※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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復讐心に駆られる愚かな吸血鬼・前編

カルゴ「外で飲む紅茶も悪くないな」

 

レミィ「そうでしょう?」

 

カルゴ「ああ」

 

ま、天気は曇りなんだがな。

 

上海「シャンハーイ!」

 

蓬莱「ホラーイ!」

 

フラン「あはは、また頭に乗ってる〜!」

 

カルゴ「ふふっ、可愛いだろ?」

 

フラン「そうね♪」

 

上海と蓬莱が来てから2日。

2人共、とても懐いてくれた。

 

ヒュオオオ……

 

カルゴ「!」

 

風と共に、何かの臭いが漂ってきた。

 

この臭い…血?

 

フラン「お姉様」

 

レミィ「ええ。これは…何かあったわね」

 

カルゴ「待て2人共。何の話してるんだ?」

 

レミィ「あなたも気付いたでしょう?今の血の臭いに」

 

カルゴ「そりゃ、俺も気付いたよ。けど…気のせいじゃないのか?」

 

こうしてる間にも、血の臭いはどんどん濃くなってくる。

 

レミィ「私たち吸血鬼は、血の臭いには特別敏感なの。気のせいな訳が無いわ」

 

フラン「妖怪の山から…かしらね?」

 

レミィ「大方、そうでしょうね」

 

カルゴ「方向わかるのか!?」

 

そこまでわからないんだが…。

 

フラン「ううん、方向じゃないわ。色々な血の臭いが混ざってるから…天狗とか河童とかが居る妖怪の山かなって思ったの。ね、お姉様」

 

レミィ「そうね」

 

カルゴ「な、なるほど…」

 

血の臭いとしか分からない…。

嗅ぎ分けなんて出来ないなぁ。

これが純粋な吸血鬼と不純な吸血鬼の違いか?

 

カルゴ「けど、俺らの出る幕はねぇだろ?」

 

レミィ「もちろんよ。山の事は山の連中に任せておけばいいの。異変なら霊夢が動くし」

 

フラン「そうそう」

 

カルゴ「……だな」

 

でも…何だろう、この感じ…。

妙に落ち着かない…胸騒ぎがする…。

 

上海「シャンハーイ?」

 

蓬莱「ホラーイ?」

 

テーブルに降り、心配そうに顔を覗き込む。

 

カルゴ「いや、何でも無いよ」

 

心のどこかで燻ってる不安を振り払うように、無理に笑って頭を撫でる。

 

上海&蓬莱「〜♪」

 

頭を撫でられて嬉しそうな顔をする。

 

フラン「ねぇ、この臭い、ドンドン濃くなってきてない?」

 

レミィ「ええ。それに、何かが近付いてきてる様な気がするわね」

 

カルゴ「ええ!?」

 

その時─────。

 

???「やいエスカルゴ!復讐に来たぜぇ!!」

 

空から声が降ってきた。

 

カルゴ「あ、お前は!あの時のクソガキ…!」

 

ガタンと椅子を飛ばして立ち上がる。

 

空を見ると、クソガキことクレイが居た。

だが、その周辺には兵士と思しき連中がいる。

その数およそ100。

 

何だあれ…皆翼生えてる?吸血鬼か?

皆、腰に剣差してるぞ?物騒だな…。

いや違う…あれは剣というより…レイピアか!

 

レミィ「クレイ!?また性懲りも無く…!」

 

フラン「来ないでってば!」

 

2人も席を立つ。

 

 

 

部下「クレイ坊ちゃん、どうなさいますか?」

 

部下がクレイに耳打ちする。

 

クレイ「事前に打ち合わせをした通りだ。アイツらを連れて帰る」

 

部下「しかし…お嬢様方の強さでは…」

 

クレイ「なら殺せ。オレ様のものに出来ないのなら、全て壊すまでだ。屋敷の者は全て殺せ」

 

部下「御意」

 

部下数人は館の裏方へ消えていった。

 

 

 

カルゴ「お前、何しに来たんだ?」

 

クレイ「言ったろ、復讐だ!」

 

カルゴ「殺すとか何とか聞こえたが?」

 

クレイ「ああ、邪魔者は全員殺す」

 

カルゴ「なんだと…?」

 

クレイ「今頃、館の中にいた奴らは全滅してるだろうよ!」

 

3人「!?」

 

部下「坊ちゃん、終わりました」

 

クレイ「おう、ご苦労だったな」

 

部下「いえ」

 

フラン「咲夜やパチェが殺られる訳が無いわ!」

 

レミィ「そうよ。咲夜!来なさい!」

 

シ────ン…

 

レミィ「…咲夜?」

 

クレイ「咲夜?ああ、この前邪魔してくれたメイドか?背後から串刺しだとよ!」

 

笑いながら大声で言い放つクレイ。

 

は…?嘘だろ…?

 

レミィ「そん…な…」

 

ヘナヘナと座り込むレミリア。

 

フラン「お姉様!これはいつもの嘘よ、騙されないで!」

 

カルゴ「…咲夜さんが殺られる訳ねぇよ」

 

レミィ「そ、そうよね…」

 

クレイ「はぁ?これを見てもそんな事言ってられるか?…おい、見せろ」

 

部下「はっ」

 

部下3人が、高々とレイピアを持ち上げる。

3本のレイピアには、血がこびり付いている。

 

3人「!?」

 

カルゴ「血が…」

 

3本…咲夜さんとパチュリーと小悪魔…?

 

レミィ「嘘でしょ…?」

 

フラン「う…嘘よ!嘘に決まってるわよ!お姉様、エスカルゴ、騙されないで!あれは血糊か何かよ!!」

 

レミィ「そ…そう…よね…」

 

カルゴ「………」

 

クレイ「まだそんな事言ってんのか?しょうがねぇ、死体でも見せてやるか」

 

3人「!?」

 

カルゴ「デタラメ言ってんじゃねぇ!!」

 

クレイ「デタラメじゃねぇさ。そんじゃ、この血は何だよ?」

 

カルゴ「血糊だろーが」

 

クレイ「んなの持ってねぇよ。おい、レイピア寄越せ」

 

部下「はっ」

 

クレイは部下からレイピアを受け取り、舐める。

 

クレイ「へぇ、こりゃ美味いな。このしっかりした味…あのメイドか?」

 

レミィ「!!!」

 

クレイ「あ〜あ、あのメイドだけでも生きて連れ帰れば良かったかぁ?一生オレ様のそばで働かせてよ、好きな時に血を飲むんだ。最高だぜ!」

 

カルゴ「テメェェェ!!!」

 

クレイ目掛けて殴り掛かる。

 

部下「速────」

 

バキィッ

 

思い切りクレイの右頬を殴る。

 

クレイ「……」ニィッ…

 

カルゴ「何笑ってんだよ?気持ち悪ぃなテメェ」

 

天子の方が可愛げあるぜ。

 

クレイ「へっ…馬鹿だなお前。アイツらの方見てみな」

 

カルゴ「…?」

 

クレイや周辺の部下を警戒しながら振り返る。

 

カルゴ「!?」

 

フラン「エス……カ………」

 

レミィ「痛……い……」

 

2人は口から大量の血を吐きながら呻く。

腹からは複数のレイピアが生えている。

 

カルゴ「…え…嘘、だろ…?」

 

その瞬間、物凄い喪失感に襲われた。

 

クレイ「おいおい、現実逃避か?」

 

ズルッ…ドシャッ

 

レイピアを抜かれた2人はそのまま力なくうつ伏せに床に倒れ、ピクリとも動かない。

 

カルゴ「おい!!」

 

クレイの部下とすれ違いながら2人の元へ行く。

 

カルゴ「良かった…」

 

何とか心臓は動いている。

ただ、肺などの重要器官がやられているため、再生が間に合うかは時間の問題だった。

 

カルゴ「…上海、蓬莱。俺の部屋で待ってろ」

 

未だテーブル上に居る2人に指示する。

 

上海「シャンハーイ…」

 

蓬莱「ホラーイ…」

 

2人とも館内に戻って行った。

 

 

 

部下ら「終わりました」

 

クレイ「よくやった。アイツらの後ろとるの、大変だったろ?」

 

部下ら「いえ。坊ちゃんがお嬢様方の視線もひきつけていましたので楽でした」

 

クレイ「そうか、ご苦労。後ろで休んでろ」

 

部下ら「はっ」

 

 

 

カルゴ「……お前ら……死ぬなよ…。『分身』」

 

その場から立ち上がり、分身を同時に5体作る。

 

部下ら「分身!?」

 

クレイ「5体同時だと…?」

 

分身ら「おい、これじゃ戦えないぞ!!」

 

カルゴ「…お前らは戦わなくていい。咲夜さんとパチュリー…小悪魔…フランとレミリアを永遠亭に運べ。運んだら…そばに居てやってくれ」

 

トーンの無い、淡々とした口調で指示をする。

 

分身ら「了解」

 

分身3人は館内に入って3人の捜索を、もう2人の分身はフランとレミリアを抱えて飛び立った。

 

クレイ「おいおい、そいつらは皆死んだっての。お前ホント話聞いてねぇな」

 

カルゴ「話は…聞いてる」

 

クレイ「ほう?なら何故だ?」

 

カルゴ「アイツらが死んだなんて、俺は信じてねぇ!!」

 

そう信じているのに、何故か涙が出てきた。

 

クレイ「おーおー、泣いちゃってぇ。お前もホントはわかってるんじゃないのぉ?“アイツらは皆死んでる”…ってよ♪」

 

挑発するように笑い、言い放つクレイ。

 

カルゴ「………」

 

俺は怒り狂っていた。

恋人たちの苦しむ顔なんて、見たくなかった。

ましてや、咲夜さんや小悪魔、パチュリーが殺されたなんて事…見たくないし、考えたくも無い。

こいつらは…殺すしかない。

生かしてる限り、またこうしてやって来る。

 

カルゴ「殺ス…!」

 

涙を流しながらクレイを睨み上げる。

 

クレイ「!(何だこいつ…目が紅く…)」

 

部下「(あれは!)坊ちゃん!あれは危険です!」

 

クレイ「何がだ?」

 

部下「本能が目覚めたのやもしれません!」

 

クレイ「へー♪面白そーじゃんか♪」

 

手を頭の後ろで組み、余裕の表情を浮かべるクレイ。

 

部下「…!」

 

クレイ「総員、奴を殺せ!!」

 

部下「はっ!!」

 

クレイのこの一言で、“スペルカード戦”では無く、“殺し合い”の火蓋が切って落とされた。




そう言えば前回、暴走条件に“怒り”って書いてなかった…。お許し下さい┏○┓
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