ヒビキ「うおぉぉぉぉおおおお!!!」
カルゴ「フンッ!」
ガキィィィ…
何度目だろうか…こうして武器を交えるのは。
毎回思うのだが、何故太刀から感電しない?
柄の部分は絶縁体なのか…?
他の白狼天狗たちは太刀から感電したんだぞ。
…まぁいい。
武器を介して感電しないのなら直接刺すまで。
いや、ここは男らしく殴ろうかな。
カルゴ「まだまだだな。ハァッ!」
キィンッ!ビシュシュシュ……
受け止めた刃を弾き、連続の突きをお見舞する。
ヒビキ「うおっ、おっ、ちょっ…」
何とか太刀でいなすものの、体勢を崩す。
───今だ。
カルゴ「『雷神拳』」
ボグゥッ
ヒビキ「ガハァッ……」
拳に雷を纏わせ強化させて腹パンし、高々と舞い上がらせる。
カルゴ「オラどうしたァ!」
ドカァッ
ヒビキ「グッ…」
ドオォォ…
追撃の手を緩めない。
舞い上がったヒビキの体を、今度は地面に叩きつける。
ヒビキ「ゲホッ…ガハッ…」
ガシッ
カルゴ「どうした?お前から挑んできたのにこの程度か?」
右手でヒビキの胸ぐらを掴み上げる。
椛「ヒビキぃぃ!!」
悲鳴を上げる椛。
ヒビキ「………」
シュッ……ガシッ
カルゴ「おっ、危ないなぁ」
黙って振ってきた太刀を、左手で掴み、受け止める。
ヒビキ「クソォッ!」
ドカッ
カルゴ「ぐっ…」
掴み上げられていた事をいい事に、思い切り腹を蹴ってくるヒビキ。思わず手を離してしまう。
ヒビキ「へへ…少しは効いたろ?」
距離を取り、太刀を構えるヒビキ。
カルゴ「この程度、勇儀さんのパンチに比べりゃあ赤子のビンタと変わらねぇよ」
この言葉に、フランとレミリア、天子以外の観客はどよめく。
文「勇儀…まさか、星熊 勇儀さんですか!?」
目を見開き、思わず叫ぶ。
フラン「エスカルゴね、この前地底でその人に勝ったのよん♪」
レミィ「それはもう壮絶な戦いだったわねぇ…」
うっとりとした表情のレミリア。
文「そんな大スクープを見逃していたとは…新聞記者失格です…!」
フラン&レミィ「いや、あなた地底に居なかったでしょ」
文「うぅ〜…はたてぇ〜…」
はたて「はいはい、よしよし」
ガックリ肩を落とす文…とそれを慰めるはたて。
霊夢「やるわねアイツ…」
フラン「エスカルゴだもの♪」
霊夢「私でさえかなり苦労したっていうのに…」
レミィ「霊夢もあの鬼と戦ったことあるの?」
霊夢「ええ、結構前にね。死ぬかと思ったわよ…。というか、身体強化して無かったら確実に死んでたわね」
レミィ「まぁ…あの強さは異常よね」
フラン「そうね…」
レミィ「それを超えたエスカルゴもかなり異常だけど」
フラン「あらお姉様、私さっきエスカルゴの事倒したわよ?♡」
満面の笑みでサラリと言いのける。
レミィ&霊夢「ゑ゙…?」
ヒビキ「赤子だぁ…?バカにすんのもいい加減にしやがれ!」
カルゴ「勝ってから言え」
ヒビキ「上等だッ!!」
まぁたそーやって真っ直ぐ突っ込んでくる…。
カルゴ「雷武器『雷砲』」
ドオオオオオン…
ロケランを構え、ぶっ放す。
ヒビキ「はぁっ!!」
カルゴ「!?」
弾を一刀両断するヒビキ。
ヒビキ「うるぁぁ!」
ビュオッ
真一文字に太刀を振る。
───しゃがみ…いやダメだ、首が飛ぶ。
一瞬戸惑ったものの、ステップバックして斬撃を回避する。
ヒビキ「うおっと…っと…」
空振りしたヒビキは、体勢を大きく崩す。
カルゴ「終わりだ。一閃『Mishap of Thunder』」
ヴォン…ギュウウウウウ…
これまでに無い程の、超極大の魔法陣を展開。
そしてそれを更に広げていく。
文「おぉっ!?特ダネっ!」パシャパシャッ
写真を撮る文の声が聞こえてきた。
椛「ダメっ…あんなの喰らったら絶対にタダじゃ済まないわ!逃げてぇ!」
ヒビキ「クソッ!」
カルゴ「────遅せぇよ。召・喚!」
ズアッ…ズドォォォォォォォォン!!
超極太の落雷は、真っ直ぐに落ちてきて確実にヒビキを貫いていた………と思われたが。
ヒビキ「うぐぁぁ…っ…」
足が痺れたのか、地面に倒れ込み呻き声を上げるヒビキ。
椛「ヒビキっ!!」
雷が落ちた地点には巨大なクレーターが出来ていて…ヒビキが持っていたはずの太刀はその中に落ちていた。
カルゴ「ほー…なるほど」
落ちる瞬間に太刀を放り投げ…雷の軌道を僅かにズラしたんだ。そして、太刀を投げた方向とは逆に避けたから、直撃は免れたと。
側撃雷により痺れた…ってとこか。
いや、この場合は側撃雷じゃなくて誘導雷か?
──────────────────────
誘導雷は、どこか別のところに落雷したときに、直撃されたものに多量の電流が流れると同時にその付近には非常に強い電磁界が生じて、電磁誘導現象により近くにあるものにも高い電圧が発生。
対象物にそれまで誘導されていた電荷が、落雷によって中和状態から一挙に高電圧の状態に変化して雷撃を受けたような状態になることを指す。…らしい。
──────────────────────
つまり、あまりの高電圧に地面は吸収しきれず、周囲に漏れ出し、直撃を免れたハズのヒビキも感電した…っつーことだろう。多分。
側撃雷は高い樹木の下にいた時等になるやつだ。
だから側撃雷では無い…ハズ。調べておこう。
あーあ…自然の雷じゃないから誘導されやすいとはいえ…ここまで簡単に逸らされると傷付くなぁ…。
カルゴ「ま、とりあえずもう動けないだろ?」
ヒビキ「くっそが…!」
カルゴ「お前は戦闘不能、つまり俺の勝ちだ」
これ以上手を下す事も無い。
俺とて、弟にそこまで怪我はさせたくないしな。
ヒビキ「まだ……終わって、ねぇぞ…!」
ん…?
あまり痺れてなかったのか、よろめきながら立ち上がるヒビキ。
カルゴ「…効いてないのか?」
ヒビキ「効きまくりだぜ全く…ちゃんと避けたってのによォ…」
カルゴ「そうか。なら今度こそ終わらせようか」
ヒビキ「!?」
はぁ…めんどくせぇ奴…。
カルゴ「『分身』」
バチバチバチ……
分身「よう、俺」
カルゴ「おう。…アイツのこと抑えてろ」
分身「へぇ…。いいぜ。こっそり…だよな?」
カルゴ「ったりめーだ」
分身「了解」
バシュッ
分身は目にも止まらぬ速さで飛び立った。
恐らく、隙が出来るのを待つんだろう。
ヒビキ「分身…!?しかも、何処行った…?」
椛「そんなっ…エスカルゴさんが2人なんて…」
地面に降り、力無くペタンと座り込む椛。
ここでボコしておけば、山から天狗が送られてくることも無くなる…かな?
カルゴ「せいぜい、死なないように歯ァ食いしばってろや。絶技『天翔雷霆零槍』!」
最大限に力を溜める。
ヒビキ「させ…ねぇ!」
力を溜めている間に、ヒビキは太刀を取りに戻り、攻撃を仕掛けてくる。
カルゴ「チッ…まぁ、待ってくれないか」
ヒビキ「うおおおおおおお!!」
分身「混合武器『雷刀&雷銃』」
ジャキィィィン…
ヒビキ「んなっ…!?」
俺目掛けて突進してきた所を、大量のナイフで囲まれたので急ブレーキをかけるヒビキ。
カルゴ「ナイス」
分身「当たり前だ。俺はお前だぞ」
カルゴ「フンッ、そうだったな」
分身「行け」
ドシュシュシュシュ……
ヒビキ「うあぁぁあぁあああぁあ!!」
全身にナイフが突き刺さり、全身が痺れたので地面に倒れ込む。
ヒビキ「うっ…ぐ…」
分身「こいつしぶといな」
カルゴ「抑えろ」
もう力は十分に溜めてある。圧縮も完了だ。
分身「へいへい。…オラ立て」
脇の下に手を入れヒビキを立たせる。
ヒビキ「触るな!痺れてんだろが!」
分身「黙れ」
ヒビキ「いいから放せ!」
よし、今だ。
カルゴ「喰らえぇええええ!!!」
ヒビキ「うおっ………」
グサッ…
ここで一言、人間の頃に知識として得た名台詞を吐いてみせる。
カルゴ「兄よりすぐれた弟なぞ存在しねぇ」
ヒビキ「…………」ガクッ…
分身「うわー、俺諸共かよ」
そう言って分身は消えた。
ドシャアッ…
自身を支えていた分身が消えたことにより、支えるものが無くなったヒビキは今度こそ倒れる。
カルゴ「ふぅ…やっと終わり、か?」キョロキョロ…
辺りを見回し、気絶していた白狼天狗達が目覚めていたのに気付く。
男白狼天狗1「ヒビキ隊長が…こ、こんなに呆気なく…?」
男白狼天狗3「やっべ、すげぇな。惚れそ」
男白狼天狗2「おい、お前そんな趣味だったのか?」
男白狼天狗3「強くてかっこよくて大胆で…そんな人だぞ?ヒビキ隊長のお兄さんは。凄いと思わないか?」
男白狼天狗2「ま、まぁな…」
カルゴ「残りの連中は、どうするつもりかな?相手して欲しいってんなら、好きなだけ相手すんぞ!」
実はもう、立ってるのもやっとな程に満身創痍だが、ここで強い事をアピールしておけば戦意喪失させられるだろう。
最も、満身創痍なのはヒビキのおかげではなく使用したスペルの反動なのだが。
白狼天狗一同「結構です!!」
震える声で息を揃えて頭を下げる白狼天狗たち。
この後、上司にこっぴどく叱られることだろう。
だが、その中で1人、進み出る者がいた。
椛「ヒビキの仇…!」
犬走 椛だ。
女白狼天狗3「もう止めてください!山へ撤退を!」
椛「なら勝手にそうしなさい。私はまだ、任務を諦めたわけでは無いわ!」
ふむ…。本来の任務は、戦わず、ヒビキと共に指揮だけの予定であったが、部下、ヒビキがやられた事で後が無くなり追い詰められた…ってとこか。
でもな。満身創痍でもやれる事はあるんだよ?
圧縮したおかげで、溢れる力を抑えられた。
つまり、まだ100%電力を使い果たした訳では無い。…1%程しか無いが、やれる事はある。
…悪いな、椛。
戦いの合図を出される前に…お前は負ける。
トスッ…
椛「っ!?」
ドシャアッ…
一瞬で気絶し、倒れた椛。
白狼天狗達「隊長!!」
白狼天狗達が椛を揺するが反応は無い。
何のことは無い。足から地面へエネルギーを流し、椛の後ろから首に突き刺しただけ。
言うなれば、“遠隔スタンガン”だ。
パルスィ戦の時に使った戦法だ。
カルゴ「さぁ、今度こそ終わりだよな。ヒビキと椛を、連れ帰ってくれ」
NO.3白狼天狗「撤退、撤退だァ!!」
男白狼天狗達がヒビキを、女白狼天狗達が椛を抱えて、山に帰って行った。
ドサッ…
カルゴ「ふぃ〜…」
その場に座り込み、尻ポケットからモバイルバッテリーを取り出して手首に突き刺す。
フラン「お疲れ様、エスカルゴ♪」
カルゴ「フラン…」
そばにはフラン、レミリア…文が立っていた。
ギュッ…
座り込んでいる所を抱き締めてくれたので、俺も反対の腕でフランを抱く。
フラン「えへへっ♪」
文「お疲れ様でした、エスカルゴさんっ!」
カルゴ「あ、どもです。やっぱ来てたんですね」
文「もちろんですとも!様々な写真が取れましたよぉ〜!」
カルゴ「…例えば?」
文「天人に抱き着かれるところ、突然フランさんにキスするところ、スペルカードの発動の瞬間、超巨大魔法陣etc.....」
カルゴ「流石です、文さん…」
流石としか言えない。
文「伊達に新聞記者やってませんからねっ!」
そう言って胸を張る文。
天子「ご主人様ぁ〜、早く早くぅ〜…」
遠くから声が聞こえる。
カルゴ「あー…アイツのことすっかり忘れてた」
ポリポリ頭を掻く。
文「あの人とエスカルゴさんはどんな関係なんですか?まさか彼女さんだったり…」
吸血鬼3人「絶対無いから」
文「じゃあどんな関係で?」
カルゴ「ペット」
文「……え?言ってる意味がよく…」
カルゴ「あいつMだから、俺にイジって欲しいみたいで…」
文「何故そんなことに?」
カルゴ「この前の異変解決の時に懐かれたっつーか…そんな感じです」
文「イジるとは…具体的に何を…」
カルゴ「……すいません、そこはちょっと…」
目隠し、拘束、鞭打ち、踏み付け…。
言える訳がない。
それに、新聞にさせてはならない。
文「お願いしますよぉ!何でもしますからっ!ねっ?」
手を合わせてウインクする文。
カルゴ「ん?今何でもするって…」
文「ええ、何でもしますから!」
カルゴ「へぇ〜〜〜……」
今の俺は、とんでもなく黒い笑みを浮かべている事だろう。
文「私、何されちゃうんでしょう…」ボソッ
カルゴ「えっ?…何かしていいんですか?」
“文が”するのではなく、“俺が”するのか。
それも悪くない。
文「あやっ!?何でもありません!!」
カルゴ「そうだなぁ〜…じゃあ、中でゆっくりお話しましょうか」( ^∀^)ニコォ...
文「あやややややや…」
カルゴ「フラン、中行こーぜ」
フラン「うんっ!」
充電してるおかげで、先程よりキビキビ動ける。
本当に、にとりには感謝しかねぇや。
そして、3人…いや、文含め4人で紅魔館の中へ戻るのだった…。