バァン!
「エスカルゴさん!大変です!!」
「ふにゃ…咲夜しゃん…?………ふわぁぁ…」
あんま寝れてねぇな…。
いや、それは咲夜さんもか。
「どうしたのよ咲夜…煩いわよ…」
ムクリと起き上がるレミリア。
フランはまだ寝ている。
「申し訳ありません!ですが新聞に…!」
『新聞…?』
咲夜さんが枕元に来て新聞を渡す。
そしてレミリアと2人で新聞に目を通す。
1面にデカデカと書かれていたのは────。
「『紅魔館の吸血鬼、エスカルゴ・スカーレットに告ぐ。本日午後15時に、紅魔館前の平地で我等白狼天狗と勝負しろ。理由は昨日と同様である。スペルカードの枚数は貴様が好きに決めるが良い』…か」
「エスカルゴ、私も手伝うわ」
「ふ、フラン…」
フランがいつの間にか起きていた。
「私もやるわ」
「レミリアまで…」
でもこれは…俺の戦いなんだ。
「ありがとな、2人共。でも、大丈夫だ。俺1人で十分さ」
『でもっ…』
「白狼天狗如き、即片付けてやるよ」
「その油断がいけないのよ」
レミリアが忠告する。
「む…そうだな、気を付けるよ。だがな、2人の力を借りるまでもないよ」
「私の力、信用出来ない…?」
フランが泣きそうな声で聞く。
「いいや、違う。昨日の夜な、白狼天狗最強とNo.2を倒したんだ。だから、他の白狼天狗が幾ら居ようと大丈夫なんだよ」
「でもっ…たくさん居たら攻撃に反応出来ないかもしれないじゃないっ…」
「じゃあ…俺が負けそうだったら助けに来てよ」
「負けそう…だったら?」
「そ。そんな時に助けてもらえたらきっと…限界以上の力が出るだろうからさ」
ニッと笑ってフランの頭を撫でる。
「わかったわ!でも、“負けそうだったら”じゃ遅いわ。少しでもまずいと思ったらすぐ行くから!」
「…おう♪」
「頑張ってよね?」
レミリアが心配そうに言う。
「大丈夫だ、俺を信じろ」
「もちろんよ」
『……………』
少しの間、室内の空気を沈黙が支配する。
「………では、まずは朝食にしましょうか」
沈黙を破り咲夜さんが告げる。
『そうね』
「はい」
「だりゃあっ!」
キィンッ!
「くっ…流石ねエスカルゴ!」
刀をレーヴァテインで受け止めるフラン。
「まぁ…なっ!」
カッ!
「あぁっ!」
レーヴァテインを振り払い、首に刀を当てる。
「……よし」
「あーあ、もう全く勝てないや」
「たまたまだろ。だってスペル使ってないし」
「そうかなぁ…見えなくなったら負け確定じゃない」
「じゃあそれ無しで……やる?」
「やるやる!」
フランとの特訓。
俺が負ける事は、今じゃほとんど無い。
だが、フランの素早い動きは未だに見切れない事がある。油断は禁物である。
「いっくよー!」
「来い!」
さて…どうしようか。
「禁忌『カゴメカゴメ』!!」
「うおっ!?」
か、囲まれ…
「うわぁ!?」
デカァ!?
弾幕で囲まれて身動きが取りにくい上、大きい弾を発射してくるフラン。
「おいおいおい、やっぱ力隠してたんじゃねぇか…!」
「うふふっ♡」
「全く…!」
フランは最高だぜ!
「雷鎧『サンダーアーマー』!!」
これ以上は避けきれないと判断し、被弾してもいいように鎧を身に纏う。
そして弾幕の効果時間が切れる。
「むぅ……。禁忌『恋の迷路』!!」
「恋の…?なんてロマンチックなスペル名…」
だが、名前に反してかなり避けづらい。
ジュウッ…ジュジュウ……
「くっ…」
弾幕が消される音…やっぱ避けきれてねぇ!
そしてまた効果時間が切れる。
「やるじゃない!流石私のエスカルゴね!」
「へへっ、まぁな!」
「でも、次はそうはいかないわよ!禁弾『カタディオプトリック』!!」
巨大な弾幕に続き、中ぐらいの弾幕、小さい弾幕をバラバラと発射してくるフラン。
「えっ…あっ…うわわっ!?」
全く避けられねぇ!!
ピキッ…ピシッ…
「やべ!」
パキィィィン…
度重なる猛攻撃に耐えかね、鎧が砕け散る。
「げぇっ!?」
「今よ!禁忌『レーヴァテイン』!!」
「はぁ!?」
いつも使っている、スペード形のレーヴァテインでは無く、巨大な炎の剣を作るフラン。
「えぇぇぇい!」
ブオッ…
「おいおいおい…!雷武器『雷盾』!!」
振るってきた炎の剣を盾で受け止めるが…
バチバチバチ…シュウウウ…
「嘘だろ!?」
圧倒的な火力に負け、盾は溶かされる。
「えぇぇぇい!!」
ブオッ…
もう一度振るおうとするが、弱点を見つける。
───あれは…大きいだけに、振るのに時間がかかるようだな。なら、そこに付け入る隙はある。でも。
「雷武器『雷弓』…からの…『天昇雷龍』!!」
炎の剣の破壊を試みる。
「えっ…えっ!?追いかけてくる!?」
バァァァン…
龍に噛み砕かれた炎の剣はバラバラになる。
「私もっ!秘弾『そして誰もいなくなるか?』」
「……あり?フラン何処に行った?」
何故かフランを見失ってしまった。
そして、前方に青色の弾幕が見える。
「……遅いな。これなら余裕だ」
…と避けたものの…。
「…え?」
弾幕が連なり、しかも追尾してくる。
「えっ、ちょっ……はぁ!?」
だんだん壁際に追い詰められる。
「混合武器『雷銃&雷砲』」
魔法陣を展開する。
「『エスカルゴ・スパーク』!!!」
極太光線を発射し、追尾してくる弾幕を消す。
「あーあ。やられちゃった」
反対の壁際にフランが見えた。
「へへへ…」
「…まだ終わってないけど♡」
「え」
ピチューン
「やった♪久しぶりにエスカルゴに勝ったわ!」
「今まで手加減し過ぎたんだろ…。これからはずっと本気で来いよな」
「うん♪」
今のでわかった。俺やっぱ全然強くねぇ。
フランがちょっとスペル使っただけでこれだ。
そして先程の勝負…、どうやら、弾幕を消せたと思ったらそうでは無かったようで…囲まれてたようなのだ。何とも厄介なスペルを持ってるものだな…。
「ありがとな。やっぱフランとの特訓が1番強くなれるような気がするよ」
頭を撫でる。
「えへへっ♪ありがと♡」
そして、その時が来た。
ヒビキ「兄貴ィィィ、来たぜぇぇぇ!!」
遅くなってしまった昼ご飯の少し後、外から男の声が聞こえてきた。
カルゴ「……行ってくる」
フラン「気を付けてね!」
カルゴ「もちろん」
油断は禁物、油断は禁物っと…。
レミィ「大丈夫なの?さっきまで特訓してたのに…」
カルゴ「問題無い。充電したからな」
レミィ「クスッ……なるほどね」
カルゴ「じゃ」
背を向け外に出る。
フラン「見に行ってもいい?」
カルゴ「…離れてろよ」
背を向けたまま答える。
フラン「うんっ!」
レミィ「私も行くわ」
カルゴ「そうか」
ま、いっか。
カルゴ「うげっ…」
外に出ると……夥しい数の白狼天狗が居た。