吉良とシルヴィの奇妙な生活ティーチングフィーリング 作:吉良吉影に憧れる者
「店長、明日暇っすか?」
彼が働き始めてから2ヶ月が経とうとした頃、冬の寒さも厳しく明日からお湯で皿洗いをしようかと考えていると、突然彼が話しかけてくる。
「明日ですかー?一応喫茶店の定休日なので暇ではありますよー?」
私は後ろに結んだ髪をフラフラと揺らしながら答える。
「じゃあ、デート行きませんか?」
相変わらずのからかいだったらしい。たまにはこっちがからかってやろうという気になり、口元を歪めて
「デートですかー?いいですよ〜。楽しみにしてますねー?」
と言ってみる。彼は一瞬驚くと、すぐに笑顔になる。
「ありがとうございます!じゃ、朝の10時ぐらいに○○駅前で、映画見に行きましょう!」
ちょっとした冗談だったのだが、あれよあれよという間に、話が進んでおり、いつの間にか決まってしまっていた。
その日の仕事が手につかなかったのは言うまでもない。
次の日─
無駄に早起きして、なんだかよく分からないおしゃれをしてしまい、待ち合わせ場所に30分ほど前にはついてしまう。しかし、それでも彼はそこに佇んでおり、小さなあくびをしていた。
「おはようございます店長!早いですね…?」
「それはこっちのセリフですよー?それに今日は店長じゃないです〜。」
「ええっとじゃあ、ネフィーさん?」
急に名前で呼ばれて戸惑ってしまう。その様子が可笑しいのか彼はケラケラと笑っていた。怒りを露わにしてもよかったのだが、今日は楽しいデートのため、怒る気にもなれず、一緒に笑ってしまった。
「いやー、映画面白かったですね」
彼が見たいと言い出したのはバリバリのラブストーリーで、これでもかと言うほどベタでありがちな展開だった。壁ドンはともかく床ドンは流行らないだろ…。
「店長…じゃない、ネフィーさん、あそこに服屋ありますよ?見てきません?」
彼からの思わぬ誘いについ了承してしまうが、カップルで服選びなんて、それこそ
「いらっしゃいませ」
胸元の大きく空いた真っ赤なドレスに小さめの白い帽子をかぶった不気味な店員が私たちを出迎える。
一通り見たあと、2着ほどの服を買う。薄暗い店内からさっさと出て、街をプラプラする。いや、ほんとに、あの凍てつくような刺さるほどの視線には耐えられない。
さすがの彼も、おっぱいがどうとかは言わないらしい。
「今日最後に行くのはレストランです。別に嫌がらせとかじゃなくて…その…ほかの店の味も学んでおきたいんです。」
明らかに嘘くさいが、悪意があるわけでもなさそうなので、特に気にしない。
適当に食事を楽しんでると、彼が急に深刻そうな表情になる。
「えっと…どうかしたんですかー?」
私が聞くと、何やら覚悟めいたものを感じさせながら
「ネフィーさん、好きです。俺と付き合ってください」
昼間観た映画の通りのストレートな告白に、かなり驚きつつも、いつものからかいかと思いおちゃらけた返事をする。
「はい?私を口説くなんてあなたなかなか変わった趣味してますね〜?」
しかし、彼は本気のようで、短く好きですと言ってくる。
彼と結婚してからもう4年がたつ。そろそろ子供も欲しい頃だが、彼はまだ知らない。私のお腹にある新しい生命の事を、知らない。
「いつも…振り回されてくれてありがとうございますね…?」
結婚してからは私がからかう側になった。それでも時たま反撃されるしその反撃がかなり痛いが…。
まぁ、幸せなのは間違いない。
いつもいつまでも彼と幸せの中揺れていたい。
……To be continued