたいに…真摯に接してくれる人は初めてよ。」
おもえば、幼少期からだった。
自分で言うのもなんだが、いわゆる可愛い方だった。幼稚園の頃から男女問わず人気だったし小学校でもスカートめくりの対象になるぐらいはもてていた。
中学校で体が発達すると共に、同性からは妬まれ、異性からの下衆な視線を受けることになった。さらには親でさえ、平気で私の体に触れるようになり、それを拒否すれば怒鳴られる。いつからか私は、人と目を合わせることを怖がり、そういうふうに振る舞えば、私の周りには人がいなくなると知った。
もちろん、くだらない下品な目的で近づく奴らや、意味のわからない言いがかりやいちゃもんを付けられる事もあったが、それらを受ける度に私の視線は鋭く冷たく射すくめるような目になった。その事がさらに人を遠ざける要因になり、今に至る。
服屋をやっているのは、ただ単に服を着ることや見ることが好きだったからだ。
服は誰が着ていたとしても、服であることには変わりないし、そのことは絶対だ。だから服が好きなんだし服屋になろうと思った。
しかし、服屋になっても、好きな服を着るようになっても、私を見る目は変わらなかった。いつも同じような奴らが同じような目で私を見る。そこには
それでも、彼は…彼だけは違う。こんなふうに思わず特別扱いしてしまうくらいには彼は
いつも真っ直ぐに、私の全てを見てくれる。
だから、この言葉が素直に出てきたのだろう。
「オーレリアさん、今日が何の日か分かりますか?」
突然、彼が要領を得ない質問をする。必死に思い出しても全く分からない。
「今日は自分がオーレリアさんに初めて会った日なんです。あの日のオーレリアさんは、真っ黒いドレスでしたよね。ミステリアスで、少し不気味で、黒々としたドレスを着て俺のことを鍔の大きな帽子から覗き込むように、少し怯えた感じだったのは今も印象に残ってます。」
そう言うと、彼はどこかのブランドものであることが伺える服を取り出す。
「服屋に服を送るなんて失礼だし馬鹿にしてるように思うかもしれないですけど、どうしてもこれを着てほしいんです。」
そう言って彼が渡してきた紙袋の中には真っ白で鍔の広い綺麗な帽子と真っ黒で外の景色よりも黒いゆったりとしたドレスが入っていた。
「その黒いドレスは俺がオーレリアさんと初めて会ったに着ていた色です。もちろんドレスまでもが同じなわけないですけど…。帽子は最近のオーレリアさんがつけてたものです。オーレリアさんが最近付けてるのは鍔も小さいですけど、俺は鍔が大きくて、顔を覗きにくいあの帽子が好きだったんです。」
私が彼からの贈り物を見ていると、説明をしてくる。
「これ、ぜひ着させてもらうわ。よければ私の家に来ない?着たものを披露したいわ。」
支払いを済ませ店を出る。彼の車だという見慣れたトラックに乗り込み、私の家に向かう。
ダイニングで彼にお茶を振舞っておき、私は部屋で着替える。サイズは測ったかのようにピッタリで、着るのは簡単だった。
「えっと、着たわよ…?」
私の全身をくまなく舐めまわすように見ると、彼は一言
「綺麗です。」
とだけ言う。そこから先は覚えていない。
「大人の関係だなんて、溺れるつもりは無いです。最初から責任はとるつもりでこうしてますから。」
私に跨りながら彼は言う。
彼の言う責任とは何なのかをよく見せてもらってから、答えを出そう。今はこの快楽に身を任せてしまえばいい。
「俺、あの服を渡そうかどうか迷ってたんですよ。だって、俺なんか到底不釣り合いな美人のオーレリアさんですから。でも、オーレリアさんが真摯にって言ったから、じゃあ、このまま真摯にしておけば、俺でもって思ったんですよ」
なるほどあの日のあの一言があるから、私は今ここでウエディングドレスを着ているのか…。
「オーレリアさん、俺と一緒に幸せになってください。」
そんな、ロマンチックともありふれたとも言えるプロポーズを受けないという選択肢は無いに等しい。
不気味で結構、世界で一番大切な人が私を愛してくれるなら、私はそれでいい。だから…もっと
……To be continued
オーレリアさんはこれで終わりです。(続編は特にない予定)