練習も兼ねています。ご了承下さい。
「はいはいどぉも〜っ!!毎度お馴染み、にとりんレイディオの河城にとりと!」
「鍵山雛ですっ!今回は、エスカルゴさんの家族を中心とした試合の進行役に呼ばれました〜っ!!」
「企画は霊夢さんだよ!エスカルゴさんや子供達は今回は参加しないみたい!一先ず回復役で参戦するみたいだから、とりあえず皆で盛り上げてこー!」
毎度の如く、よくもまぁこんなにメンツの変わり映えのしない大会で盛り上がるものだ。参戦する側ならばともかく、観客側でここまで盛り上がるなど俺にはよく理解できない。
寧ろ、愛する者達が大怪我をしてしまわないかと不安にすら陥るくらいだというのに。特に子供達は怪我しないか不安で仕方ない。
「ねーエスカルゴくん、今回はエキストラマッチも無いワケ?ホントに参加しないの?」
「らしいぜ。ま、霊夢が企画したようだしな。てか今回はトーナメント形式ってマジか」
「そ〜みたいね。リーグ戦だと時間は掛かる上に、試合数もかなり増えるからかしらね」
「ほーん……そりゃそうか」
親族というか俺を中心とした家族網のバトルだと銘打ってはいるが、実際は色んな子が参戦しているらしく、結構な規模になっている。
以前のトーナメントのように予選や4ブロックに分ける必要こそ無いものの、それに近いくらいにはそれなりに規模が大きそうだ。
「それではそれでは、早速1試合目いってみよー!
『守矢神社を信仰せよ』vs『4人のサイキョウ』!まずチーム解説からいくね!」
「『守矢神社を信仰せよ』!軍神・八坂神奈子様をリーダーに、洩矢諏訪子様、東風谷早苗さんによる3人のチームですっ!!」
「『4人のサイキョウ』!博麗霊夢さんの率いる、チームメイトそれぞれが『サイキョウ』の肩書きを持つ、ヤバ過ぎるチーム!まずはリーダーから!!異変は計画的に!怒れば旦那すらも頭が上がらない最強ママ!!《最強》博麗霊夢〜〜〜ッ!!」
「世の吸血鬼を己の血族のみにするという大それた野望を叶えた、最高最大規模の魔法を操る、神話の吸血鬼!!《最恐》モルモーッ!!」
「狂気は十八番!いつでもどこでもお手軽に狂気にドップリと!?歩くインスタント狂気突入マシン!
《最狂》鈴仙・優曇華院・イナバ〜〜〜ッ!!」
「狂気と言えばこの子か?しかしもっと目立つのはその凶暴さ!更に問答無用に破壊に至らせる能力!恐れられし破壊神は昔よりも力を増しているっ!!
《最凶》フランドール・スカーレット〜〜ッ!!」
ワッと盛り上がる。今回ばかりは、俺もついついテンションが上がってしまった。霊夢とフランだけではなく、鈴仙やモルモーが組むなんて予想外だ。
あの4人が組めば、きっと最強だろう。誰もが、あの4人の前には膝をつく。まさに「サイキョウ」なのだから。
「ひ……ひえっ……なな、なんでこんなヤバい人達が組んでるんですかぁぁっ……!?」
「落ち着け早苗」
「落ち着いてられます!?ノッケから優勝候補とのバトルなんてっ!マンガですか!?諏訪子様、何故落ち着いていられるのですかっっ!?……霊夢さん、この前は確かにあんな事を言ってましたが……!!」
◆
数日前────。
「ええ〜っ!?今度は親達でチーム戦を!?なんでまたそんな……まさかこの前の子供達のバトルに触発されたんですか!?」
「そんなトコね。あ、親じゃなくても参戦はできるようにするわよ。ただしチーム内に最低1人は親や親族を入れるのが条件ね。言わば、親本人の強さに加えて、コネと人脈なんかも問われるわねェ。原則子供の参加は無しのつもりだけど、どうしても、と言うなら別に構わないわ」
「なんかもー、ママさんバレーじゃないですかぁ!幻想郷に来てまでそんな事になるとは思いませんよ全くもうっ!」
「ママさんバレー……?てのはよく分からないけど、とりあえず早苗は参加しないのね?それならそれでOKよ、強制するつもりは無いしね」
「参加しますよ!樹理愛が参加したのに私だけ参加しないなんてのは……逃げですから!親として逃げは許されません!」
「フフ……そう来なくちゃね」
◆
「────って言ってたのにぃ……!」
「なんで落ち着いていられるかって……そーだねぇ。こんな面白そうな行事に、戦闘狂のアイツが来ないワケがないよねぇ……と思ってね」
その時、2チームの間に正円のスキマが開いた。中から姿を現したのは少年の姿をしたツンツン頭の少年。雷神・武甕槌命である。
「来ると思ってたよ」
「チッ。お前の手の上か諏訪子」
「そう言わないでよ。ほら見なよ、面白そ〜な相手だと思わない?」
「あァ全くだ、面白そうだな。オイ、進行役。我も参加するぞ。守矢神社側でな」
「え、でも申請が無いので……」
「あら、別にいいんじゃないの?戦力差があるし、主催者は私だし」
「え、あ……では……両者合意という事で!」
「鈴仙もフランもモルモーも、問題無いわね?」
「問題無いわよぉ〜」
「大丈夫。雷ならエスカルゴで慣れてるわ」
「……どーせ拒否権は無いんでしょ?別にいいよ」
神四柱vs悪魔3人&玉兎1人。普通に考えるなら神が勝つだろう。けれどもここは地底……というより幻想郷で、その悪魔は神話級、そして伝説級、更に幻想郷最強。ハッキリ言うが負けるビジョンの方が薄れてしまうくらいだ。
神と悪魔の戦いとは言わない。その言い方だと、1人だけ兎である鈴仙が空気になって────。
(……鈴仙?)
「それじゃ、よーい、スタートォッ!!」
ステージに立つ鈴仙にどこか違和感があったが、その違和感の正体が掴めないまま試合は開始した。
真っ先に動き出すは建御雷。フランが立ち向かい応戦している。
「ほぉ、貴様が来るか。我が拳の餌食にしてやる!
『雷々拳』ッッ!!」
「この程度、エスカルゴと変わんないよッ!!」
両拳に雷を纏った。俺の「雷神拳」の真似だとはすぐ気付けたが、その威力は大きく異なっている。俺のはバチバチと派手に帯電しているが、建御雷のソレはそこまで強く帯電はしていない。しかし強い電圧を感じる。空気がピリピリしているようにすら感じられてしまう。
「皆、早苗の弾幕には注意よ。妖力スポイラーっていって、妖力を吸い取って自分の力に変える厄介なシロモノだから。昔は一つの技として使用してた。でも今は……それが通常攻撃に組み込めてる程度には使いこなしてる……!!」
「へぇ〜。中々に厄介ね。じゃ、モルモーちゃんがその厄介な弾幕から皆を守ってあ・げ・るっ♡」
「何言っ────」
「魅せてあげるわ。この私の3枚目のスペルをね。
『
時が止まる。ステージではモルモー以外の7人が時間と同様に動きを止める。唯一その場から動けるモルモーは、こちらを振り向きウインク1つしたと思うと、鮮明な残像を残す程の勢いでステージ上を駆け巡る。
彼女の手元が、淡い光に反射してキラリと輝く。その手に持っているのは1本のナイフ。恐らくは、彼女が創造魔法にて
「はあああぁぁぁっ……!!」
魔力すら篭ってそうな気合の声と共に早苗の妖力スポイラーの弾幕のみを切り裂いていく。時が再び動き出せば、早苗の弾幕は消え失せて、彼女の顔は驚愕と恐怖に歪む。
「なっ……なんでっ……」
「時さえ止めちゃえば弾幕も効果も機能停止するんだから、切り裂き放題なのよねぇ♡」
「……!」
「あんたさぁ……神のクセに妖力なんて取り込んで、大丈夫なワケ?……っていうかやめてくれる?あんた純粋な神なんでしょう?なのにそんな技使うワケ?不純な神は、私の推しだけで十・分・よっ♡」
「ガフッ……!!」
思い切り早苗のお腹に掌底を喰らわすモルモー。早苗の身体は空中に弧を描く……ことはなく、極めて直線的な軌道で吹っ飛び、背が木製の壁にめり込む程に強く壁に叩きつけられた。
「ふーっ。ところで、霊夢ちゃぁん?お腹膨らんできてるのにバトルなんて大丈夫なのォ?」
「問題無いわ。既に安定期よ」
「もう安定期も後半でしょーに。……まっ、あんたは後方支援でもしてなさい。ホーミングの使い手だし余裕でしょぉ?」
「……そうね」
「霊夢には何もさせないよ!神奈子!!」
「分かっている、何も言うな!!神祭『エクスパンデッド・オンバシラ』!!」
「開宴『二拝二泊一拝』!!」
霊夢を守るように構えるモルモー、そんな彼女の背後に立つ霊夢に向けて御柱を模した細長い弾幕を放つ神奈子様。その弾幕を回避すると、その先には諏訪子の地面を利用した猛攻撃が待ち構えている。巨人の手のような岩石の壁が2人に押し寄せるが、モルモーが時間を止め、次々と蹴り壊していく。
「一瞬で壊れる……はーん成程。モルモー、時間魔法使ってるんだ?」
「だったらどーするぅ?早苗ちゃんはノビてるし、弾幕も押し潰しも私達には効かないわぁ♡」
(近接戦闘のフラン、近・遠距離無用のモルモー、超強ホーミング、いやオールマイティな霊夢か……。奇抜な組み合わせに見えて、滅茶苦茶理に適ってるチームだなー、これ。……いや、待って?)
「諏訪子ッ!まずいぞ!!」
「あぁ分かってるよ神奈子。……やられた……!!」
苦虫を噛み潰したような顔の神奈子様、諏訪子。2人が何を言っているのか、その意味が分からずに俺は困惑するが、ステージをよく見て2人の会話の意味に気が付いた。
「くっ……見失った……どこ行った鈴仙ッ!!」
「厄介なのを取り逃したねぇ、どーしてくれるのさ神奈子〜」
「確実に倒す為にと考えたが、複数対1人の戦いに持ち込まず最初から
「あっはっはっはっは!違うわよぉ!このチームのブレインは私じゃない!フランちゃんよぉ!!」
「なん……だと……!?」
「リーダーにこそオールラウンダーな霊夢ちゃんを据えただけで、頭脳派なのはフランちゃんだしぃ?というかモルモーちゃんそういう器じゃないもん。というか面倒なのは押し付けたわ〜」
「「〜〜〜〜〜ッ!!」」
「アハッ♡ いいわぁその悔しそうな顔っ!!もっと見せてよ、日本の神サマァッ!!」
やはりフランの「狂気」は突発的なものではなく隔世遺伝なのではないだろうか。嬉々として暴力を奮わんばかりに戦うモルモーは、まるで狂気を制御出来ず力任せに暴れていたあの頃のフランを彷彿とさせる。
魔法少女とも言えるレベルで、かなり高レベルな魔法を使いこなすモルモーが……魔法を使わずに力で暴れている。ちょっぴりショッキングで……どこか、見ていてワクワク感が抑えきれないところもある。
「神なら神らしく、早苗ちゃんと同じトコに送ってあげるわ♡」
「くっ……!」
「……と言いたい所なんだけど」
「「?」」
「見せ場、欲しいんでしょお?霊夢ちゃん?」
「ええ。ありがとうモルモー。さぁいくわよ…………暴走『オーバードライブ』」
ヒビ割れのような紋様が、霊夢の左半身に走る。墨のような綺麗な黒髪は白滝のような白に染まり、鮮やかな紅色の巫女服まで赤黒く染まっていく。
「お陰で、久しぶりに……自分を解放デキそうヨ♡」
「……それは良かった♡」
きた。興奮のあまりつい立ち上がってしまった。
霊夢のあの姿は禍霊夢。吸血鬼としての能力を……普段から抑圧している「吸血鬼としての自分」を、これでもかと解放した姿だ。
「神奈子、まずいよ!確か、あの形態の霊夢は身体能力が爆上がりするって前にエスカルゴが……!」
「
「ホラホラァッ!お仲間が呼んでるよ?戻らなくていいの?行かせないけどね!!」
「フッ、この我を足止めするとはな……小娘ェ……!良かろう、ならばトコトン相手してやるッ!!」
「ウワーッ足止めされるなよ建御雷のバカー!!」
「クソッ、あの
「……身体能力?違うわぁ♡ この形態の霊夢ちゃんの強さの醍醐味……それは
「「ッッ!?」」
「さァ見せてあげなさい霊夢ちゃん!あなたの想う魔法ってヤツを!!」
「────魔符『マジカルスパーク』」
掌底をするように手のひらを二柱の方へ向けて、虹色の光線を放つ。アレはどう見てもマスパだが、まさか霊夢がマスパモドキを使うなんて。普段から魔力を抑え込んでいるのは知っていたが、まさか、これ程の圧だとは……。
「んぎぎぎっ……」
「耐えろ諏訪子!地面ある限りお前の防御は無限!耐えろっ……!!」
「分かってるよ、神奈子はモルモーの警戒を!」
「背後がお留守よ。『
「しまった……なんて言うと思ったか鈴仙ッ!!」
「なっ!?」
「ウオオオオオオッ!!」
地面を壁のように隆起させて禍霊夢のレーザーを受け止める諏訪子。一方で神奈子様は、モルモーの奇襲への警戒を任されていたが、そこに現れたのは姿を消していた鈴仙だった。
パッとホログラムのように急に現れては弾幕にて二柱へ攻撃を加えていくが、神奈子様は姿を消した鈴仙への警戒も怠ってはいなかった。
御柱をバットのように振るい、雄々しい気合いの声と共に殴り掛かる。
「────
「なにっ……」
神奈子様は鈴仙を御柱で完全に殴り飛ばしたかと思ったが、御柱はその鈴仙を貫通した。神奈子様が認識した鈴仙は、本物の鈴仙が魅せた幻影だった。
本物の鈴仙はルナティックガンからの不意討ちの弾幕により神奈子様を吹っ飛ばすと、これでもかと追撃の弾幕を浴びせる。
「神奈子ぉ!!」
「あんタの相手ハこの私ヨ……」
(んっふっふ……普段は完全な0に感じられるほどに抑圧されている魔力は……一度解放されれば最後よ。相手を潰すまで止まらない……♡)
「何で霊夢が魔法なんてっ……どうして!?」
「後天的な吸血鬼だしィ?ましてエスカルゴくんの眷属なワケだから、多少は魔法を使えるはずだって思って〜。娘達に関してはハナから0っぽいけど。まぁ、霊夢ちゃんのこの攻撃だって、まだまだ使いこなせていないけどね。とはいえそれなりにはイイ威力になってるでしょ?」
「な……に……!?」
「面白いよねェ。『霊夢ちゃんにとっての魔法』、その答えが
(今は何とか耐えられてるけれど、これが魔理沙のマスタースパークを模してる攻撃なんだとすれば……まさか…………まさかッッッ!!)
「魔理沙ノ、マスパは……こんなモンじゃナイ……!もっと、もットよ……はぁぁあァァァァァッッ!!」
「まずいっ……」
霊夢のマスパモドキが諏訪子の壁を貫き、鈴仙の攻撃によってダウンしかけていた神奈子様と一緒に吹き飛ばし、完全なダウンを捥ぎ取った。
「さ〜て、残り1人はあのチビちゃんだけだけど……フランちゃ〜ん、あとどれ位でオワるぅ?」
「あ、もうすぐ終わるよぉ」
「あっそぉ、それなら良かった♡……ところでさぁ、鈴仙ちゃん。おっぱい萎んだ?」
「んなっ……なな、何言ってんの!?」
「いや明らかにさっきとサイズ違うでしょ。……あーそっかぁ、幻覚の鈴仙ちゃんは少しおっぱい大きく設定してるのね♡」
「!?そ、そんな事ないわよ!!」
「ならエスカルゴくんに聞いてみれば?試合開始前からずっと、神妙な顔で鈴仙ちゃんを見てたわよ?どこか違和感があったんでしょうね〜」
「そ、そんな……」
モルモーと鈴仙のやり取りでやっと試合開始前に感じた違和感に気が付いた。モルモーの言う通り、鈴仙の胸のサイズが変わっているのだ。しかも先程よりも萎んでいるという意味で。
試合開始前には既に姿を消し、幻覚としての鈴仙だけをその場に視せていたのなら、胸のサイズだけ変わっているのも納得ではある。
「ねェモルモー、もウ終わらセたイんだケド?」
「あー……慣れない魔力の解放で疲れが倍増してるのかもね?そーね、それじゃあ終わらせましょっか♪」
ウインクして指を鳴らすと同時に時間を止めた。フランと殴り合っている建御雷の背後に回り込むと首に手刀を喰らわす。
「────そして時は動き出す♪」
「かッ……」
「ハアァッ!!」
建御雷から離れて時間停止を解除させると彼女の手刀のダメージが表れ、それにより力が抜けたその瞬間を狙い、フランが思い切り殴り飛ばした。
隕石が落ちたような勢いで地面に叩きつけられ、これまたダウン。降参も許さぬ猛攻で、四柱の神は悪魔に敗北した。
神を相手に攻め続けた、「4人のサイキョウ」。あの4人が負けるビジョンがまるで見えないのは、きっと俺だけではないだろう。