※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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エキストラマッチ① 〜本領〜

「お待たせ致しました、エキストラマッチッ!!」

 

「最後の最後は、思いっきり大・大・大混戦っ!!キング・オブ・チルドレンこと、巫月ちゃん率いる子供達チームと!!」

 

「王、そして四天王の5人の両親が!!」

 

「「雌雄を決するッ!!」」

 

【挿絵表示】

 

 

 ────あの後、博麗神社に戻った俺達は、霊子を寝かせようとした。しかし既に目を覚ましており、コロシアムに戻る、戦う、と騒ぎ出したのだ。

 だから今は、霊子は勿論のこと、俺も霊夢もこのコロシアムに戻ってきている。

 

「なお、決勝戦や3位決定戦で消耗した子達には、神綺さんやエスカルゴさんによって、エネルギーの補給済みとなりますっ!」

 

「正真正銘、ガチバトルッ!!それでは1人1人、何か目標を!お願いしますッ!!」

 

 やはり抱負は発表した方が良さそうらしい。霊夢なんかは溜め息をつき、気怠げにしているが、少しソワソワしている様子も……。満更でもないらしい。

 

「まずは子供達からよろしくねっ!王、リーダーの巫月ちゃんから!」

 

「はーい。皆で力合わせて、エスカルゴ達を倒してみたいでーす!」

 

 次に、第1四天王の霊子。

 

「特訓の成果を、もっと発揮してやりたい。多分、多数での戦いだからこそ出来る事ってのも、あると思うから……」

 

 第2四天王の霊愛。

 

「全力を尽くして汚名返上する」

 

 第3四天王の虔魔。

 

「お姉様と同じです。全力を尽くすまでですね」

 

 第4四天王の霊魔。

 

「本気の本気。頑張るだけ」

 

 こうして見ると四天王の4人中3人が博麗の子供というのが、何とも……。血統が全てとは言わないが霊夢との子が強いのは、仕方ないのかもしれない。

 

「じゃあ大人チームもリーダーさんから!」

 

 一瞬、俺達は硬直した。リーダーなんてそんなの決めているはずが無かった。親vs子、この為だけにこうしてステージに降り立ったに過ぎないからだ。

 

「ほら霊夢、リーダーだってよ」

 

「は?」

 

「博麗の巫女なんだから解決組のリーダーみたいなもんだろ。ほらほら、トップバッター飾れよ」

 

「ハーレムの中心人物のアンタがリーダーよ、何をアホみたいな事を言ってるの?」

 

「何で……?チームリーダーとハーレムは関係ないと思わないか……?」

 

「ありますぅ〜!家族、つまりハーレム関連の行事なんだから、寧ろ関係しかありませーん!」

 

 霊夢のそのセリフに鈴仙は勿論、子供達まで深く何度も頷いている。そして司会の2人にまで、軽く急かされてしまう始末。

 

「痴話喧嘩はどうでもいいです、帰ってから存分に言い合ってください。とりあえず旦那様がリーダーという事で誰にも異論はありませんよ」

 

「そうそう!」

 

「「痴話喧嘩じゃない!!」」

 

「そういうとこですよ」

 

「「ぐぬぬぬ……!」」

 

 という事で俺がリーダーになった。解せないが、俺がハーレムの主なのは間違いないので、理屈では霊夢の方が正しいのが何とも論破された感が……。

 

「よし、それじゃ俺な。えーと……子供達よ、鍛えて強くなったと思ってるだろうが、間違っても現状に満足しないよう、全力で叩き潰してやるからな!」

 

「そうそう、このアホの言う通り。特に霊愛!少し強くなった程度で達成感を覚えるあんたには、少しスパルタにいくわよ!覚悟なさい!」

 

「巫月!攻撃性能には欠ける私の能力だけど、この能力の本当の恐ろしさ、教えてあげるわ!」

 

「……並行世界の虔魔は、並行世界の私の子供でも、

『私』の子ではないわ。殺されないだなんて、甘い幻想を抱いていると……間違って殺されるかもね?」

 

 霊夢も鈴仙も咲夜さんも怖過ぎだろう。人数ではたった1人の差だがこちらが負けている。しかし、霊夢が居るだけでオーバーキルな気がするのだが。まぁ霊夢の事だ、ある程度の力はセーブしてくれるだろうし、そこまで過度な心配はしなくて良さそうだとは思っているが……。

 しかし分からない。普段からスパルタな霊夢が、ここに来て「スパルタ」を意識するのなら、予想を超えてくるかもしれない。

 いつでも発動できるように、治癒魔法を用意しておいた方がいいだろう。

 

「「それではエキストラマッチ、始めェッ!!」」

 

 今回、時間は長く止まらなかった。虔魔が時間を止めても、咲夜さんは上位互換なので、強制解除ができてしまう。それは今も変わらないらしい。

 

「時間を止めても無駄よ」

 

「ええ、そうですね。しかし影響を受ける皆様から見ればどうでしょう?」

 

「……?」

 

「ほんの僅かな距離ですが────おっと、これ以上何も言うべきではないですね。作戦がおぶっ!?」

 

 ドヤ顔で咲夜さんに解説していた虔魔は、唐突に霊夢に吹っ飛ばされてきた霊魔によって、強烈に、地面に叩き付けられる。

 

「あ、居たの」

 

「……絶対わざとですよね、お兄様……」

 

「もし僕にそうされるような心当たりがあるなら、そうなんじゃないの」

 

「………………」

 

「作戦を漏らして負けたら、ダサさの極みじゃん」

 

 口元に垂れる血をグイと拭い、バシュンと素早く飛び立つ。綺麗な軌道で剣を振り回し霊夢の弾幕を斬り裂いていく。

 そんな霊魔の背中を見上げながら、ニタリと笑い虔魔は呟いた。

 

「漏らした上で勝つのですよ……!!作戦など所詮は

『予定』に過ぎない!作戦通りにいかない事の方が普通!だから漏らしても大した損害は無い……!」

 

「……協調性の無い息子に育てた覚えはないわよ」

 

「奇遇ですね、僕もお母様から『協調性のある子に育て』と育てられた覚えもありませんよ」

 

 コイツマジで妖精の件で改心してないのかな、と眉を顰める。よくも親にこんな事を言えるもんだ。ある意味で羨ましい性格をしている。

 

「さぁお母様、続きですよ」

 

「────そうね」

 

 虔魔の狙いは俺には読めてる。割とネチッこい。俺は時間停止の影響は受けないからこそ、咲夜さんよりも虔魔の行動をずっと客観視できるのだ。

 虔魔の狙いとは────。

 

「何度だって止めてみせますよ、世界の時間を!」

 

「何度だって解除してやるわよ」

 

「そうですか、それならこれは、どうですか!!」

 

 ビッとナイフを放つ。しかし相手が悪い。年季が違う。咲夜さんは虔魔の投げたナイフを顔を背けるだけで回避したと思うと、虔魔が再度止めた時間をまたまた動かす────!!

 

「きゃっ!?」

 

「ッ!?」

 

 咲夜さんは、虔魔の時間停止を解除した瞬間に、鈴仙と空中衝突してしまった。それを見て、虔魔はニンマリと口角を吊り上げる。全く、いけすかない男だ、アイツは。

 

「ちょっと……もっと離れて戦いなさいな」

 

「いやいや……私、そんなに動いてないからね?」

 

「え?それは私だって……」

 

「クックック……ハーッハッハッハッ!!そうです、それですよお母様!これぞ、秘技・座標狂わせ!」

 

「「!?」」

 

「お母様、そしてお父様や弦月姫お姉様などは時間停止の影響を受けませんからねぇ、ついつい忘れてしまっているのでしょう。『周りの皆は時間停止の影響を受けてしまう』と!!」

 

「……?そんな大前提を忘れるはずがないでしょう」

 

「いいや、忘れていますよ!だからこそこうして、鈴仙さんと衝突したのですから!」

 

「……ワケが分からないわね」

 

 時間停止中も、咲夜さんや虔魔は動ける。しかし鈴仙は動けない。咲夜さんは当然ながらそんな事は承知の上である。それなら何故ぶつかったのか?

 実に単純明快。座標の認識の齟齬によるものだ。

 時間停止前、時間停止中、時間停止解除後。この3つの点からなる流れで考えてみる。すると、この全ての場合で「動ける」のは時間能力者。そして、

「動けない」のはそれ以外の者。

 虔魔による時間停止前、咲夜さんが鈴仙の位置を把握していても、時間停止中に、咲夜さんは空中を移動している。そして時間停止を解除したその時、咲夜さんは勿論、鈴仙も動く事になる。

 すると鈴仙は、咲夜さんが認識していた位置(・・・・・・・・・・・・・)からズレる事になる。だから衝突してしまった。

 要するに、原因は「時間停止前後で時間能力者の立ち位置が変わっているから」だ。

 俺が助けに行ければ良かったが……どうも、そうもいかないらしい。

 

 

 ◆

 

 

「余所見してるなんて、随分と余裕だねぇ?」

 

「余裕とかねーよ……。霊子、お前の破壊魔法が皆の所に届かねェよう食い止めてんだからよ……!」

 

 俺は霊子から強烈な足止めを食らっているのだ。というのも、受けた者を破壊(死)へ導く月属性の魔法をバラ撒こうとするので、同じ月属性の魔法の使い手である俺が、霊子の魔法を相殺しているのだ。

 そして、今ここに居るメンバーで月属性の魔法を使えるのは、現状では霊子と俺だけ。自然と霊子の足止めが出来るのも、俺だけとなる。

 

「クソッ、お前の魔力量、どんだけだ……?」

 

「お母さんも霊麗お姉ちゃんも霊魔お兄ちゃんも、普段は魔力量、少ないからね。比べようがないから知らないとしか言えないや。お父さんも魔力自体はそんなに多くないみたいだし」

 

 試しに雷の弾幕を放ってみるものの霊子が魔法を身にまとっているので弾幕は掻き消されてしまう。万事休す。弾幕が通じないのなら手出しのしようが無いじゃないか。

 

「禁弾『音速弾幕結界』ッ!!」

 

「!?」

 

「超電磁砲の雨だ!これなら多少、ダメージも!」

 

 ローレンツ力にて超電磁砲を発射、発射、発射。とにかく発射しまくる。音速どころか、その倍だ。まずは、鎧のように纏っている死の魔法を貫くべくソレだけに当てようとしているが、消されるだけ。月属性の魔法、やはり成長の方向性によっては酷く凶悪なモノになる。

 霊子をどうにかしないと、俺はこのままずっと、魔力が尽きるまで行動不能だ。

 

 

 ◆

 

 

「〜〜〜〜〜〜ッッ!!2対1で追い込まれるとかどーゆー事なのっ!?」

 

「僕に言われても……」

 

「まだまだ甘いわね。ほら、掛かってきなさいよ。またブッ飛ばしてあげる」

 

 俺が霊子に足止めされている中、霊夢は、霊愛と霊魔のコンビを圧倒していた。霊愛と霊魔も、同じ神社に住んでいるだけあって息は合っている方だ。それなのに霊夢1人に圧倒されている……。

 

「こうなったら奥義だね……!」

 

「……だけど、僕、卍解はお父さんと戦うのに取っておきたいんだけど」

 

「はあ〜?それで負けたらどーすんのさ?……チッ。じゃあ弾幕の方でいいよ」

 

「ん……分かった」

 

「ふぅん?何か打つ手があるみたいね。いいわよ、やってみなさい。それで私が被弾したら、リタイアしてやるわよ」

 

「ほんと!?よし、やるよ霊魔!!」

 

「ん」

 

「「人鬼愛『封殺夢雷』ッ!!」」

 

「!?」

 

 かつて霊夢が人間だった頃に使っていた、俺との合体技だ。半妖の霊愛を人間、霊魔を吸血鬼とし、同じ名前で、同じ構成で同じ技を使ってきた。全く生意気な子供達だ。

 それで被弾するほど霊夢は甘くはないのだから。

 

「ふぅん……見よう見まねというか、伝聞を再現した割には、それなりにはしっかりしてんじゃないの?当たらないけど」

 

「「当ててみせる!!」」

 

「……エスカルゴ、アンタもさっさとこっち……って何やってんのよー?」

 

「こっち来んなっ、これに触れると消えるぞ!」

 

 霊子と破壊魔法の押し合いをしていると、霊愛と霊魔の弾幕を回避しながら、霊夢が近付いてくる。こっちは必死になっているので、つい言葉も語気が鋭くなるが、霊夢は全く意に介していない様子だ。

 そして俺の状況を見て溜め息をつくと、ピシッと結界を生成してしまう。……霊子を囲うように。

 

「「え」」

 

「ほら、手ェ空いたでしょ」

 

「え……あれ?消されない……」

 

「この私の結界が、霊子の魔法で消されるなんて……本気で思ってんの?」

 

「だって万物を消すんだぞ……?アレは……」

 

「まだまだ術の……いや、魔法の練度が低いからよ。そして霊子は、消散の霧だっけ?それに自分自身が消されないように解除するしかない」

 

「な、成程……」

 

「ちょっ……お母さん!何なのこの結界はぁ!」

 

「それを破れたら、またエスカルゴ貸してやるわ」

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」

 

 霊子の悔しそうな顔を尻目に、霊夢に手を引かれ霊愛と霊魔との戦闘に乱入。同時に、弾幕の回避を始める────しかしその目の前に、既に息子の姿は見えず。ゾクリと、首筋に水滴が垂れたような強い寒気、そして悪寒を感じる。

 

「今だよ霊魔!!」

 

「────卍、解」

 

 声は背後から。そしてバチバチと帯電するような雷の音も聞こえてきた。

 霊魔の卍解だ。攻撃力、速度の超絶アップに加え雷を纏う事による防御力のアップ。それは、同時に反撃をも狙える攻防一体の鎧。

 前回見せた時は逆に雷を纏っていなかったはず。どちらもできるらしい。切り替え可能なのは強い。状況に応じて行動ができるというのは、紛れもない利点だ。

 

「『安穏遊戯(あんのんゆうぎ)────曇電兌死(どんでんがえし)』」

 

 しかも派生の卍解を使うとは。これは初見なのでより警戒しなくては────と思っていると、霊魔の姿が一瞬にして消えてしまった。

 先程より強い悪寒を感じる。臓腑を掴まれ体外に引き摺り出されるかのような、ヌルリとした、この気持ち悪さ。

 

「夢符『二重結界』!」「霊符『四重結────」

 

 霊夢と同時に、それぞれ結界を展開した。ただし互いを、若しくは同時に2人を守るものではなく、奇しくも、揃って自分自身のみを守る結界だった。

 そうでないと結界の形成速度が間に合わないと、俺も霊夢も咄嗟にそう判断したからだ。しかし……。

 

「ぐっ……ッッ……」

 

「間に、合った……」

 

 霊魔の剣が俺の首を貫いていた。脊髄損傷、人はほぼ確実に死ぬし、普通の妖怪でもそれなりに深刻というか致命的なダメージになり得るものだろう。

 現に神経系の損傷により信号の伝達が成されず、手足が、というか首より下が動かなくなっている。

 

「狙い゙は……俺、かァッ……げはっ……!!」

 

「お父さんが教えてくれた事だよね。複数人と戦う場合は、まず『面倒臭い方を先に倒す』……って」

 

 そんな事も言った気がする。戦闘において、事を有利に進めるには「相手が嫌がる」ことをするのが得策。そして「厄介な方を潰す」ことも大事だ。

 

「ほぉ〜……よくもまぁ……覚えてた……もんだ……」

 

「それにこの程度の傷なら、お父さんは死なない。殺して復活されるなら、行動不能にするのが得策。そうでしょ?」

 

「冷静じゃあねーか。……おめでとう、霊魔。戦闘で俺に血を流させた子供は、実に久しぶりだよ」

 

 頭のみを細分化させ、寸断された神経系とここでおさらば。胴体を捨て、頭から胴体を再生しては、創造魔法にて衣服をも創造してみせる。

 

「っ……折角……!!」

 

「折角、頑張って行動不能にしたのに、か。まぁ、勝負はこれからって事だ。な、霊夢」

 

「そうね。……でも今の技って…」

 

「超高速の居合。お兄ちゃんのを参考にしたよ」

 

「ッ……」

 

 霊魔の言葉を聞いて、顔を青ざめさせる霊夢。霊愛と霊魔に警戒しながらも、どうしたのかと軽く問い詰めてみると……。

 

「アンタの結界、形成が間に合わなかったでしょ」

 

「ああ」

 

「でも私のは間に合った。……なのに、壊されたわ。今、霊愛の弾幕を防いでるコレは張り直した方よ」

 

「……は?」

 

「あの居合、妖舞くんの下位互換と思ってたけど、どうやら……そうでもないらしいわね」

 

 つまり霊魔は、ほんの僅かな瞬間に、一度に二撃以上の攻撃を俺達に仕掛けてきた────。霊夢は、そう言いたいらしい。

 しかしそれには時系列がおかしい気がする。

 俺と霊夢は同時に結界を形成したのだ。そして、俺の結界が壊され首に剣が突き立てられた。これが全てのはず、だった。

 そこに、「霊夢の結界も壊された」という事実が加わってくるのなら、話は変わってくる。

 

「……気になるって顔してるから、教えてあげるね。僕の居合は一度きりじゃない(・・・・・・・・)。息が持つまで何度も仕掛けられる」

 

「「!」」

 

「さっき、僕が攻撃したのは全部で5回」

 

「5回ですって……?」

 

「お母さんの結界は、お父さんのより早く完成したから、それを壊すのに3回だね。霊愛お姉ちゃんの弾幕の通り道を作る為に壊した。あと、お父さんの結界の形成の妨害に1回、お父さん本体に1回の、合計5回だよ」

 

「「────ッ!!」」

 

「半人半霊と吸血鬼のハーフのお兄ちゃんと、純血吸血鬼の僕……鍛えれば僕が勝つ。もうお兄ちゃんと引き分けたりなんかしない。……したくないから!」

 

「ほほぉ……言うじゃねーの霊……」

 

「『幻想空想穴』ッ!!」

 

「ふギャッ……クッソ、お喋り中だぞ霊愛ァ!!」

 

 突如、背後に瞬間移動してきた娘に頭を踏まれ、首の骨がポキンと嫌な音を立てた。しかし霊愛は、今の今まで靈夢に向かって弾幕を放っていたのに、何故ここに。

 

「フン、ここまで含めて作戦だっての!!」

 

「あァ!?」

 

「……してやられたわね、エスカルゴ」

 

「うっせ!やるぞ霊夢!!」

 

「そーね。さっさと終わらせましょ」

 

 俺は霊夢と力を合わせて、2人の子供を超え、父の、そして母の強さを見せ付ける。

 それこそがエキストラマッチの主目的だからだ。

 

「『戦闘においては、敵の嫌がる事を進んで行い、心を乱して付け入る隙を作る』────そうでしょ、お父さん」

 

「あァ……ホンットお前はよくできた(・・・・・)息子だな霊魔。霊夢も冷や汗かく程にな……」

 

 

 ◆

 

 

「ひゃ〜……どこもバッチバチにやりあってるねぇ」

 

「そうね。こっちもそろそろやりましょ、巫月?」

 

「こりゃ霊愛んとこ行って援護した方がいいかな。よーし、鈴仙!今度は勝つからね!」

 

「そうね、そうだと嬉しいかも」

 

「?……一閃『Mishap of Thunder』!!」

 

「……皆のこと巻き込まないでよ?逃げないからさ」

 

「もっちろん♡」

 

 巫月は、他には誰も巻き込まない程度に魔法陣を大きくさせ、そしてズドンと雷を落とした。巫月の目の前に居る鈴仙は紛れもなく本物。そして雷は、間違いなく鈴仙を貫いていた────!

 

「……いたた……ちょっぴり痺れたわね。やっぱり、二相じゃなくて単相に絞るべきだったわ」

 

「え」

 

 目の前の状況に、巫月は焦りが隠せなかった。

 今の一撃で鈴仙は気絶したはず。過去に何度も、この程度の威力の雷で感電させてきたのだし、その匙加減を間違えるはずが無い。

 それなのに、鈴仙は殆ど無事だ。

 

「何が、起きて……耐性を超える威力にしたのに?」

 

「いいこと教えてあげるわ、巫月。電気は、位相をズラしてあげると、ズレる前後で、全く同じ効果が得られなくなるのよ。そして波を減らす事で電気の波の中に空白を作る事が出来る」

 

「────ッ!?」

 

「全く、私ってばどうしてこんな簡単な事に今まで気が付けなかったのかしら。気が付きさえすれば、攻略なんて簡単なのよ。電気は波長なんだから(・・・・・・・・・・)♡」

 

「やっぱ鈴仙、普段、手ぇ抜きすぎでしょ……強さのギャップが激し過ぎてまるで読めない……!」

 

「ふふ、そんな事ないわよ?エスカルゴも巫月も、この技術自体は昔から(・・・)使ってるんだからね?」

 

「……えっ?エスカルゴも……私も?」

 

「そう。スリ抜ける雷刀(・・・・・・・)……エスカルゴも巫月も敵を傷付けず無力化するのによく使ってるでしょ?」

 

「!!」

 

「でもエスカルゴも巫月も位相の調節ができるのはあくまで自分のモノだけ。私みたいに、自分以外の電気の位相は……決して、イジれやしないわ」

 

「オッケー、完璧に理解したよ。つまり、鈴仙にはもう雷の能力は通じないってワケね」

 

「……。さぁて、巫月?月の都の浄化された空間にも慣れている私を、どう攻略する……?」

 

 そう言って、鈴仙は巫月に向けてちょっぴり黒い笑顔を覗かせたのだった…………。




巫月が開発したあの結界は、再三紹介している通り月の都の結界を模したものですが、それ故、それに慣れている者には効きにくい傾向にあります。
鈴仙やサグメなどは割と最近まで月に居ましたし、その最たるものでしょう。

バーニングチルノの動画です!ゆっくりボイス。
https://youtu.be/2vhQZY-SZXQ

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