カルゴ「うーん…」
現在俺は図書館で調べ物中。
上海&蓬莱「…スピー…」
上海と蓬莱は寝ている。
調べる内容は、脳の機能及び記憶障害について。
というのも……
小悪魔「どうしたんですか?さっきから唸っちゃって…」
カルゴ「あぁ…小悪魔か。最近、記憶が途切れるんだ。それも、結構頻繁に」
そう。最近、記憶の混濁が激しい。
小悪魔「記憶が…ですか?どういう事です?」
小悪魔が首を傾げる。
カルゴ「この前の襲撃の時もそうなんだけどさ、俺が気付かないうちに戦いが終わってたりとかするんだよ」
クレイの時だけじゃない。
天魔との戦いの時…それに加え、文を救助する時に…鴉天狗が爆殺されたみたいに弾けてたアレ。
何でああなったのか、全く覚えてない。
小悪魔「戦いに夢中になってたから…とかじゃないんですかね?」
カルゴ「俺もそう考えたけどさ…。夢中になってるっつったら、誰かのほっぺ触ってる時の方が夢中だぞ?」
フランやレミリア、上海や蓬莱のな。
カルゴ「昨日もたっぷり触らせてもらったぜ。でも、記憶にはしっかり残ってる。だから脳の障害なのかなってね」
ただ、戦闘の記憶のみが抜け落ちてるってのはおかしいと思うけどね。
小悪魔「障害…そうは思えませんが…(誰かのほっぺ…私のは触ってくれないのに…)」
カルゴ「何かヒントでも無いかなって思うんだけどね。こうして探しても、見つからないし思い付かないし…どうすればいいのやら…」
“お手上げ”のポーズをする。
小悪魔「その時エスカルゴさんのそばに居た人に聞いてみては如何ですか?」
カルゴ「その時そばに居た人……」
その部分だけ復唱し、覚えている部分の記憶を探る。文を助けたあの時は……咲夜さんが居た。
天魔との戦いの時は、言うまでもなく天魔が。
クレイの時は………俺とクソガキだけ。
つまり、話を聞けるのは咲夜さんと天魔のみ。
カルゴ「…!」
待てよ?クレイの時は俺…暴走したんだよな?
部下が細切れチャーシューみたいになってたし。
暴走の目撃者…それなら、他にも居るじゃん。
カルゴ「…ありがとう小悪魔、良いヒントをもらった」
小悪魔「いえっ!」
カルゴ「パチュリー様って今…起きてる?」
小悪魔「いえ…まだ寝てらっしゃいます」
カルゴ「あらら…。じゃ、他の人に聞くかー…」
小悪魔「すみません…」
カルゴ「いや、大丈夫だよ。…ありがと、色んな人に聞いてみるよ」
小悪魔「いえ!お役に立てて嬉しいです!」
ニコッと笑みを返し、2人を抱えて退室する。
いつも過ごしてる部屋に行くと、いつも通りフランとレミリアと咲夜さんが居た。
カルゴ「なぁ」
フラン「なぁに?」
カルゴ「俺が暴走した時ってどうだった?」
フラン「どうしたの?急に…」
カルゴ「俺さ、最近よく記憶が途切れるんだよね。でもそれって、暴走した時だけだから…何がどうなってそうなったのかわからなくて…」
咲夜「!!」
フラン「暴走してるエスカルゴは目が紅く光ってて…叫んだりして怖かったとしか覚えてないわ」
カルゴ「そっかー…」
フランの前では一度しか暴走してないな。
カルゴ「咲夜さん、この前山で暴走した俺…どうでしたか?」
咲夜「…そうですね、目が紅く光ってました。それと…前に暴走した時は会話すら出来なかったと聞きますが、山では会話出来ました」
カルゴ「か、会話?」
咲夜「ええ。“咲夜さん、何でここに?”…と…」
カルゴ「へ、へぇ…。ホントに暴走してたんですか?」
咲夜「ええ。目は紅く光ってましたし、暴走していたと思います。エスカルゴさんも覚えてないのでしょう?(やはり言っておくべきかしら…?)」
カルゴ「そうですね、覚えてないです」
レミィ「前から思ってたんだけど…あなたの中にも“狂気”が潜んでるのかもね」
咲夜「(言われちゃった…)」
カルゴ「狂気ねぇ…。というか、“にも”って…ほかにも居るのか?」
レミィ&フラン「フラン(私)よ」
あ、そうだったな。
カルゴ「…ほう…フランも暴れた事あるのか?」
レミィ「あなたが来る少し前にね」
咲夜「(少し…では無いような気が…)」
カルゴ「ほー…。でもさ、フランは自分でわかってるんだろ?自分の中に狂気が潜んでるって」
フラン「わかってるわ」
カルゴ「でも俺はわからないんだよなー」
レミィ「フランみたいに制御出来ればねぇ…」
カルゴ「だなー。暴走から覚めるとさ、いっつも勝ってるんだよね。天魔のときは引き分けだったけど。それらの事から考えるに、暴走してる俺って強いのかな」
レミィ「そうみたいね」
理性ある時もそれくらい強くなりたいな。
咲夜「あと…妹様と同じ能力も…」ボソッ
吸血鬼3人「はああああああああああああ!?」
咲夜「あ、いえ、全くの勘ですが…。鴉天狗達の死に方が…妹様に殺られたかの様で…」
レミィ「あの晩、エスカルゴは“爆発したかの様”って言ってたけど…ホントにそんな感じだったのね…」
数年前、狂気に染まったフランに殺されたメイド妖精の死体を思い出すレミリア。
フランが誰かを殺す様子を見たことが無い俺は何の事かわからんが…その様子を見たレミリアと咲夜さんが言うんだ、そうなんだろう。
カルゴ「フランは記憶に残ってるから操れるんだろ?でも俺は記憶に残ってないからな…」
一同「………」
一同沈黙。
カルゴ「おっと、話が脱線したな。つまり何が言いたいかというとだな……あれ?何言おうとしたんだっけ?」
ポリポリ頭を掻く。
咲夜「……」ガクッ
レミィ「えーとね…暴走したエスカルゴはどんな感じだったかって話をしてたのよ」
カルゴ「あ、そうだったな。…目が紅くなってて…会話出来たんだっけ?うーん…イマイチ分からんな…初めて暴走した時はろくに会話出来なかったのにこの前は出来た?更に分からなくなったな」
咲夜「(確かに…)」
カルゴ「俺が山で暴走から覚めた時、咲夜さんが目の前にいた訳だけど。…咲夜さん、暴走した俺に何かしました?」
咲夜「銀のナイフを刺したとしか…」
カルゴ「あー…銀のナイフかー…。吸血鬼の弱点である銀…。だから元に戻ったのかな」
咲夜「恐らく」
カルゴ「狂気に、フランと同じ能力ねぇ…。暴走してその力乱発したらめっちゃ危ないな」
思わず苦笑いする。
レミィ「何を他人事みたいに…。あなたの事言ってるのよ?」
カルゴ「そうだなぁ…。でも、暴走する原因がわからないな。この前は、フランたちが傷つけられてブチ切れてた所まではわかるが」
咲夜「山の一件では、エスカルゴさんが死にかけてたというのはわかりますが…(身体が真っ二つにされてたらしいし…)」
カルゴ「あー…。つまり、死にかけたりキレたりすると暴走するって事か…。ま、普段の生活ではキレることも死にかけることも無いけどね」
咲夜「そうですね」
レミィ「なら問題無いんじゃない?」
フラン「そうよ、気にすることないわよ!」
カルゴ「そだな。気にしないでおこう」
暴走時くらい強くなりてぇな…けど暴走も狂気とやらもコントロール出来ないし…とりあえず特訓頑張るか。
上海「シャン…ハーイ…」
蓬莱「ホ…ラーイ…」
太ももの上で寝かせてた2人が起きる。
カルゴ「おっ、起きたか」
起きるなりテーブル上に降り立つ2人。
上海「ソトイコ!」
両手を広げ、普段とは違う言葉を発する上海。
カルゴ「ソトイコ?…外行こう?」
上海「シャンハーイ♪」
聞き返しにニッコリと頷く上海。
蓬莱「ホラーイ!ホラーイ!」
蓬莱も頷いている。
カルゴ「…だってさ。外行ってきていいか?」
レミィ「えっ?ま、まぁ、良いんじゃない?」
フラン「(人形が何言ってるか分からない…)」
咲夜「(エスカルゴさん……第二のアリス?)」
カルゴ「サンキュ。よし、行こーぜ」
上海「シャンハーイ!」
蓬莱「ホラーイ!」
玄関へ向かうと、2人も笑顔でついてくる。
うむ、意思疎通出来てるな。
カルゴ「じゃ、行ってくる。遅くはならないよ」
フラン「遅くなったら怒るもん」
プクッと頬を膨らませるフラン。
カルゴ「大丈夫だってば」
ツンッ
膨らませた頬をつつく。
フラン「もうっ…エスカルゴったら♪」
やはり最高の癒しはフランだぜ。
何があろうとそれは揺るがねぇ。
カルゴ「へへっ。いってきます!」
フラン「いってらっしゃい!」
上海「シャンハーイ!」
蓬莱「ホラーイ!」
3人は笑顔で玄関を出る。