「鋼の錬金術師」のキャラ、「マスタング大佐」をご存知の方なら察せるかと思われます。
(それに近い事を巫月がやってますがそれ以上に)殺人的な強さになります。恐らくは、トップ5には余裕で食い込むでしょう。十六夜姉弟のような時間操作組を相手に、どうなるのか……。
「何やかんや凄い展開が続いた1回戦も終わって、遂に2回戦が始まるよ!現時点のトーナメント表はコチラ!!」
「いや〜やっぱり『言霊の神』は凄いねぇ。まさか言葉通りの結果になるなんて……。さてっ、2回戦の1試合目を飾るのは、この2人だっ!!」
「1回戦を見事突破!見た目は天使、中身は悪魔!2回戦でもその強さを遺憾無く発揮してくれ〜っ!デビリサエル・スカーレット〜〜〜ッ!!」
「2回戦から参戦!山の英雄の長男!長男として、弟達を引っ張ることもあるのだとか!刀を身体から生やす能力に目覚めて、刀を持ち込まずとも戦えるようにはなったが!どうやら、この戦いには一振り刀を持ち込むようだ!もしやこれは能力を使わないという宣言なのかッ!?魂魄妖舞!!参戦ッ!!」
「「2回戦第1試合、始めッ!!」」
居合もできる妖舞なら、一瞬で終わらせられる。しかし流石にそこまで大人気なく無かったらしい。刀を手に持ち、されど構える様子は見せず、リサの動きを見逃さないよう注視している。
一方リサは、ナイフを手元でくるくる回しながら妖舞の出方を伺っているようだ。
妖舞は地上における短距離の移動速度は子供達で最速だから気を付けろと、何度も言ったはずだが……聞いているんだか、聞いていないんだか。
「……ねぇ、妖舞お兄ちゃん?」
「なんだ?」
「私の攻撃、1回だけ
「……」
リサ、ぶりっ子モード突入。いや普通に可愛いし俺なら許してしまうくらいにはヤバイが。しかし、残念ながら妖舞は巨乳が好きなのだ。そして、俺と違って妖舞はロリコンではない……はず。
だからあんなぶりぶりのぶりっ子モードのリサの誘惑に負けるなんて……。
「いいぞ」
「いいのっ!?やったぁ!」
妖舞の負けがほぼほぼ確定した気がする。彼とて悪魔にも近いレベルのフィジカルの強さは、ある。しかしリサは純血の悪魔。「近いレベル」ではなく
「そのもの」なのだから、フィジカル対決になればリサに軍配が上がるであろう事は9割確定しているようなもの。妖舞はそれも分からぬ馬鹿ではない。そのはずだ。
防御すれば契約違反となり、リサの無敵モードが始まる。こうなれば本格的に妖舞に勝ち目はない。だからと言って攻撃をバカ正直に受けてしまえば、それなりの大ダメージを受ける事になるだろう。
「妖舞お兄様、負けましたね」
「虔魔は俺と同じ意見か。弦月姫はどう思う?」
「……リサの契約に乗ってしまった以上……これは、攻撃を一度受けた上で、耐えなくてはならないワケですからね。私も、九分九厘、妖舞の負けかと」
「お父様も2人も見通しが甘いわっ!見てよ、妖舞お兄様のあの目!絶対、何か企んでる目よ!」
紅魔館陣営の子供の中で、レイチェルだけ妖舞が勝つと予想しているらしい。ここあ、シガレットもリサだと言うし、俺もそう思うが……。
「妖舞だって、私を倒せるくらいには強くなったんだから……無策ではないとは思うけど……まさか……」
「では、カウンターを仕掛ける気なのでは?リサの動きをじっくり観察していますし」
「……!それよ虔魔!吹っ飛ばされない事に賭けて、攻撃を受けた瞬間にカウンターする気だわ!」
レイチェルは、虔魔の「カウンター狙い」という予想を支持するようだ。弦月姫はというと、自分が言いたかったとでも思っているのか、ギリッと唇を噛み、虔魔を少しばかり睨み付けている。
ステージに目を戻す。リサはニコニコ微笑みつつナイフをクルクルと指先で回している。一撃で彼を沈める方法を考えているのだろう。
やがて、空中に投げたナイフをキャッチして見せその切っ先を妖舞に向け、元気に宣言する。
「じゃあ……いくよお兄ちゃんッ!!」
「来な」
タンクトップ姿の妖舞は余裕の表情だ。だが顔で煽るような事はしていない。妖舞も妖舞で弦月姫に煽られていた過去があるからなのか、煽りはしないらしい。
そしてリサはダンッと力強く地面を踏み込んで、妖舞へ肉薄。そのままナイフを首筋へ突き刺し……。
「っと……流石にそいつは危ねぇだろう。殺しは禁止なんだぞ?」
刀の柄でリサの刺突を防いだのである。あまりに少ない動き、素早い動作。あの防御、間違いない。俺より無駄のない動きだ。
そこには素直に感嘆すべきなのだが……。
「あーあ。妖舞お兄様、自滅したね」
「流石のレイチェルも匙を投げるレベルか」
「だって、あれじゃあ擁護しようがないじゃん……。馬鹿なの?」
「しかし、妖舞お兄様もリサの能力については既に把握しているはず……僕が伝令に白玉楼まで向かい、直接話したんですし……」
「妖舞の事だし……理解出来てないとか?」
「弦月姫、サラッと毒を吐くなぁ。いやまぁ、俺もそうなんじゃないかと思ってたんだけど。……だが、レイチェル風に言うなら……あの目、まだ諦めているような感じはしないな。勝算あンのかよ……」
リサは攻撃が防がれると分かっていたので、もうニヤニヤが抑えられないといった様子だ。ナイフを再びクルクルと回し、自信満々に言う。
「妖舞お兄ちゃん、やっちゃったねぇ。契約違反。契約違反だよ」
「だな」
「なら、罰を下さなきゃ────ねッ!!」
再度妖舞に突撃するリサ、けれどもそれと同時に妖舞も前傾姿勢になり────その瞬間、両者の姿が視界から消え失せ、耳障り極まりない高い金属音が闘技場に響き渡る。
「ッ……リサ、お前……俺の速さに反応、いやついてこれるのか……!?」
「ふふっ、そうだよ?でも残念ながら今だけだよ。妖舞お兄ちゃんが私との契約を違反したからね!」
リサとの契約を違反すると、リサは罰を下せる。その罰とは、リサが満足いくまで対象をボコる事。そして罰を下す事に障害があればそれを完全に無視できるというもの。
俺に罰を下すとリサが考えれば、俺が時間停止をしても無駄になる、アレだ。
この場合は、妖舞の持つ「子供達の中でも随一のスピード」が罰を下す上での障害なので、リサは、それに対応できるようになっているという事だ。
改めて、リサはチート過ぎる能力だ。
「おっかねぇなリサの能力。こうなれば、正攻法で打ち負かすしかねェって事だ、なッ!!」
組み合っていた所から飛び退くと、斬撃を弾幕のように飛ばす。一振りの刀でこれだけの斬撃を出すなんて、どれだけ速く刀を振っているのだろう。
しかしそれを見ても、リサは、まるで焦る様子を見せない。そして、あまりの密度に回避もできず、飛ぶ斬撃の弾幕に被弾したリサだったが……。
「効いてないよ〜ん……♪」
「なん……だと……!?」
「私ね、ママから『戦闘中1つだけ敵の技を無効化できる特性』受け継いでるからさぁ?お兄ちゃんのその『斬撃』、無効化しちゃった♡」
「ッ……!!」
「どうする?超スピード居合も対策できてるから、私を倒すには適当な直殴りしかないよ♡」
「…………」
サクッとその場に刀を刺す妖舞。パキッポキッと景気良く指を鳴らし、自分のそばに浮いている白い半霊の先端……尻尾のようになっている部分を掴む。
「なら
「え」
「言っておくが妹でも容赦はしないからな」
「え……待っ」
ムチのようにしならせた半霊を、思い切りリサの顔面にぶつける。あのバカ、女の顔に何するんだとキレそうになるが、半霊は柔らかいので、枕投げをしていると思う事にしよう。そうでないとキレる。
「いったぁ〜〜〜〜〜ッッ!?フツー、乙女の顔に白玉ぶつける?有り得ないんだけど!パパにだってデコピンしかされた事ないのに!!」
「知るか。痛いのが嫌なら降参でも────」
「許さない……絶対に許さないんだからあああああああああっっ!!!」
リサの頭上に天使の輪が現れた。ブチギレリサの頭上には神々から力を借りた俺のように光輪が出るという事だけは覚えておこう。
キレたからなのか、それともキレたことによって力を解放したのか、リサから凄まじい妖気が溢れ、会場を大きく包み込む────。
「がああぁあぁぁっ!!」
(暴走……とは違うな。理性はある感じだし。なら、マジでキレてるだけ、か?吸血鬼の本能が目覚めた霊麗と大して変わんねー強さだな……)
妖舞はいつの間に徒手格闘も鍛えたのか、リサの力任せのパンチやキック、ナイフによる斬撃も軽く受け流している。その動きは、何かしらの格闘技を彷彿とさせる、滑らかな動きだった。
「背反『ブリーチ・オブ・コントラクト』!!」
禍々しい妖気に満ちた白く輝く弾幕が、妖舞へと射出される。鋭いカーブを描き左右、上、まっすぐ正面へ、弾幕が妖舞を襲う。
妖舞は地に刺していた刀を抜いて弾幕を切るが……なんとその弾幕は切れず、そのまま妖舞へと進み、回避が遅れたので被弾してしまった。
「かはっ……」
「切れるワケないでしょ!この弾幕は契約違反した嘘つきを追い詰める弾幕なんだから!被弾するしか弾幕を消す方法は無いんだからッ!!」
刀を透過するという事は、壁を創造したり結界を張ったりしても無駄だという事だ。そしてここまで防ぐ術が無いとなると、恐らくは神愛の言霊でさえ防げない。これは、パッと見では不可能弾幕だが、理論的には不可能弾幕ではない。そもそもリサとの契約を破らなければこの弾幕の餌食にはならない。
「……そうかい、ならこうするまでだ!!」
再度、半霊を振り回してリサに迫る。伸縮自在な白玉は、リサに殴られても目立った傷を見せない。しかし光輪が現れてからのリサはあからさまに力が上がっている。スピードも、弾幕の鋭さも。なら、今の妖舞がどこまで対応できるのか────。
そこに全てが掛かっているとまで言っても、過言ではないのだろう。
「こんな攻撃なんて、こーやって!殴り返すだけ、なんだからああああっ!!」
「ッ……痛えッ…………手加減し過ぎたか……」
「手加減されなくても勝ってやるんだから!パパに褒めてもらうんだもん!!」
「────なら5割だ」
「?」
鎖鎌のように振り回していた半霊をリサへ放つ。リサは、見飽きた攻撃と言わんばかりに平然と拳を振り抜くが、半霊はするりとリサの拳を回避する。
「え」
拳を避けた半霊はリサの背後に回り込む。そして彼女が振り返る前に半透明の妖舞の格好になると、ビシッと鋭い手刀を食らわせる。
「あうっ……ど…………どー、して……」
「半霊は武器じゃねぇ。俺の一部だ。振り回したり投げたりしたのはこうする為の布石ってヤツだな。ま、初見殺しでしかないんだけどな」
「く……そぉ…………!!」
ギリリと歯を食いしばり、リサはそのまま気絶。天使の輪も、光の粒子となって散っていった。
◆
「続いて、2回戦第2試合を争うのはこの2人!」
「神の子、樹理愛vs紅魔の執事、虔魔っ!どちらが勝つのか、目が離せないっ!!」
「……勝負だよ、虔魔っ!」
「1秒未満で決着をつけます」
虔魔の事だし、容赦するつもりは無いんだろう。これは流石に樹理愛も負けるしかない。あの子には悪いとは思うが、あまりにも相性が悪すぎた。
「「第2試合、始めッ!!」」
「────くっ……」
試合が始まった直後、虔魔は時を止めて樹理愛の背後に回り込み、ドスンと重めの手刀を食らわせ、時間停止を解除。
時止めの影響を受ける者達にとっては試合開始と同時に樹理愛が倒れたようにしか見えないだろう。
有言実行。虔魔は実に1秒未満で決着をつけた。少し前まで、
吸血鬼の手刀が効かないのは耐久性が低いだけなんですが。それに近い耐久性があれば耐えられますし本当に「組み合わせ」が悪かった。
今回のトーナメント、完全ランダムなんですよね。ランダムでそれぞれ割り当ててくれるプログラムを利用したので。