※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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地上最強の夫婦喧嘩

「壮絶だった決勝戦を制したのは、なんと『4人のサイキョウ』!妖忌さんの半霊が大暴れするなんて予想外だったけど……そうだよね、奥の手は最後まで取っておくってヤツだよね……ッ!!」

 

「そして霊夢さんより通達がありましたっ!この後小休憩を挟みまして、霊夢さんによる、霊夢さんによる、霊夢さんの為のエキシビションマッチを開催しまーーーっす!!」

 

「そんな主催者、霊夢さんのお相手はそう!彼女の旦那さん!エスカルゴ・スカーレットさんっ!!」

 

 会場がどよめく。隣で霊愛、霊魔は「大丈夫?」などと言いそうな目で、チラチラと見てくる。一方霊麗は平然と進行の2人を見ている。

 

「はぁ……霊夢からの条件『2つ目』か……」

 

 

 ◆

 

 

「2つ目は?」

 

「2つ目は────私と全力で戦うこと」

 

「……えぇ……マジで?あ、まさか、俺の負けザマを観客に見てもらおうってコトかよ?」

 

「失礼ね。そこまでは考えてないわよ」

 

「あっそう?じゃあ何でそんな……」

 

「私はアンタを全力で叩き潰すわ。だからアンタは全力で抵抗して。言っとくけど、本当に怒ってるんだから。次は殺すから、とりあえず今回は半殺しで許してあげる」

 

「あ、俺が負けるのは前提なのね……」

 

「当然でしょ?私は、アンタの理想通り『最強』で居なくちゃいけないんだから。あ〜あ、夫の理想の実現を手伝うのも一苦労だわ」

 

「それって────」

 

「私の期待、もう裏切るんじゃないわよ」

 

「!」

 

「アンタの『全力』……楽しみにしてるわ」

 

「……任せとけ」

 

 

 ◆

 

 

「この戦い!題して、『地上最強の夫婦喧嘩』!!さァ、勝つのは山の英雄、エスカルゴさんかッ!?博麗の巫女、霊夢さんかッ!?」

 

「どっちが勝ってもおかしくない戦いよね……!」

 

 いやいや、にとりも雛も買い被りすぎだ。本気の霊夢に、俺が勝てるハズがない。これは俺が本気を出そうが出すまいが変わらない事実なのだ。

 霊夢が、俺の理想に応えようとしてくれている。その時点で分かる。霊夢は強い。俺よりもずっと。

 

「何でもアリなこの戦い!縛りはただ1つ!相手を殺さないこと!!スペカ数は無制限!どんな能力も派手な大技も選り取りみどり!!ステージ保護は、神綺さんと咲夜さんに任せてあるから安心してね!技が観客席に届く前に空間の拡張をして避難時間を稼ぐってやり方みたいだよ!」

 

「それじゃあ……始めッ!」

 

 互いに本気を出すと決めたからか、俺も霊夢も、どちらも動こうとはしない。まずは様子見。……同じ考えらしい。

 それなら、ガッツリ準備をしよう。本気で本気の力を奮う為の……そう、料理で言う所の、下拵えだ。下拵え無しには、上等な素材の味を活かせない。

 

「魔空『魔力増幅(キャパシティレイス)』」

 

「!」

 

「霊夢も準備しろよ。俺ばっかりか?」

 

「そうね。まだまだ足りないわ」

 

「……紅眼『吸血鬼の本質』」

 

 強化系のスペルは素晴らしいものだ。効果時間が終わるまでは、互いの効果を邪魔し合わない限りは重ね掛けできるのだから。

 重ね掛けするという点において、通常の弾幕系のスペルには少々のデメリットがある。弾幕の軌道によっては互いの弾幕を打ち消し合ってしまう事だ。

 幸いにして俺は自己強化や特訓が趣味なお陰で、強化系のスペルは人一倍持っている。

 

「神速『スウィフト』」

 

 魔力の容量を広げ、身体能力を底上げ。更に移動速度を重点的に更に強化。普通の吸血鬼に比べたら十分に強すぎるくらいの身体能力になっている。

 因みにこの状態でも勇儀とはトントンだ。決して勝てはしない。そして勇儀が本気を出すと負ける。強化できても、真の強者にはまだ及ばない。

 

「堕心『暗がりへ身を堕とす吸血鬼』」

 

 戦いに対して興奮するのはいいが、それによって冷静さを欠くのは愚者のすること。心の闇とやらを解き放ち、敢えてネガティブ思考を取り入れる事によって、戦闘中に「転ばぬ先の杖」を実践させる。

 ネガティブ思考というのは必ずしも悪いものではないのだ。それを活かすか殺すかは、結局のところ本人次第でしかない。

 

「覚醒『生命の輝き』」

 

 俺は「死ぬ事に慣れた不老不死の吸血鬼」。己の生命力のコントロールは最早、舞の応援要らずだ。それでも彼女の応援が欲しければ頼む事もあるが。

 

「いくぜ。災厄『終末の稲妻(アポカリプティック・サンダー)』」

 

「いきなり殺人的ね。不可能弾幕でしょ、コレ」

 

「ヨユーな顔して回避してるクセに、何処が不可能弾幕だっつーの」

 

 否、本当に不可能弾幕として技を構築している。だから、本来なら回避できないはずだ。回避しても無駄。それでこその「終末の稲妻」。

 まるで空間を、弾幕の軌道を歪められてるようなこの違和感、見ているだけでは俺には到底────。

 

「ぐぁっ!?」

 

「ヒット。背中がお留守よ」

 

「そういう事かよ畜生……!!」

 

 お祓い棒でスキマを開き、その出口を俺の背中へ繋げたらしい。そうすることで、そこに俺の弾幕を誘い込むと、不可能弾幕も回避可能となる。

 

「……傷翼『六枚の翼(アイアンサンド・ウィング)』!!」

 

 自己強化もここまでくると、何も知らない者から臆病者だと罵られそうだ。身体能力の向上に加え、生命力を削って弾幕の性能、メンタルを削ってまで先の予測に脳の容量を費やし、魔力の容量まで更に空けておく……そこまでして、触れるだけでも斬れる微小な砂鉄による鉄の翼を装備しているのだから。

 

「隠岐奈を痛めつけたヤツね。……いいわ、それならそろそろ……霊符『夢想封印』ッ!!」

 

「霊符『夢想封印』」

 

 霊夢の……本家の夢想封印に対しわざと当て付けとばかりに夢想封印をぶつけてやる。霊夢はまだまだ手を抜いているようで、俺の夢想封印で完全に相殺できてしまう。

 

「こんなとこで旦那アゲか?手を抜く必要ァねーぞ霊夢。バレバレだ」

 

「あ、そう。じゃあもう1発」

 

「っ」

 

 ダメだ。弾幕の密度は同じくらいだというのに、面白いくらいに、一方的に弾幕が消されてしまう。相殺どころじゃない。

 そして、これでもまだ本気じゃない。

 

「ちっ」

 

 砂鉄の翼を伸ばして弾幕を消していくが、砂鉄は散らされていくばかり。早速回避まで追い込まれてしまうが、こんなのはまだまだ序の口だ。霊夢なら俺をもっと窮地に追い込めるはず……。

 

「本気でもない夢想封印を相殺しきれないとはね、興醒めよ。……いくわよ。『夢想天生』」

 

「御札の方かッ!!霊符『四重結界』!!」

 

 無意味。障子に指を通すように、尽く俺の結界は破壊されてしまう。やはり無理だ。全方位に広がるこの弾幕の雨はさながら戦争で言う絨毯爆撃。必ず獲物を仕留めるという意思が見え隠れする。

 

「時符『キング・クリムゾン』!!」

 

 結果だけだ。御札は俺を通り抜けたという、結果だけが残る。とりあえず10秒スキップさせ、それでスペカが終了していれば、一時凌ぎだったら時間をスキップする事で対処も可能だという事だ。

 

「さぁ、10秒後の世界はどうなっぶげらぁっ!?」

 

 ふざけてやがる。いつもは10秒前後だというのに今回は余裕で10秒を超えている。彼女の霊力に体を撃たれ、妖力などの妖怪の力が封じられつつある。

 

「仕方ねぇなぁ!ちとダセェがここは時間稼ぎだ!傷翼『絶対防御の繭(アイアンサンド・コクーン)』!!」

 

「はッ……!?」

 

 砂鉄の翼を巨大化させて、振動を止めないままで自分の身を包む。ここまで大きくさせてしまうと、このステージの土中の砂鉄は既に枯渇しているかもしれない。

 視界も全て砂鉄の繭によって遮られているが一応夢想天生の弾幕は防げているようで、御札を削る、耳障りな嫌な音が繭の中に絶え間なく響いてくる。

 

「何で紙の御札なのに金属音みてーな音なんだよ……マジで霊夢の攻撃ってデタラメ過ぎるわ」

 

 流石に手持ちの御札を節約しようと思ったのか、御札による夢想天生が止んだ。ここぞとばかりに、繭を解いて出ようと思ったが、俺の冷静さがそれを一旦踏み止まってくれた。

 もしここで飛び出せば、そこを霊夢に狙い撃ちにされるのは明らかだ。飛んで火に入る夏の虫。今の俺は、まさに「夏の虫」になるところだったのだ。

 

「あーそーだ。この手があった♡」

 

 狙い撃ちにされても大丈夫な方法があった。俺は繭を解き、霊夢の見ている目の前で、一瞬のうちに霊夢の元を離脱した。

 

「細分化ですって!?」

 

 全方位に散る、無数の俺の「蝙蝠」。例え大半が殺されても一匹でも残っていれば生存判定のままで再生可能なので、目くらましとしてもこれ以上無い最高の逃走方法なのだ。

 

「ヒヒッ、使える技術は使ってナンボだからな」

 

「でもダメね。アンタ、防戦一方じゃないの」

 

「そう思う?霊夢がそう思うならそうなんだろう。霊夢の中ではな」

 

「……あ?」

 

「ここからは俺のターンだ。いや、本格的に骨肉の争いとなるだろうぜ。骨だけに。重符『ループするスケルトンボーイ』!!」

 

「!?」

 

 骨を模した弾幕を、霊夢を中心として縦横無尽に設置し、霊夢に重力の能力を掛けて手の動きと連動させる。後はこの左手を上下左右に振り回すだけ。

 

「うッ……ぐっ…………」

 

「更にッ!禁弾『音速弾幕結界』ッッ!!」

 

「あぐっ……こ、れは……っ」

 

 上下左右がコロコロ入れ替わる重力に翻弄される霊夢は、スキマを介して現れる音速の弾幕結界にもグレイズ、被弾が目立ち始める。

 今は強化しているので、音速より少し速いくらいだろう。マッハ1.5〜2はあるかもしれない。だが、戦闘機は最速ならマッハ6.7はあると言われている。それならまだまだ俺は遅いな、と思う。

 因みにだが、これも不可能弾幕として設定した。だからこそ禁止弾幕(・・・・)、略して禁弾(・・)なのだ。

 

「ッこんな、重力だなんてっ……私に効くはず、ないでしょうが……!!」

 

 霊夢の《空を飛ぶ程度の能力》、その本質は何に対しても縛られない事である。重力もそう。まして俺が掛けた後天的なものなら尚更。今までは敢えて振り回されていた、そう言いたいらしい。

 全く無力感が溢れて仕方ない。ネガティブ思考をオンにしなくともネガティブ思考に陥りそうだ。

 

「霊符『夢想封印 円』!」

 

「こッ……これは!」

 

 高速移動しながら弾幕を配置し発射するタイプの夢想封印だ。これは本体の位置が掴みにくいことが厄介さを引き立てる。本当に「やりにくい」。

 これをやられるくらいなら範囲攻撃で迎え撃つ。それしかなさそうだ。周囲への被害など度外視して戦うしかない。

 

「狂乱『エネミー・イン・サンダーランド』!!」

 

「そっちは耐久ね」

 

「フン、我慢比べといこうか」

 

「私のは耐久じゃあないけど?」

 

「変わんねーよ、やりにくさって点で言えばよ!」

 

「相変わらず通常版以外は苦手なのね!」

 

 耐久スペルの雷を回避しながら軽口を叩く。一方俺は何回か既に被弾しているというのに、この差は一体何なのだろう。

 

「……あ゙ー、ダメだ。無理矢理に冷静で居るのは、やっぱ性に合わねーわ」

 

 どうせ霊夢と戦うのなら、冷静さなんて残さず、思いっきり戦ってやろう。それでこそ存分に戦闘の醍醐味を味わえるというもの。闇による強化を解除するなり、雷での攻撃を一段階強める。

 

「ホーミングが強まった!?」

 

「クククッ、雷神の器の力、こんなモンじゃあねぇからな……霊夢……!全力で抵抗させてもらう!」

 

「成程、アンタにしては曲がるわね。でも、甘い。これくらい回避できない私じゃないのよ」

 

 やっぱりダメだ。追い付けやしない。これでも、やっとグレイズするようになったくらい。俺と違い1発すら被弾してくれない。

 俺のホーミング弾では被弾させられない……とでも言うのだろうか。もしそうなら……辛すぎる。

 一体これはどうなっている。人間の頃より格段に強くなってるではないか。俺が20年近く前より10倍強くなっていると仮定するならば、霊夢は20倍以上強くなっている。誇張抜きに、間違いなく。

 ここまで圧倒されてしまうと、高い階段を何段もスッ飛ばされたような成長度を感じざるを得ない。

 

「ったくよぉ……どうしたら被弾してくれんだよ!!ここまで鍛えてもっ……微塵も成長を感じられねェ!ざけんな!ほんの少しくらい……ほんの少しくらい、俺にも感じさせろ!!成長した実感ってヤツを!!殲滅『地下王国の大量虐殺(サブタレイニアン・ジェノサイド)』ッッ!!!」

 

「何よ、これ……まるで斬撃の嵐だわ……」

 

 スキマから取り出した折り畳みナイフを開いて、斬撃を飛ばし、飛ばし、飛ばしまくった。折り畳みナイフは残念ながら1本しか所持していないので、これはフィジカルにモノを言わせた脳筋スペカだ。

 どうも、俺の「殲滅」系のスペカは腕を酷使するモノが多いらしい。このままでは対戦相手どころか俺の体力が殲滅されてしまう。

 

「ハアアァァァァッッ……!!」

 

「斬撃の鋭さだけで言えば妖夢より激しいわね……、こんな手を用意してたなんて思わなかったわっ……!流石はエスカルゴの奥の手ね……ッ」

 

「あー?奥の手?違うねッ!こんなのぁ、まだまだまだまだまだまだまだまだ、序の口だァッ!!」

 

「!?」

 

「もっとだ、もっと!!グレイズなんて甘ェ結果は望んじゃあいねぇ!!被弾だ……被弾させてやる!!殲滅『地下王国の滅亡物語(サブタレイニアン・デストロイヤー)』ッッッ!!!」

 

 折り畳みナイフを仕舞い、いつもの俺の武器こと妖魔雷霊剣、暗黒斬月剣を取り出し、次は二振りの剣で大きな斬撃を飛ばす。

 大きさ、弾幕の密度、実に前回の2倍。霊夢も、スキマで弾幕を飛ばすのではなく、いよいよもって自身の回避にスキマを使用するようになってきた。

 

「そこだ!!」

 

「くぁっ……」

 

 何回もスキマでの回避を見ていく内に、スキマの回避の弱点が分かるようになってきた。俺の隙間は正円、つまり「最も安定する形」で繋げているが、霊夢や紫さんのスキマは楕円の先端を更に細くしたような、はたまた、唇のようなと言えばいいのか、そんな形をしている。

 そう、安定した形とは言えないのだ。それだけにスキマが開く際には一瞬だけ歪みが生じる。そこに弾幕を飛ばしておけば、スキマでの回避を防げる。

 

「レイチェルも言ってたな。『知は力なり』、そうまさにそうだよな。学があるとまでは言わないが、雑学もどうでもいい知識もネタも……全てを活用して俺は戦ってきた……!これまでもこれからも、きっとそれは変わらないね。……殲滅────」

 

(「殲滅」……また斬撃ね!)

 

「────『世界の破壊者(キャラ)』」

 

「ッッッ!?」

 

 懇親の力で俺に出来る限り最大の斬撃を飛ばす。鋭い三日月のような形の斬撃が、霊夢を両断せんとばかりに突き進む。

 

「当たれば殆ど一撃必殺の斬撃だ。雑魚妖怪なら、塵一つ残さねェ。……いや、塵しか残らねェよ」

 

「くっ、夢境『二重大結界』!」

 

「防げねェさッ!!」

 

 ほんの一瞬だけ拮抗したが、彼女の二重大結界はすぐに壊れた。しかし霊夢は強化したお祓い棒にて真正面から受け止め、お祓い棒を失うのを代償に、斬撃を掻き消してしまった。

 

「何だと……」

 

「……この棒が壊れるだけで済んで良かった。中々の威力だったわ。正直、私の想定以上よ」

 

「ッ、懇親の一撃だっつーのにッ……嘘だろ……!?俺はまだ……鍛えてもこんなモンなのか……!?いや違うだろエスカルゴ……!!」

 

「神技『八方鬼縛陣』!!」

 

「あぐっ!?」

 

「動きを封じた。……次は回避不能よ」

 

「……っざけんなよ……!神の器を、鬼を縛る結界で縛れると思うなよッ!!眷属『擬似神化』ッ!!」

 

「!」

 

「『擬似神化・厄神形態』」

 

「厄神って……まさか……」

 

「ああ、雛の力を多く借りてるのさ。雛は厄神で、どちらかと言やぁ妖怪に近い存在だけど……他の神々からも力を借りてるおかげで、現在の俺の総合的な属性は、妖怪よりも神様寄りなのさ」

 

「ッ……」

 

「クク、さて、どんな厄を与えてやろう。……あぁ、ここは地底だよな」

 

「?」

 

「もしここが地下だと言うのであれば……そうだな、

天井の岩盤が落ちてこない(・・・・・・・・・・・・)とも限らないだろうな(・・・・・・・・・・)」

 

「……嘘でしょ?」

 

 すると、地震の際の重苦しい地響きのような音が響き渡る。パラパラと砂が落ちてくる。天蓋が一部崩れ、そのまま巨大な塊で落ちてきたのである。

 

「アッハッハッハッ!天変地異レベルの厄災は無理だが、こういう擬似的なモノなら起こせるようだ!場所が地底(ここ)で良かったッ!!」

 

「アンタねぇ、限度ってモンを考えなさいよね!!あんな隕石と変わらないモンが落ちてきたら……」

 

「あ〜?これが俺の『全力』……持てる力を全て使い抵抗する、そうだろ霊夢!!」

 

「……」

 

「落ちてくるまであと5秒もねェな……俺は超再生力持ちだからな、潰されても生きてるだろう。……さ、霊夢はこれにどう対処する?死なば諸共だ……ふふ、愛してるぜ霊夢……♡」

 

 剣を仕舞い折り畳みナイフをパチパチと閉じたり開いたりして遊んでいると、突然、目の前の霊夢が姿を消した。次の瞬間、鼓膜を突き破らんばかりの爆発音と共に天蓋が砕け散り、破片が方々に散っていった。

 

「な……っ」

 

「────次で決めルわ……♡」

 

「ッ……いつの間に変身してンだよ……霊夢!!」

 

「このツケは、後で払ってもラウわ。カラダでね♡

『夢想天生・狂』」

 

「相殺(け)してやんよ!!『夢想天生・邪』ッ!!」

 

 雷の能力も重力の能力も、闇の力も身体強化も、全て使った。神化も使った。理性を手放しては絶対霊夢には勝てないから、それは使わないにしても、俺は、全力を尽くした。

 剣術というか喧嘩術の延長というか、持てる技術などの使えるモノは使った。霊力も殆ど枯渇した。温存した魔力は、この夢想天生に上乗せしている。この夢想天生の弾幕が尽きたら、回復するまで俺は目覚めないだろう。

 勝っても負けても、俺が勝負の結果を知るのは、随分と後の事になりそうだ────。




メタトンEXのダンスを真似ていたら、うっかり?股関節をパキッとヤッちゃいました。痛かった。
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