魔理沙を見送り、屋内に戻る。
「中はあったかいなぁ…」
「そうね」
「おかえりなさいませ。お夕飯はどうなさいますか?」
「うーん…オムライス〜!!」
「承知しました。エスカルゴさんは?」
「ん〜…俺もオムライスで!」
オムライスなんて久しぶりだな。
「お待たせしました」コトッ
目の前にオムライスが置かれる。
卵の生地にはケチャップで♡マーク、その右斜め下には咲夜 と書いてある。
フランとレミリアの方を見ると、それぞれスペード、六芒星が描かれている。
すげぇ、人によって変えてるんだ。
それに、絵が細かい。さっすが咲夜さん…。
「わぁぁ!美味しそう!」
「ありがとうございます」
「ねっエスカルゴ!」
「ん?」
「凄く美味しそうよね!」
「ああ、そうだね」
美味しそう…なんだが…綺麗すぎて食べるのが勿体無いぞこりゃ…。
「フラン、エスカルゴ、いつまでもはしゃいでないで。食べるわよ」
「はーい!」
『いただきます!』
「咲夜さん、これ、凄く細かいですね!凄すぎて食べるのが勿体無いです」
咲夜さんに話しかける。
「ふふっちょっと頑張りました♪でも、ちゃんと食べて下さいね?」
「勿論です!咲夜さんの料理を残す方が勿体無いです!!」
「ありがたいお言葉です」
「んん〜!美味しい〜!」
「うん、美味い!」
「はい、あ〜ん」
「はむっ」
あれ、今気づいたけど…これって間接キスじゃん…!
やばい、気づいた途端すげー恥ずい…。
「どうしたの?顔赤いよ?」
フランが顔を覗き込む。
赤面してたか…。
「い、いや、何でもないよ!」
クスッ…
ん?誰か笑った?
ふと咲夜さんの方を見ると、目が合う。
俺のこと見て笑ってる。
考えてること…見抜かれた?
『ごちそうさまでした!』
そんなこんなで食事を終え、床に就く。
「ね、エスカルゴ」
「なに?」
「…あのね、ちょっとお願いがあるの」
改まって何だ?
フランらしくないな…。
「なに?俺に出来ることなら聞くよ」
「…あ、あのね…?怒らないでね?」
「うん」
「エスカルゴのね…血を吸ってみたいの…」
「えっ?」
あまりに急なことで驚いた。
「ダメ?」
「いや、大丈夫だよ」
吸血鬼って、人間だけじゃなく同種のも吸うのか?
ただ、どうやって吸うのか気になるな。
俺のイメージ通りなら首に噛み付いて…だけど。
う〜ん…聞いてみるか。
「ありがとう♪」
「あ、その前に教えて」
「なぁに?」
「どうやって血を吸うの?」
「エスカルゴも吸血鬼ならわかるはずよ?」
「吸血鬼だけど…ほら、俺元人間だから…」
「そっか、そうだったね」
「うん。だからどうやるのかわからなくて…」
「首に噛み付いて血を吸うの。それだけよ♪」
ルンルン口調で言うけど…ちょっと怖いな。
「痛いよな…」
「痛くしないわ、大丈夫よ」
痛い医者は大体そう言うよな…。
ま、フランなら痛くてもいいや。
「そっか。いいよ。でも、貧血にならない程度にお願いね」
「わかってるよん♪じゃ、首出して」
「首出して」って言葉だけ聞くと怖いな…。
「ほい」
首を突き出す。
「んっ♪」
カプッ
「あっ…」
チュゥゥゥゥ……
んん…吸われてるのが分かるな…。
あれ、この感覚…前にどこかで…。
あっ…そうだ。献血だ。
16歳の誕生日の次の日、昔から興味のあった献血に行った。左肘の血管に太い針を刺され、吸われた、あの感覚だ。
でもなんかちょっと違うところがある…。
なんか…気持ちいいぞ?
フランに吸われてくうちにどんどん気持ち良くなっていく。
これって…性的な気持ちよさだ…。
「はぁ…はぁ…」
首噛まれて気持ち良くなるとかMかよ俺…。
「ぷはぁっ…美味しかった♡」
「美味しかった?」
「うん♪ごちそうさま!」
それはよかった…と言おうと思ったその時。
「動かないで!」
急に大きな声を出すからビックリした。
「ん?」
「あんっ、垂れちゃう」
え?
ペロッ
「うおっ」ゾクゾクゾクゾクッッ
何が起こったのかわからないけど…首を舐められるなんて…。
「どした…?」
「噛んだとこから血が垂れそうになってたから。シーツに付いたらなかなか落ちないでしょ?」
そういうことか…。
「なるほど、そうだね」
「うん」
それにしても…気持ちよかったな…。
ドキドキが止まらん…。
俺も……フランの血を吸おうかな…?
ふとそんな考えが頭をよぎる。
「なぁ…」
「どうしたの?」
「俺も…フランの血、吸っていいか?」
「えっ?私の血?いい…けど…」
「けど?」
「…痛く…しないでね?」
「…気をつける」
「なら…いいよ。はい」
そう言いフランも首を突き出す。
「じゃ…いただきます」
カプッ…
「はぅっ…」
可愛い反応だなぁ…。
牙を突き立てると、自然と吸えた。
これも吸血鬼の本能だろうか?
多分そうだな。
チュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
「んんっ………んはぁっ………」
なんか色っぽいな…。
どれくらいまでなら大丈夫なのだろうか?
「エス…カルゴぉっ…」
呼ばれたので一旦首から口を離す。
「なに?」
「はぁ…はぁ…なんか…ね?」
どうしたんだろ?
俺より息が切れてる…。
「吸われると…気持ちいいの…」
「フランも…?」
「うん…。エスカルゴ…も…?」
「うん…」
「そっか…吸われると…気持ちいいんだ…」
「みたい…」
みたいだね、と言いかけて、フランの首に垂れてる血を見つける。
俺の目はそれを見逃さなかった。
素早くそれを舐めとる。
ペロッ
「ひゃうんっ」
甘い吐息が漏れる。
「な、なに?」
急に首を舐められて驚いてる。
無理も無いか。
「いや…血が垂れてたからさ」
「そ…そっか…」
気まずい雰囲気になる…。
こういう時はいつもフランからだから、今日は俺から切り出すか。
「あの…さ…」
「ん?」
「美味しかったよ、ありがとう」
「う、うん…」
「なんかおなかいっぱいだな」
「…私も…おなかいっぱい」
「おなかいっぱいになったらなんか眠くなったな…」
「そうだね…」
「寝よっか…?」
「そうね…」
「おやすみ…」
そう言い、フランをギュッと抱き締める。
「うん…おやすみ…」
フランもキュッと抱き締めてくれる。
「…スゥ……スゥ…………」
あれ、もう寝たのか…?
フランの寝顔を暫く見つめる。
そんな事をしてるうちに、瞼が重くなってきた。
俺も寝るか…。
薄れゆく意識の中で、パチュリーのところで読んだ、ある本の内容を思い出す。
『吸血鬼は首から吸血する。吸血鬼に血を吸われている者は性的な快感を覚える。それは、首にも性感帯があり、そこに牙を立てるということはすなわち性感帯を刺激することになるからである』
という内容だ。
そっか…だから気持ちよかったのか…。
と、一人で納得し、フランと抱き合ったまま眠りに落ちる。
人間には出来ない、吸血鬼ならではの行為…「吸血」。以前そんな文献を読んだので出してみました。
同じく血を吸う蚊やヒルに吸われても痒くなるだけだけど。
蚊の場合、「吸うと同時に痒くなる成分を注入してるから」ってのも見かけたけどほんとかな?