「ふぅ〜、お菓子作りってけっこー疲れるね……」
「最初はそうかもしれないわね。だけど、慣れればそれも楽しくなるわ」
「そっか。……パパもママも、喜んでくれるかな?」
「ええ、きっと。……持ち帰るのよね?」
「うん!」
「ならお菓子の時間を止めておきましょ」
「ほへ〜……そんな事もできるんだ」
初級編として作ったホールケーキの時間を止めて綺麗な箱に詰める。これで、もし箱を落としても、そう簡単には形を崩さないだろう。
そしてリサは弦月姫の元から離れ、何を思ったかテラスに居る幻月の方へ駆け出した。そして、その可愛らしい箱を見せては笑顔を向ける。
「じゃーんっ!見て、ママ!ケーキ、作ったよ!」
「あら!美味しそ〜ね!ショートケーキ?……しかもホール!?ね、ねぇレミリア、これ、持ち帰っても大丈夫なの!?」
「構わないわよ?」
「わ〜!ホールケーキだなんて……しかもこのサイズ何人分!?6、いや、これはもう7号くらいあるんじゃないの!?」
「8号にて作らせて頂きました」
「8号!?……私、ダーリン、夢月、リサ、エリー、くるみだから……6人で2回食べて丁度良いわねっ!足引っ張っちゃったでしょうけどリサにお菓子作り教えてくれてありがとうね、弦月姫ちゃん!」
「いいえ、足を引っ張るだなんてそんな……。寧ろ、デコレーションについてはリサの方から色々と提案してくれたので、私の方こそ勉強になりました」
「そうなの?リサ、やるわねぇ!」
「ふっふっふ〜……カラフルチョコたっぷりだよ!」
箱をちょこっとだけ開いて見せ、その場の全員に弦月姫と2人で作ったケーキを見せる。レミリアも幻月も一様に驚き、弦月姫とリサは誇らしげに胸を反らして見せる。
「今回は初級編だと聞いていたのだけれど……まさかホールケーキとは……」
「これは私の持論ですが、ケーキはスイーツの基本だと思っています。層の構造はケーキ以外のお菓子にもよく見られます。中でもケーキは層が外からも見えやすく、そして作りやすいのです。ですから、ケーキは基本だと心得ております」
「成程ねぇ。……ふふっ、私もエスカルゴの為にってチョコケーキ作りに勤しんだ事もあったっけね……。今度のバレンタインは私も久しぶりにケーキ作ってみようかしら?」
「!!」
「弦月姫ちゃん。どちらが美味しいケーキを作れるのか、勝負してみましょう?私は数年のブランクがある。だけど弦月姫ちゃんは日常的にお菓子作りをしている────受けてくれるわね?」
「……!はいっ!!喜んで!!」
◆
「いくぜ虔魔ァッ!!歯ァ食いしばれェ!!」
「いつでもどうぞ」
「領域『
「ぐあッ!?」
「&……火金符『セントエルモピラー』ッッ!!!」
「ッ!?」
虔魔が両手に持っていたナイフは静電気で火花が発生。そしてそのまま超高温で燃え始め、ボタボタ水銀のように垂れ落ちては床に穴をあけていく。
「クカカッ……俺の『聖域』は重いだろう……!もう思うようには身体を動かせねェはずさ……」
「……時間を止めても解除はされませんか」
「ったりめーよ……時間を止めた程度でこの俺の重力から逃れられると思うなよ!」
重力の能力と雷の能力を併用する。しかも2つの能力を同時に使うのではなく敢えて個々で使用することで組み合わせの幅はグンと広がる。
息子の訓練という名目で能力を使ってやるのは、セックス後の肩慣らしには丁度いい運動だ。
「成程、確かに軽くなりませんね。ならば解除するしかないですね」
「虔魔もそろそろ大技を作った方がいいぜ!お前、このままじゃあ霊魔どころか駆翔……いや恋夜にまで置いていかれるかもしれねぇぞ?」
「……サポーターの恋夜にも、ですか」
「サポーターっつっても、綺愛羅と組んでない時のアイツは中々だ。本人は、サポーターだって勝手に思い込んじまってる。確かにパッと見ではサポート向きなんだが、アイツは……本質的には
「……!」
「お前は誰かをサポートするのが好きかよ?」
「……」
「違うよな?」
「……」
「これまでの所業を見りゃあ嫌でも分かる。お前は自分で思っているよりもずっと、
「……ですね。ならば……お父様で牙を研ぎます」
「来い!全力で相手してやるッッ!!」
すると、拡張された特訓部屋の壁がドゴッという轟音と共に吹っ飛び、カラフルで小さな物体が濃い残像と共に隕石の如く突っ込んできた。
「パパーーーーーーーーッッッ!!!!」
「ぐぎゃふぅっ」
「お、お父様!?」
その物体に吹っ飛ばされ、俺は壁にめり込んだ。鳩尾に凄まじい衝撃が走り、一瞬死んだ気がする。
目を覚ますとリサが腹に座っていて、後ろから、虔魔が心配そうな顔で見つめてくるのが分かった。どうやらリサがミサイルの如く飛んできたようだ。
「イテテテ……どうしたリサ……?」
「パパが戻ってこないんだもん、探しに来たの!!お菓子完成したら早く帰って皆で食べよって言ったじゃんっ!」
「あ、あー……先、帰っててくれないか?」
「え」
「虔魔の特訓に付き合ってっからさ……。もう少しで終わるから、先に幻月お帰っててくれないか?」
「……言ったじゃん。早く帰って皆で食べよって!!言ったじゃん!!」
目元に涙を溜めたリサは、幻月譲りだと思われる創造の能力にて包丁を手元に
勿論だが娘に自分を殺させるような俺ではない。咄嗟に霊力にて結界を包丁との間に生成し、包丁を受け止めようとする。しかし────。
「がふっ……!?」
「な……お父様の結界が通じない……!?いや、貫通している!!」
見ると、リサの手が包丁と一緒に俺の結界を透過していた。貫通ともまた違う。まるで、蜘蛛の巣を手で突き破ったかのような────そんな歪み方だ。
「な゙……んだ…………こりゃ…………!?」
「……パパが悪いんだよ?約束したのにそれを破るんだもの」
「ッ……け……虔魔ァ……!」
「っ!はいッ!!」
虔魔が時を止めた。それに伴って、リサは動きを止め、俺はようやく娘の刃から逃れる事ができた。抱っこする要領でリサを抱き抱えて、一緒に包丁を抜き、穴の空いた心臓を治癒させる。
「フーッ、痛かった……死ぬかと思った」
「流石の治癒力ですね」
「鍛えりゃ、そりゃあ成長もするさ……」
「成程です。それにしても、リサの攻撃がお父様の結界を貫通したのは何なんでしょうか?」
「さぁな。結界を壊すのならまだ理解も及ぶがな、今のあれは……貫通っていうか、透過っていうか……アレは何なんだろうな」
「不思議ですね。シャボン玉に指を突っ込むように包丁を刺してきましたよね」
「あぁ。まぁいい、解除してくれ」
「はい」
虔魔が停止を解除する。するとリサはそのままの勢いで床に包丁を突き立て、大理石のような床に、穴をあけてしまった。
「パパが瞬間移動……?」
「虔魔に時を止めてもらって回避させてもらった。お前の言い分は分かった、俺が悪かったから、もう帰ろう────」
「やだ!パパが死ぬまで許さないもん!」
「……!」
リサは、構えも何も無く、ただただがむしゃらに突進してくる。今度は虔魔ではなく、余裕をもって俺が時を止めた。……かに思われたが、リサの動きは止まらず、驚きで動きが止まった俺の胸元に、再度包丁が深々と突き立てられた。
「……ゲハッ……」
「なっ……ば、バカなッ!!何故動けるのですか!?時間は止まっている!時間能力者以外、この世界で動けるはずがない…………ッ!!」
「つい最近気付いたけど、これが私の能力なんだ。私に対しては絶対に嘘をつけなくなる。もし、私に嘘をついたら……私が攻撃するまで、私は無敵!」
「……よく分からんが我が娘ながら厄介な能力だな、それならそれでいい、俺を殺せ」
「言われなくともッ!!やああぁぁっ!!」
ゴキャッ……と勢いだけで周囲の肋骨も折るくらい強く包丁を突き立てる。さっきもそうだが、俺なら心臓に穴が空いた程度では死なない。
しかしリサはそれを知らないのか、俺を殺したと思い込んだようで、俺に包丁を刺した直後から時間停止の影響を受けて、動かなくなった。
「……う、動かなくなった?」
「みたいだな。リサの能力、何となく分かったぜ。こりゃあ……ちっと厄介かもしれねェな。ココ最近のリサとのやり取りを考えると……うん、リサの能力は大体分かった」
「どういう事です?」
「……虔魔。幻想郷と、それからお前が1人で行ける範囲の異世界だけで構わないから、これよりすぐ、兄弟姉妹に通達しろ。『デビリサエルとは、単なる口約束も含め迂闊に約束してはならない』。絶対に伝えろ。分かったな」
「はい」
「持ち場を離れた事については俺から咲夜さん達に伝える。だから今すぐだ」
「かしこまりました。只今より任務に向かいます」
時間停止を無効化することが能力なのではない。まして物体を創造するのも能力というワケはない。創造なんて、夢幻世界を創造した夢幻姉妹の能力の一端でしかないのだ。
「……全子供達の中で……いや、俺も幻月も含めて、誰よりも悪魔らしい能力を持ったもんだな……ッ」
十中八九、この考えで間違いない。リサの能力は対象に契約を強制的に守らせる類いの能力だ。
ただしその契約は守らず無視する事もできるが、その代わりにリサが与える罰からは逃れられない。時間停止をも無視して動けたのは、そういう事だ。
つまり「約束を守る」か「罰を受ける」の二択。正確には
そして、虔魔の時間停止では動けなかったのに、俺の時間停止では動けたのも、リサの攻撃の対象が虔魔ではなく俺だったからこそ。
更に、俺に攻撃した直後に時間停止の影響を受け動きが止まったのは、リサが俺に罰を下したと認識したからだ。リサの能力は、論理的に見えても結構恣意的らしい。
リサの能力の攻略法は1つ。そもそも、リサとはそう簡単に約束事をしない事だ。リサの認識が能力発動のトリガーだとすれば、迂闊に約束をしない事こそが絶対の防御法となるだろう。
デビリサエル・スカーレット
愛称:リサ
二つ名:天使風メスガキ悪魔メイド(父親命名)
能力:契約を履行させる程度の能力
綺麗な薄めの金髪ロングヘアーをツインテール風にまとめている。あくまで「ツインテール風」でありここあのような完全なツインテールではないもののAIにその辺の指定は難しいので、ツインテールになっている。それもまた良し。
彼女の能力は、文字通り「契約内容を実現させる」ものであり、彼女との口約束がそのまま「契約」と設定され、それを契約者に実行させるというもの。
ただし、契約に強制力は全く無く、彼女との契約は普通に無視する事ができる。その代わり契約無視に伴う彼女が下す「罰」からは決して逃れられない。
例:天子は刃物を通さない肉体をしているが、もしリサとの約束を破った場合、リサが「約束を破った罰だ」と認識して彼女を刃物で刺した場合、普通に攻撃が通ってしまう。リサが「罰を下した」と認識するまで、その状態は継続する。
また、彼女の契約は物理的に不可能な事でも契約を結べてしまう。その場合も、契約を無視した場合は彼女からの「罰」からは逃れられない。
契約を破棄したい場合は彼女を説得するしか方法は存在しない。
リサとの契約の「定義」は、例え表面上だろうともリサと対象が同意すること。腹の中では契約する気なんか無くとも、表面上リサに合わせて同意したらその時点で契約を結んだ事になる。
【AI】リサを作ってみた!
https://youtu.be/NP8NUpLQibc