カルゴ「…なぁ、まだか?」
何か祈祷をしている霊夢に話しかける。
霊夢「もー少しだから黙ってて!」
カルゴ「へいへい…」
どうやら俺達は、無事に首謀者の元へ辿り着けそうだ。さっさと終わらせてまったりしたいな…。
数分前
霊夢「ここね」
カルゴ「…へ?」
霊夢がそう言ったのは、何の変哲もない…空だ。
雪雲に覆われている、極々普通の空。
カルゴ「何もないけど…?」
霊夢「少し待ってなさい。こじ開けるから」
カルゴ「???」
そして霊夢は祈祷を始めた。
ピキッ…パキキッ…
カルゴ「!」
少し経つと、空間の裂け目のようなものが出来始めた。それがゆっくりと広がっていく。
なんだありゃ…何もねぇ所から突然割れ始めた?
紫さんのスキマとは違ぇ…。
どうやらそこには、俺には触れることも見ることも出来ない、結界のようなものがあったらしい。
そして現在。
霊夢「よしっ、出来たわよ!」
カルゴ「ほー…」
裂け目は先程より大きくなっており、何とか入れそうな大きさになっていた。
だが、その結界には自動修復機能があるのか、ジワジワと閉じかけてきている。
霊夢「ほら、ちんたらしない!」
カルゴ「ほーい」
霊夢の先導により、裂け目に飛び込む。
うわ、暗いなぁ…。というか…
カルゴ「さっきより寒くねーか?」
霊夢「そうね…」
進むごとに気温が低くなっていく。
カルゴ「霊夢さ、その格好ゼッテー寒いだろ」
その巫女服、かなり露出多いしな。
霊夢「…そんな事、ないわよ」
そう答える霊夢の声は、確かに震えていた。
カルゴ「痩せ我慢すんなよ」
バサァッ
霊夢に上着を着せる。
霊夢「わっ…これ、あんたの…」
上着を急に着せられ、驚きを隠せない霊夢。
カルゴ「咲夜さん特製の上着だ。今だけ貸してやるよ。汚すなよ?」
霊夢「別にいいわよ、あんたが寒いじゃない」
上着を返そうとする霊夢。
カルゴ「構わねぇよ。子供は風の子だ」
霊夢「(子供っていっても、私達大して変わらないと思うけどね…。)……ありがと、助かるわ/////」
礼を言った後、巫女服の上から袖を通す。
うん、俺の方が体格が大きいから、巫女服の上からでも余裕はありそうだな。
カルゴ「おう」
やべ、指先が悴んできた…炎火居りゃあなぁ…。
悴む手をグーパーさせ、少しでも温めようとする。
カルゴ「お…見えてきたな」
霊夢「そうね」
裂け目の中を進むと、少し先に出口が見えたきた。それを抜け出すとそこには、先程までとは全く違う景色が広がっていた。辺りを見回すと、白玉のような変なものが沢山いる。
あれ…俺、前にここに来たことあるような…。
けど、あんな階段は見たこと無いな。
目の前には、とんでもない長さの階段がある。
俺も霊夢も、そのまま階段はスルーして飛んでいこうとしたが…その階段の前に誰か居る。
白黒の服に金髪、そして箒を持っている。
霊夢「魔理沙!?」
魔理沙「よう霊夢、やっと来たのか。遅いぜ?…あれ?エスカルゴも一緒なのか。(って、霊夢のその服…!エスカルゴの上着じゃないか!)」
霊夢が着ている男物の上着を見て、即座に悟る魔理沙。
なんで魔理沙がここに?というかどうやって…?
霊夢「なんでここに居るのよ?」
おっと、言われてしまったか。
魔理沙「んーとなぁ…説明めんどくさいなぁ…。ま、色々調べてたらここに行き着いたって訳だ!エスカルゴはどうしてここに来たんだ?」
カルゴ「霊夢にお願いされてな」
魔理沙「はーん……なるほどな」ニヤリ
俺ら2人を交互に見ながらニヤニヤする魔理沙。
霊夢「そんな事より、早く行きましょ」
魔理沙「そだな〜」
階段を登り始める2人。
そんな2人を見て、呑気だなと感じながら、それについていく。
そういや、魔理沙は寒くねぇのかな?
それを聞こうとした時に、あるものが目に入る。
彼女の首にマフラーが巻かれている。
なーる…マフラーか。
俺も咲夜さんにマフラー作ってもらおうかな?
咲夜さんに作ってもらったマフラーを己の首に巻くという妄想をしてみる。
咲夜さんに作ってもらう場合…手編み…なのか?
うわダメだ、想像しただけで鼻血出そう…!
霊夢「なにニヤニヤしてんのよ気持ち悪い」
カルゴ「へ?ニヤニヤしてた?」
霊夢「してたわよ」
カルゴ「ありゃ」
言われるまで気付かなかったぜ…。
しばらく進むと、1人の少女が道を塞ぐ。
カルゴ「おっ?」
白髪に、緑と白の服。
黒のカチューシャをつけ、そばには半霊が浮いている。魂魄 妖夢だ。
カルゴ「あれ?妖夢じゃん。どうしたのさ、こんな所で」
妖夢「えっ?…えーと…あなた方を止めるよう、幽々子様に言われましたので…」
俺の意外な言葉に、見るからに戸惑う妖夢。
カルゴ「そーか、ここって冥界かっ!」
ポンと手を打つ。
どーりで見た事あると思ったこの景色!
そんで、妖夢のあの口ぶりから察するに、この異変の犯人は幽々子さんだ!
霊夢「…ここが冥界だって気付いてなかったの?前に来た事あるんでしょ?」
カルゴ「前に来た時は白玉楼の門前に直接行ったから、景色はうろ覚えでさ」
もっと景色とか見ておけばよかったなぁ、と今更ながらに思う。
霊夢「なるほどね。(いや、それでも周りの景色は覚えてると思うけどね…。前しか見てないのかしら、エスカルゴは…)」
妖夢「そういう事ですので、お引き取り下さい」
魔理沙「そんな事言われて、はいそうですかって帰るわけないだろ?」
うむ、もっともだ。
妖夢「…ですね。では、力ずくで…」
スラリと楼観剣を抜く妖夢。
カルゴ「よし、ここは俺が相手するぜ。2人は先行っててくれ」
魔理沙「おう、任せたぜ!」
霊夢「負けんじゃないわよ!」
そう言って2人は走り出す。
妖夢「待っ…」
妖夢はそれを追おうとするが…。
カルゴ「俺が相手するって言ったろ。あの2人のとこに行きたいなら、俺のこと倒して行きな」
妖夢の行く手を阻むのはこの俺。
って、なんで俺が異変起こす側みたいな事言ってるんだ?
妖夢「では、遠慮無く…倒させていただきます。はぁぁっ!」
素早く斬り掛かってくる妖夢。
カルゴ「雷武器『雷刀』!!」
目には目を、歯には歯を!だぜ!
キィィィィ…ン…
ガッチリ組み合う2本の剣。
結構重い攻撃じゃんか…!
妖夢「っ…やりますね…!」
カルゴ「妖夢もな!この前、ゼッテー手ェ抜いてたろ!?」
妖夢「そうです、ねっ!」
白楼剣を抜剣し、振るう妖夢。
キィンッ!
カルゴ「うぉっ!」
弾き飛ばされたが、何とか体勢を整える。
二刀流か…少しばかりキツいかもな。
遠距離攻撃…かな。仕方ねぇ、やるか。
カルゴ「混合武器『雷刀&雷銃』」
ジャキィィィィン…
妖夢「なっ…これは!?」
ナイフに囲まれ、動揺する妖夢。
カルゴ「終わりだ」
パチン…ドシュシュシュシュ…
指を鳴らして合図を送る。
同時に、ナイフが全方位から妖夢に襲いかかる。
妖夢「くっ…はぁぁぁぁっ!」
キキキキィンッ!
カルゴ「は…?」
妖夢は、自分に向かって雨のように降り注ぐナイフを全て2本の剣で弾き飛ばした。
いやいやいや!
鴉天狗以上の素早さじゃなきゃ避けられないってレベルの速さの弾幕なんですけど!?
それを全部弾くってどういう事!?
全部見切ったっていうのかよ!?
妖夢「今!獄界剣『二百由旬の一閃』!!」
俺の隙を突き、スペルで攻撃してくる妖夢。
カルゴ「やっb……ぐぁっ!」
避ける間もなく、連続で被弾してしまう。
妖夢「トドメだ!はぁぁぁっ!!」
剣を構えて此方に斬り掛かってくる妖夢。
えっちょ、斬るの!?
やばいやばいやばいやばい!!
えーと、えーと…落ち着け、俺!
そ、そうだ!動きを封じるんだ!
カルゴ「喰らえ妖夢!拷問『Thorny Restriction of Thunder』!!」
ヒュバッ…
妖夢に向けてロープを飛ばす。
妖夢「フンッ!」
ズバババッ!
自分に向かってくるロープを事も無げに切り刻む妖夢。
カルゴ「んなっ…」
斬られた!?
畜生!それなら武器を封じるか奪うまでだ!
カルゴ「混合武器『雷鎌&雷鞭』!!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン……ジャララッ
剣へ絡ませようと鎖の部分を振り回す。
妖夢「フンッ!」
ギャリッ…
妖夢「きっ、切れない…!?」
ロープと同じく、切断出来ると思っていた妖夢は目を丸くする。
カルゴ「それはロープじゃなくて、鎖だぜ!そう簡単には切れないさ!」
妖夢「くっ…!(ロープも鎖も真っ黄色だから、どっちがどっちなんだか判別つかない…!)」
カルゴ「ソォイッ!!」
ジャララッ
妖夢「あっ!!!」
剣に絡めていた鎖を引っ張り、楼観剣の奪取に成功する。
カルゴ「へへっ…あとはその剣だけだ!」
妖夢「…!」
俺は、奪った楼観剣を能力で作った鞘に収め、白楼剣を奪おうと鎖鎌を構える。
対する妖夢は、俺が狙っている白楼剣を構える。
妖夢「いざ!」
カルゴ「勝負!」
さぁ…どう出る、妖夢…。
妖夢「(ただ、闇雲に攻めても奪われてしまう…。ここは、剣による接近戦より…弾幕による遠距離攻撃の方が効果的…?)」
中々来ないな…こっちから攻めるか。
そう判断した俺は、鎖部分を先程よりも早く振り回す。すると、ハッキリと風切り音が聞こえる。
カルゴ「そぉら!奪ってやるよ!ハァァッ!!」
ジャララララッ…
妖夢「畜趣剣『無為無策の冥罰』!!」
ドドドドド……キィンッ
カルゴ「ぬわっ!」
妖夢に向けて飛ばした鎖が、弾幕によって弾き飛ばされる。
カルゴ「くっそぉ!!」
とっさに回避行動をとる。
これ以上戦いを長引かせても…それこそ時間や、電力、体力の無駄だ。よし、次でキメよう。
カルゴ「いくぜ妖夢!避けられるものなら避けてみな!一閃『Mishap of Thunder』!!!」
ヴォン……
妖夢の頭上に魔法陣が現れる。
妖夢「(な、何あれ…)」
初見の妖夢は当然戸惑う。
カルゴ「召・喚!!」
ズアッ…ドオオオオオオオオオオオッッ!!!
雷を召喚する。
その雷は妖夢の反応速度を遥かに超えるスピードで落ちてくる。
妖夢「くはっ……!」
ドサッ…
打たれた妖夢は短く呻き、地面に倒れ伏す。
カルゴ「ふぃ〜…」
手間取ったな…。力を温存しようとし過ぎた。
少し広くなっている場所に妖夢を寝かせ、俺の持っていた楼観剣を妖夢の差している鞘に戻す。
カルゴ「これでよし…と」
霊夢と魔理沙はどこまで行ったかな?
ここ、かなり長いけど。もう異変解決してたり?
ま、いっか。全速力で向かおう。
カルゴ「雷装備『翼竜の舞』!」
巨大な翼で羽ばたき、その場をあとにする。
霊夢と魔理沙が向かった先…即ち、異変の犯人である幽々子さんの元へと向かう。