子供達の雑談集会が終わり、阿弥や茜は、全員を元いた場所に送り届ける。この場合、年功序列だ。だから最初は巫月、最後は末っ子であるリサだ。
「はーっ、散々な目に遭ったわ!」
「ごめんね、阿弥は思ったことズバズバ言っちゃう性格でね……悪気は無いんだけどさ」
「それは私もだけど!でもアレ完全に怒らせる気で喋ってない!?」
「その可能性も……否めない気はするけど」
メリーとて妹相手にそんな事は考えたくないとは思っているものの、そうだと思えてならない瞬間がちょくちょくあったりする。
そしてプンプンと怒っていたリサも、姉が、若干ではあるが肯定の意を示してくれた事で、気持ちがほんの少し落ち着いたようだった。
「……。思ったんだけど、なんでパパの子供達の中であなただけ大きいの?……茜お姉ちゃん、だっけ?」
「私?私は……いつかは賢者として活動するのが約束されているから、子供の姿じゃダメなんだ」
「ふーん……?でもあの阿弥ってお姉ちゃんは子供の姿だったけどね」
「それはその、阿弥も賢者の娘だけど、次期賢者が確約されてる訳じゃないというか……って、この辺はあんまり口外しない方がいいから、今のは秘密ね」
「……?分かったよ」
一応、夢幻館は博麗神社の裏山の中にあるので、彼女もまた幻想郷の住人ではある。しかし、自身と境遇が違い過ぎて、リサはあまり身近な事と捉える事が出来ず、どこかフワフワとしている中途半端な気持ちで聞いていた。
例えるなら「今この瞬間も世界のどこかで戦争が起こっているんだぞ」と、平和な国の中で言われているとしても、イマイチ実感が持てないような……。
リサにとって「賢者」というのは、自身が想像もつかない凄い人、お偉いさん、という認識である。しかしそれは、あながち間違ってもいない。
目の前に立っている、一見大人に見えなくもない姉が、将来そうなるというのは……リサにも何となく理解はできていた。纏う雰囲気は勿論のこと、先の子供達の雑談集会の場である「スキマ空間」なんてモノが容易く作れてしまう能力……どう見ても一介の妖怪などではない、超越者に思えた。
「じゃあ、あの双子のお姉ちゃん達は?どう見てもあの2人も他のお姉ちゃん達より身体大きいよね」
「ここあ、シガレット?あの2人は生まれつき成体だけど、2人の趣味で、大人じゃなくて少女の姿に設定してるんだよ」
「えぇ……。じゃあ自己紹介で名乗ってた『長女』や
『八女』とかの順番に嘘は無いの?」
「勿論!そんなので嘘ついても、意味無いしね」
「へぇ〜……何だか凄いなぁ……」
「……?何が?」
「だってさ、23人も居て順番をちゃんと覚えてるんだもの。私なんて、さっきの話し合いの中でやっと覚えたのが、巫月お姉ちゃんが長女で、あと、霊愛お姉ちゃんが次女で、私が十八女って事だけだよ」
「ふふ、最初はそんなものだから大丈夫だよ。あの真宵だって最近生まれたばかりだからね、その辺の認識は案外リサと変わらないかもよ?」
「ふーん……そっか。今度、皆のとこに遊びに行ってみようかな」
「それで交流を深めるのもイイわね」
「うんっ!」
リサがまず最初に気になったのは、現在進行形でこうして話しているメリーだった。賢者の娘、将来賢者になることが確約されているメリーが、普段はどんな生活をしているのか……。
しかしリサがそれを尋ねてもメリーははぐらかすばかりで、まともに取り合ってくれなかった。外の世界で生活しているなどと言ってしまえば、リサが羨むのは目に見えていた。
リサはワガママな気質が強い。初見のメリーでもそれが見抜けてしまう程あからさまだったからだ。
「あ。リサももうすぐ『お姉ちゃん』になるから、あんな風に誰かに挑発されても我慢したり、やたら反抗したりとかはダメだからね?」
「え?私、数週間前に生まれたばっか……」
「あと2、3ヶ月もすれば、末っ子が生まれるよ。永遠亭に住んでる人とパパの子供で、女の子なのは確定してるってさ」
「えー……」
「大丈夫だよ。『末っ子』なんて肩書きは、すぐに継承されるものだからね」
「なんか凄い……」
「私達だけの価値観かもしれないね」
「……」
「じゃあねリサ、また近いうちに」
「あ、うん。……ありがとね、茜お姉ちゃん」
「どういたしまして」
こうしてリサは茜に夢幻館まで送ってもらって、何の問題も無く無事に帰宅した。
そしてリサは、茜から言われた「もうすぐ自分もお姉ちゃんになる」といった、もうすぐ来る確実な未来について、あれこれ思案するようになった。
◆
「ママ〜」
「あ、おかえり〜。どしたの?何かあった?そんな神妙な顔してぇ」
「んーと、ね……もう少しで、私も『お姉ちゃん』になるんだってさ」
「〜〜〜〜〜ッ!?」
リサの予想外の発言に幻月は思わず紅茶を吹く。幻月は、自身の妹である夢月が妊娠したと考えた。しかし幻月が紅茶を吹いた事に驚いたリサが詳細を説明すると、サグメの妊娠についてはとっくに把握していた事から、逆に安堵の溜め息をついた。
「は〜、びっくりしたわぁ、夢月まで孕んだのかと思ったじゃないのよー……」
「アハハ……ごめんごめん……」
「永遠亭のって言うと、サグメさんだっけ。確か、ダーリンが言ってたなー。年末か年始あたりに出産予定だったはずよ」
「じゃあホントにあと2、3ヶ月なんだ……」
「そうなるわね。ま、末っ子も末っ子から2番目も大差無いわよ。どちらにせよ半年も差は無いしさ。だけど、その『次の子』は……」
「…………ママ?」
「ううん……何でもないわ。これは、私が考えたってどうにもならない問題だからね」
「問題?」
「……ええ。次の子は、育てるのが大変なのが確実と予想されているわ。だから……もしかしたら、長期間ローテーションは凍結されるかもしれないの」
「え」
「だから……今のうちにパパと遊んでおきなさい」
「……なんで?なんで、長期間……」
「これはこの前、レミリアの話を聞いた霊夢からの話を聞いたダーリンから聞いたんだけど────」
(凄い連絡網だなぁ……こうして話が広まるのかぁ)
「まず安産なのは確定なんだけど、その子の能力の関係で、目を離せないどころじゃない大騒ぎになるらしいの。だからね、そのヤバイ未来を変える為に厳重な態勢で挑むらしいのよ」
「そう、なんだ」
「実はレミリアのヤツ、誰かが妊娠出産する度に、無事かどうか、安全に事が進むかどうかを未来予知してるみたいでね。何も無ければ何も言わないけど今回は……ヤバイ事件が発生したらしいから、一部の人達……まぁ主に当事者ね。当事者をはじめとする、ハーレムの主要メンバーには全て伝達したそうよ。何が起きるかは言ってくれなかったみたいだけど」
「レミリアさん、すご……」
「ね。私達、知らないとこで助けられてたみたい。あんなチンチクリンに見えてさ、しっかりしてるんだから。……ったく……」
「次の子は大変、か。……ママ、私に魔法を教えて。私も……ママやパパみたいに、魔法で色んな事できるようになりたい!」
「リサ……!分かったわ!くるみとエリーを実験台にいっぱい特訓するわよッ!!」
「じ、実験台にするのは、まぁ、程々にね……」
「!!……リサがちょっと優しくなった……!ママ、嬉しいわ!」
「えぇ……それは大袈裟……」
司会者にとり!
https://youtu.be/yGSNk-gfMaI
雛を作ってみました。
これまでで一番動画の編集を頑張りました。
これに関しては、特に最後まで見てほしいです。
https://youtu.be/rTIW0q1HQ2k