俺なりに頑張って書かせて頂きます。
ルーミアは、術後10分程で目を覚ました。麻酔の効果はあくまで短期のものらしく、術中は定期的に麻酔しているから目覚めないだけらしい。
そして巫月から身体を洗われ、産着を着せられたらしい赤子が姉に抱っこされて病室にやってくる。相変わらず、パッと見は黒い球体だ。恐らく産着を着せるのも苦労したに違いない。
「うわ、本当に黒い球体だわ……顔すら見えないってどういう事?」
「自分の目で見るまで信じらんねーよな。とにかくお疲れ様、巫月。麻酔やら何やら、凄い助かった。赤ちゃん、抱っこさせてくれるか?」
「うん。全く泣かないけど、元気な女の子だよ」
「やっぱり女の子なのか」
「洗う時に触ったから分かるけど、やっぱちんちん無いからね」
「成程」
巫月から闇の中で赤ちゃんを手探りで受け取り、抱え込むように抱っこしてみる。すると漆黒の闇が収縮するようにみるみるうちに小さくなっていき、金髪の女児が顔を覗かせた。親指を握り込むように手を握っていて、くー、くー、と可愛らしい寝息を立てて寝ている。
「うおぉ……闇が消えた……。ほらルーミア、俺らの子だぜ。ルーミアに似て可愛い金髪ロリだな」
「あらホント。あ、翼は無いのね」
「みたいだな」
「抱っこさせてくれる?」
「ほいよ」
愛おしむような優しい表情を浮かべ、赤子を抱くルーミア。やがて、それを羨ましむように見ていた巫月の視線に気付いたのか「抱っこしてみる?」と優しく問いかける。
巫月は今度は恐る恐る赤子に手を伸ばすが、手が触れた瞬間、またもや闇を展開し黒い球体となってしまった。
「ええっ!?」
「寝ているのに、抱っこしてるのが親じゃないって気付いたのかしら?どう思う、エスカルゴ?」
「いやぁ……俺には何とも言えないよ。こりゃ、困惑しかないな」
「……もしかして私、拒否されてるのかな」
「赤ん坊は本能的に親を求めてるんだ、仕方ない。ま、慣れてもらえれば抱っこくらいさせてもらえるだろうしな」
「だと、いいんだけどな……」
珍しくシュンとしていると、そんな巫月の胸から闇が飛び出し、赤子へ吸い込まれていった。しかし巫月は気付いていない様子。
「ま、いっか!大きくなってから仲良くなれれば、それでいいもんね!」
「ふふ、その時はよろしくね。あっ、エスカルゴ。折角考えた名前、教えてあげなきゃ」
「あー、そうだな。巫月、この子には『真宵』って名付けた。真夜中、宵闇の真宵だ」
「へぇ……!可愛いっ!」
「能力は今んとこ不明だもんなー。気になるなぁ。現時点では《闇を吸収する程度の能力》だろうが、この子は俺とルーミアの子供なんだ、絶対それだけじゃない。今後が楽しみだぜ、ホントに」
「そうね、楽しみだわ。あ、エスカルゴ、さっきの手術でいっぱい血ィ出しちゃったからさ、ちょっと腕、食べさせてよ」
「はいよ」
「ありがとー、いただきますっ!」
「いてっ」
「えぇ……ダイレクトに食べさせるんだ……」
黒い球体となった真宵を抱きながらも、巫月は、差し出された腕にそのまま噛み付くルーミアを見てちょっぴり引く。バキバキ骨を砕き、まるでパンに噛み付いたかのような歯型を俺の腕につけた。
「ん〜♡ 美味しい……♡」
「それは良かったよ」
「い……痛くないの?エスカルゴは……」
「痛いぞ。麻酔もしてねーしな。だが、こんなのは慣れ……だよな。極論だけど」
「えぇ……」
「デコピンだって唐突にやられたらビビるが、次も来ると……ある程度の強さも分かっていればなんて事無いだろう?それと同じだ。こっちの方がちょっと痛みが大きいだけでな」
「そう、なのかなぁ……エスカルゴが言うんなら……そうなのかも?」
「そうそう」
「んぁ〜、腕1本じゃ足りないわー」
「やっぱ食べるなら太ももの方が良いのか?」
「太ももはお肉たっぷりだからねぇ」
「しゃーねーなぁ……。巫月、真宵のこと頼んだぞ。ルーミアの本格的な食事タイムはセンシティブだ、お子様には見せられん」
「あ、うん、分かった。行こっか、真宵♪」
黒い球体の中で眠っている真宵を抱っこしたまま巫月は部屋を出る。それを見届けた後でズボンのみ脱ぎ、後はルーミアの目の前にスキマを通して足を突き出す。
「ふふ……久しぶりだわ、こんなに食べごたえのあるお肉は♡」
「さよか……」
「んね……真宵について、どう思う?」
「どうって?能力って事か?」
「そう。推測だけど……真宵が吸っているのって、闇だけど闇じゃないんじゃないかって気がするのよ。なんて言うんだっけ……気分的にブルーになる事を、人間は『病む』って言うんでしょ?」
「そうだな」
「だとしたら真宵は『闇』じゃなく『病んだ心』を吸ってるんじゃないかしら?少し思い出してみて。真宵に闇を吸われたら、その人はどうなった?」
────一瞬で妙に楽天的になった。というより、明るくなった。俺もそうだしさっきの巫月もそう。だからルーミアは、真宵が吸っているのは心の闇と推測したワケだ。
理には適っているし、そもそも、俺の闇の能力の根源は「心の闇」からきている。だからもし真宵が
「心の闇」に関する能力を有しているなら、それは俺由来のものという事だ。
そう1人で納得していると、太ももにむしゃぶりついていたルーミアが首を傾げた。
「あれ?……変だな……」
「何が?」
「いや……何だろ、今、私の『闇』が回復した感覚があって。変だよね?能力は使ってないんだから消費してるはずが無いのに……」
「出産で消費したんじゃねーの?」
「それは体力。闇は使わないでしょうよ」
「だよな。……真宵に吸われたんじゃねーかな」
「真宵が吸うのは『心の闇』じゃないの?」
「
「確かに。闇は闇でも2種類ってことか。凄いね、我が子ながらさ」
「だな。成長が楽しみだ」
◆
「……これ、2人になんて説明すればいいの……?」
「あーぃっ!たぃっ!ぱぁーっぶぅ!」
「何で数分で
巫月の「闇」を吸収した真宵は、胎内に居た頃と同じようにスクスク成長し、あっという間に巫月の腕を飛び出してハイハイするまでになった。
それを見た巫月は苦笑し、ある意味で頭を抱える事になったのだった────。
真宵
能力:不明
真夜中、宵闇から。
ルーミアのようなリボンは無く、代わりに後頭部に大きな赤いリボンを付けている。ルーミアが博麗の巫女(霊愛)との繋がりを大事にしている証。
ただの紅眼ではなく瞳孔は縦長で、蛇目に近い。
という事で、以前後書きで没キャラとして発表した
「真宵」ちゃん、正式にファミリー入りです。能力決まるまで書き始められなかったのでちょっと遅くなりました。
ただ、没キャラとして既に紹介済みである上、存在自体が「主人公の子」となると物語を大きく動かすキャラになりかねないので少し悩みました。
流石に、物語の都合上そうポンポンと受けられないジャンルの依頼なので。
真宵ちゃんの能力の詳細についてはお楽しみに。
両親の「やみ」をイイ感じに継いでるかもですね。