ヒビキ「お前、名はなんと言うんだ?」
カルゴ「エスカルゴ!」
周囲の天狗が俺らを見守る中、ヒビキは太刀を構える。
ヒビキ「そ、そうか…(兄貴と同じ…)」
カルゴ「おにーさんは?」
子供っぽく尋ねてみる。
ヒビキ「俺はヒビキってんだ。俺の兄貴もエスカルゴっつーんだが…兄貴ですら勝てなかった天魔様に、お前が勝つなんてな…。いざ、勝負!」
ホント命知らずだな…。
俺じゃなかったら、“しつこい”って言われて相手にされないだろうが。
カルゴ「…いいよ、来いよ。相手してやる」
ニヤリと笑ってヒビキを見上げる。
ヒビキ「(生意気なガキだ…。)だりゃああっ!」
地面を蹴って突撃してくるヒビキ。
遅いな。
天魔と戦った後だと本当にスローでしかない。
カルゴ「雷装備『死神の纏い』」
キィン!
片手で軽々と太刀を弾く。
ヒビキ「お前…その力…」
お?気付いた?
カルゴ「ねーおにーさん、次は僕からいくよー?『クロスインパクト』!!」
ヒビキ「ぐああああっ!!」
X字のエネルギー波をまともに喰らうヒビキ。
ヒビキ「ハァ…ハァ…。(兄貴はこんな技使わなかった…。能力的には似てるみてぇだが、兄貴より強えかもな。俺も、椛と特訓して得たあの技を見せる時…かな?最初は兄貴にぶつけようとしたんだが、こんなガキに負けたら白狼天狗最強の名折れだぜ)」
太刀に手を翳し、己の妖力を纏わせるヒビキ。
カルゴ「ん…?」
太刀が白くボヤけて見える…。
なんだ?さっきの天魔のに似てる…。
ヒビキ「妖撃『妖気の刃』ハァッ!」
太刀を振るい、纏わせた妖力を飛ばすヒビキ。
なっ……妖力弾?
つまりこれは…弾幕!?
カルゴ「よっ、ほっ……はっ…」
ヒビキ「チッ…(こうも簡単に避けられるか…。これの習得にかなり時間かかったんだが…)」
カルゴ「ごめんねおにーさん。僕、これから予定あるから、もう終わらせるね!」
ヒビキ「生意気な…!」
顔に青筋を浮き上がらせるヒビキ。
カルゴ「一閃『Mishap of Thunder』!!!」
天狗達「なっ…あれはエスカルゴ様の!!」
それを見た天狗達がざわめく。
ヒビキ「なっ………兄貴!?」
だがそれは、ヒビキも例外ではなかった。
ヒビキ「おい!なんでお前が!!」
カルゴ「あははっ♪…俺、本人だよ。召・喚!」
ズアッ…ドドォォォォォォ……
子供らしく笑って雷を落とす。
ヒビキ「…で、ちっこくなったってか」
カルゴ「ああ。つーかよ、天魔様と渡り合えるのは鬼か俺しか居ねぇだろ。その時点で気付けや」
俺ら2人は、白狼天狗の宿舎でお茶を飲みながら雑談していた。
尤も、ヒビキを運んだのは騒ぎを聞きつけてきた将輝で、俺は客として招かれたのだが。
ヒビキ「そんなToLO○○る的な展開がねぇ…」
カルゴ「でもまぁ、幻想郷って基本なんでもアリだしな。深く考えたら負けだぜ?」
ヒビキ「だな」
カルゴ「つーか、弾幕飛ばせるようになったんだな」
ヒビキ「おう。でも、妖力の消費が早いからな…あまり多用はしたくないかな」
最大MPならぬ、最大妖力が少ないってか?
カルゴ「そこは慣れと特訓だぜ。あと、特訓とかはな、自分と同じ位か、自分より少しだけ強い相手とやった方がいいんだぜ。圧倒的な差があると、ボコられて終わりだからな」
ヒビキ「(兄貴と俺のように…圧倒的な差があってはダメ…なのか。)兄貴はそうやったってか?」
カルゴ「ああ」
最初の方は遊びでしかなかったフランとの特訓。
あれは、フランが手加減してたから圧倒的な差は無かったんだ。けど今は、フランも本気を出せば俺と変わらない実力だと思う。
ヒビキ「ならそーするかな…。でも、白狼天狗やその下じゃあ、ハッキリ言って相手にならないんだよなぁ…」
カルゴ「こらこら、その言い方は良くないぜ。…気持ちはわかるけどよ。鴉天狗に相手してもらったらどうだ?」
ヒビキ「ケッ、相手にされねぇよ、白狼天狗なんか」
口を尖らせるヒビキ。
カルゴ「“エスカルゴの弟”と言えば、嫌でも相手するんじゃねぇか?」
ヒビキ「良いのかよ、兄貴の名前出して」
カルゴ「別にイイんだよ、余計な事さえしなきゃあよ。お前は俺の言う事を素直に聞いていれば良いのさ」
イタズラっぽく笑う。
ヒビキ「じゃ、今度からはそうしようかな」
カルゴ「そうしな。じゃ、俺はもう行く」
席を立って背を向ける。
ヒビキ「そーか、じゃーな」
カルゴ「おう」
手をあげて歩き出す。
ヒビキ「(ガキにしか見えねぇ…)」
宿舎を出ると、うっすらと星が見える。
外、暗くなってきたな。
鈴仙のところには行けない…かもな。
でも、まずは…♪
スタッ…
ホイ到着っと。
カルゴ「諏訪子様〜!」
ターン!
諏訪子様居たー!
諏訪子「エスカルゴだ!早苗、来たよー!」
早苗「ホントですか!?あ!!」
諏訪子様は中に呼びかけ、早苗が顔を出す。
カルゴ「やっほ〜、早苗〜!」
早苗「かっ…可愛い〜!」
照れるね…。
カルゴ「えへへへへ…。諏訪子様!私、天魔様に勝ちましたよ!!」
早苗「!?」
諏訪子「ええ!?…ホントにぃ?」
ジト目で此方を見る諏訪子様。
カルゴ「あのですね、神様に嘘つくほどバカじゃないですよ…。それに、明日新聞に載ります。文々。新聞です!」
諏訪子「そっかそっか〜、偉いね〜♪」
カルゴ「えへへ〜」
諏訪子「おいでー♪」
両腕を広げる諏訪子様。
なっ…なにィ!?
これって、抱きついて良いってこと!?
諏訪子「あれ?来ないの?」
いやいや!こんなチャンス逃す手はない!!
カルゴ「行きまーす!」
ムギュッ…
諏訪子「いい子いい子〜♪」
抱きついたまま頭を撫でられる。
カルゴ「むふふ〜…」
やばい、めっちゃ気持ちいい…!
早苗「エスカルゴさん、私にも抱きついたり…しませんか?(ちっちゃいとすごく可愛い…!)」
腰を屈めて両腕を広げる早苗。
カルゴ「…諏訪子様がいい…」
顔を埋めたまま答える。
早苗「ガーン…」
見るからにショックを受ける早苗。
諏訪子「エスカルゴは私がイイんだよ。ね♪」
カルゴ「はいっ!」
柔らかくて…いい匂いで…とにかくイイ!!
神奈子「む…エスカルゴが来たのか?」
諏訪子「来たよー」
頭を撫でながら答える。
神奈子「もしかして、今諏訪子が撫でているのが小さくなったエスカルゴなのか?」
諏訪子「そうだよー」
神奈子「そ、そうか…。よく見えないから私にも見せてくれないか?」
諏訪子「…だってさ。イイ?」
カルゴ「…良いですよ」
抱擁を解き、神奈子様と向き合う。
うわ…威圧感増し増しだー…。
神奈子「お、おお…小さくて可愛いな…」
カルゴ「ありがと…ございます…」カタカタ…
神奈子「ん?震えているのか?」
カルゴ「諏訪子様ぁ…」
ムギュッ
再び諏訪子様に抱きつく。
諏訪子「よしよし、怖かったねー」
再び頭を撫でてくれる。
カルゴ「はい…」
神奈子「はあああ!?」
自分が怖いと言われ、かなり驚く神奈子様。
諏訪子「ほらね、エスカルゴが怖がってるから神奈子はもう中戻って!」
神奈子「なっ…それは無いだろう!私にも撫でさせろ!」
カルゴ「諏訪子様ぁ…グスン」(←やりたい放題
諏訪子「うんうん、大丈夫だよ♪」
カルゴ「諏訪子様ぁ…♪」
神奈子「おのれ…!許せん!そこをどけ!」
諏訪子様を押しのける神奈子様。
諏訪子「キャッ!」
カルゴ「ゔに゙ゅ゙っ…」
ドサッ…
神奈子様は諏訪子様だけを押しのけようとしたが、俺は諏訪子様に抱きついていたので俺も一緒に倒れる。
神奈子「おっと…すまない…」
な…なんか、押し倒した様な体勢だな…。
早苗「まぁ!大胆ですね!」
早苗が顔を赤くしながら此方を凝視する。
カルゴ「諏訪子様ぁ…♪」
諏訪子「エスカルゴ…♪」
早苗も神奈子様も見てる中で、超至近距離で見つめ合う2人。
やべぇ…。これあれじゃん、フランと初めてキスした時みたいな状況じゃん…。
カルゴ「……」ジー…
それを意識し始めた途端、興奮が高まる。
諏訪子「うんうん、可愛い可愛い♪」
カルゴ「!」
俺の頬を撫でる諏訪子様。
諏訪子「ほっぺたもモチモチだね♪」
カルゴ「うふふふ…」
早苗「ふふっ…(止めるべきなのでしょうが…微笑ましい光景ですね♪)」
神奈子「全く…(何なんだこの馴れ馴れしさは…。いや、諏訪子から始めた事だからエスカルゴは悪くないか)」
そのまましばらく見つめ合うが……。
ぐるるるる〜……
諏訪子「あら…」
カルゴ「あ…お腹鳴っちゃった…」
諏訪子「早苗、夕飯の用意は出来てるよね?」
早苗「もちろんです!」
あら、この流れって……。
諏訪子「一緒に食べよっ!」
そうなるよな…。
カルゴ「あーうー…ごめんなさい、咲夜さんに言ってないので…」
神奈子「(なんだ今の『あーうー』って!?諏訪子の口癖の真似か!?)」
諏訪子「また分身飛ばせばイイじゃない!ね!」
うぐぅ…痛い所を突くなぁ…。
でもなぁ…せっかくこの身体になったんだし…。
カルゴ「天魔様と戦って、力ほとんど使ってしまったので…」
諏訪子「そっかー…なら仕方ないね…」
露骨に寂しそうな顔をする諏訪子様。
カルゴ「ごめんなさい…。よいしょっと」
やっと起き上がる。
あーあ、もっと至近距離で見つめ合ってたかったな…。ま、あとからフランとそうなるけど♪
諏訪子「よいしょっ」
ピョコッと跳ね起きる諏訪子様。
カルゴ「では、また来まーす!さよなら!」
バシュッ
笑顔で手を振って飛び立つ。
早苗「あーあ…私も撫でたかったな〜…」
ブツブツ文句を言いながら中へ戻る早苗。
神奈子「私もだ…はぁ…」
諏訪子「エスカルゴ撫でるのは私の特権だよ♪」
早苗「むぅ〜……なぜ諏訪子様ばかり…」
神奈子「おのれ…!」
ギリギリと歯を食いしばる神奈子様。
諏訪子「ふっふ〜ん♪」
そして優越感に浸る諏訪子様…。
今日の夕飯は何だろな〜♪
夕飯のメニューをあれこれ考えながら館へ向かう俺であった……。