※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

1041 / 1140
サイキョウヒロイン達の女子会①

「……あっ!来た来た、おっそいわよ霊夢〜」

 

「遅れてないでしょ。予定より30分は早いわ」

 

「あーあー、これだから非時間能力者は。約束なら1時間前行動は当たり前よ〜?」

 

「はいはい」

 

 今日、博麗の巫女こと霊夢は、不定期に行われる女子会に参加するべく、紅魔館にやってきていた。開催場所は殆どが紅魔館、ほんのたまに永遠亭だ。

 そしてその参加者はたったの4人。霊夢、鈴仙、フラン、モルモーの4人だけである。

 格付けチェックにて鎬を削ったこの4人はどこか気が合うものがあったらしく、あのイベント以降はこうしてたまに女子会を開いているのである。

 今回は紅魔館のテラスだが、霊夢が来た時には、モルモーしかその場に居なかった。鈴仙もフランも来ていない。いつもなら30分前には居るのにな、と霊夢は首を傾げる。

 

「……鈴仙は?まだなの?」

 

「遅れるって連絡来たわよ。行商で忙しいってサ。霊夢と比べて忙しくしてるものね〜」

 

「私だって家事に育児に奔走してますけど」

 

「あはっ、うっそ〜!?霊愛ちゃんに任せてるってエスカルゴくんから聞いてるわよぉ?」

 

「ちっ、あのバカ……。フランは……いつも通りね」

 

「そーね」

 

 フランはいつも時間ぴったりに来る。モルモーも霊夢もそれが分かっているので、フランが今ここに居ないことについては、特に問題視も疑問視もしていない。

 

「ね〜ぇ、霊夢ぅ?その子、4人目ってマジィ?」

 

「ええ」

 

「やーん、ホントにお盛んね〜♡」

 

「あんたは?作らないの?」

 

「作んないわよー、私はヤる(・・)のが目的だもの♡」

 

 右手でOKマーク、左手で人差し指を右手の丸に通し、ピストンして見せるモルモー。そんな彼女の手の動きを見て、霊夢はじっとりと眉を顰(ひそ)める。

 

「下品ね」

 

「言い方が違うだけで霊夢もそうなんじゃないの?違う?」

 

「私は……まぁそれも嫌いじゃないけど……その先(・・・)を望んでるから」

 

「その結果がそのお腹でしょ?どーすんのよ、もし異変?だっけ?それとか起きたらさー」

 

「娘に行かせるわよ、私の道具も受け継いだしね、いよいよ本格的に娘に継がせる準備をしなくちゃ。試験は暫定的とはいえ合格ラインだしね」

 

「ふぅん、あの子がねぇ……ふぅん……」

 

 モルモーもこれまでに何度も霊愛などの子供達を見てきている。だから、特段会話に困るなどという事にはならない。寧ろ、分かっているからこそ首を傾げたくなるとも言えるのだが。

 

「何か文句でもある?」

 

「んーん、特に。でも何だっけ。あの子……霊魔くんだっけ?あの子、それなりに見所はあるわよねー。戦闘に関してだけ言えば、エスカルゴくんと同等かそれに近いくらいのレベルはあるんじゃない?」

 

「そう……かしら?霊愛の方が強いけれど……」

 

「そりゃ、生まれた頃から一緒に居るんだし互いの手の内は知ってるでしょ。そんなの大した参考にはならないわよ。……私の眷属ぅ、倒したでしょうよ、霊夢の子供達。一番キル数が多いの、霊魔くんよ」

 

「嘘でしょ?あんたの侵入が霊魔にとって初めての実戦なのよ?しかも、屋内からの遠隔よ?指チュパしながら適当に戦ってただけなのよ?」

 

「結構なことじゃない。見なくても敵を屠れるって中々高等なテクよ?」

 

「数打ちゃ当たる戦法でしょ、凄くもないわよ」

 

「分かってないわねー。日が浅いとはいえ、相手は吸血鬼よ?しかも、現存する吸血鬼の始祖である、このモルモーちゃんの眷属。並の吸血鬼よりずっと強いはずなのよ。確かに質より量を優先したけど、それでも並より強い。始祖である私が保証するわ」

 

「……」

 

 その割にはレミリア、フランドールと比べかなり弱かったはずだが、と考え込んだ霊夢。モルモーの言葉を聞く度にドンドン「吸血鬼の始祖」としての格が落ちてきているような気さえしてきたその時。

 

「あー、あとそんな考え込んでもレミリアちゃんとフランちゃんはアテにならないわよ?」

 

「えっ」

 

「だってあの2人も私の子孫よ?並より強いわよ、かなりね。一個旅団の長になれるくらいに突出した強さを持ってるわ」

 

「(いっこりょだん……?)じゃあ何?もしかして、吸血鬼ってのは私が思ってるより全体的にはレベル低いの?」

 

「ま、あんたの身の回りの吸血鬼は全員、この私をルーツとしてるからねぇ〜」

 

「あ……そっか。ここの姉妹は勿論そうだし、咲夜はレミリアの眷属……エスカルゴはレミリアの細胞……そして私はエスカルゴの眷属だし……」

 

「そーゆーことっ!」

 

 モルモーは、現代に生きる者の中で唯一過去の、そして自分以外の血脈の吸血鬼を知っている。故に彼女の言葉に一片の嘘も含まれていない。もし仮に嘘をついたとしても読心能力者でも無ければ決して見抜けないが、モルモーは下らない嘘で自分の格を落とす事を良しとしないので、嘘はつかないのだ。

 

「本当ならもっと……あ、やっと来たフランちゃん♡今日は何の本読んでたのかな?」

 

「おはようモルモー。今日は別に何も読んでない。久しぶりにゴロゴロしてただけ。霊夢は相変わらず早いのね。……あれ、鈴仙は?」

 

「仕事だってさ〜。やーねーあの兎ちゃん、ホント真面目なんだからさ〜」

 

「あんたと違ってね」

 

「何を〜?言うわねぇ霊夢……」

 

「霊夢。モルモーね、こう見えて案外真面目よ」

 

「「……はぁ!?」」

 

 フランによる唐突の擁護発言で、霊夢のみならず擁護されているモルモー本人も驚嘆の声を上げる。擁護される事は愚か、その内容がモルモーにとって意外過ぎたからだ。

 

「何処が!?」

 

「そーよ、私の何処が真面目だっての!?」

 

「だって、魔法苦手なエスカルゴが超短期間で時間魔法を習得出来たのって、どう考えてもモルモーの的確な指導があってこそじゃん。適性はあったかもしれないけど、結局は、本人の飲み込みの早さより師匠の優秀さで決まるからね」

 

 霊夢は、魔法についてはからっきしだ。しかし、フランは吸血鬼でありながら、魔法少女でもある。だからフランのこの言葉には、成程なと素直に頷き彼女の話した説を受け入れていた。

 

「ふ、フンッ、私がそんなに優秀だっての?エラい勘違いしてくれたものねっ!」

 

「知ってるよ?パチュリーから魔導書を借りてまで新しい魔法の開発にも勤しんでるって♡」

 

「え」

 

「んなっ……ぱ、パチュリー……なに外部に私の情報洩らしてんのよ……!!」

 

「それで、もし特訓中にエスカルゴが来たら時間を止めて魔導書を返しに行ってるんでしょ?だけど、紅魔館には既に時間能力者が2人も居るから、彼は時間が止まっても何にも疑問に思わない。いや〜、上手いことやってるよねー、モルモーって♡」

 

「ば、ばばバッカじゃないの!?特訓するったってこのモルモーちゃんは既に鍛えなくてもイイくらいつよつよヴァンパイアちゃんなんですけどぉ!?」

 

「それでもパチュリーの万能さには劣るから、特訓してるんでしょ?」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ……!!」

 

 フランの発言は、モルモーにとって図星だった。反論する術を失ったモルモーは、茹でタコのように顔を赤らめて縮こまる。

 霊夢はそんなモルモーを、意外だと、案外努力家なんだな、と素直に感心する目で見ていた。親友の魔理沙も含め、霊夢の身の回りには努力家が多い。しかし霊夢の中のモルモー像は身の回りの努力家達などとは掛け離れた姿だった。

 しかし今ここでフランによりモルモーの隠された努力する姿が暴かれて、霊夢は彼女の意外な一面を知る事となったのだった。

 

「はいはい、そーですよっ!もっと頼られたくってちゃっかり鍛えちゃってますぅ!これで満足!?」

 

「大満足☆」

 

「フンッ!」

 

「……モルモー、あんたって意外と乙女なのね」

 

「意外とって何よ、意外とって!?見た目も中身も少女なんですけどぉ!?」

 

「いや、傲慢不遜なのがあんたっていうキャラだと認識してたから」

 

「はぁ〜ん!?どーゆー物の見方をしてンのよ!」

 

「でも幻想郷に来た当時は実際そうだったでしょ。丸くなったんだよねー、モルモー♪」

 

「はいはい、そーですねぇ〜」

 

 同居人故に、フランは霊夢も知らないモルモーの一面を知ってるらしい。紅魔館におけるモルモーの日常は、果たしてどんなものなんだろう。きっと、聞くまでもなく自分とは掛け離れた生活をしてるに違いない。興味を惹かれるが、霊夢にとってどこか質問するのは憚られる気がした。

 

「……はぁ。久しぶりにエスカルゴくんと搾精プレイがシたいわ」

 

「「その話、詳しく」」

 

「ん……そぉねぇ、鈴仙が姿を見せたらね」

 

「遅れるんでしょ?話しても構いやしないわよ」

 

「……」

 

 霊夢の言葉をモルモーはスルー。鈴仙の席として設けられた空席を見つめる。よく見ると、その席はいつの間にやら人1人座れそうな程の余裕をもって椅子が引かれていた。

 

「あれ、椅子動いてる?」

 

「モルモーが足で蹴ったんでしょ、対面だし」

 

「フランちゃ〜ん、出っぱなしはみっともないから椅子軽く入れといてよ」

 

「はいはい」

 

「ちょ待っ……ふぎゃッ!」

 

「「!?」」

 

 霊夢とフランは、揃ってビクリと肩を震わせる。その声はどう考えても鈴仙の声で、ここには居ないはずの人物だったからだ。

 フランが再び椅子を引き、隙間ができると、腹を押さえた鈴仙がパッとその場に現れた。

 

「え……あんた居たの!?」

 

「えへへへ……私抜きだと3人はどんな会話してるのかなーって思って、つい、ね……」

 

「それにしては音も何も聞こえなかったわ?それにここは屋外テラス……どのルートで来ても見えるし、空から来たなら姿を消していても影はできるはず」

 

「ましてや椅子に座ってるんだし、椅子を動かす音なんかも出ちゃうはずだけど……あんた瞬間移動でも身に付けたの?」

 

「違う違う!要は……」

 

「波長を操り光も音も捻じ曲げ、気付かせない事に徹底した、でしょ?椅子を動かした場面を見せないように、椅子そのものの位置情報も少しズラしたんでしょ。蜃気楼みたいにね。太陽光も音も、波長。つまりは鈴仙、あんたの能力の範疇ってワケだわ」

 

「せ、正解……」

 

「へー……モルモー、観察力は割と凄いのね」

 

(おちゃらけてるようで、周囲を観察する能力には本気で長けてるのね……。そこはやっぱり、世界中の吸血鬼を自らの血族のみにしよう、なんて大それたコトを企むくらいだし……「普通」じゃあないわね、コイツ。……こうして何回も一緒にお茶してるけど、未だに本性が見えてこないわ……)

 

「さぁ、全員揃ったし、女子会スタートよ〜!!」

 

「「「カンパ〜イッ!!」」」

 

 To be continued……(?)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。