※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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春雪異変③

無事妖夢を倒した俺は、猛スピードで道なりに飛ぶ。霊夢達の姿はまだ見えない。

 

カルゴ「ったくよ、どこまで続いてんだよこの道はよぉ…」

 

延々と続く道。

その先に、薄ぼんやりとしたナニかが見える。

 

あれは…木か?桜の?

冥界にも桜あるんだね。…アレ1本だけなのか?

 

 

 

カルゴ「お……おぉ…」

 

登り終えたそこでは、霊夢、魔理沙が幽々子さんと戦っていた。

 

幽々子「あらあら、エスカルゴ君まで来たのね。こんにちは〜」

 

霊夢と魔理沙の弾幕を避けながらも俺に向かって挨拶をする幽々子さん。

 

戦いの最中だと言うのに…緊張感の無い人だな。

幽々子さんらしいけどさ。

 

カルゴ「ども、こんにちは」

 

2人の後ろで頭を下げる。

 

霊夢「挨拶なんてしてないで、さっさと手伝いなさい!」

 

魔理沙「そうだぜ!」

 

異変を起こした目的でも聞いてみるか。

何となくは分かってるけど。

 

カルゴ「あの、幽々子さん。どうしてこんな事したんですか?」

 

幽々子「どうして…かぁ。あのね、満開の西行妖が見たいのよ〜。だから、もっと春が欲しいの」

 

柔らかな笑みを絶やさず、満開になりかけている桜の木…西行妖を指さす幽々子さん。

 

カルゴ「なるほど、あれほど大きな桜の木が満開になったら、嘸かし素晴らしいでしょうね」

 

ただ、あの西行妖を目にするだけで悪寒がするのは何故だろう?寒いから…ではない気がする。

 

幽々子「話がわかるわね、エスカルゴ君♪…どうかしら?私と手を組まない?」

 

カルゴ「ふぁっ!?」

 

2人「!?」

 

驚きの余り弾幕の発射をやめてしまう2人。

 

幽々子「ここで博麗の巫女とその連れを倒して、妖夢も交えて3人でお花見しない?あなたなら簡単に倒せるでしょう?」

 

扇を広げ、にこやかに誘う幽々子さん。

 

魔理沙「おい!寝返ろうだなんて変な気起こすんじゃないぞ!?異変解決しに来たんだからな!?(まずい、もしエスカルゴが寝返ったら向こうの勝利はほぼ確実…!)」

 

霊夢「裏切ったらタダじゃおかないわよ!?ぶっ飛ばすどころか、ぶっ殺すわよ!?」

 

背後にいる俺へ向き直り、大声で捲し立てる霊夢と魔理沙。

 

殺されたくねぇなぁ…(汗)

 

カルゴ「すいません幽々子さん。俺は異変の解決に来てるので、その誘いには乗れません」

 

2人「ホッ…」

 

そもそも、このまま春が無くなったら巫月と遊べなくなるだろう。それに、3人のお花見より、もっと大人数でお花見した方が楽しいもんな。

 

幽々子「あらまぁ…残念ね…(乗ってくれない事位わかってたわ。時間稼ぎはこれくらいでいいかしらね。もう少しで西行妖は満開になり…封印は解けるわ…)」

 

残念って言う割に、そこまで残念そうに見えないんだが?

 

魔理沙「全く、焦ったぜ!」

 

霊夢「ホントよ!」

 

カルゴ「おいおい、俺がお前らを裏切るって思ってたのかよ?」

 

苦笑混じりに2人のそばへ歩み寄る。

 

魔理沙「最初で即答してりゃ疑ってなかったよ」

 

カルゴ「驚いてただけだ、気にすんな」

 

魔理沙「へへっ、そうかよ」

 

カルゴ「尤も、霊夢と付き合ってなきゃ寝返ってた…かもな♪」

 

2人「え゙っ…」

 

意外な発言に目を丸くする2人。

 

カルゴ「冗談だ。んな事するわけねぇだろ」

 

魔理沙「あ…焦った…ぜ…」

 

ピクピクと顔を引き攣らせる魔理沙。

 

霊夢「心臓に悪いわよ…」

 

カルゴ「ははっ☆…さ、終わらせよう!」

 

ツンッと霊夢の頬をつつく。

 

霊夢「ちょ、今触んないで…」

 

魔理沙「(仲良しだなぁ…)」

 

幽々子「じゃあ、そろそろ反撃しましょうか〜。えいっ♪」

 

弾幕を発射してくる幽々子さん。

 

魔理沙「来るぞ!」

 

霊夢「ええ!」

 

カルゴ「はぁぁっ!!」

 

3人で同時に弾幕を発射する。

数では圧倒的にこちらが有利だ。

 

幽々子「3対1じゃ不利ねぇ。華霊『ゴーストバタフライ』!」

 

幽々子さんがスペルの発動を宣言すると、本人は大きめの弾幕を放ち始め、何やら細めのレーザーが数本、此方に伸びてくる。

 

カルゴ「レーザーと弾幕か…!」

 

こういう、織り交ぜてくる系のスペル、超・大っ嫌いだッ!!

 

霊夢「エスカルゴ、後ろ!!」

 

カルゴ「へ?うわっ!!」

 

避けたはずのレーザーが俺の背後で花のような形を成し、そして閉じて、再び此方に伸びてくる。

咄嗟に横に飛び退き、それを避ける。

 

えっえっ?追尾してくる系?うっわ、最悪!!

 

本人が発射する弾幕とその繰り返し追尾してくる弾幕を避けながらも、俺も弾幕を発射する。

 

霊夢「これ以上避けてても時間の無駄でしかないわね!もう決めるわよ!!」

 

魔理沙&カルゴ「おう!!」

 

弾幕の発射をやめ、魔理沙は八卦炉を構える。

 

霊夢「霊符『夢想封印』!!」

 

魔理沙「恋符『マスタースパーク』!!」

 

カルゴ「雷神『Thunder☆Fall』!!」

 

ドドドドドドドドドドドド……

 

幽々子「やられちゃった…♪(でも、ほんの少し、遅かったわね…♪)」

 

バタン…

 

3人同時にスペルを放たれ、流石の幽々子さんも気絶する。

 

カルゴ「ふぃ〜…」

 

霊夢「終わったわね」

 

魔理沙「これにて異変解決、か?なーんか…呆気なく感じるのは気のせいか?」

 

確かに魔理沙の言う通りだ。

3対1とはいえ、こんなにあっさりと幽々子さんに勝てるのか?

 

ギチギチッ…

 

魔理沙「ん?何の音だ?」

 

何かが急速に伸びるような音が聞こえてきた。

 

カルゴ「あ。なんか、あの木成長してね?」

 

咲きかけの西行妖を指さす。

枝がミシミシと音を立てて伸びている。

 

霊夢「まさか…封印が解けかけてる…の?」

 

魔理沙「え…どうすんだよ?」

 

霊夢「再封印するしかないわね。(面倒臭い…)」

 

ビシュシュシュシュッ

 

西行妖が枝を伸ばして攻撃してきた。

 

魔理沙「おわっ!」

 

霊夢「何よこれ!」

 

カルゴ「チッ…」

 

意思があるかの様に此方を攻撃してくる。

 

霊夢「なんかヤバそうね…」

 

カルゴ「さっさと再封印しろって!」

 

枝を避けながら急かす。

 

霊夢「こんな動かれてたら出来るものも出来ないわよ!」

 

魔理沙「エスカルゴ、こいつの動き止めるぞ!」

 

カルゴ「ああ!混合武器『雷刀&雷銃』!!」

 

西行妖を殺さんばかりの勢いで密度を増やす。

 

パチン☆

 

魔理沙「うげっ…あんなんやられたら…」

 

大半は枝を破壊して消えてしまうが、それでも本体にドスドスとナイフが突き刺さる。

しかし、効いてる様子はあまりない。

構わず枝を伸ばしてくる。

 

カルゴ「マジか!!」

 

木属性にゃ雷属性の攻撃は効かねぇのか!?

クソッ、炎火が居りゃあ燃やしてもらうのに!!

 

魔理沙「(あれほど攻撃を受けて、ほとんど効いてないのか!?)恋心『ダブルスパーク』!!」

 

枝を破壊しながら本体にダメージを与える。

 

魔理沙「どうだ!!」

 

ナイフよりもダメージを受けたのか、動きが弱まる。

 

魔理沙「っしゃあ!こりゃ効いてるぜ!」

 

カルゴ「おお…」

 

ちっ…俺のあんまり効かなかったのにな…。

そっちの方が攻撃力は上、か。

 

霊夢「(いける!?)霊符『夢想封印』!!」

 

いつもとは違い、封印効果のある方の夢想封印を放つ霊夢。

 

同じ名前でもいくつか種類あるんだもんなぁ…。

 

西行妖「キェェェェェェアァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

3人「!?!?」

 

甲高い悲鳴の様な声が聞こえてきた。

西行妖は苦し紛れに枝を鞭のように振り回す。

それが1本、霊夢へと向かっている。

 

ビュオッ…

 

やべ、間に合わない…!

 

霊夢「しまっ─────」

 

西行妖は無防備な霊夢を狙って枝を振るう。

 

ベチンッ!

 

霊夢「きゃああっ!」

 

魔理沙「霊夢ぅぅぅ!!」

 

カルゴ「ヤバイッ!」

 

ガシィッ…

 

地面に叩きつけられそうになったところを何とか抱きとめる。

 

霊夢「あ、ありがと…」

 

魔理沙「よかった…。(流石エスカルゴだぜ!)」

 

カルゴ「怪我は!?」

 

霊夢「大丈夫よ、叩かれただけだから」

 

スタッと地面に降りる。

先程は、枝を伸ばして貫こうとしていたが、封印されかけてからは枝を振り回しているのでそれだけで済んだのだ。

 

カルゴ「良かった…。さっさとケリつけようぜ、あの技でよ。あれなら確実に勝てるだろ」

 

霊夢「完成してない技を使うのは危険よ」

 

練習中の複合スペル。

こんな事もあろうかと一応練習しておいた。

かなり強力ではあるが、あまり上手くいかない。

俺らの力が上手く合わせられないのだ。

そもそもの話、属性が違い過ぎる。

 

カルゴ「大丈夫だって、やろうぜ!俺が絶対に合わせるから!」

 

霊夢「うぅ…」

 

魔理沙「おい早くしてくれ!数が多過ぎる!」

 

こうして説得している間も、振り回される枝を破壊するのは魔理沙が行っていた。

 

霊夢「仕方ないわね!絶対合わせなさいよ!!」

 

カルゴ「おう、思いっきりやれ!」

 

魔理沙「(まさか、前言ってたあれを───!)」

 

 

 

 

 

数日前

 

魔理沙「複合スペルぅ?」

 

コタツでお茶を飲みながら驚嘆の声を漏らす。

 

霊夢「そ。エスカルゴのやつ、レミリア達とかと力合わせて、強力なスペル作ってるみたいでね。この前はそれでやられちゃったんだけど。『せっかくだし、霊夢とも作りたい』…って言ってきたのよ」

 

魔理沙「へー…。んで、どうなんだ?」

 

霊夢「面白そうだから、練習してるんだけどね。上手く出来ないのよねー…」

 

ズズッとお茶を啜る。

 

魔理沙「へー。どうしてだ?レミリア達とは出来たんだろ?」

 

霊夢「それがよくわかんないのよね。互いの力が強過ぎるのかしらね…」

 

魔理沙「ほーん…よくわからんなぁ…。私がエスカルゴと複合スペル作るとしたら…マスタースパークみたいなレーザーになりそうだなぁ」

 

そう言ってカラカラと笑う魔理沙。

 

霊夢「(魔理沙と作る気は無さそうだけど…)」

 

魔理沙「ま、頑張れよな」

 

霊夢「…ええ」

 

 

 

 

 

霊夢「ホントに大丈夫なのね!?」

 

カルゴ「ああ!ほら、やるぞ!」

 

不安がる霊夢の手を握る。

 

霊夢「わかったわよ!(ホントに大丈夫かしら…。というか、手を握るとか…照れるじゃないの…)」

 

カルゴ&霊夢「人鬼愛『封殺夢雷』!!」

 

封印効果のある結界を張り、西行妖の動きを完全に封じる。そこに俺の力も上乗せする。

いつもはこの時点でパワーバランスが崩れ、結界も崩れてしまっていた。

 

カルゴ「うおおおおおおおお!!」

 

霊夢「はああああああああ!!」

 

バァアアアアッ…

 

カルゴ「お…花びらが…」

 

満開になりかけていた西行妖の花びらが散った。

跡には枯れ木のようになった西行妖がポツンと佇んでいる。

 

魔理沙「封印成功…か」

 

霊夢「やったわね、エスカルゴ♪」

 

カルゴ「おうっ♪」

 

手を繋いだままそれを見上げる。

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「はー…疲れたな…」

 

霊夢「そうね…」

 

解決後は神社に戻ってまったりしていた。

魔理沙は空気を読んで家に帰った。

また、春は返してもらった様なので、数日後には春になる事だろう。

 

つーか、季節って奪えるのか…(汗)

夏を奪う異変とか出てくんじゃねーの?

 

カルゴ「あ、フラン達に解決したの伝えなきゃ。『分身』」

 

分身「…またパシリか」

 

カルゴ「そうだよ。よろしく」

 

分身「……はぁ…」

 

軽くため息をついて飛び立った。

 

霊夢「あー、また宴会やるのねー…」

 

カルゴ「そうだな。またここでやるんだよな?」

 

霊夢「そうね。(片付け面倒臭いのよねー…)」

 

めっちゃ嫌そうな顔してるやん…。

 

霊夢「明後日くらいでいいかしら。ブン屋に伝えといてくれる?」

 

カルゴ「わかった」

 

明日の朝にそれとなく伝えておこう。

あっと、大事な事を忘れていた。

 

カルゴ「そーだ、お願い聞いてもらおーっと」

 

霊夢「あ…忘れてた…。(何するのかしら…)」

 

霊夢も忘れてたか…。

 

カルゴ「お賽銭倍増を無しにして」

 

霊夢「はぁ!?何言ってんのよ!!私の収入源、あんたしかいないんだけど!?」

 

コタツをバンバン叩く霊夢。

その度に湯呑みが浮く。

 

どんどけ参拝客来ねぇんだよ…。

 

カルゴ「んじゃ、俺がドカッと稼ぐまではいつも通りで、それからは倍増に。これでどうだ?」

 

霊夢「(ドカッと稼ぐ…そうなれば結果的に大量のお賽銭が私の元に転がり込む…。)わかったわよ。ただし、ちゃんと稼ぐのよ」

 

カルゴ「おうよ」

 

軽く返事をして熱々の湯のみに口をつける。

 

霊夢「さー…まったりしましょー…」

 

背伸びして後に倒れ込む霊夢。

 

カルゴ「そーだn…」

 

ゴンッ

 

カルゴ「あたっ」

 

霊夢の真似をして後ろに倒れようとしたが…頭をぶつけてしまう。

 

霊夢「あんたバカ?そこ狭いって言ったでしょ。ただでさえあんたデカいのに」

 

カルゴ「ケッ…行くわ、そっち」

 

モソモソと霊夢側へと移る。

 

霊夢「え、来ないでよ狭いから」

 

などと言いつつ俺が入る隙間開けてくれる霊夢はツンデレなのか?なるほど、ツンデ霊夢なのか。

 

カルゴ「ほいほい、失礼しますよーっと…」

 

霊夢「狭っ…」

 

決して大きいコタツではないので、2人も入るとピッタリくっついてしまう。

 

カルゴ「あ〜…温かい…」

 

霊夢「全く…強引なんだから…」クスッ

 

背中越しに、霊夢の女っぽい囁き声が聞こえた。

 

カルゴ「ふっ…」

 

可愛いのう…。

 

しばらくの間、そこで密着したまま過ごした。

永遠亭へ戻ったのは、実に夕飯直前であった。




久々の戦闘回、どうだったでしょう?(汗)

次回はアレです、アレ。
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