「うおおおおおおぉぉぉっ!!喰らえ巫月ィッ!!吸熱『バーニングチルノ様』ッ!!」
地面から次々と、まるで針山地獄のような氷柱が生えてくる。それはチルノを中心に広がっていき、やがては寺子屋本体をも飲み込んでいく。寺子屋は霜に包まれ、氷に包まれ、段々と中に居る生徒達も寒気を感じつつあるようだった。
「地面が凄い勢いで凍ってく……!けど、こんなのは飛べば回避なんて余裕だね」
「ハッハッハーッ!これは単なる布石に過ぎない!見よ!あたいの最強形態!これが!バーニングッ!チルノ様だァァァァッッ!!」
過剰に熱を吸収したチルノは、吸収したその熱を一気に放出。ただし、弾幕としてではなく、変身に使用する為に放出した。
6枚の氷の翼は背中から噴き出す6本の火柱へ、青と白の衣服は赤と白の服に変わり、リボンの色も青から赤へと変貌を遂げた。
「どーだ……これがバーニングチルノだッ……!!」
「……熱いチルノが余計熱く、いや暑くなった……」
「ふおおおおおっっ!!何それ何それっ!?凄い!チルノちゃんカッコイイーーッ!!」
「へっへっへ、そーだろ真宵!見る目があるなっ!この形態になったあたいは、エスカルゴにも勝てる可能性が出てくるくらいだ!」
「パパに勝てるのッ!?凄い!!凄い強い!!」
先日のエキストラマッチにて親の強さを目にした真宵だからこそ、それの凄さに純粋に憧れ、凄いと素直に褒めるのだった。
しかしチルノのその言葉を聞いて、巫月の顔から表情というものが消え失せる。色んな意味で父親を愛する巫月は、級友から「勝てる」と言われるのが嫌だった。例えそれが「可能性」の話だとしても。
「それは……ちょぉ〜〜〜ッとばかり、思い上がりが過ぎるんじゃあないのかな?チルノ?」
「フフン、そうかな?じゃあいつもみたくあたいを倒してみな!」
「……言われなくても!雷武器『雷刀』ッ!」
「甘いッ!!バーニングチルノでも、いつもよりは弱いけど氷自体は作れるんだぞッ!!」
「氷で受け止めて、何になるってのっ!!」
氷の壁を生み出すチルノ。しかし自身の熱で軽く溶けつつある上、巫月に呆気なく切られてしまう。それなのにチルノは焦る様子を見せない。いいや、それどころか、ニヤリと口元を歪めすらしている。
「爆ぜろッ!!」
「え────」
巫月が氷の壁を切った瞬間、氷の壁が爆散した。
「見たか!これが、
「……ジュール?」
「そう、それ!!」
チルノが自然とそんな知識を得るはずがない、と巫月は考えるが、同時に、父がチルノに戦闘訓練を課している事を思い出す。
成程、これは彼からの入れ知恵だと、内心舌打ちしたい気分になっていた。
「ジュールの法則、か。抵抗値を持つ物体に電流を流すとその抵抗値に比例し、電流の2乗に比例する熱が発生する────ってヤツだったかな。成程、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するのか……。厄介な事を覚えたね。特訓相手のエスカルゴが雷を使うからこそって感じか……」
純水は電気を殆ど通さないとされている。よってそれを冷やしただけの氷も同じように電気は通らずこの法則の適用範囲内になってしまう。
氷の壁が爆散したのは、氷という「抵抗値を持つ物体」に雷刀から電流が流れた事により熱が発生、その発生した熱が、小さいながらあのように水蒸気爆発を起こさせたのだ。
「しかも、爆発によって私の雷刀が壊されるほど。うーん、中々どうしてやりにくい相手……」
「これで終わりだぁぁッ!あたいは今日ッ!巫月に勝ァつ!放熱『クロッグブレス』ッッ!!」
目も開けていられない、呼吸もできなくなる程の強烈な熱波が吹き荒れる。こうなっては、さしもの巫月も行動不能に陥る。
しかもチルノを中心に吹き荒れているので、仮にスキマでチルノの頭上に移動して攻撃しようとしたところで、それは、全くの無意味なのだ。
「草も燃え始まった……なんッて熱なの……」
「ハハハハハハハッッ!!もらったァッッ!!!」
好戦的な笑みと一緒に、凄まじい熱を集めた拳を巫月へぶつけようとするチルノ。しかし、その拳が巫月に到達する前に、真宵の叫びによってチルノの動きは停止する事になる。
「うわああっ!!寺子屋が燃えてるー!!」
「……えっ」
凍らされた草すら燃え上がる温度だ、木造建築の寺子屋だって燃えないはずがない。とは言っても、真宵のあの叫びは少し大袈裟で、寺子屋には、まだ燃え移ったばかりであった。地面の植物と同じく、寺子屋自体も凍っていた事により延焼がある程度は妨げられていたらしい。
などと思っていたのも束の間、すぐに氷を溶かし燃え上がり始めてしまった。
「うわっ、やっばい……やりすぎた!」
「────消すよチルノ!」
「分かってる!」
巫月は寺子屋上空にスキマを開く。その向こうは妖怪の山、玄武の沢の滝。そこから水を拝借して、滝の水での消火を試みる。それから更にダメ押しとばかりに、バーニングチルノを解除したチルノが、その水を凍らせ、完全に消火してしまった。
「ふぃ〜、一件落着♪」
「『ふぃ〜』じゃないよ、全く……。フツーに考えてアレはやりすぎでしょ」
「巫月はそれくらいしないと勝てないからなっ!」
「寺子屋を壊してちゃ勝っても意味無いっての……」
「コラァアア!お前ら、また校舎を燃やしたかあああああッッ!!!」
怒りによって角が生えているかのような幻覚すら見える程の剣幕で、慧音が飛び出してきた。実は、巫月とチルノがこの寺子屋を壊しかけるのはこれが初めてではない。
以前は巫月のスペルカード……落雷によって屋根に大穴が空き、落雷による火災まで発生させた事すらある程だった。
その時の事は勿論この俺エスカルゴは知らない。ならその時の被害はどうしたのかと言うと────なんと巫月は、自身がスキマが使えるのをいい事に紅魔館へ移動。そしてここあ&シガレットの双子に頼み、創造魔法にて修繕してもらったのだった。
「お前ら2人共そこに並べェい!頭突きの刑だ!」
「「ひぇ〜ッ!!」」
「……!」
しかし次の瞬間、姉がピンチだと感じた真宵は、その能力で、今の慧音が持つ暗い感情の「怒り」を吸収してしまった。
「……と、思ったが、まぁいいかっ!自分達でコトを治めたのは偉いぞ!頑張って自習に励むように!」
「えッ!?」
頭突きをされると大人しく身構えていた2人は、呆気に取られてしまう。チルノなんかは目を剥いて驚きを露わにする程だ。
巫月は、真宵とは姉妹であるが故に、既に能力も知っていたので、そこまで驚く事は無かったが……。
そして、この一連の流れを見ていたルーミアは、バリバリに凍った窓を開け、苦笑しながら、真宵に告げる。
「真宵ぃ、今のはやんなくて良かったんだよー」
「えっ?で、でもお姉ちゃんとチルノちゃんが……」
「悪い事をしたなら怒られる、これでいーの。今、その2人は『やらかした』から、本当なら、慧音に怒られなくちゃいけなかったの」
「むむむ……そうだったんだね……!でも、もう吸収したのを戻せないし……」
「次から気を付けなね。それと、もし真宵が慧音に怒られそうになっても、今みたいに能力を使って、お叱りから逃げるのだけは禁止だよ。分かった?」
「分かった!」
ルーミアの忠告も素直に受け入れ、チルノからは頭突きから逃れられたと酷く感謝され、巫月からも頭突きはもうコリゴリだから助かったと礼を言われ真宵はやんわりと頬を緩ませた。
「チルノちゃんって強いね!私じゃ勝てないや!」
「真宵はどんな技、スペカがあるんだ?」
「今みたいに、誰かの暗い感情……『やみ』を吸ってスッキリさせてあげたり、色々?……でもねー、まだスペカは無いんだ〜」
「そーなんだ!じゃ、あたいが強くてカッコイイの考えてやる!巫月も一緒に考えよ!」
「……しょうがないねぇ♪」
家族とはまた違った居場所が出来た事で、真宵の生活はまた一段と潤いそうだ。ルーミアも真宵も、これからの新生活への期待に胸を膨らませていた。
真宵の単発の話はたまーに書きたいですね。
そしてバーニングチルノを出した時の動画です。
https://youtu.be/2vhQZY-SZXQ
動画更新は少々お待ちを。
今居るのは山奥なので動画などの大きなファイルを送受信するというのがかなりキツイのです。
本作を読んでいて、新たに推しが増えたという経験はありますか?
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ある(書籍原作キャラ)
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ある(ゲーム原作キャラ)
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ある(秘封)
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ある(旧作キャラ)
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ない