※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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今回から積極的にノベルAIで生成したイラストを挿絵として使っていきます。


成長限界?宵闇の悪魔

 真宵の誕生からおよそ1ヶ月。他の子供達よりも圧倒的な超スピードで成長を続けた真宵だったが、ある日を境に、パタリと成長しなくなった。

 髪も伸びない、身体も大きくならない。現在では見た目だけなら人間で言う10歳頃、つまりは姉達と変わらない見た目になっている。

 なんなら十六女にも関わらず十女くらいに見えるくらいだった。しかしそれまでだった。それだけで彼女の成長は止まってしまっていた。闇を吸ってもその実感や消費した分が回復した感覚はあるのに、身体の方はもう成長しなくなっているようだった。

 

「んー……真宵、どーしちゃったんだろ……」

 

「さぁなぁ。ま、気にする事はねーよ。真宵だって見てきたろ?お姉ちゃんやお兄ちゃんの姿。大して変わってねーだろ?今の真宵とさ」

 

「そうだけどさ。ねぇ、ママはどう思う……?真宵、変じゃない?」

 

「変じゃないでしょ。寧ろこれまでの成長が異様に早すぎただけ。それで普通なのよ?」

 

「うぅん……」

 

「そーだぞ、真宵。ルーミアの言う通りだ。それに俺の子供……吸血鬼の子はな、大抵は最初だけ成長が早くて、それからはゆっくりなんだ。だから真宵もその第1次成長期が終わったんだ」

 

「それって良くない、よね……?」

 

「良くないなんて事は無いさ、それが普通なんだ。だから心配はするな。これからまた成長期が来る。安心しなさい」

 

「……うん……」

 

 浮かない顔だ。無理もない。これまでスクスクと成長していて本人もそれを自覚していたのだから。それが真宵にとっての「普通」だった。それがこう崩れてしまうと、まるでこれまでの自分が否定でもされたように感じてしまうというのもあるだろう。

 

「それよりエスカルゴ、早く封印」

 

「あ、そうだったな」

 

「え?パパ、何か封印するの?」

 

「あァ、ルーミアをな」

 

「え!?どうして!?仲良しさんじゃないのっ!?ダメダメ!そんなの絶対ダメ!」

 

「まぁまぁ、聞け。いいか真宵。今のルーミアは、本当の姿じゃないんだ。いや本当の姿なんだけど、なんていうのかな、ちょっと負担がある姿なんだ」

 

 主に精神的な意味で、だが。

 ルーミアは大人の姿の自分より幼女の自分を好きなのだからある意味では嘘ではない。間違いない。

 

「え……そう、なの?ママ……?」

 

「そう、だからパパ……エスカルゴに楽にしてもらうだけなの。居なくならないから安心して?」

 

「……うん!分かったよ!ママが楽になるならそれが一番だもんねっ!」

 

 実はルーミアは、真宵を産んでからは封印可能な状態になっていた。ただし、真宵を子育てするには大人状態の方が楽だったという事で、封印するのは真宵がある程度大きくなってからにしようと2人で決めていた。

 

「じゃ……やるぞルーミア」

 

「ええ」

 

 リボンはずっと結んである。あとは俺や霊夢が、封印をかけてやればそれで済む。いつも通り、弾幕なんかに乗せている封印の効果をリボンに乗せる。

 すると、ほんの一瞬だけカッと光ったかと思うと目の前にはロリの姿となったルーミアが居た。

 

「あれ!?ママ……?ママなのっ!?」

 

「ママだよ」

 

「ええぇ〜〜〜っ!?ママって子供だったの!?」

 

「見た目と身体だけはね。でも中身は大人よ」

 

「ええ〜……頭が追い付かないよぉ……」

 

【挿絵表示】

 

 

 真宵の困惑も当然だ。さっきまで大人だった母が目の前で自分と同程度の姿の子供になったなんて、困惑しない方がおかしい。

 しかも、この期間は慧音の寺子屋も休んでいる。まぁ慧音には俺や巫月から事情を説明済みだから、その辺はあんまり問題は無いのだが。

 

「────そういうワケで、ママは見た目だけは子供だけど中身はちゃんとママだから安心してね。またいつでも大人の姿には戻れるからね」

 

「……うん!分かったよぉ!それでママ、寺子屋ってトコにはいつ行くの?真宵も行きたい!色んな子とお勉強とかしてみたいっ!」

 

 巫月の他に魅玖も居ると聞いて、母の他に姉達も居るなら安心できると考えたらしい。確かに、急に知らない人に囲まれるより、知ってる人がある程度居るのであれば安心もできるというものだ。

 

「え、えっ?真宵も?……あー……1人で留守番とかさせるより、私だけ行くよりその方がいいかな……。エスカルゴ、慧音先生に話だけ通してくれる?」

 

「任せろ。慧音は『理解のある先生』だしな、特に問題はねぇだろ」

 

 俺は家を出て慧音宅へひとっ飛び。可能ならばとその場で転入の手続きの方を済ませて、ついでに、久しぶりに濃厚な男女の交わりを致す。

 その間2人は博麗神社に遊びに行っていた。

 

「やほーいっ!お姉ちゃん達ぃ!」

 

「おっ、来たね。ルーミアもじゃん。相変わらず……いや待って、成長しすぎじゃない!?」

 

「一回り、いや二回りくらい大きくなってない?」

 

「ぼ……僕より大きい…………」

 

「んーん、前来た時よりはおっきくなったけどね、真宵、なんか変なの。……最近ね、闇を吸ってもね、大きくなれなくって……」

 

「成長期が一旦終わったんだね」

 

「それだけじゃないの!闇を吸ったはずなのにね、増えた感じしないの!よく分かんないけどっ……」

 

「「……」」

 

 博麗姉妹は神妙な表情で顔を見合せている。霊魔だけは、どうしてだろうと首を傾げているようだ。そうして少しだけ悩んだらしい姉妹は、小さく息を吐いて、意を決したように口を開く。

 

「ホントはもっと大きくなってから言おうと思ったけど……まさかもうそこまで大きくなってるとはね。少し早い気がするけど……まぁ仕方ないよね。教えてあげる」

 

「あのね真宵、怒らないで聞いてね。私達があげたそのリボンに、封印する効果を付けてるの」

 

「え…………私を……封、印?」

 

「真宵を封印するってのは、少し語弊があるかな。正確には『溢れた分の真宵の力』だね」

 

「というのも、真宵の『闇』の能力の根源が不明で不確定だから、安定させるって意味で付けたんだ。ルーミアは生まれながらの闇の妖怪だけど、例えばお父さんは後天的に能力を発現させてる。だけど、不安定で、長時間発揮していると心が闇に呑まれて大変な事になっちゃうの」

 

「パパが……?」

 

「そう、パパが。真宵も生まれながらではあるけどそんな父親の血を継いでるから、私達としても不安だからね。だってさ……妹を苦しめたくないじゃん」

 

「ましてや、自分の能力でね。私は生まれながら……純血の吸血鬼だから、もっとずっと小さい頃はよく家の物を壊してお母さんに怒られたりしたんだよ。小さい頃って力の制御が難しいからね。人間でも、小さい頃は力の加減が難しいんだってお父さんから聞いてる。皆、子供の頃はそんなもんなんだよ」

 

「そういう事。でも霊麗みたいな単なる馬鹿力ならお父さんが物を直してくれるけどさ、精神の場合はそんな単純な話じゃないでしょ?ましてや、真宵も妖怪だから、精神的ダメージは割と簡単に致命的なモノになりかねないってのも、動機の一つだね」

 

「ねぇ真宵、知ってる?『病む』とね、人は簡単に自分も他人も殺せるようになるんだよ」

 

「……え?」

 

「お父さんはそれで何回も自殺してるんだ。不死身だから復活してるだけで。でも真宵はそうじゃないでしょ。たった1つの命、自分の能力のせいで失うなんて、そんなの、絶対にダメでしょ」

 

「……うん」

 

「だから、必要以上に真宵が闇を溜め込まないよう制御する意味で、溢れた分の闇を封印するリボンを贈ったの。ま、可愛いし似合うってのもあるけど」

 

「とはいえ勝手に封印しちゃってるのはごめんね。やっぱ……本人にも話しておくべきだった、のかな?一応、2人には話してあるんだけど……」

 

「……かもね。ごめんね、真宵」

 

 相手が幼い子供だからと説明義務を放棄していた件について、2人は真宵に謝罪する。一応両親には伝えていたとはいえ、両親、つまり俺とルーミアも博麗姉妹と同じ意見で真宵には伝えていなかった。

 

「……ううん、いいの。説明しなかったのは、真宵が子供だからだし。それにお姉ちゃん達は私を守ってくれてただけなんだもん。……そうなんでしょ?」

 

「「そうだね」」

 

「じゃあ……大丈夫っ!真宵、怒んない!それにね、パパやママ、美鈴さんにレミリアさん……咲夜さんに弦月姫お姉ちゃん、穹お姉ちゃんとかも、みーんなリボン似合ってるって言ってくれるもん!」

 

「……そっ、か。それなら……良かった、のかな?」

 

「うん、良かったよぉ!真宵、可愛いもん!リボン付けた真宵はぁ、もっともーっと可愛いっ♡」

 

【挿絵表示】

 

 

「ハハ……何か、悩んでたのがバカみたいだね」

 

「だね。でも、良かった。お姉ちゃんとの初めての封印作業もちゃんと完成していて、機能してるってコトなんだもんね」

 

「そうなるね。……あ、となると、もう1つの効果も今のうちに話しておくべきかも?」

 

「あ、そうだね」

 

「もう1つの効果?そんなのあるの?何それ何それカッコイイっ!」

 

 曰く、封印の効果は闇を貯めれば貯める程に強くなっていくという。だからこそ、闇を貯めておらず成長に使っていた当時は、風呂などの際にリボンも自分で外せていた。

 しかし第一次成長期が終わり、闇を消費せず貯蓄していく方向に変わった現在は、封印は強まる一方なので、そう遠くない未来、真宵は自分のリボンを自分で外せなくなってしまう。

 まず、前提として、真宵が吸収した闇の行き着く先は主に3つあった。

 1つ目は、真宵自身の心身の成長。髪が伸びたり身長が伸びたり、そして知能の発達など。真宵は、子供達の誰よりもここまでの成長が早かった。その理由は不明だが、他者のメンタルから生み出される

「闇」を吸収するからではないかと予想している。

 2つ目は、肉体の修復。傷付けば溜め込んだ闇を消費して傷を癒したりも可能だ。血こそ流れているものの、もしかしたら真宵の本質は闇そのものなのかもしれない。

 そして3つ目は、貯蓄。ひたすら溜め込むのだ。その「溜め込んだ闇」が真宵の心に悪影響を及ぼす可能性を考慮して、博麗姉妹はこの「溜めて溢れた分の闇」を封印するリボンを贈ったのだ。

 実際の所、最近になって真宵の身体が成長しなくなったのは博麗姉妹の封印の作用ではなく成長期が終わったというだけなので先に述べた「3つの闇の行き着く先」のうちの1つが潰れたも同然なのだ。

 つまりそこにいかなくなった分の闇も溜め込む。闇を溜め込むのがこれまでより早くなって、真宵の処理が追いつかなくなる可能性すらあったのだ。

 博麗姉妹……特に霊愛は、過去に「病んだ父親」を間近で見ていた。だからこそ、妹にはあんな目には遭ってほしくないと強く想っているのだ。

 

「じゃあ頭を洗う時は……」

 

「一緒に洗っちゃって構わないよ。取れないし形も大して崩れないから。撥水とまではいかないけど、すぐに乾く素材だから安心してよ。汚れも割とすぐ落ちるよ」

 

「そうなんだ!」

 

「霖之助さん曰く『返り血がいつまでも残ってたら嫌だろう。巫女装束は昔からこの素材なんだ』ってコトらしいから、そもそも汚れる前提らしいしね。いやまぁ確かに返り血は楽に落ちた方がイイけど」

 

「同じ素材……!それじゃやっぱり、お姉ちゃん達とお揃いなんだっ!えへへっ、嬉しいなぁ……♡」

 

 そんな話をしていると、ルーミアは、小さく手を挙げ2人に質問を投げかける。

 

「ちょっといい?溜め込んだ闇を封印するってのは前にも聞いたけど、もし封印を解いたら?再封印はできるの?」

 

「結論、できる。詳細は省くけどルーミアの封印と似たような術式だからさ。だから本人は触れないし本人じゃあ封印も解けない。違うのは闇を貯めれば貯めるだけ封印が強まるって点だけ。だから、もしその気になれば、溜め込んでる状態でも、他の人に頼めば簡単に解けるよ。再封印するならお父さん、うちのお母さん、私と霊麗の誰かに頼んでね」

 

「霊愛か(・)霊麗じゃなくて霊愛と(・)霊麗……なのね?」

 

「さっすがルーミア、鋭い。さっきも言ったけど、真宵のその封印は私と霊麗で施したもの。だから、再封印も同じように2人じゃなきゃ。というか2人じゃないと複雑な術式の封印は施せなくって……」

 

「霊夢はともかくエスカルゴでも1人で封印できるタイプの術式なんじゃないの?」

 

「そりゃ……お父さんは『強い』もん。博麗霊夢より弱いだけで、実質、博麗の巫女とも同程度の能力は持ってるよ。博麗大結界に干渉できないだけでね」

 

「え……そうなの?」

 

「本来、霊力は妖怪にとって毒なのに、後天的にも関わらずそれにちゃんと適合してる上、神降ろしも可能ともなればね……。まさに、妖怪としてはかなり別格な存在だよ。絶対に敵に回したくないタイプ」

 

「神徳というか神性というか、神要素持ちだしね。ああ見えてぶっ飛んだ性能してるよ、お父さんは」

 

「ふーん、成程ねぇ。だってさ、真宵」

 

「パパ、凄いんだ……!ね、霊魔お兄ちゃん!」

 

「ふぇっ!?あ、は、う、うん、何っ!?」

 

「霊魔お兄ちゃんは封印とかしないの?」

 

「ぼ…………僕は……封印とかそういうの苦手だから……だから普通に戦うんだ」

 

「ふーん……そうなんだ。真宵、いつかお兄ちゃんと勝負してみたい!封印しない戦い方とかも、なんか気になるし!」

 

「え、えぇ……ま、まぁ、いい、けどさ……」

 

 闇の力を使い果たして、封印の効果を弱めてから封印を解き……その状態で闇を溜め込むとどうなる?などとは誰も質問しなかった。きっと、「際限なく闇を溜め込む」だけだろうし、何よりも封印を解除する前提というのは術者に失礼な事だ。そして闇を溜め込んだ状態で封印を解くのも────。

 

「よし、そうと決まれば……ヤミヤミヒーロー真宵、もっともっと闇を集めて、強くなっちゃうぞ〜!!山に行けば、効率的に闇を稼げるもん!」

 

「まぁ……うん、いいんじゃないかな。でも真宵は、まだ顔も知れ渡っていないから、お父さんと一緒の方が安全かもしれないね」

 

「んー、分かった。じゃあそうする!」

 

 真宵が溜めに溜め込んだ闇は、彼女の糧となる。しかし、人妖問わず心ある限り生み出される闇は、決して尽きる事は無い。無限大に溜め込んだ彼女の闇は何処へ向かうのか。闇を溜め過ぎた真宵は闇をどのように発散するのか。

 1人の父を中心とする大家族がそれを知るのは、もう少しだけ先のお話。

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