今年もどうぞよろしくお願い致します!
そしてコミケお疲れ様でした。
とっても幸せな時間を過ごさせて頂きました……!
キング・オブ・チルドレン
末っ子である神愛が生まれ、大きくなり、そして能力を鍛え始めてから、結構な月日が流れた。この現環境の中で子供達のトップは誰なのだろう────そう考えた者が居た。
そう、この俺エスカルゴ、そして……。
「やっぱりそこ気になるわよね?私だけじゃなくて安心したわ」
紅魔館の主ことレミリア・スカーレットである。
彼女も嘗て俺と子供を作り、絶賛育児中の身だ。とはいえ娘のレイチェルはもう大きくなっていて、親の手を全く煩わせないような日々を過ごしているとても良い子なのだが、やはり高等な悪魔の貴族なだけあってか、親に似て戦闘好きな場面もチラホラ見受けられる。
超越的な力を持つ姉達の陰に隠れてこそいるが、レイチェルだって並の妖怪よりはずっと強い子だ。レミリアもそれを誇りに思っている節がある。
「ま、子供達もまた大会を開くつもりみたいだし、俺らが開くこた〜ねェさ」
「やっぱり穹ちゃんかしら?巫月ちゃんって自分が最強である事を誇示しようとはしないものね」
「穹だろうな。知ってるか?穹、大会の度に号外を出してるんだぜ」
「え、そうなの?」
「しかも普段の新聞とは違って身内向けじゃなくて対外向けにな」
「へぇ〜……だから敢えて身内じゃない者も招いてるワケか……流石に考えてるわね」
「お陰で知名度も上がってきてるとよ。中々やるよ穹のヤツは。強かなヤツだぜ……」
「やっぱりあの子、文屋の娘ね……」
「だな。……おっ、おかえりレイチェル」
「ただいまっ!ね、聞いてお母様、お父様!実は、今度ね────」
そんな折に、レイチェルが子供達の雑談集会から茜のスキマにて戻ってきた。とってもタイムリーな話題を土産にして────。
◆
「完全ランダムのクジ引きを、河童の技術者の方に作って頂きました!メカの事は河童にお任せです!さぁ、順番にポチッとやっていきましょう!あっ、姉上お先にどうぞ!押すのは年功序列です!」
今回のトーナメント表は電光掲示板表示らしい。枠外にある、それぞれの名前が書いてあるボタンを押す事で、トーナメント表の中の適当な位置に配置されるという仕組みで、それは完全ランダムであるということだった。
「それじゃ
「私もいいよ」
「……え、これ三女の私も断る流れでは……」
「穹お姉様は、無理して断らなくてもいいのでは?私は断りますけれど」
「〜〜〜〜〜〜っ、分かりましたよ私も断ります!じゃあ、
そうして神愛、デビリサエル、霊子、真宵……と、末っ子からの順にボタンを押していき、遂に巫月もボタンを押す事で、完全ランダムトーナメント表が完成された。
その参加人数、実に24人である。
「あれっ。私とお姉ちゃん、これじゃあ決勝戦では戦えないね」
「うん。私と霊愛が戦うのは準決勝……みたいだね」
これまで狙い済ましたように決勝戦で戦ってきた巫月と霊愛は、2人とも負け無しで進むとしたなら準決勝で戦う事になるようだ。
「ゲェッ!?お、俺、これじゃあ霊愛の姉貴と戦うことになるんじゃねーのか……!?」
「だね。そん時は私の踏み台役になってね、駆翔」
「初戦敗退は嫌だああああああ!!シード権なんて要らねェ!姉貴、場所交代してくれよ!」
「別にいいけど、近接戦闘を得意としないここあを近接戦闘を得意とするあんたが倒すの?男として、情けなくない?ちったぁお父さんを見習いなよね」
「ぐ、ぐぅ……くっそぉ……!!どうにかして姉貴に勝つ方法を考えねーと……!!」
駆翔は、始まる前からパニックを起こしている。確かに霊愛は不動の2位だし、負けは9割9分9厘確定していると言っても過言ではないだろう。
しかしそこは、インテリヤクザを目指す駆翔だ。どうにかして霊愛を打ち倒そうとしているらしい。
「僕がまず戦う強敵は……妖舞お兄様ですね」
「おいおい、樹理愛やシガレットは無視か?」
「取るに足らない、とまでは言いませんがね」
「フン、油断してると痛い目見るぜ」
「痛い目ですか。お父様のゲンコツより痛いものがこの世にある訳は無いと思いますが、一応、警戒はしておきましょう」
虔魔は妖舞を敵視しているが、それより先に戦う樹理愛、シガレットの事は既に眼中に無いらしい。そんな彼に妖舞は警告を飛ばすが、果たして。
「面白いね。ランダムって言う割には下の3人とか私、神愛、恋夜という『神の子』で固まってるね。こんな上手くいく確率、どんなもんなのさ」
「その『神の子』自体が24人中5人も居るんだし、3人ぐらい偶然の範疇じゃねーか?」
「まーね、そうだろうけどさ」
『5/24×4/23×3/22=5/1024……。%に直したなら、答えは0.48828125%。レイチェルお姉ちゃんの能力を抜きにしても有り得なくない確率』
「おぉう……か、神愛、スゲェ速筆……」
「そこ?あたし、計算能力の方に驚いたんだけど。ていうか神愛、その数字はどこから来たワケ?」
『24は子供達の人数。5は「神の子」の人数。回を経る事に数字が減るのは、この計算方法が「クジを引いて
「へぇ、成程。1つクジを引いて、当たりが出ても出なくても引いたクジは戻さないから、数字は1つ減るワケね。で、この5/1024っていうのは、24人中3回連続『神の子』が出る確率ってワケか」
『そう』
「んー、だとしたら惜しいなぁ」
『!?』
「別にあたしら3人続けてクジ引いたワケじゃないじゃん。間には何人か兄弟姉妹が居るから、クジの残り数も変わるワケ。連続で並んだっていうのは、あくまでもトーナメント表の話でさ」
「あっ」
神愛もうっかり声を出してしまうくらいに驚いたらしい。会話を盗み聞きしている俺も、そこに全く気が付かなかった。流石は賢者の娘と言うべきか、視野が思っていたよりずっと広い……。
「うぅ……」
「……ふぅん、でも、そっか。もし、あたしら3人が続けて引いてこの並びだったのなら、0.488%程度の少ない確率だったんだねぇ……。クジの確率だっけ?もうそこまで勉強してるんだ。偉いぞ、神愛」
「……っ!えへ、へへ……♪」
意外な事に、神愛に対して間違えている事を指摘しながらも、そこまでの計算能力がある事実自体は褒め、泣きそうになっていた神愛を鎮めた。阿弥のヤツ、思っていたよりは協調性がありそうだ。
……背後で隠岐奈がドヤッているのが分かる。
「わ~!わたしのあいて、でびりさちゃんだねー!よろしく!」
「で、デビリサって……。略すの
天真爛漫な緋月と、それに押されるリサ。まるでタイプが違うこの2人は1回戦、しかも1試合目で戦うらしい。素早さ特化の緋月、それなりに万能なリサ……緋月はガチで鍛えているワケではないので、勝利の女神はリサに微笑みそうなもんだが……。
「あっ……私の相手は樹理愛お姉様なんですね……!よろしくお願いします!」
「うん、よろしくねシガレット!」
サポート役同士が戦うようだ。攻撃性能はやはりシガレットの方が高いと思うが、樹理愛も樹理愛で最近になって少しずつ鍛え出しているようだから、どうなるかは分からない。
「私の相手は……えっと、霊子だね!よろしく!」
「……私が勝つから」
「っ!ちょ、挑戦的だね……いいよ、受けて立つ!」
魅玖が元気に話し掛けるも、霊子はスルーと殆ど変わらないレベルでしれっとしている。というか、目も合わせない。目は合わせて話すよう躾けているはずなのだが、何をしているのやら。
「私の相手は真宵ちゃん……だねっ!よろしく!」
「えっと……綺愛羅お姉ちゃんだよね……?うんっ、よろしく!」
悪意という闇を奪い戦意喪失させられる真宵と、嬉々として拳を振るう綺愛羅。一見、相性で言うと真宵の方に利があるように見えるが、戦闘力だけで言うのなら綺愛羅の方が上だろう。それに加えて、綺愛羅にはこれまでの戦闘経験もある。
恋夜と組んでこそ真価を発揮すると言える綺愛羅だが、単独で何処までいけるだろう。
「うわー、私の初戦の相手、巫月お姉様じゃない」
「本人を前に『うわー』って何よレイチェル~」
「優勝候補と初戦でブチ当たる絶望感ヤバくない?お姉様で言うと……大人も混ざってるトーナメントで初戦から霊夢さんと戦うようなモンなんだよ?」
「確かに絶望感の塊……とはなるけど。とはいえさ、レイチェルの能力なら私にも勝てるかもよ~?」
「うわ、わっざとらし〜。兄弟姉妹全員の能力への対策を練ってるの、末の4姉妹以外の全員ちゃんと気付いてるからね?」
「あ、やっぱりィ?」
「とは言っても、神愛とデビリサエルの能力は発動してしまえば対抗しようが無い気はするけどさ」
「……そこはまぁ……追々、ね」
(あー……これ、もう『やり方』がとっくに出来てるパターンだ。頭ん中どーなってんだろ、お姉様……。いや、でもそろそろ私も勝たないとな……創造魔法も上達はしてきたし……)
レイチェルは、そろそろ遊びではなくそれなりに本気で戦いそうな雰囲気にも見える。巫月の背中を見つめるその視線が、いつになく鋭い。レミリアもレイチェルの活躍を楽しみにしているし、是非とも頑張ってほしい。
「私の相手は霊麗お姉ちゃんかー……」
「茜、
「うん、大丈夫だよ。蓮子は課題が溜まってるって頭抱ええるから、今回は連れてきてないけど」
「課題……アハハ、あの人、楽しそうなことばっかり優先して大事なこと後回しにしそうだもんね」
「まさにそれなんだよねー……。でも、だからこそ、今回は妖怪らしい私で戦うよ」
「ふぅん……吸血鬼の私を相手に、どこまで戦えるか楽しみにしてるね」
「今回は私が勝つよ、霊麗お姉ちゃん」
「へぇ。……分かった、そのつもりで戦うよ」
霊麗と茜の組み合わせなんてあんまり見たことが無いなと思っていたが、これも中々に面白そうだ。茜は、蓮子には正体を明かしているにも関わらず、彼女の前だと妖怪らしさを隠している。だが今回は蓮子が課題で居ないとのことなので、久しぶりに、素の茜らしさ全開で戦えそうだ。
霊麗は、あの発言からも分かるように、格下だと思った相手には舐めプする所がある。だから今回、茜によってブチのめされて、目を覚ましてくれると俺としては嬉しいのだが。
そして、やいのやいのと騒いでいる子供達を少し離れた所から見守っていると、巫月が、とてとてと可愛らしく寄ってきた。
「ねぇエスカルゴ」
「どした?」
「今回、私、優勝できると思う?」
「できるだろ」
「……そっか。うん、そうだよね。頑張るよ」
「不安か?」
「そりゃ……ね。私の予想じゃあ、3回戦では神愛と戦う事になると思うんだ」
「……神愛が勝ち進めばそうなるか。そんでもって、4回戦で霊愛、霊魔、駆翔、真宵……の誰か、かな」
「うん。そこは霊愛か霊魔が来ると思ってる。私も予想できないよ……霊魔の伸び代、ヤバいもん」
これまでの巫月だったら、絶対に霊愛が来る、と確信を持った言い方をしていただろう。しかし今回初めて、巫月にしてはかなり弱気だ。
霊魔も守るものができたからか特訓にはより一層励んでいるし、確かに、予想は難しいというのには俺も同意である。
「実はね、私達ね。今回のトーナメントで四天王を決めるつもりなの」
「四天王?」
「そ。優勝者が王者、つまり頂点。残りの子で合計4枠、つまり四天王を決めようってね!」
「
「ふふ、そうみたいだね。キングオブチルドレン、そして四天王……エスカルゴは、誰になると思う?」
「王は巫月だ。四天王は霊愛、霊魔、レイチェル、霊子、リサ、神愛……の誰かだと予想する」
「案外、博麗4姉弟で4枠全部埋まったりして」
「霊麗は早々に負けるよ」
「えっ?でもさ、1回戦の相手は茜だよ?それとも2回戦で弦月姫に負けるってコト?」
「茜に負けると予想する。今回、蓮子居ないだろ」
「蓮子さん?……あー、茜の学友さん?居ないけど、それがどうかしたの?」
「茜のヤツ、妖怪だと明かしてるクセに妖怪らしさだけはまだ隠してるんだ。さっき霊麗にも言ってたことなんだが、今回は勝つ気で来るらしい」
「ッ……!!」
「今の茜は、紫さんジュニアと言っていいだろう。普段は温厚だが、もしその気になれば……ね」
「……もし私が茜と戦う事になるとしたら、それは、まさかの決勝戦…………『将来の賢者』と『現時点の王』が戦う舞台としては最高だね」
「はは……漫画的な展開として最高かもしれないな。多分、これ以上ない対戦カードだろそれ」
「だよねぇ~。いやー、今回は一波乱ありそうで、ちょっぴり緊張するよ」
「頑張れ。巫月なら勝てる。優勝できるよ」
「もっちろん……どうせ戦うのなら勝つよ。これまで勝ち抜いてきた実績……守らなくっちゃ」
先程、俺と巫月が話した「最高の対戦カード」。実は「茜と巫月」より更に一波乱ありそうな、少し意外性のある組み合わせが陰に潜んでいた……。