カルゴ「んー…クソッ、何処に居るんだよ文は」
何処にいるのか検討もつかず、見つけられない自分、こんな状況に苛立ちを覚えていた。
つーか、あんだけ速いのに何で捕まった?
…睡眠薬でも盛られたか?
仕事場に押し入ってきたとか?
うーん…ま、文が無事に見つかれば何でもいい。
カルゴ「とりあえず適当に雷落とすか」
今の俺は、スペルカード程の威力では無いものの、自由自在に雷を起こせる様になっていた。
カルゴ「いくぜ。…ハァッ!」
ガカッ…ドドォォォォォォン…
鴉天狗達「ぐあああっ!」
カルゴ「あ」
下の方から叫び声が聞こえた。
…巻き込んでしまったか。
別にいいや、どうせ
どうせならもっと強いのをやってやるよ。
カルゴ「一閃『Mishap of Thunder』」
ヴォン……ギュウウウウ……
守矢神社と同じ標高に魔法陣を展開。
そこから召喚される雷は、守矢神社には何の影響も与えない。
鴉天狗達「何だあれは!?」
魔法陣の事だろう。突如上空に出現した魔法陣に、驚きを隠せないようだ。
カルゴ「召・喚!!」
ズアッ…ドドォォォォォオン…
鴉天狗達「うああああああっ!!」
こうして、遠隔攻撃出来るのはホントいいね。
さ、文は何処に居るのか……
???「止まれ」
カルゴ「!?」
背後から声がしたので咄嗟に振り向く。
そこには、デカい図体の、威厳たっぷりな天狗が1人。
コイツ…なんだ?デカい…。
白狼天狗でも鴉天狗…でもない。多分。
鴉天狗…なのかな?
俺の知らない未知の種族…か?
だが、身分はかなり上っぽいな…豪華な身なりしてやがるぜ。
???「貴様が侵入者だな?」
カルゴ「…だったら?」
???「ここで消す。フンッ!」
言うなり、野太い声で叫び風の刃を放ってくる。
カルゴ「雷装備『勇者の纏い』!ハァッ!」
瞬時に装備を形成し、風の刃を一刀両断にする。
???「ほぉう…。中々やるでは無いか」
カルゴ「まだ1割も出しちゃいねぇよ」
???「図に乗るな、小僧ッ!!!」
ビュオッ
叫ぶなり猛スピードでツッコんでくる。
カルゴ「雷装備『翼竜の舞』」
バシュッ
素早く飛び上がり、回避行動をとる。
ギリギリ回避出来た。
???「ぬぅ…何処へ行ったァ!!」
そうか…自分の目の前で消えたから何処に逃げたのかわからないのか。そこまで速くなれたか、俺…。
でもまだ、文には勝てないだろう。
???「そこかッ!」
影でバレたのか、自分より上に居ることに気が付き、振り返ろうとするが……
カルゴ「雑魚に用はない。消えろ」
ザシュッ
振り返りきる前に首を斬る。首に電流が流れ、意識を失った天狗はそのまま地面に落下する。
カルゴ「なんでい、口ほどにもねぇ」
ドォォ…
かなりデカい図体なので、落下音も凄まじい。
鴉天狗達「大天狗様!!大天狗様!!」
カルゴ「!?」
大天狗だと…?
やべぇ…かなり上のやつ倒しちまったな…。
鴉天狗達「上だ!敵は上に居る!」
バシュシュシュッ
気付いたか…。そりゃ、大天狗は落ちてきたんだから、それを倒した敵は上に居ることになるな。
某鴉天狗「…貴様か」
カルゴ「なにが」
…また囲まれたか。
某鴉天狗「大天狗様を…あのようn」
カルゴ「救助の邪魔だから斬ったまで。安心しろ、お前らもすぐアイツと同じ所に送ってやるよ」
同じ所というのはもちろん地面の事である。
鴉天狗5「うっ…」
某鴉天狗「怯むなァ!!行けぇぇぇ!!!」
鴉天狗達「うぉぉおおおおお!!!」
カルゴ「やれやれ…」
懲りないねぇ…。
心の中で溜息をつき、刀を倍の長さにする。
カルゴ「ハァァァッ!!」
ズババババッ…
鴉天狗達「ああああああああ!!!」
体に流れる電流に悶え苦しむ鴉天狗達。
囲まれているので、回れば皆斬れるんだよ。
回転斬りといったところか。
某鴉天狗「くっ…」
カルゴ「…耐えたか」
たった1人の鴉天狗を除き、残りは皆落下した。
空中には俺とコイツだけ。
だがコイツは浮かぶので精一杯なようで…。
手が痺れたのか、刀は手放している。
カルゴ「覚悟しろ」
そう告げて刀を構えるが…。
コイツ…文の居場所知ってるんじゃね?
そう思ったので、作戦を変える事にした。
カルゴ「拷問『Thorny Restriction of Thunder』」
ギュルルルルルル……
某鴉天狗「うわわっ!?」
ギチッ…
左手の盾を解除し、そこからロープを出して少しキツめに縛り上げる。
某鴉天狗「イテテテッ…」
まだ電気は流していない。
あくまでも拷問の準備だ。
カルゴ「手荒な真似をしてすまない。だがこれは、お前ら天狗から始めたこと。……俺の質問に答えろ。さもないと…」
無表情で謝りつつ、刀を首に近付け…首を斬るぞ、と言わなくても理解させる。
カルゴ「お前が素直に答えれば、これ以上仲間の天狗も犠牲にならずに済む」
誰1人犠牲になってないけど。
某鴉天狗「わ、わかった…答える。答えるから仲間を殺すのだけは止めてくれ」
カルゴ「まぁ、答え次第だがな」
忘れた、と言ったら無条件で気絶させて叩きつけてやる。というか、まだ誰も殺してないんだが…(汗)
カルゴ「射命丸 文の居場所を教えろ。」
某鴉天狗「うっ…」
カルゴ「3秒間待ってやる。3…2…」
2までカウントしたところで刀を構える。
カルゴ「1……」
某鴉天狗「鴉天狗の宿舎の地下牢に閉じ込めてある」
カルゴ「宿舎に地下牢?…本当だろうな」
某鴉天狗「本当だ。侵入者を捕らえ、身近に置いておく事で監視をしやすくしている。だがそれは、哨戒天狗らが追い返せなかった場合であり、ここ数百年は使われていなかった」
宿舎…裏側の方にあるってヒビキが言ってたな。
カルゴ「なるほどな。…あり…」
ありがとう、と言いかけて、他の質問事項を思い出す。
カルゴ「あと、さっきの大天狗ってやつはこの山ではどんな位に着いている?」
某鴉天狗「天魔様直属の部下…」
カルゴ「!?」
ヤベぇことしちまったかもな…。
某鴉天狗「会議に参加を許されている、数少ない天狗だ」
カルゴ「会議に参加出来る者は?」
某鴉天狗「天魔様、大天狗様数名…ごく稀に鴉天狗も呼び出しがかかることもある」
大天狗ってのは種族名か役職名なのか…。
カルゴ「天魔様…というのは、この妖怪の山の長という解釈で合っているか?」
某鴉天狗「合っている」
カルゴ「そうか。…鴉天狗の宿舎の位置を教えてもらおうか」
某鴉天狗「うっ………」
なーに黙り込んでるんだよ…。
山のことを話すのはともかく、それを話すと任務を放棄することになるので、上からの命令と仲間、どちらを優先すれば良いのか、と悩んでいるのだ。
カルゴ「そうか…話してくれないか。残念だ。では、お前の仲間を殺しに行くとするか」
某鴉天狗「ま、待ってくれ!!!」
カルゴ「……どうせ、上からの命令で俺を倒せと言われてるんだろう? あと、任務のことは漏らすなとも言われてるのか?」
某鴉天狗「っ…!」
カルゴ「上からの命令と仲間の命…どちらが大事か、今すぐ決めろ」
命令と命なら当然、後者だろ。
某鴉天狗「…山の裏側…中腹あたりに2軒、宿舎がある。標高が高い方が、我々鴉天狗の宿舎だ」
カルゴ「標高が低い方は白狼天狗の宿舎…か?」
某鴉天狗「そうだ」
組織をそのまま表したかのような感じだな。
カルゴ「協力、感謝する。行け」
ロープを解除、刀も鎧も解除する。
某鴉天狗「し、しかし…」
カルゴ「どうした?上から怒られるのが怖いか?」
某鴉天狗「ぐぅ……」
カルゴ「“侵入者は見つからなかった。引き続き捜索する”…とでも報告しておけ」
某鴉天狗「……………わかった」
長い沈黙のあと、そいつは飛び立った。
…なんで建前なんて用意してやったんだ?
まぁいいや。裏側…標高の高い方の宿舎、か。
カルゴ「雷装備『翼竜の舞』」
翼を出し、そこへ向けて飛び立った。