「えーそれではこれより第……何回目でしたっけね。我々子供達の、子供達による、子供達の為の会議を始めたいと思います。今回は新入りです。前々回の真宵、前回の霊子に続き、今回は父上と幻月さんの娘とのことです。では、自己紹介をお願いします」
子供達の雑談集会。例によって、穹が司会役だ。真宵が生まれた時も、霊子が生まれた時も子供達はこうして集まっては、顔合わせや自己紹介を兼ねた雑談をしていた。
「へ〜、こうやっていつも集まってるんだ?」
「いつもではありませんが、まぁ、ちょくちょく……ですかね。我々がイベントを企画して、何かしらのイベントを開催することもありましたからね」
「ふぅん……」
姉兄達をチラチラ見やるリサの視線は、どこか、軽く舐めているようなものだった。そういった事に目敏い巫月はちょっぴりムッとするが、それを顔に出さないのは流石である。
反対に妖舞は、かつて弦月姫に下に見られていた過去があるからか、同じくリサのそういった目線に気付き、軽く睨みを効かせていた。
「では自己紹介からお願いします」
「はーい。デビリサエル・スカーレットよ!能力は今は秘密にしとくね!とりあえず嘘は許さないからそのつもりでよろしくね?」
子供達は既に虔魔からの伝達で知っているので、リサのその発言を聞いても、何も焦る事も、また、特に驚く事もなかった。
反対にリサは、思っていたよりも反応が薄い事に少々の困惑を隠せない様子だったが、姉と兄が合計22人も今この場に居ることの方が、リサにとっては大きな出来事だったのもあって、違和感などすぐに忘れて皆との話に夢中になっていた。
「ねぇ?この中で最強なのって誰なの?」
「そりゃ……巫月お姉ちゃんだよね」
「巫月お姉様だよー」
「間違いなく巫月お姉ちゃん」
「巫月の姉御だな」
満場一致だった。真宵、霊子の2人だけが実感が無さそうにしているが、リサも馬鹿ではないので、その2人が「最強」を問われて煮え切らない態度を示している理由については察していた。
「じゃ、巫月お姉ちゃんに挑戦しよーかな!私が、この中で最強なんだって知らしめる為に!」
「……面白そうだね、受けて立ってあげる。だけど、今は話し合いの場だから、また今度だね」
「ちぇ〜」
チラリと真宵を見る巫月。真宵は小さく頷くと、リサの「闇」を吸い取って、心をまっさらな状態にしてしまう。
それからは、姉や兄を挑発して戦おうとする事は無くなったものの、逆に、ぶりっ子っぽい態度に。これはこれで少しウザイなと思う者も、チラホラ。
そんな中でも、妹を避ける事は良くないと考え、上の者達は下の者達を宥め、ついでに姉兄としての余裕をこれでもかと見せ付ける。
「皆が揃ってバトれるのが今から楽しみだねぇ♪」
「どうせ最後は私とお姉ちゃんの頂上決戦でしょ。いつもの事だよ」
「そろそろ私も、姉上達と肩を並べられるレベルに成長できたと思いたい所ですが……」
「穹お姉様は
「そんでもって、そんな姉上よりも俺の方が戦績は上だしな。……最近は、だけど」
「妖舞お兄ちゃんって、冷静だったらそれなりには強いもんね。私の方が強いけど」
(霊麗って意外とズバズバ言うなぁ。あー、大学に秘封倶楽部の活動にと、全然特訓できてないや……。まぁ仕方ないけど……お母さんにバレたらヤバそう)
「そ、そろそろ私だって、神の子供としての強さ、見せてあげるんだから!」
上の4姉妹はそれぞれ1歳差。次の4兄妹は全員揃って同じ年齢であり実力も樹理愛以外はそこまで離れていない。とはいえ樹理愛は神の子で、天候を司る能力。能力を及ぼせる範囲だけで言うのなら、時間を操る弦月姫を除けばトップクラスの範囲だ。
「リサは、中々生意気だねぇ」
「……は?誰?今、私を生意気とか言ったの誰!?」
バンバンと床を叩いては、眦を吊り上げて辺りを見回す。何人かはチラチラと虔魔を見るが、勿論、虔魔ではない。
こういった事を言うのは虔魔だが、虔魔は以前の妖精との一件で相手の事を考える能力を身に付けているのだ。では誰か?……阿弥である。
「あたしだよ」
「……誰、あんた?」
「エスカルゴチルドレンの第十二女、摩多羅阿弥。賢者の娘、やらせてもらってるよ」
「賢者?……あぁパパから聞いた事あるよ。幻想郷を創ったお偉いさんだっけ?で?そんなお偉いさんの娘が、この私に……何ッて言ったの?」
「その可愛らしいお耳は飾りかな?創造魔法とかが使えるんなら地獄耳に改造してみたらどうかなぁ?
『生意気だ』って言ったんだよ〜」
「私のどこが生意気よ!」
「大方、両親が大悪魔レベルの悪魔だから自分も、なーんて考えているんでしょ?『井の中の蛙大海を知らず』って言葉、知ってる?ここに居るあなたの姉、兄達は……その殆どがあなたよりずっと強いよ」
「……ッ!」
「どーせ、身近な人……パパやママ、同居人達としか戦ってこなかったんでしょ。だから、リサはそんな世間知らずな事が言えるんだよねぇ。地底の大会で夢幻館メンバーの戦いは何度も見させてもらってる私達だから言わせてもらうけど……あそこの悪魔達、メイドと天使以外、大したレベルじゃあないよ」
クスクスとわざとらしく笑って見せる。リサは、そんな阿弥の思い通りにドンドン頭に血を上らせて顔を真っ赤に染めていく。
真宵はそんなリサの補助に入ろうとするが巫月が手でそれを制止する。巫月にも思うところがあるのだろう、今回は結構な荒療治を施すつもりらしい。
「た、確かにくるみやエリーはパパ、ママ、夢月に比べたらそんなでもないけど……でも弱くないもん!誇り高き悪魔なんだから!!」
「……くっだらな〜。誇り、だって。ふふ、なんだか可笑しいね。笑わせてくれるじゃん、生後間も無い赤ちゃんが『誇り』だって。不動の『最強』である巫月お姉ちゃんに挑むし、生意気だし……何て言えば良いかな?……見てて聞いててイラつくんだよねぇ」
「な、何ですって!?失礼よ!?」
「そう?事実を言ったまでだけど。私、建前とかは使わない派なんだよね。まどろっこしいんだもん」
「…………ブッ飛ばす!!」
「アハッ、誇りを貶された程度でブチギレとはね。底が浅いね。やっぱ格が違うんだね。見てみなよ、レイチェルお姉ちゃんを。誇り高き吸血鬼だけど、あれこそ
「……もういい!帰る!!」
「子供のワガママだね。いいよ帰りなよ、後戸なら開いてあげる」
「……」
「反撃も無し、ね。言い返さない、反撃もしない。誇りとやらは風にでも吹かれて飛んでったのかな?あぁ、それは埃か。ま、大差無いけど」
「うぅあああああああああっっ!!」
突如身を翻し阿弥に殴り掛かるリサ。それを見て阿弥はニヤリと口角を釣り上げ、初めて非スペカを皆の前で発動して見せた。
「『フェイス・バインド』ッ!!」
「うぇっ……!?う、動けない……」
「あたしの能力は《表を司る程度の能力》。これは概念に干渉する能力でね。建前を
「……!?」
「あたし、過去には建前を無くさせる方向で色々と遊んだんだよね。だから逆に今回は……建前しか
「ひっ……」
「大丈夫、あくまで身体の動きだけだから。言動はそのままにしておいてあげてるでしょ?」
ギリリと歯を食いしばるリサ。阿弥はニタニタと陰湿な笑顔を向けている。やがて、リサの身体は、大人しくその場に座り込んだのだった。
「……チートだわこんなの……!!」
「チート?何言ってんの?私、神の子なんだけど。神ならこれくらい、出来てトーゼンでしょ。まぁ、悪魔には分かんないか」
なお、この場に居る者の大半が悪魔で、神の子と言えるのは樹理愛、阿弥、恋夜、綺愛羅のみという圧倒的少数派である。
主語が無駄に大きい阿弥の発言により、これまた余計な溝が発生してしまったのは言うまでもない。
そしてリサは、姉の恐ろしさと、自分の未熟さを早々に思い知らされてしまったのであった。
ここでの「フェイス」は、顔ではなく「トランプの表」のフェイスから来ています。
阿弥はエスカルゴファミリーの中のジョーカー的な存在なので。
【AI】パチュリー作ってみた
https://youtu.be/qljJHj7EaxY