「………………あなた達が私の家族?」
霊子の第一声はそれだった。どこかトゲのある、子供らしい可愛さはそれほど感じない抑揚だった。ツンデレ期の霊愛とも違う、心の底から
「そうよ。私はあんたの母親の博麗霊夢。こっちが父親のエスカルゴ・スカーレット。それであんたの名前は……」
「博麗霊子が私の名前だよね。さっきお父さんから教わった。霊愛お姉ちゃん、霊麗お姉ちゃん、霊魔お兄ちゃんだよね、よろしく」
「私はモルモーちゃんよ〜。あなたのご先祖様ね。よろしくね〜霊子ちゃん♡」
「…………」
モルモーに向ける冷ややかな視線が凄い。冷たいどころか大紅蓮地獄並に冷徹だ。俺に読心の能力があったらきっと躊躇いなく娘の心を読んだだろう。
「あー……神社壊しちゃったんだっけ。ごめんね?」
「ごめんねって、あんたね……!」
「お父さんさ、ボーッとしてないで、さっさとこれ直しちゃったら?そういうの、できるんでしょ?」
「……あのな。確かに直せるが、その前にまず、何故こんな事をしたのか説明するのが筋だぞ」
「え、子供に筋とか説いちゃう?そんなのどうでもイイと思うんだけど。情報量でブン殴られて頭痛も酷いし、早く寝たいからさー……早く直して?」
自分の子供に対してここまでブツンとキたのは、虔魔が妖精を虐殺していたと知った時以来だ。いやそれ以上に頭に来ているかもしれない。こんなの、自己中の範疇を大きく超えている。
ヘラヘラして、何を言っているんだか。霊魔すら眉をひそめて軽く睨んでいるくらいだ。恐らくだが真宵が感知した霊子の悪意というのは、こういったモノなのだろう。
「……とりあえず中の物とかも滅茶苦茶になってるしただ直しても意味は無いな」
「じゃあどうすんのこれ?壊れたまま?」
「……霊子、一先ずお前は寝なさい」
「え」
このままでは口より先に手が出る。そう思った。だから俺はラリホーで眠らせて、とりあえず背中におぶった。この短時間で俺をここまでイラつかせるなんて、ある意味、この子は将来有望だ。
「なんか、少し前の虔魔と喋ってるような気分」
「まァ、気質的には似てるのかもな。虔魔とはまた
『面倒』のベクトルが違うけどな……はぁ。なんか、先が思いやられるな」
「そだね。虔魔は、言い方は悪かったけどそこまで間違ってもなかったし。正論をぶつけ過ぎるから、私もイライラしたけど」
「……虔魔は……シガレットお姉ちゃんのスカートを捲った過去があるから嫌い」
「霊魔、ステイ。とりあえずモルモー、博麗神社の時間だけ戻してくれないか?もう結構な時間が経過しちゃってるから、俺だと制御不能になっちまうと思うんだ」
「そーね、とりあえず20分ずつ戻してくわよ」
「頼む」
神社は、30分ほど時間を巻き戻した段階で修復が完了した。モルモーの事は俺がスキマにて紅魔館に送り、霊子は子供部屋で寝かせ、これから始まるは家族会議だ。
主な議題は、霊子とどう接していくか。果たして結論は……。
「……とりあえず皆、お疲れ様だったな。夕飯の後にロクに休まずバタバタしたが、体調は大丈夫か?」
「まーね。動けなくなるほど食べた訳でもないし」
「そうか、なら良かった。さて、霊子についてだがこれからどうするか話し合おうと思う。とりあえずどのように接していくか、だ。これまでの子供達と違い過ぎて、ちょっと戸惑っちまってるよな?」
子供達は揃って頷く。霊夢もまた小さく溜め息をついて困ったような顔になる。あのような子供は、
「エスカルゴ子供多し」と言えど初めてのタイプ。扱いに困るのも仕方ないのかもしれない。阿弥の時なんかは隠岐奈に任せたが、虔魔の時は咲夜さん、ほんのたまにだが妖精の力も借りて頑張ってきた。それでも彼の矯正はできなかった。そういった事を踏まえると、霊子のこともまたかなり気合を入れて育てていくしかない。
「あんな感じの子供は俺も初めてだからな、きっとこれから色んな意味で力を借りる事になると思う。これは俺の予想だけど、多分、少しでも思い通りにならなかったら怒るタイプの子供だ。あんな感じに軽いノリで暴れられちゃあたまったもんじゃない。霊愛、霊麗は身体の自由を奪う封印の札、ある程度常備しておけ。霊魔は……これからは瞬間的に身体の自由を奪う程度の電撃を出せるように訓練しよう」
「「はい」」
「分かった」
恐らく、あの子は癇癪持ちで発狂持ちだ。最悪な要素が、十重二十重に積み重なっているようにしか思えない。しかしそんなあの子をどこかに幽閉せず育てると決めたのは俺達。責任をもって育て上げ、いずれは普通に接せるようになれればと思う。
今のままでは、とてもではないが普通には接することはできない。何が原因で何が起きて、その結果何がどうなるのか予想もつかないからだ。
「霊夢からは何かあるか?」
「……そうね。真宵ちゃんが言うには既にあの子には悪意というものが存在しているわ。そしてこうしてエスカルゴが人並みの知能を与えた。だからあまり考えたくはないけれど……悪知恵を働かせる事もあるはずよ。とはいえ、差別はしたくない。皆は、血の繋がった家族だからね……。それは分かるわね?」
三者三様に頷く。
「皆、普通に接しましょう。だけどワガママは絶対許しちゃダメ。分かるわね?」
「勿論。好き勝手させちゃ何するか分からないし」
「それどころか、駄々こねれば何言っても言うこと聞いてもらえると勘違いするかもしれないしね〜」
「僕も、舐められないようにしないとなー……」
「まァ〜、悪意があるっつっても、あの子の中身はまだまだ赤ん坊だ。これからどう育つかは、家族の俺らに掛かってると言っても過言じゃねーだろう。余計な事は考えず、普通に接しよう。愛情をもって育てりゃ、まともに育ってくれるはずさ」
虔魔の時は、咲夜さんに任せすぎた。そして当の咲夜さんは、弦月姫を育てた時に甘やかし過ぎたと反省し、虔魔には少し堅めに……業務のような育児をしていた事もあった。その結果が、虔魔のあの暴走だとするならあの子の所業の原因は俺達にもある。
結果、弦月姫と虔魔では、弦月姫の方がまともに育っていると第三者は判断するだろう。手は出していないし出されてもいないが、ファザコンなので、100%完璧ではないが比較的まとも寄りではある。
最初から捻くれてしまっている霊子という娘が、今後どのように成長するのかは……俺達の接し方に、委ねられた。
◆
「フーン……私がこんな
霊子の言う「出来損ない」の真意とは一体……。
【AI】ムッチムチなお空を作ってみた!
https://youtu.be/lOnhHw57qq8
【AI】ムッチムチな霊夢を作ってみた!
https://youtu.be/_vSA_jfi1-A
思ったよりえちえちです。