「やっぱ寝てやがる…」
門前に降り立つと、グースカと眠りこけている美鈴が居た。
「やれやれ、起こしてあげますかね」
…優しく起こすってどーやんだ?
「うーん…」
ほんの5秒ほど思案する。
「ま、いっか」
1本のナイフを作成、それを腹部目掛けて投げる。
サクッ
「うわぁぁっ!」
「あ、起きた」
「エスカルゴさん!?優しく起こしてくれるって言ったじゃないですかぁ!!」
「優しく起こしましたよ?
「そうですけど〜…」
「怪我はしてないはずですが?」
「それもそうですけど…もっと何かあるじゃないですか〜…」
「…例えば?」
「トントンって肩叩くとか、耳元で囁くとか…」
美鈴の中の“優しく起こす”イメージはそんな感じなのか。すげー人間的だね。特に2つ目。
「じゃあ今度は肩叩きますかね。2つ目は論外ですがね」
「えー?ブーブー」
露骨にブーイングを飛ばす美鈴。
「そんな事言うなら、手で叩くんじゃなくて武器で叩きますよ?斧とか」
あぁ、ムチも良いかもね。
「咲夜さんより怖いですよエスカルゴさん…」
「えっ…それは心外です」
「本物の鬼に見えてきました…」
「そりゃ、吸血
「おっ、上手いこと言いますねぇ!」
「前にパチュリー様が言ってたのを真似しただけですよ。へへっ」
「そうなんですか!流石パチュリー様!」
「そうですね。…じゃ、そろそろ中入ります」
「はい!あ、お客様がいらしてますよ!2人!」
「えっ?わ、わかりました!」
そういう大事な事を今頃…!
バァン!
「ただいまー!」
玄関開けて飛び込む。
「おかえりなさいませ。丁度お夕飯の準備が整いましたよ」
あ、咲夜さん!
「ありがとうございます!でもあの、お客さんが…」
「ええ。お客様と3人でお食事なさって下さいね」
「え…フランやレミリアは?」
「遊び疲れたらしく、既に眠ってしまわれました」
「あらま…」
ちぇっ…ま、仕方ないか。
俺が遅くなったってのも…鈴仙とセ○○○した上、てゐに色々やったからな。
「さぁ、行きましょう」
「はい」
咲夜さんの案内で食堂に通される。
ガチャッ…ギィィィ…
相変わらずの音だな。立て付けが悪いのかな?
「よっ、兄貴」
右手を挙げる白狼天狗。
「…ヒビキか」
「ご無沙汰してます」ペコッ
「いらっしゃい」
お客さん2人ってのはヒビキと椛のことか。
こんな夜に何の用だ?
料理は既に並んでいるので、空いてる席に座る。
カルゴ「とりあえず食べるか?」
ヒビキ「そうだな、腹減った」
椛「ちょっ、ヒビキ…」
カルゴ「良いぜ2人共。今は俺らだけなんだ、楽にしなよ」
ヒビキ「さっすが兄貴、わかってるぅ〜」
大袈裟に手を叩くヒビキ。
こーゆー少しウザイとこは変わってねーな。
椛「ヒビキってば…!」><
3人『いただきます』
ヒビキ「え、ここの料理スゲーうめぇ」
カルゴ「当たり前だ。咲夜さんは幻想郷1料理が上手いんだぞ」
咲夜「そんなこと…無いですよ…/////」
ヒビキ「そのメイドさんも兄貴の彼女か?」
咲夜さんをチラ見しながら言う。
咲夜「えっ!? ちっ、違いますからね!? 私がエスカルゴさんの彼女だなんてそんな! それに…エスカルゴさんが彼氏なんて…その…わ、私には勿体…無いです…よ…/////」
早口でまくしたてるが、次第に声が小さくなっていく咲夜さん。
カルゴ「いや、俺そんな凄い人間…吸血鬼じゃないんですけど…。咲夜さんは彼女じゃないぞ」
ヒビキ「……へー。……バカ兄貴」ボソッ
カルゴ「あ゙?テメェ今何つった?」
手を止めて弟を睨む。
ヒビキ「冗談」
椛「ヒビキ、やめてってば…!」
ヒビキの袖をグイッと引っ張る椛。
ヒビキ「ちっ…わかったよ」
カルゴ「ったく…変わってねぇなぁ」
ヒビキ「兄貴もな」
カルゴ「そうか?」
ヒビキ「ああ」
しばらく無言になる。
カルゴ「…どうだ、幻想郷での生活には慣れたか?あとその体にも」
ヒビキ「ああ、椛のおかげでな」
椛「えへへ…/////」
カルゴ「そうか。なら良い」
そーいや、何しに来たんだ?
カルゴ「そう言えばお前ら、何しに来たんだ?こんな夜によ」
ヒビキ「やべ、任務のことスッカリ忘れてた」
椛「あ、私も…」
ヒビキなら兎も角、椛まで忘れてたとは。
それより……
カルゴ「任務って?」
ヒビキ「…兄貴よぉ、妖怪の山で度々暴れてるよな?」
カルゴ「攻撃されたから反撃したまで」
ヒビキ「侵入された上に好き勝手されたらよ、俺ら山に住む者の立場がねぇんだよ」
カルゴ「…で?」
ヒビキ「兄貴を潰す」
カルゴ((´^ω^`)ブッフォォォォォォォォォォwwwwww)
紅茶を吹きそうになってしまった。
カルゴ「倒す?お前がか?」
ヒビキ「俺…と、椛で、だ」
椛「………」コクコク
カルゴ「ほう…。で、なんで俺と戦うのが任務なんだ?」
ヒビキ「八雲 紫って奴と知り合いだからって、今は入るのが楽なんだろうが…。…妖怪の山は富士山じゃねぇんだ、そう簡単に来ていい場所じゃねぇ」
咲夜&椛(ふじさん…?)
カルゴ「…文さんに用がある、にとりに用がある…だからわざわざ山へ行くんだが?」
ヒビキ「…それはそうなんだろうが…。ゴホン、つまりだな…兄貴は来すぎなんだよ」
カルゴ「…了解した。で、俺を潰してどうする?何がある?」
ヒビキ「俺らに負けたら兄貴出禁な」
カルゴ「それは困る」
ヒビキ「言っとくが、今の俺は強えぞ」
カルゴ「ふん…お前の強さなんてたかが知れてる」
俺がここまでズバズバ言えるのは兄弟だからである。
ヒビキ「俺、白狼天狗の中ではトップの実力だかんな?」
カルゴ「ふーん。…え?白狼天狗って椛とお前だけじゃねぇの?」
ヒビキ「もっと大勢居るぜ。知らなかったのか?」
カルゴ「ああ、それは知らなかった。いつも俺の相手するのは下っ端ばっかだからな。白狼天狗にも鴉天狗にも会わないし」
ヒビキ「哨戒天狗か」
カルゴ「多分それ」
ズズッと紅茶を啜る。
それって役職名?種族名…では無いよな?
ヒビキ「ちっ、あいつら…」
宙を睨むヒビキ。
カルゴ「あいつら全く手応え無いぞ」
ヒビキ「雑魚だから仕方ない」
椛「そんな言い方しないの!」
ヒビキ「だってそうだろ?俺が素手、アイツらが武器と防具ありで対決しても全く歯が立たねぇんだから」
椛「…そうね」
カルゴ「そーなのかー。ならスペル使うまでも無かったな」
ヒビキ「兄貴なら素手でいけんだろ。俺でも素手でいけるしな」
カルゴ「スペルで一掃した方が楽なんだよ」
ヒビキ「なるほどな。納得したぜ」
カルゴ「お前らはどこで寝泊まりしてんだ?」
ヒビキ「山の裏側の方にさ、宿舎があるんだ。椛ほどの実力者なら、ログハウス程度の家が与えられる事もある」
カルゴ「ほう、そりゃ凄い」
へー、知らなかったな。
椛「ねぇヒビキ、そろそろ…」
ヒビキ「おう。…兄貴、勝負だ」
カルゴ「わかった。…ごちそうさまでした」
ヒビキ&椛「ご、ごちそうさまでした」
うん、お腹一杯。腹ごなしに勝負…って、霊夢も前にそんなこと言ってたな。
連れ立って外に出る3人。
ヒビキ…と椛くらい、素手で事足りるだろ。
種族は違えど弟なんだ、手加減はしてやるよ。