カルゴ「テメェラ…」
鴉天狗「まだ生きてるか…!」
カルゴ「…!」
ここでエスカルゴの意識が鴉天狗から何かへ移る。
カルゴ「…?」
赤色に光るナニカを見つけた。
カルゴ「………」
手を広げるとそれらが掌に乗った。
鴉天狗「な、何をしているんだ?」
鴉天狗「さ、さぁ…」
鴉天狗達にはそれが見えていないようだった。
カルゴ「………」
鴉天狗「何か…見つめてる?」
赤色に光るモノを見つめていた。
その数、およそ4つ…目の前に居る鴉天狗の数と同じだった。
鴉天狗「何でもいい、さっさと殺すぞ!」
鴉天狗達「お、おう!」
カルゴ「!」
鴉天狗達が向かってきたので反射的に身構えるエスカルゴ。赤色に光るモノのあった右手は必然的に握り締められる。
鴉天狗達「ッ!?」
ドォォン……ビチャチャ…
派手に弾ける鴉天狗達。
カルゴ「…?」
まだ何もしていない。構えただけだ。
なのに、手を握りしめただけで敵が弾けた。
ここで本能的に気付いた。
赤い光を握り潰せば敵を殺せる───と。
だがここで、思わぬ邪魔───助けが入る。
咲夜「エスカルゴさん!?」
咲夜である。
カルゴ「………」
咲夜「全身血だらけじゃないですか!!それにこの天狗達…まるで妹様にやられたかのような……」
そこまで言いかけて、咲夜は気付いた。
咲夜「…エスカルゴさん。“狂気”…ですね?」
カルゴ「…?」
咲夜「…さぁ…こっちへ戻ってきて下さい。必ず…元に戻して差し上げますから…」
咲夜は震えながらも両手を広げ、狂気のエスカルゴに笑顔を向け、彼を受け入れようとした。
咲夜には作戦があるのだ。
エスカルゴが幻想入りする数年前…姉妹喧嘩の中でフランの中の狂気が暴走し、館を破壊し、レミリアを殺しかけ、メイド妖精らを殺すという事件があった。
そんな中、魔除け効果のある銀が吸血鬼の弱点ということを思い出した咲夜は、隙を見てフランに銀のナイフを突き刺し、結果、狂気を振り払うことになった。
カルゴ「ウウ…」
エスカルゴは、敵ではないと判断したのか、ゆっくり歩を進める。
咲夜「(私1人で“狂気”に立ち向かうなんて、あの頃では考えられなかったわね…。あの時は美鈴も援護してくれたけど…今回は私1人。でも…やるしかないわ)」
カルゴ「咲夜…サン…」
咲夜「えっ…?(なんで話せるの?あの時の妹様は会話が出来ないほど暴れていたというのに…)」
カルゴ「ナン、デ………ココニ…?」
咲夜「え…エスカルゴさんを助ける為です」
紅く光る瞳を真っ直ぐに見据えつつ、そしてエスカルゴからは見えぬよう、太ももに装備しているナイフを手に取る。
カルゴ「助、ケ…?」
咲夜「……ごめんなさい」
謝ると同時に…銀のナイフをエスカルゴの太ももに突き刺す。
ザクッ…
カルゴ「ガルルルァァ…!ヴオ゙オ゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!」
獣のように唸ったあと、苦しむように叫ぶエスカルゴ。咲夜は驚き、少し後退する。
カルゴ「ガァァァァ……!ウゥゥゥ……」
胸を掻きむしりながら苦しむ。
咲夜「元に戻って下さいっ!お願いしますっ!」
咲夜は祈るように叫んだ。
そして…その祈りが通じたのか………。
カルゴ「ガァァ……………ぐっ…痛ってぇ…」
瞳の紅い輝きは失われ、いつもの瞳に戻る。
声の調子もいつもの通りだ。
咲夜「エスカルゴさんっ!」
ギュッ…
ナイフを抜き、エスカルゴに抱きつく咲夜。
カルゴ「えっ?咲夜さん?何でここに…って、くっつかないで下さい!俺血だらけですよ!?」
グイッ
咲夜「きゃっ!」
抱きついてきた咲夜を、肩を掴み引き離す。
咲夜「あぁ…汚れてしまいましたね」
べっとりと血がついてしまったメイド服を見て、咲夜は苦笑いする。
カルゴ「どわぁっ!鴉天狗達がぁ!!!」
弾けている鴉天狗を見て驚くエスカルゴ。
咲夜「(“狂気”のことは覚えてないのかしら…。なら言わないでおいた方が良いのかもしれないわね)」
カルゴ「ところで、なんでここに?」
咲夜「ふふっ…エスカルゴさんのお戻りが待ちきれなくて…お迎えに来てしまいました♪」
カルゴ「は…はぁ…」
服汚しちゃったのに怒ってない?───ハッ!
カルゴ「そうだ!文さん助けないと!」
やる事を思い出し、廊下を走り出す。
とりあえず地下へ降りる階段を探さなければ!
咲夜「文…射命丸 文ですか?」
咲夜もそれに続く。
カルゴ「ええ!なんか今囚われているそうで…」
咲夜「じゃあエスカルゴさんはあの人を助けるために、こんな所に居たと…」
カルゴ「まぁそんな所です!お手伝いお願いできますか!?」
咲夜「ええ、もちろん!」
よっしゃ!あ、でも…。
カルゴ「相手は俺を殺しに来てます。恐らく俺に従事する者の事も殺すつもりで襲ってくるでしょう。やはり逃げて下さい!」
咲夜「大丈夫です!」
カルゴ「しかし、俺も殺されかけました!さっきそこに転がってた胴体の半分…あれ俺のです!」
咲夜「そんなっ…」
悲痛な声を上げる咲夜。
カルゴ「今俺を支えている下半身はさっき生えたものです。…吸血鬼じゃなきゃ死んでましたね」
咲夜「流石の生命力ですね、エスカルゴさん!」
カルゴ「へへっ…」
鴉天狗達「居たぞォ!ここだァ!!!」
走ってきた所から鴉天狗の声がする。
そしてどんどん集まってくる鴉天狗達。
なぬぅ!?
カルゴ「クソっ!見つかった!」
咲夜「ここは私が!」
カルゴ「!?ダメです!咲夜さんも一緒に!」
咲夜「良いから早く!」
カルゴ「しかしっ…」
咲夜「…良いからっ…任せて下さい」
カルゴ「っ……わかりました!」
とりあえずここは咲夜さんに任せよう。
大丈夫、咲夜さんもかなりの実力者なんだ。
しばらく走って気付いた。
行き方が分からないなら壊せばいいじゃん。
…と。
カルゴ「くそっ!時間の無駄だったのか!」
あまり力は残ってない。再生に力を使い過ぎた。
カルゴ「ハァァァッ!!」
バキャッ!
宿舎の床を殴り、大穴を開ける。
カルゴ「おっと…」
バサァッ
危うく床と一緒に落ちる所だった。
カルゴ「行くぜ!」
そして、穴に飛び込むとそこは────。
新たな能力…。
ええ、皆さんご存知のアレですね。
“ありとあらゆるものを破壊する程度の能力”
赤い光…フラン風に言うなら“目”ですね。
暴走と狂気が混じり、地味な狂気になりました。
暴走…比較的落ち着いてる時はある程度の会話は可能。一度暴走すると少しの間暴走しやすくなる。休めばOK。完全に我を失うと誰彼構わず攻撃。
狂気…ろくな会話は不可能、目に留まるもの全て破☆壊
暴走&狂気……比較的落ち着いてる時はある程度の会話は可能、敵とみなしたものは全て破☆壊
エスカルゴの狂気とフランの狂気、どちらが強いと言われれば間違い無くフランです。
純粋な狂気だから…。
なお、発動条件も違いますね。
自分への負の感情、暴走、それらが合わさり初めてエスカルゴのミックス狂気の誕生です。
エスカルゴに純粋な狂気は存在しません。