若くして結婚してから、9年。
子供が小学校に行き、夫は出張気味で家を留守にすることが多くなり
日中、暇な時間を持て余すようになってきた。
スマートフォンを手にとり、ふぅとため息をつく。
今日もひとりの食事になる。いつものことだが心が沈む。
夫と肌を合わせなくなって2年ほど経っている。
子供が寝たあと、ひとり、リビングで晩酌をして寂しさを紛らわせながら、
ママ友から教えてもらった出会い系アプリを立ち上げてメッセージのやりとりをして楽しんでいた。
ママ友の洋子は、若いセフレが出来たとこの前、自慢げに話していた。
景子も何人か会ったことがあるという。。
真面目な真以子にとってそんな赤裸々な話を聞くたびに、その奔放さが信じられなかった。
内心興味が惹かれることもあったが、不貞を働きたいと思ったことはなかった。
メッセージをやりとりするだけで、十分楽しかった。
家族がいる中、他人と会うなんてことは非現実的なことだと考えていた。
そんな中、気になる男性がいた。
他の男は、すぐに会いたいという話をしてくるが、その男性は真以子の日々の飽きることなく、愚痴を聞いてくれた。
その男性とは、2か月ほどメッセージのやりとりは続いていた。
いつしか興味が湧いてきて、
(どんな男性なのかしら、落ち着いているから既婚者かな)
男性を妄想すると、気持ちがワクワクし、
男性とのやりとりは、平凡な毎日に刺激を与えてくれ
真以子の心の隙間を埋めてくれていた。
ひょんなことから、男性がSであることを知り、
つい、真以子は自分がMッ気があること告白する。
そこから、お互いのプライベート、恋愛感、SEX感の話などざっくばらんに話せるようになっていた。
【一度、会ってみませんか】
ある日、男性が送ってきたそのメッセージに真以子はドキドキして身体が熱くなった。
胸の鼓動が次第に高まって、股間がキュンとなり、思わず、内腿をすり合わせる。
(どうしよう。。。)
リビングで独り真以子は身体が固まり、すぐに返事することができなかった。
【無理は言いませんよ。奥さん次第です。】
そして、何度か逡巡して真以子は男性と会うことを決意した。
ちょうど夫が出張で、子供が塾の夏季講習で遅くなる来週に会う約束をする。
その日が来るまで、好奇心と罪悪感が交互に押し寄せる日々を過ごしてきた。
家族の姿が脳裏をよぎり、何度も、後悔したが、一度、会ってみたいという好奇心に勝てなかった。
(一度、会うだけだから・・大丈夫・・・優しそうな人だから・・)
「いってらっしゃい!」
約束の日、いつものように、夫と子供を送り出す。
今日は、子供が帰ってくる20時過ぎまでは、真以子の時間。。
リビングに残された朝食の後片付けを終えると、
2階にあがり、出掛ける準備をする。
服を脱いでクローゼットの鏡に映る地味な下着姿を自分を見て、お気に入りのピンクのレースの下着に履き替えた。
(いや。。何にしてるんだろ。ただ会うだけなのに。)
鏡の前で独りで顔を赤らめる。
急いで、服を着ると、付き合っていたころを思いだすように、ドキドキする気持ちで化粧を済ませ、家を後にする。
家から約1時間ほどの駅だった。
駅で知り合いに見つからないかドキドキしたが、誰とも会わなかった。
指定されたのは駅のロータリー。黒いワンボックスで待っているという話だった。
(会った・・。あれだ)
駅を降りたら、ロータリーの端のほうに1台ぽつんと黒い車が停まっていた。
真以子はゆっくり歩いて近づいていく途中、心臓がドキドキして破裂しそうだった。
黒いワンボックスのドアの前まで来た。
助手席の窓は黒く、中がはっきり見えなかったが、男性らしき影が映っていた。
ドアに手をかけるかどうしようか迷って立ち尽くしていた。
その時、窓がすっと下がった。
中が見え、運転席の男が見えた。
「早く乗りなさい」
男が静かだが有無を言わさない強い目で真以子に声をかけた。
「は・・はい」
真以子はその声に素直に従い、はじかれるようにドアに手をかけ助手席に座り込む。
そして、車がグイっと走り出し、シートに身体が押し付けられる。
真以子は、まだ黙って運転している男を見てみた。
年齢は真以子より、50歳ぐらいだろうか。
紳士風ではあったが、想像していた男とは違ったことに、少なからずショックを受けていた。
「奥さん 濡らしてるでしょ?」
数分走って信号待ちをしているとき、
男が突然、話だす。
「?! 」
真以子はいきなり、男が何を言っているかわからなかった
男は前を向いて運転していた。
「今日、旦那以外の男と会うことで、想像し、身体が熱くさせてきたでしょう?」
「ぬ・・濡れてなんかいません。そんな女じゃありません」
真以子は男の失礼な言い方に腹がたった。
「じゃあ。奥さんがもし濡れてなかったら、このまま駅に戻ってあげますよ」
「そ・そんな・・」