※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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粛清

 これまでに何度も感じた覚えのある気配。それが映姫と一緒に是非曲直庁の中にあると感じ取って、俺は、点と点が繋がったような気がしていた。

 既に避難誘導がされた後らしいのに、何故、この2人の気配だけは未だに庁舎内に留まっているか。裏でやり取りしていたから……なのかもしれない。

 

 

 ◆

 

 

「では私達はそろそろ退散しましょうか。閻魔様も早く避難しなければ怪しまれますよ?」

 

「ッ……」

 

「んぇっ!?ひゃわわわわ……!!」

 

「どうしたんです、カワウソ霊……ッ!?」

 

 映姫に「地獄から出て行け」と言われ八千慧達は素直に出て行こうとする。けれどもそれは、入口を通せんぼするように立っていたこの俺によって妨害されてしまった。

 

「Howdy! 元気にしてたかい?」

 

「エスカルゴさんっ……!?」

 

 映姫は驚きと歓喜が混じったような目でこちらを見る。目に光が戻ったような感じがする。それだけ見たら、映姫と八千慧が裏で繋がり俺を貶めたのは八千慧がそう脅したからなのだと察せられた。

 

「久しぶりだなぁ、八千慧。ボテ腹じゃないとこを見るに、本気で拒絶してたらしい。嬉しいねぇ」

 

「エスカルゴ・スカーレット……!?馬鹿な!貴様、何故ここにッ!」

 

「ベタなセリフをどーも。テメーを地獄に落とす為だけに地獄から戻って来たのよォ。文字通りにな」

 

「な、ななっ……何を、ワケの分からない事を……」

 

「あぁそうそう、知ってるか?何でも今、地上から無間地獄まで直通の大穴が空いてるんだそうだぜ。だからよー、八千慧。ちょっくら無間地獄に落ちて現地リポートしてこいよ」

 

「!?」

 

 八千慧の足元にポッカリとスキマを開いてやる。一瞬だけ落ちかけたが流石は八千慧、慌てる事なく飛んで回避しようとするのだが……。

 

「重符『グラビティ6』」

 

「ぎっ……」

 

「へカーティアもビックリ!このまま6倍の速さで地獄の底まで、速達でお届けしてやんよ」

 

「きっ、吉弔様ぁ〜っ!!」

 

 通常の6倍の重力といった、とてつもない強さの重力を八千慧に掛けてやる。すると飛べなくなった八千慧は面白いくらい真っ逆さまにスキマへ落ち、そのまま、リサが空けた地獄への穴に落ちていってしまった。カワウソ霊はそのあとを追い掛けて穴に飛び込んでいってしまう。

 

「エスカルゴさん……エスカルゴさんなんですねっ?本当に、本物なんですね?」

 

「おうよ。あの裁判、ずっとおかしいと思ってた。こういう事だったんだな、映姫」

 

「……ええ……地獄に潜入していた鬼傑組の組員が、裁判前、私に接触してきたのです……」

 

「皆まで言うな、何となく分かるから」

 

 にこやかにそう言ってやるが、映姫はほんの少し微笑んだだけで、すぐに俯いてしまった。

 

「……私は、閻魔を辞職します」

 

「は?」

 

「仲間の死体を乗っ取られたからと言ってしまえばそれまでですが……私は、公正に、公平に判断すべき裁判という場で……取引に負けてしまった……!もう閻魔を続ける資格などありません……」

 

「じゃあこれからは絶対に公正、公平に判断して、償えばいいんじゃあねーの?俺は馬鹿だし地獄落ち確定してるようなヤツだがよ、映姫が居なくなれば地獄はもっと荒れるし、誰の手にも負えなくなると思わないか?」

 

「っ……それは、そうですが……」

 

「じゃあ続けようぜ、閻魔様」

 

「ですが……本来は『賽鬼愉于奈を引き渡すように』という判決を下すべきだったのに、地獄送りに……」

 

「本人の俺が許してんだからいいんだって。もし、これ以上閻魔を続けるって言わないんなら……俺は、今この場で地獄をブッ壊すよ」

 

「いけません、それは!」

 

「はぁ?閻魔を辞めるんだったら映姫に俺を止める権利はねェよ。一般人だろが。俺を止めたいんなら閻魔を続けてくれ。『罪の意識で閻魔辞めまーす』なんて言うんなら、俺の破壊行動を邪魔するなよ」

 

「な……何なんですか……?何であなたはこうも私の邪魔をするんですかっ!!」

 

「閻魔は映姫以外に居ねえよ。俺はそう思ってる。どれだけ説教されようと、晩から朝まで(・・・・・・)説教されて徹夜させられたとしても、両足が痺れて使いモンにならなくなったとしても、今の幻想郷の閻魔は映姫ただ1人なんだ。だからそのあれだ。辞めるなんて言うんじゃねぇって事だよ」

 

「ですが……私は……償いきれない罪を背負った……。あなたに対して……私は……」

 

「俺?俺に対しての罪なんて楽に償えるよ」

 

「ならっ……私は、私は……どうすればっ……」

 

「いっちょヤろうぜ!それで、地獄落ちもチャラにしてやんよ♡」

 

「…………は?」

 

 

 ◆

 

 

「はぁっ、はぁっ……。なぁ久侘歌、四季様ってば、まだ三途の川(避難場所)に来ていないのかい!?」

 

「ええ……。私は稗田阿求を冥界へ避難させてから、ずっと四季様を探しているのですが……。あなたと今ここで会うまで、四季様には……」

 

「ったく何やってんだいあの人は!凍魔の復活時もそうだったが、まさかまだ地獄、是非曲直庁とかに残ってるんじゃあないだろうね!?」

 

「流石にそれはないかと思いますが……って、どこに行くんですか小町!」

 

「決まってるだろ、四季様を探しに行くのさ!絶対有り得ないとは言い切れない!あの人の性格だし、寧ろ、残ってる方が有り得る!久侘歌は変わらず、避難者達の誘導を頼んだ!!」

 

「……ったく小町は……。幾ら四季様でも流石に別のルートから避難してますよ…………多分……」

 

 凍魔の復活時などもそうだが、小町は相変わらず緊急時はまず最初に映姫と合流することを前提に、あちこち動いている。

 小町は映姫の異常なまでの正義感を知っている。だから前回、古の妖怪達が復活した時も映姫を止め連れ出すくらいには率先して動いていたが……。

 そして今回、一足先に避難先に来てみたはいいがそこに映姫の姿が無かったので、一旦、避難者達を誘導していた久侘歌と合流して事情を聞いたが……、成果は無く、結果、小町は地獄へ戻ることにした。

 

「酷い有様だな、こりゃ……。地獄の熱気が、もう、表層にまで上がってきているとは……」

 

 地獄の業火に包まれるというのはまさにこの事。あの大穴から吹き出した炎や熱は、近くの建物をも燃やしてしまい、大災害のようになっていた。

 小町は気配を探り、若干だが気配のする方向へと走って行く。そして────。

 

「やはりと言うべきか……全くあの人は、何を考えてこんなとこに居るんだっ!?」

 

 火の手が迫りつつある是非曲直庁、そこに2つの気配があった。片方は間違いなく四季映姫、しかしもう1つの方を探る前に、小町は、庁舎内へ転がるように駆け込んで行ったのであった。

 

 

 ◆

 

 

「な?イイだろ映姫?少しヤラせてくれるだけで、俺を地獄落ちにさせた事はチャラになるんだ。当然この一大スキャンダルを外部に漏らしたりしないと約束するよ。映姫がヤクザの取り引きに負け、俺を地獄送りにした……なんてスキャンダルはね」

 

「……分かり、ました……」

 

「……♡」

 

 観念したらしく、服を脱ぎ始める映姫。ペロリと舌なめずりしながら彼女の脱衣を手伝おうとする俺だったが、その時、部屋の扉が勢い良く開かれた。

 

「ちょっと待ったぁーーーっ!!」

 

「え」

 

「こっ、小町!?」

 

「何があったかは知らないけど、そう安易に身体を委ねるなんてのはダメだよ!四季様!」

 

「ッ……しかし、私は……」

 

「止めるな小町、映姫はそれだけの事をしたんだ。身体で責任を取ってもらわなけりゃ、割に合わないくらいの事をしたんだ。……映姫、話してもいい?」

 

「……いいえ。私から話します。小町、よく聞いて。実は……」

 

 それから映姫は、包み隠さず全てを話した。懺悔するかのように全て話した。「第三者と取引した」みたいに軽く誤魔化せばいいものを「鬼傑組(ヤクザ)と」とバカ正直に話した。

 小町も流石に驚いた様子だったし、それによって俺が一旦は無間地獄に落とされたと知った時は俺に同情のような目を向けてくる程にまでなった。

 

「……なので私は、エスカルゴさんに身を委ねて……少しでも罪を精算したいんです」

 

「確かに、仲間を守りたいって行動するのは四季様らしいとは思いますけど……。あぁもうこうなったら仕方ないですね!あたいも手伝いますよ、精算!」

 

「はい?」

 

「え」

 

「だってそうでしょ?相手はエスカルゴさんです、絶対に四季様の説教より長く相手させられますよ?四季様1人で務まりますかねェ?」

 

「うっ……」

 

「……そーね、そりゃ俺としても、どうせヤるんなら満足したいし。じゃあ、何?小町も相手してくれるワケ?3Pしてくれんの?」

 

「3P……ってのはよく分からないが四季様と2人で相手してやるさ!その方が早く終わるだろうし!」

 

「OK、OK。ヤリ部屋にでも行こう」

 

「……その前にさ、地獄のあの大穴だけでもどうにかならないか?」

 

「無理。俺の創造魔法の範疇じゃない。あの規模はパチュリーレベルじゃないとね」

 

「そうか……じゃあもう……放棄するしかないのか」

 

「ま、仕方ないネ。俺を地獄に落としたからだよ」

 

「「……」」

 

「大体よ〜、映姫さんよ?」

 

「!」

 

「俺ん事を信用してたら脅しになんて負けねーぜ?そうだろ?『仲間や検事を人質に取られていた』、この事情は分かる。分かるが、信用してくれてたら

『エスカルゴなら人質を助けてくれるはず。だから私は公正、公平に判断し、正当な判決でこの裁判を終わらせる!』……そう判断してたはずだぜ」

 

「……うぅ……」

 

「霊夢だったら、間違いなくそうしてただろうな。鈴仙……は、優しいから迷うだろうけど。モルモーやフランだったら……多分、全て丸投げするレベルで、俺に任せてくれるだろうな」

 

「「…………」」

 

 禁句だったのか2人共酷く黙り込んでしまった。

そして俺は2人とヤリ部屋へ移動しようとしたが、今ヤリ部屋は愉于奈の仮住まいとして使用中なのを思い出したので、魔界にあるラブホテルへ行き先を変更した。

 更に移動直前、地上と地獄の間の穴だけは、時間魔法にて時間を巻き戻し、塞いでやった。ただし、地獄の中の等活地獄から無間地獄までは塞がない。ちょっとした悪戯心だ。地獄の英雄を甘く見ると、一体どうなるのか。八千慧に思い知らせてやる。

 こうしてやる事で、地獄への恐れも高まる。俺やへカーティアの持つ地獄の属性が更に強まるのだ。何事も、自己強化に繋がるのなら利用しておこう。




そこで映姫を軽く責めてしまうのが、エスカルゴがエスカルゴたる所以ですね。
「映姫に頼ってもらいたかった」と素直に言えよ。そんなんだから(一部から)嫌われるんだよ。

虔魔の外伝です。パラレルです。
https://syosetu.org/novel/304854/1.html
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