ふと思った。暇な時、俺はどうすればいいかと。
そろそろバレンタインデーである。例によって、バレンタインデー前日は酷く暇だ。どこもかしこも俺を立ち入り禁止にするからである。
モテるのは嬉しい。とても有り難い。だが1日が丸々暇になるのはとてもキツイ。分身野郎なんかと丸1日特訓する気にもなれない。
そこで俺は考えた。特訓よりオナニーだ!!と。
ぶっちゃけると、暇を潰す手段は幾らでもある。その辺の妖精を襲えばいいし、山に討ち入りしたり天魔に相手してもらう手もある。
だがそんなのはもう何度もやった。今更なのだ。幻想郷に来て、既に20年以上も経っている。そんな暇潰し、とっくに試しているのだ。
そこで、俺は考えた。久しぶりにオナニー三昧の日を作ったっていいんじゃないか、と。
それならまず最初にオカズ集めをするしかない。エロ本?そんなモンは飽きた。人間の頃からエロ本ばかり読んできた俺だ、飽きない方がおかしい。
AV?自分以外の男のセックスを見てどうやって興奮するというのか。独占欲が成熟した今の俺は、自分以外の男のセックスを見ていてもイマイチ心のちんこが勃たない。
「────ッ!待てよ、俺、天才か?」
この考えに至った瞬間、思わず手を打った。
これこそが最高のオカズだ。自分のセックスや、その妄想でしか興奮しないなら、それをするだけ。自分でそんな理想のAVを製作すればいいのだ。
「となればまずは……機材だな」
セックスしながら録画なんて事はできない。定点カメラでも良いがどうせなら主観がいい。そして、それがNGだった場合やバリエーションの為にも、第三者目線でも録画しておきたい。
◆
ある程度の計画を練ったあと、俺は玄武の沢にてにとりと交渉している。しかし交渉の状況はあまり芳しくない。
「確かに、はたてや文のカメラは私らが作ったし、防水機能も完備だけど……長時間の録画用には出来てないし、その機能も搭載するんなら、開発はかなり大変だなー……」
「でもラジオ放送は録画してあるんだろ?」
「時間短いもん。ほんの少し……数秒の合間を使ってメモリー入れ替えたりしてるんだよ」
「マジか」
「記憶容量の拡張が今の課題なんだ。そんなとこにそんな依頼だからね……正直キッツイなぁ……。ね、何時間分くらいの容量が欲しいの?」
「3日に1回くらいの確率で夜通しだからなー……。えっとー、夜通しだと何時間だろ?10時に始めて、5時に終わるとしたら7時間……か?」
「長いなぁ〜……しかもそれを何人分さ?」
「……80人はゆうに超えるかな。あっ、でも、大抵は1〜3時間だしさ?」
「うーん……読みが甘いなぁ。エスカルゴ、ちょっとこれを見てよ。河童達が外で入手してきた、とあるスマホの資料なんだけどさ」
「ほうほう」
そういえば旧型のスマホも幻想入りしてるのか。それならにとり達は「スマホ」「スマートフォン」なんかの言葉が通じるのか。
スマホはまだ現役なのに、旧型だからと幻想入りするなんて、外の人間の飽きっぽさがよく分かる。
「フルHD動画の64GBだと、約17時間。512GBで、約142時間。超高画質の4K動画ってのなら64GBで約3時間、512GBで、約21時間」
「ふむ。つまり?」
「だぁかぁらぁっ!!80人分だとして、1人につき3時間だとすると、240時間分になる!単純計算で10240GBだ!実際はこんな計算通りにいかないから11000GB、大体10TBは必要なのっ!ましてやお嫁は長引くんだから、そこから更に追加すると、11TB、いいや15TBくらいになるのかもしれない!」
「思ったよりエグい……」
「何人かを外の世界に行かせてるから、外の技術は逐一盗んできてるけど、だとしても、今の技術ではビデオカメラのサイズにそんな容量を埋め込むのは無茶だ。時間もそれなりにかかる。こればっかりはお金を積まれてどうにかなる事じゃない。私なら、たとえ1億円渡されても引き受けないね」
「うーん……」
「大きめの容量のメモリーを逐一入れ替えるやり方だったら用意できることはできなくもないけどさ」
「マジか」
「しかも1つで6、いや5時間ね。容量の拡張には私達も手こずってるんだよ。でも、そのメモリーが人数分近くでしょ?」
「5時間だ」
「んぇ?」
「5時間分のメモリーを100個」
「100ゥ!?在庫、30個も無いよ!?」
「納期は設けない。お金は言い値で。どう?」
「納期無し……ッ!?嬉しいけどそれはダメだよっ!河童の性質的に、長期間だと何もしない日ができるくらいダラケちゃうからっ!」
「それなら、2週間だ。河童の技術力ならイケると信じてる。どうかな?」
「……言い値で払ってもらいますよ〜、旦那ァ♪」
「契約成立だな」
メモリーについてどうにか契約を果たした俺は、次はそのメモリーも使える超小型カメラを、と依頼しようとしたが、超小型カメラについては、絶対に無理だと言われてしまった。なので、主観は諦めてカメラマンによる第三者目線によるAVを製作する事に決めた。なのでカメラマンを探す事にした。
手ブレの補正、ノイズキャンセラー、完全防水のビデオカメラや、ある限りの在庫は入手した。後は残りのメモリーの完成を待つだけである。
そしてカメラマンには心当たりがある。
「あ〜ややっ!入るよー」
「どうしたんです、こんな昼間に。昼間にあなたとお会いすると、少しだけ嫌な予感がしますねぇ」
「何か酷い!」
「事実です。だって何か企んでいるのでしょう?」
「あうぅ……ダメ、かな……?」
「聞きましょう。旦那様のお願いですからね」
「よかったぁ!実はさ……」
ここで嘘をついても仕方ないので正直に話した。それはもうバカ正直に。普通に考えれば、到底反対されるであろう俺の本当の想いも全て。
「成程〜、エッチなビデオのカメラマンを……。前に夢子さんとの情事を録画したから私に任せたい、と思った、という事ですね?」
「そうなんだよ。あの時の録画は本当に凄かった。アングルもウザイくらい変わるワケじゃないのに、体位に合わせて適切な角度で録画してさ。まるで、過去にセックス録画した事があるんじゃあないかと疑いたくなるくらいだった」
「!」
「え。……まさか…………ある、の?」
「……まぁ……何度かはあります。……ああっ、勘違いしないでくださいね!あの、エスカルゴさん以外の殿方の情事を録画したんじゃないんですよっ!?」
「じゃあいつ、誰との?」
「……あなたに犯される私を……っ///」
「!!」
「あなたが腰を振るのに必死になってた時、足元で私はビデオを回してたんです。セックス中は、足を使うようなプレイでもなければ足の方なんて見ないじゃないですか。なのでそれを利用して、足で操作しながら……///」
「よく足にまで気が回るな……」
「エッチにハマってた時期あったじゃないですか。ですがハーレム主のあなたに毎日お願いする訳にもいかなかったので、なら自分でオカズを用意しようじゃないかと……」
「……考える事は同じかぁ」
「……そう、みたいですね……」
「まさか……そうか、成程……。それで、どうかな……カメラマン、引き受けてくれる?」
「それ自体は構いませんが……姿を見られたら絶対に行為を拒否する子が出てきますよ?霊夢さんなんかまさにそのタイプじゃないですか」
確かにそうだ。透明化の魔法など、俺の魔力量のせいで長持ちはしないし、かといって遠くからだと音が拾えない可能性が高い。そして、少しのブレが大きなズレになってしまう。
となると、それに対する対策はひとつだけ。
「俺の光学迷彩スーツを貸すよ。気配もある程度は抑えてくれるはずだし。そうすれば無事AVも録画できる……はずだ」
「ム。成程、提案するだけあってそれらは考慮済みですか。……分かりましたっ!この射命丸文、旦那が男優を務めるAVの製作に協力致しましょう!!」
「よっし!」
「それはいいんですが、その間のネタはあなたから提供してもらう事にしますが構いませんね?新聞のネタのストックにも、限りはありますので」
「あ。それもそうだよな。了解した」
「それなら良かったです。ところで、誰から撮るのですか?」
「まずは霊夢。次は魔理沙。その次はルーミアだ。次にチルノ。ある程度の順番は決めてあるよ」
「ほうほう、因みにその順番に意味は?」
「……何となくぅ」
「目が泳いでますが、まぁいいでしょう。因みに、私の時は誰が撮影するんです?はたて呼びますか?私は構いませんが」
「あ、その時は定点カメラかなぁって思ってるよ。たまにはいつもと違うモノを入れたいし丁度いい」
「成程、分かりました!……というか、やはり私のも撮影するのは既定路線なんですねぇ」
「嫌ならしないけど……どうする?」
「いえいえ!是非よろしくお願いします!」
「よっしゃ!」
その後、企画系さながらの作戦を練った俺達は、遂にAV製作に乗り出した。
しかし、そんな折に舞い込んだ極彩組襲来の件。俺は魔法の特訓を余儀なくされ、AV計画は凍結。数日後に解決自体はしたが次は文のネタ集めの補助なんかをしていて、あっという間に半年が過ぎた。そしてそんなドタバタの中であっという間に、予定していた撮影日やバレンタインデーは過ぎ、極彩組殲滅後に孕ませた霊夢は、今となっては妊娠半年の妊婦であり、ある程度はボテ腹になっている。
俺はそんな嫁の腹を見て、凍結させたAV計画を再始動させようと決めた。そして計画を少し変更し様々なジャンルで撮影しようと文と結論を出した。
今回の「AV撮影編」ですが、頻度が高い子は除外します。問題は秋姉妹、リリー、レティのような、各季節を象徴するようなキャラです。