「っ……殴っても超音波でもどうにもならない……!何なのこの結界は……お母さんッ!?」
霊子は未だに霊夢の結界に閉じ込められている。霊夢は「防音の結界」が使える。ならばその反対の
「通音性に優れた結界」だって作れる。
霊子を包囲したあの結界は、巫月の戦いを見て、それを対策した結果である。霊子には悪いのだが、もう少し待機しててもらいたいので非常に助かる。
「はぁっ……はぁっ……霊魔、何か来るよ!」
「うん……っ」
「……エスカルゴ。ぶっつけ本番だけど……アンタ、やれるわね?」
「理論は完成してる。それに、俺と霊夢の仲だろ。大丈夫だ、俺とレミリアでも出来たんだぜ。俺らで出来ないワケがねェよ」
「ま……アンタがそこまで言うんなら、仕方ないし、やってあげようじゃないの」
「オッケー。身も心も1つになろう」
「その言い方は我が旦那ながらキモイわね」
「!?」
「「合符『双翼の
俺と霊夢は揃って蝙蝠化。霊愛と霊魔は、綺麗に背中合わせになって全方位を警戒する。俺と霊夢が吸血蝙蝠として襲ってくるのを警戒しての対応だ。
しかしそれは間違い。これは「合体」する技術。俺達吸血鬼が元々備えている細分化、そこから元に戻る技術。それを応用した。
「「────かつてレミリアと合体した時は、確か、
『レミルゴ』って名乗ったんだっけ。それなら今の俺、いや私は、なんて名乗るべきなのかな。……ま、そんなの気にしても意味無いけど」」
「な……な、な……!?」
「なに……あれ………………お父さんとお母さんが……!が、ががっ、が……合体、したあ……!?」
子供達には、いやハーレムメンバーの大半は俺達吸血鬼が合体する事を知らない。だからレミリアと合体した事だって、その時の対戦相手のパチュリーだったり、フランだったり……ほんの一部の者しか、それを知り得ないのだ。
俺達親世代の誰もこれを話題に出さないのだから当然ながら子供達なんて誰もこれを知らない。
「「普通に可愛いでしょ?」」
「……どっちが喋ってんの?お母さん?お父さん?」
「「俺だ」」
「「お父さんなの!?」」
「「驚くこた〜ないよ、肉体ごと女装するのなんて初めてじゃないから」」
「いやいやいやいや!」
「そういう問題じゃない気が……」
「「まぁまぁ落ち着きたまえ。今の俺達の状態を、冷静に分析してみろ。ギャグ展開だと思ってない?落ち着いて考えてみな。10秒間、待ってやる」」
((3分じゃないんだ……))
合体が安定するまであと数秒掛かる。その時間を稼ぐ為に敢えて霊愛、霊魔に時間を与えてやった。そんな事にも気付かず、冷静に分析し────勝手にビビってくれた。
「お姉ちゃん……」
「うん……思ったよりヤバそう……何なの
「「凄いでしょ?私はエスカルゴより霊力の扱い、エスカルゴは私より魔力の扱いに慣れてる。互いの足りない所を補い、且つ、長所を伸ばせる……」」
「しかも、お母さんは普段から魔力を霊力で完全に隠してるから……お母さんの魔力量は未知数!」
「お父さんの魔力量はそこまで多くない。だけど、パチュリーさんから魔法を教わってるから、魔法、魔力の扱い方は確実にお母さんよりも上……!!」
「「絶望しろ、震えろ。恐怖が俺達の糧になる」」
◆
「おやおやおやおや……お父様と霊夢さんが合体とは恐ろしい……あんな事が可能なのですね」
「霊子ちゃんと合体でもする?」
「まさかっ!僕は僕ですよ、メイド長。僕の流儀に反しますから」
「……そう」
「それでは魂魄虔魔、やりましょうか」
「えぇ、そうですね」
「!!……ノーモーションで召喚ですって……?」
突然、瞬間移動のように現れた魂魄虔魔を見て、虔魔の能力が、この短期間のうちに成長したのだと察する事になった咲夜さん。
しかしそれでも焦りは見せない。
「
「いえ、僕はまた別な魂魄虔魔です。十六夜虔魔が無数に存在するのと同じで、魂魄家の養子となった魂魄虔魔も、等しく無数に存在しますから」
「……1つ聞かせて。どこかの養子になった虔魔は、魂魄虔魔しか居ないのかしら?博麗虔魔とか東風谷虔魔とかの名前を聞いた試しが無いわ?」
「そうですね。他のどの家庭からも、受け取り拒否されてしまっています」
「受け取り拒否……そこは
続けて虔魔は、今のところ見付けられているのは紅魔館で従事する十六夜虔魔、紅魔館を追放された野良の十六夜虔魔、追放されたのち身柄を保護してくれた魂魄家に養子として迎えられた魂魄虔魔の、3種類しか存在していないと話す。
何ともまぁ、悲惨な……。
「だとしても私が手を抜く理由にはならないわね」
「そうですね。別世界の僕の身の上話をした所で、そういった結論が出るのはお見通しでしたよ」
虔魔と魂魄虔魔は、顔を見合わせるとほぼ同時に左右に散開し、それぞれが全く別の方向から激しく咲夜さんを襲っていく。
時間停止による数秒間、またはコンマ数秒間の、地味な嫌がらせも忘れていない。
しかし咲夜さんは先に起きた空中衝突について、対策を考えていた。だから、焦りは全く無かった。
「卑怯ですねぇ。まさかそんな事で対策されるとは思いませんでした」
「何が卑怯なのかしら。自分の攻撃が
「ッ────!!」
衝突したのは、両者が動いていたから。そして、それに伴い、咲夜さんは自分だけでなく自分以外の位置情報をも頭に入れる必要があった。それも時間経過と共に変化していくようなモノを。
だからそちらに思考のリソースを割く事ができず鈴仙と衝突したのだ。だったら、自分の位置情報を逐一更新する必要が無いよう、自分は動かなければいい。ただそれだけの話だ。
「せーのでトドメ刺しましょう」
「OKです」
「「せぇ、のッ!!」」
「────傷魂『ソウルスカルプチュア』」
「「!?……うっ、うわぁぁあああっ!!」」
虔魔程度では、咲夜さんの体術には到底追い付く事なんて出来やしない。虔魔達は2人揃ってたった1人の咲夜さんの斬撃をその身に受けて、リタイアしてしまった。
「その程度で何イキがってんのよ。まだまだだわ。20年前に出直してきな」
◆
「エスカルゴと霊夢さんは合体、咲夜さんは虔魔を倒して、霊子は身動きが取れない状態……参ったなーどうやって鈴仙と戦えば……」
「ふふ、これまで通りでいいんじゃないかしら」
「効かないと分かっててやる程、無謀じゃないの。とにかく、きっとどこかに突破口はあるはず……あるはず……!」
素手で鈴仙に向かっていく。吸血鬼並みの膂力を持つ巫月だからこそ、玉兎の鈴仙では対処不能だと踏んでの行動だった。
これまでずっと能力で戦ってきたので、巫月は、知る機会がまるで無かったのだ。────鈴仙の真の恐ろしさを。
「速いわね。……けど……軽いわ」
「ッ!?……キャアッ!?」
パシンと軽い音を出して、手のひらで巫月の拳を受け止める。そしてそのまま、流れるように巫月を投げ、地面に押し付けてしまった。
「地に足が着いていないからかしら」
「んぎぎっ……れ、鈴仙……が……格、闘……!?」
「徒手格闘なんて軍人としての基本スキル。
「くっ…………げふっ、けほっ……苦し……ぃ゙……」
「絞め落とすわよ。関節を上手く
「ッッ……たず…………けでぇ………………えす……か……」
絞め落とされた巫月は、ガクンと脱力してしまいその場に横に寝かされた。やはり元軍人、やる時はやるらしい。あな恐ろしや。
「巫月でも、焦り過ぎるコトってあるんだなぁ……。なにも、完全に威力を
立ち上がった鈴仙と目が合うと、俺が巫月を溺愛しているからか、ちょっぴり申し訳なさそうに耳をシワシワにさせてしまう。
別にこれは戦闘行為だし、ましてや血を流させたワケでもない。それに加えて、鈴仙と巫月は立派な血の繋がりのある母娘なのだ、俺だってそれに対し怒りなどしない。
合体した身体の全ての主導権を一時的に霊夢から移してもらい、ニッと笑って親指を立ててやると、鈴仙も、グッと親指を立てて、笑い返してくれた。
咲夜さんの最後のあのセリフ、数字(単位)が違うだけで原作通りなのが酷い。
ルーミア(大人ルーミア)の動画です。近々、挿絵として使います。少し、幻想的な絵が出せました。
https://youtu.be/7W2asElOgL8
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