カルゴ「ふわぁ〜………ねみ…」
巫月「あはは、おっきなあくび〜!」
膝の上にいる巫月は、父親を見上げて笑う。
鈴仙「シャキッとしてよね、お師匠様に呼ばれるかもしれないんだから」
カルゴ「すまん……」
鈴仙「もう…」
霊力があるかも、と発覚したあの宴会から数日。
遅く始まった春は早くも終わりかけている。
季節のリズムは狂うこと無く、次の季節へと移り変わるらしい。
そんな中、俺は、暇さえあれば博麗神社へ赴き、霊夢に稽古をつけてもらうという、平和な日々を享受していた。
フラン「今日は霊夢の所行かないの?」
カルゴ「行きたいけど、いつもより患者さん多いから行けないかもしれないな」
フラン「そっかそっか〜♪(強くなって欲しいのはあるけど、それ以上に一緒に居たいもん♪)」
もっと使いこなせるようにしたいなぁ…。
俺は妖怪、つまり妖力を備えている。
霊力は、妖力とは混ざっておらず、俺特有の能力である“電力”と同様、独立した存在らしい。
そのため、妖力から霊力へと切り替える必要がある。ただ、その切り替えは遅く、妖力弾と霊力弾ではスピードもかなり違うので、もっと訓練が必要だ。
スイッチの様にカチッとは切り替わらない。
ガララッ
??「エスカルゴ居るかしら?」
玄関から女の声が聞こえた。
フラン「誰?」
幾重もの壁や襖を隔てているので、しっかりした判別はつかないが、この声は…。
鈴仙「霊夢じゃない?」
俺もそう思う。
霊夢「居るわよね?入るわよ」
フラン「あ、霊夢だ」
ここまで無遠慮なのは、魔理沙と霊夢くらいなものだろうな。
霊夢「ほら居た。居るんなら返事しなさいよ」
居間の襖を開けるなり悪態をつく。
カルゴ「はは、悪いな。それにしてもよくここが分かったな、来たことあんのか?」
霊夢「そんなの勘よ」
へいへい、いつも通り勘ですか…。
フラン「何しに来たの?」
霊夢「ちょっとエスカルゴに相談をね。
相談なのか…霊夢らしくないな。
カルゴ「ほーん。変なのって?」
温泉…変なの…?まさかアレか?
炎火の所で起こった異変が此方にも?
いや、あれはお空の暴走によるものであって、こっちのお空が暴走したらさとりに教えてもらう手はずになってるから、今回のこれは原因が別?
霊夢「怨霊…だっけ」
カルゴ「あぁ…」
幽霊とか亡霊とかとは少し違うヤツだったっけ。
霊夢「アイツら、悪影響は無さそうなんだけど、安心して温泉に入れないのよ。これって解決すべきかしらね?」
その判断を俺に任せるのか…。
カルゴ「そうだね、解決した方が良いと思うよ。頑張ってな」
霊夢「いや、あんたも来てよ。それと、何処から来るのかもわからないし」
フラン「ねぇエスカルゴ、これって…」
この話を聞いて、フランは気付いたようだ。
カルゴ「…ああ。それらは地底から来てるから、地底に行けばいいんだよ」
霊夢「地底!?」
サラッと言われ、目を見開く霊夢。
カルゴ「うん。さとりとか勇儀さんなら兎も角、ほかの地底の妖怪とか怨霊とかがこっちに来んのはちょっと危険だし…うん、解決した方が良い」
「地底は鬼や妖怪の住処」
「無闇に手を出したら危険」
という紫さんの言葉を思い出す。
これを機に、鬼が大量に地上に上がってきたら?
勇儀さんより弱いだろうが、俺1人で大量の鬼に対応出来る訳無いし…地上が侵食される…かも?
鬼の強さはおかしいしね…。
俺1人じゃなくてもキツいだろう。
霊夢「地底って危険なのよね?」
カルゴ「危険だけど霊夢なら大丈夫だろ」
霊夢「彼女をそんなとこに行かせるつもり?」
全く…こういう時ばかりそんな…。
カルゴ「そりゃ、霊夢は強いもん大丈夫だろ…」
霊夢「1人とか面倒臭いわよ…。手伝って!」
“面倒臭い”じゃなくて“寂しい”だったら喜んで手伝うんだがなぁ…。
でも…心配だし、手伝うとするか。
カルゴ「しゃーないな。手伝っt…」
ガララッ
???「すいません!エスカルゴさん居ますか!?」
玄関から大声が聞こえてくる。
一同「!?」
この声…今度はさとりか?
カルゴ「どした」
玄関へ行くと、そこにはさとりとお燐が居た。
さとり「お空が…お空が…!」
お燐「お空が暴走しちゃったんだよ!」
諏訪子《(ゲッ……)》
えぇ…なんで暴走なんか…。
カルゴ「マジで?(汗)」
さとり「ええ…。何故かはわかりませんが、急に“地上を灼熱地獄に変えて支配してやる”とか言い始めて…。お願いします、お空を助けて下さい!!」
お燐「あたいからも頼むよ!」
2人共必死だな…お空がどれだけ大切ななのかが伝わってくる。さとりなんか、ここまで感情を表に出すこと無いのにね。
カルゴ「わかってるさ。前にさとりと約束したものな」
さとり「はい…」
お燐「約束って…。お空が暴走するのわかってたのかい?」
じろりと此方を睨むお燐。
カルゴ「いや。あくまでも予測してただけだよ。こっちのお空も暴走するかもしれないって」
お燐「………(こっちの?)」
こうなった原因は…。
カルゴ《諏〜訪〜子〜さ〜ま〜?》
諏訪子《…何かな〜?》
いつも通り可愛らしい声だが、どこか緊張気味にも聞こえる。
カルゴ《どーゆー事ですか?何で今更お空が暴走するんです?前からあの力持ってたでしょう》
諏訪子《そうだね…うん…》
カルゴ《何かしましたね?》
諏訪子《あ…あの…ね?あの子…馬鹿じゃん?》
カルゴ《………否定は……出来ませんが…》
物置と図書室を間違えるくらいだし…。
諏訪子《だから、こんな事にならないように少しずつ力を与えようとしてたんだけどね…?力にも慣れてきたようだから、この前強化したんだけど…》
カルゴ《なるほど、その強化が原因ですね》
諏訪子《みたいだね…》
全く…何て事してくれるんだ…。
霊夢「ほら、そいつを助ける為にも、地底に行くわよ」
したり顔で肩に手を置く霊夢。
カルゴ「そうだな」
フラン「私も行くわ」
レミィ「私も」
カルゴ「危ないからここで大人しく待ってて」
フランとレミリアの頭に手を置く。
行く前にバックアップ作っとくか。
炎火が居ないんじゃ、ワンチャン死ぬかもだし。
フラン「ふふっ、私達は前にも行ったんだもん、今更じゃないの」
カルゴ「そうだが…炎火が居ない今、力をつけ、暴走したお空を止められるかどうか…」
というか、皆を守りきれるか…そこが不安だ。
フラン「エスカルゴはあの頃より強くなったもん大丈夫よ♪」
レミィ「大丈夫に決まってるわ。あんたの事は、この私がスカーレット家に引き入れたんだから」
霊夢「今こそ修行の成果を見せる時じゃないの?あんたなら大丈夫よ、私が保証するわ」
唐突に褒め言葉をかける3人。
カルゴ「ふんっ…/////」
照れ隠しの為に3人から顔を逸らす。
カルゴ「少し待ってて、準備する。フランとレミリアも地底に行く準備を」
姉妹「わかったわ」
姉妹はそれぞれの部屋へ戻る。
俺はさとりとお燐の横を抜け、外へ出る。
美鈴「( =˘ω˘= )スヤァ…」
ったく…いつも寝てんな美鈴は…。
美鈴のそばに深さ2m程の穴を掘る。
カルゴ「っし、こんなモンか。起きてー」
ガタガタと美鈴の肩を強めに揺すって起こす。
美鈴「ふにゃ…なんれすか…?ふわぁぁ…」
カルゴ「ちょっと頼みがあるんだけど……」
〜少年説明&行動中〜
カルゴ「準備OKだ」
やる事を終えた俺は玄関に戻る。
霊夢「遅い」
レミィ「もう終わってるわよ」
カルゴ「すまない」
今回のこれは、本気でやらなきゃダメだ。
それこそ、死ぬ気で。
フラン「…あれ?顔色悪くない?」
カルゴ「気のせいさ。さとり、お燐、案内頼む」
さとり「はい!」
お燐「はいよ、ついてきな!(でも…なんだろう?このエスカルゴ、ちょっと違和感がある…。それに、この臭い…)」
2人に案内を任せ、地底の入口へと急ぐ。
??「………」
一行を密かに追いかける者が居たが…誰かがそれに気付くことは無かった。