私は馬鹿だ。
エスカルゴが…「危ないから大人しく待ってて」って言ってるのに…
「今更でしょ」…なんて言って、ついてきた。
結果………足を引っ張ってばかりだった………。
たった1度だけ…助けられた時は、すごく嬉しかった…。
そう…。ただ、お手伝いがしたかった……。
でも……その余計な手出しのせいで……
エスカルゴは……私を守って死んだ。
ジュワアアッ
大好きなあの人の体は………
一瞬で消えて無くなった。
欠片1つ残さずに。
エスカルゴは、自分が消える瞬間…笑ってた。
まるで、満足したみたいに。
レミィ「このバカ!何やってんのよ!!」
レミリアは、未だ座り込んでいるフランに怒鳴り散らす。
霊夢「…嘘……でしょ……?」
霊夢は衝撃のあまり、攻撃する事をも忘れ、ヘナヘナと座り込む。
レミィ「なんでアンタなんかの為にエスカルゴが死ななきゃならないのよッ!!!」
妹に蹴りを繰り出しながら泣き叫ぶ。
フラン「なん…で…?」
わかんないよ……。なんで……?
レミィ「あの程度の攻撃避けられない訳!?あんたはスカーレット家の恥よ!!!」
霊夢「………2人共……話は後よ…。まずは……コイツを倒す…!!」
よろよろと立ち上がる霊夢。
その目からは涙が流れていて、足はガクガクと震えている。
レミィ「ええそうね…。まずは…仇をとる…!」
フラン「………」
霊夢は御札とお祓い棒、レミリアはグングニル、フランはレーヴァテインを構える。
視界は涙によって歪み、足は震える。
しかし…“彼の仇をとる”という1つの目標の為、彼女達は再び立ち上がった。
???「………………………」
暗くて狭い、地下。そこでナニカが目覚めた。
???「土臭い…。何なんだ、ここは……」
自然の匂いは好きだが、ここまで強い匂いは好きじゃないかな…。
ザクッ………ザクッ………
???「ん…?」
頭上から、土を掘るような音が聞こえてきた。
リズミカルに、それでいてどこか急いでる様な。
ザクッ……ザクッ……
ペースが早くなってきた。
音も近くなってきている。
???「何が起こっている…?」
ゴスッ
???「痛っ」
頭に何かが当たった。
??「あっ、当たっちゃった…。今出して差し上げますからね!」
女の声が聞こえる。
何かで遮られているのか、くぐもった声だ。
??「よいしょ、よいしょっと…」
次の瞬間、まばゆいばかりの光に襲われる。
???「眩しい…」
目を細め、視線を逸らす。
??「うわ、本当だ…言ってた通りになってる。さぁ、もう出れますよ、掴まって」
女から手を差し伸べられ、無心にそれを掴む。
??「よいしょーっ!」
???「おわっ…」
女に引っ張られ、ふわりと体が浮いたと思うと、体が地上に飛び出した。
どうやら、土に埋まっていたようだ。
??「大丈夫ですか?」
???「美…鈴…?も、もしかして…」
土を掘っていたのは、居眠り門番こと紅 美鈴だった。
美鈴「ええ…。出発前エスカルゴさんが言ってた通りになってしまいました…」
しゅんとなる美鈴。
???「どんな感じだった?」
美鈴「埋めておいた場所の土が急に盛り上がりましたので…それで、もしかしたらと思って…」
???「そっか…。そうだ、アレは?頼んでおいたヤツ」
美鈴「はい、ここに。あと、バスタオルも」
下着やシャツ等の、衣類一式が揃っている。
???「ありがとう。やれやれ、酷いザマだな…全身土だらけじゃないか」
文句を言いながら土を払い落とす。
美鈴「ですね…。これからどうするんですか?」
???「そりゃ、もちろん行くよ。じゃなきゃ、皆がどうなるか…」
美鈴「そうですか…。お気を付けて」
???「うん。でもやっぱ、念の為に
美鈴「…………………はい」
霊夢「ほら2人共!息を合わせなさい!」
フラン「うぅっ…!」
レミィ「ええ、わかってるわ!」
お空「みーんな消えちゃえ!焔星『十凶星』!」
10個の巨大な弾を発射するお空。
霊夢「まずい!夢境『二重大結界』!!」
結界を張って防ごうとする霊夢。
だが、お空の攻撃力は並外れている。
霊夢「くっ……もうヒビが…!」
霊夢がいくら力を込めようとも、ヒビの広がりは抑えられない。
霊夢「もうダメ…っ…ごめんね、エスカルゴ…」
負けを確信した次の瞬間、お空の背後に広がる、奇妙なものを見た。
霊夢「あれは…っ!」
中には、薄気味悪い目玉などが見える。
あれは妖怪の賢者、八雲 紫の作り出すスキマ。
そして、そこから飛び出す者が1人。
そう、八雲 紫─────────では無かった。
???「オルァァァァァ!!」
そこから出てきたのは、女ではなく男。
見た目はそう……高校生ほど。
お空「ハッ────!!」
お空が振り返りきる前に、斧での一撃が炸裂。
モロに食らったお空は床に叩きつけられる。
???「よくも
拳といえど、四肢の末端部分に雷を纏うので、一概に拳とは言えないが。
???「ハァァッ!!」
高々と飛び上がり、踵落としを喰らわせる。
お空「ゔに゙ゅっ……」
軽く呻き、お空は気絶した。
???「ふぅ…。おいコラ、随分と時間かけてんじゃねぇの?霊夢ぅ」
パンパンと埃を払い、霊夢達に歩み寄る。
一同「……??」
あるぇ〜…?
皆して駆け寄ってくるとか思ってたんだけどな…そんな事ねぇのか…少し寂しいな…。
霊夢「え……エスカルゴ…?」
レミィ「そんなっ……有り得ないわ……。だっ、だってあの時……死んだハズじゃ……」
フラン「……分身……?」
皆同じように目を見開く。
それはそうだ。つい先程、自分達の
カルゴ「さ、早く封印しようぜ」
と、霊夢に呼び掛ける。
フラン「分身は雷のエネルギーの塊…ってエスカルゴ言ってた…。封印なんか出来ないんじゃ…」
カルゴ「一応本物だぜ?ま、死んだけどな」
そう言って軽く笑い飛ばす。
霊夢「ど、どういうこと?分身じゃないっていう証拠は?」
カルゴ「分身じゃない証拠?そンなの簡単だな。目の前のお空の力を封印出来りゃ、分身じゃねぇって証明にならァ」
お空「封、印…?イタタタ…」
腕を抑えて立ち上がる。
骨折…はしてねぇだろうが、そこそこダメージを与えたハズだ。次で決められんだろ。
カルゴ「おうよ。お前のその力、封印してやっから覚悟しな」
指を目の前に突き付け、「封印する」と宣言する。
カルゴ「霊夢、封印効果ある方の頼む」
霊夢「わかってるわ。(どういう事?状況が全くわからない…)」
お空「ヤダ…ヤダよ!!この力で皆を…」
首を横に振って駄々を捏ねるお空。
霊夢「あんたのせいでこっちは迷惑してんのよ、さっさとやられなさい!!霊符『夢想封印』!」
お空程の力を抑えるにゃ、1人じゃ足りない。
そこで、
正確には、二重封印だ。
カルゴ「雷極『夢想封印・迅雷』!!」
霊夢「えっ…あんた、それ…」
カルゴ「集中しろ霊夢!」
霊夢「わ、わかってるわよ!」
俺も霊夢も封印に集中する。
お空「やだっ…やだ、やだよ!!『地獄の人工太陽』!!」
レイカル「!!!」
ここにきてスペル使うか…!
霊夢「ゔっ……!」
カルゴ「グッ…!!」
被弾した訳では無い。
お空を包む結界が破られかけているのだ。
霊夢「はぁぁぁぁぁっ!!!」
カルゴ「うぉぉおおおおお!!」
お空「うぎぎぎぎ…!!」
更に力を込める3人。
バキャッ…
霊夢「あぁっ!!」
カルゴ「くそッ!」
お空「はぁ、はぁ…危なかった…」
あと少しのところでお空が結界を破る。
くそ、どうする!霊力はアレ1発分しかないぞ!
レミィ「今よ、フラン!!」
フラン「うん!秘弾『そして誰もいなくなるか?』!!」
レミィ「紅符『スカーレットマイスタ』!!」
レイカル「!?」
すかさず姉妹が攻撃し、お空はダメージを受ける。
お空「ゔっっ………」
堪らずフラついてしまうお空。
レミィ「エスカルゴ、霊夢!!」
カルゴ「おう!やるぞ霊夢!」
霊夢「ええ!今度こそ!!」
レイカル「人鬼愛『封殺夢雷』!!」
先程よりも強固な結界がお空を包む。
お空「イヤ…だ………さとり…様………お燐…」
さとり「お空を元に戻していただき、ありがとうございました…。何とお礼を言えば良いのか…」
お燐「あたいからも礼を言わせておくれ。本当にありがとう!」
深々と頭を下げるさとりとお燐。
カルゴ「約束守っただけだ、礼を言われる程でもねぇさ」
さとり「しかし…」
カルゴ「そうそう。暴走したのは、お空のせいじゃなくて守矢神社の神様達のせいなんだよ」
諏訪子《おぉぉぉい!なんで言っちゃうの!?》
うわ、急に来た!
カルゴ《えっ…だって、原因の究明は解決と同じくらい大事ですよ?》
諏訪子《うぅぅ……》
さとり「どういう事ですか?」
神様のせい…そう聞いてしまっては、尋ねずにはいられない。
カルゴ「お空にあの力を与えて、産業に利用しようとしたんだよ。お空もそれを受け入れて力を授かった。けど、力を与えられ過ぎてああなったんだよ」
さとり「いつの間に…」
カルゴ「ちょっと言い難いことだけど…神様達はさとりの力を恐れてる。…だから、さとりの隙を狙って、お空を強化したんだ」
さとり「なるほど…」
諏訪子《やっぱり核エネルギーはまだ早かったかなー…》
カルゴ《幻想郷まで核エネルギー使わなくていいっすよ。外の世界でどれほど原発事故が起こってることか…》
諏訪子《うう…》
チェルノブイリに福島第一原発…。
まだまだあるけど俺はこれくらいしか知らん。
あぁ、あの時、下手したら俺も避難してたんだよな。俺は福島住みだったから。
カルゴ「じゃ、俺はここで。疲れを癒したい」
しばらく雑談した後、別れを切り出す。
さとり「は、はい、わかりました。今日は本当にありがとうございました」
カルゴ「イイってことよ」
実験のデータもとれたし、一石二鳥だ。
俺からも礼を言わせてもらうよ。ありがとうな。
これで、
後ろ手に手を振って地霊殿から出る。
霊夢「ねぇ、何であんた生きてるのよ?」
地霊殿の門前で、唐突に霊夢が尋ねてきた。
カルゴ「ん?死んでた方が良かったか?」
少し拗ねてみる。
霊夢「んな訳ないでしょ!?…ただ、あの時……消えて……」
カルゴ「あぁ、死んだんだろうな。
レミィ「言ってる意味が全くわからないわ。死んだんならなんでここに居るの?」
カルゴ「この前文献で見たんだ。吸血鬼は、蝙蝠1匹分の肉片があればいつでも再生できる……ってね」
パチッとウインクして見せる。
フラン「ますます分からないわ。あの時、跡形もなく消えたじゃない。何処に肉片があったの?」
カルゴ「出発する前、右腕を肩から切り落として土の中に埋めといた。もしも死んだら、そこから再生するように…ね」
霊夢「じゃあ…何?その文献が嘘だったら、今頃あんたは…」
カルゴ「うん、死んでたね」
ケロッとした顔で答える。
霊夢「…!」
フラン「でも…生きてて良かった…私のせいで…エスカルゴが死んじゃったから……」
徐々に涙声になるフラン。
カルゴ「あとな、俺には“絶対に助かる”っていう確信があったんだ」
レミィ「なんでよ?試した事もないのに…」
カルゴ「前さ、レミリアに運命を
結構前の事だ。鈴仙との子作りの前だ。
レミィ「ええ、
カルゴ「あの時、言ってたよな。“2年くらい
口角をクイッとあげてドヤる。
レミィ「ま…まさか、私を信じて…?」
カルゴ「おうよ。だから、この再生は必ず成功するってわかってた」
レミィ「バカ!!運命なんて、ちょっとした事で変わるのよ!?もしその運命が変わってたら今頃あなたは…!死んでたのよ!?」
カルゴ「…まぁ、俺はレミリアを信じてたから、こんな賭けに出たんだ。気にすることは無い」
レミリアの頭を撫でて宥める。
レミィ「(いくら信じてたからって命を賭けるなんて…!)」
諏訪子《ねぇ、吸血鬼不老不死化計画って…何するつもり?》
カルゴ《秘密です♪》
諏訪子《…………》
吸血鬼不老不死化計画……通称・Project蓬莱人。
これは、今回のこの実験が成功しなければ遂行出来ない計画だ。
まず、再生可能な“蝙蝠1匹分の肉片”を採取。
その肉片を、マイナス18℃以下で冷凍保存。
マイナス18℃以下だと、微生物や細菌が活動出来なくなるので、腐敗が進まなくなるのだ。
『Project蓬莱人』は、細菌類のこの性質と吸血鬼の特性を応用している。
これを繰り返せば、老いと若返りを無限に繰り返す事が可能なのだ。
ただ、完璧に思えるこの計画にも、穴がある。
それは、“記憶の継承”。
先程の俺がそうだったように、肉片を採取するまでの記憶しか残らない。
つまり、再生すると記憶がリセットされる訳だ。
だから俺は、腕を切り落とすまでの記憶しか無いために地底へ行く方法がわからず、紫さんに頼ってしまったのだ。
因みに、美鈴に衣類一式の準備を頼んだのは、全裸で永遠亭に入る訳にはいかないからである。
それは当然だ。
土に埋めた理由は、日光に当たると煙を上げて消えてしまうからである。
そこは吸血鬼の特性そのままである。
また、下手に物陰に隠しても、てゐや巫月が居るので安心出来ないのだ。
そして、美鈴が「土が盛り上がったので」と言ったのは、地中で再生したからである。
腕を埋め、土をかけて隠した。
なので当然土は盛り上がる。
更に、出発前にお燐が感じた“違和感”というのは、“血の匂いがした”という事である。
地底の入口に近付いた。
だがそこで、ここに居るはずのない人物の声を聞く。
??「ほーら、高い高ーい♪」
??「あはははっ!これおもしろーい!」
フラン「え…この声…」
カルゴ「!?」
声の元へ一目散に駆け出す。
カルゴ「巫月ィ!!!」
勇儀「おお、エスカルゴか」
巫月「あ、やっとみつけた〜」
なんと、入口付近では、巫月が勇儀さんに高い高いをしてもらっていた。
カルゴ「なんでここに!?」
巫月「えっとねー、えすかるごがみんなでどこかにいくから、ついてきちゃった!」
カルゴ「……はぁ……」
鈴仙は何をやって…いや、診療所かな…。
見送られなかったから。
勇儀「この前の宴会で見かけたから、エスカルゴの娘だとすぐわかったよ。だから、お空の暴走を止めてくれるまで私が面倒を見ていた」
勇儀さんもさとりから話聞いてたのかな。
カルゴ「ありがとうございます、勇儀さん。ほら巫月、帰るぞ」
巫月「はーい!」
勇儀「気をつけて帰るんだぞ!」
親子「はい!」
手をヒラヒラと振ってどこかへ向かう勇儀さん。
恐らく自分の家へ帰るのだろう。
フラン「はぁ、はぁ…やっぱり巫月ちゃんだ…」
ここで3人も合流し、今度は何事も無く安全に、それぞれの家路についた。
死ぬ訳ないよ〜ヽ(*´∀`)ノ