※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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突然の依頼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「……準備は出来た。あとは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルゴ「どうです?これが私の剣、“妖魔雷霊剣”ですよ」

 

諏訪子「おぉー…確かになんか禍々しいねぇ…。ホントにエスカルゴだけの力なの?」

 

カルゴ「もちろんです」

 

現在俺は、禍々しいとよく言われるこの剣を諏訪子様に見せに来ている。

やたら皆が禍々しいと言うので、生で見たくなったのだとか。

 

早苗「黒光りしてて綺麗なんですけどね…なんか触りたくないです…」

 

神奈子「うむ…力が混ざったというだけでこうも禍々しくなるものだろうか?」

 

剣に対し、不審感を露わにする2人。

鞘から抜いた直後こそ、身を乗り出すようにして見ていたが、すぐにその身を引っ込めた。

 

カルゴ「妖力、電力、魔力、霊力の4つを無理矢理合わせたからでしょうかね?でも、それぞれの力を引き出すことは出来ますよ」

 

神奈子「だから意味がわからんのだ。これだけゴチャゴチャになっててそれだけを引き出すなど…理解不能だ」

 

そこに関しては俺も同意だけど…霊夢との修行の賜物としか言えないな。

 

諏訪子「ちゃんと力も剣も使いこなせる様になるなんて凄いじゃん!」

 

カルゴ「えへへ…。それと、新しく覚えた技術と合わせて、ブラックホールだって(・・・・・・・・・・)作れますよ♪」

 

諏訪子「え」

 

神奈子「はぁ!?」

 

早苗「ブラックホールって…まさか、宇宙にあると言われるあのブラックホールですか!?」

 

カルゴ「そうだよ」

 

外から来た守矢神社の面々とは、結構話が合う。

幻想郷の人々には無い知識があるからだろう。

 

カルゴ「見た目を真似しただけだから、厳密にはブラックホールでは無いけど…。作ってみる?」

 

見た目とは言っても、ブラックホールは直接観測出来ないけどね。光さえも抜け出せないから、間接的に観測するしかない。

 

早苗「はい!見てみたいです!」

 

神奈子「危険じゃないだろうな?」

 

カルゴ「あくまでも見た目なので大丈夫です」

 

縁側から外に出、剣を天に掲げる。

 

カルゴ「深淵『ブラックホール』!!」

 

スペルカードの詠唱をすると、剣先に直径3m程の黒い球体が現れる。

 

カルゴ「神社(ここ)にあるものなら、お社以外何でも吸い込めますよ。何か吸い込んで欲しいものはありますか?」

 

早苗「じゃあ…これを!えいっ!」

 

その場にあった煎餅をフリスビーの様に投げる。

すると、煎餅は次第に速度を増しながらブラックホールに吸い込まれる。

 

早苗「消えた…」

 

神奈子「おお…なんだこれは…」

 

諏訪子「それ、どういう仕掛けになってるの?さっき言ってた力4つだけじゃ作れないよね?」

 

カルゴ「…さぁ、どうでしょう?勿論種も仕掛けもありますよ。試しに、諏訪子様を吸い込んでみましょうか?」

 

ニヤリと笑いながら、イタズラっぽく言う。

 

神奈子「おっ、イイねぇ!面白そうだ!諏訪子、いってこい!」

 

諏訪子「ヤダよ!?」

 

早苗「いってらっしゃい、諏訪子様!えい!」

 

早苗は、隣に居る諏訪子様を抱き上げ、放り投げる。

 

諏訪子「のわーっ!?早苗ぇえええええ!!」

 

神社へ向かって飛ぼうとするが、引き寄せる力には適わないようで………。

 

諏訪子「ぐぬぬぬぬ………うわああああっ!!」

 

耐えきれなくなった諏訪子様は、ブラックホールの中心へ真っ直ぐに吸い込まれていく。

 

あれぇ?この様子、どこかで見たような…?

そうか!アレだよアレ!ケロ⑨Destinyの動画で、萃香さんに吸い込まれるシーン!

やばい、なんか凄く嬉しい!

 

早苗「おおっ!」

 

そして、遂にブラックホールの中心に達し……。

 

諏訪子「ぎゃああああああああッッ!!!」

 

その瞬間、諏訪子様の甲高い悲鳴が聞こえてきた。

 

早苗&神奈子「えっ!?」

 

これが断末魔…なんて事無いよな。

力加減はしてるし、気絶すらしないはずだ。

 

カルゴ「解除」

 

ブラックホールを解除すると、吸い込んだ諏訪子様が落ちてきた。

 

諏訪子「イタタタ…」

 

早苗「大丈夫ですか!?」

 

早苗が駆け寄り、諏訪子様を抱き起こす。

帽子は目を回している。

 

諏訪子「放り投げるなんて酷いよ早苗〜…」

 

早苗「吸い込まれる諏訪子様を見てみたかったので…」

 

諏訪子「だからって…。でも、そのおかげでこのブラックホールのタネがわかったよ」

 

此方を見上げ、パチッとウインクする。

 

早苗「どうなってるんですか!?」

 

諏訪子「電気の力で引き寄せてるんでしょ?」

 

吸い込まれただけあって、即座に正解を叩き出す。

 

カルゴ「正解です」

 

『Midnight☆Thunder』の様に、広がる闇を制御出来なかった俺は、小規模で闇の力を使うには誰かに闇を纏わせるしかなかった。

でも、発想を変えれば…?

『空間に纏わせる』と考えれば、後は簡単だ。

小規模で闇の力を行使する事も出来た。

そして、剣の遠隔操作と同じく、吸い込む対象とブラックホールにプラスとマイナス、別々の電気を帯びさせ、吸い込む(様に見せかけ、引き寄せる)。

だが、力に力を上乗せするのは、そう簡単ではなかった。しかし、剣のおかげでより細かい微調整、電力操作が可能になった。

やはり剣の存在は大きい。

 

早苗「でも、どうして悲鳴を?」

 

諏訪子「それはね…」

 

カルゴ「アレ、見てみ」

 

諏訪子様が落ちてきた場所のそばを指さす。

そこには、丸焦げの何かがあった。

 

早苗「あっ…これは…さっきのお煎餅?」

 

早苗が先に投げた煎餅は、諏訪子様より長い時間強い電気を浴びていたので丸焦げになったのだ。

元の形は見る影もない。ただの炭だ。

もっと長時間電気を浴びせれば粉末状になるが。

 

カルゴ「そゆこと」

 

軽く笑い、剣を背中の鞘に戻す。

 

早苗「なるほど、諏訪子様もバチバチって…」

 

諏訪子「うん…」

 

苦笑いする諏訪子様。

 

神奈子「なるほどな。また新しい力を得たのかと思ったが、元々持っていた力を組み合わせていただけなんだな。そして、更に上手く力を使えるようになった、と」

 

感心したように繰り返し頷く神奈子様。

 

カルゴ「そうですね。この技術を会得するのに、3週間ほどかかりました…」

 

神奈子「3週間でここまでの成長を?」

 

神奈子様は目を見開いて驚く。

 

カルゴ「…他の時間を犠牲にしましたからね…。睡眠時間に、仕事合間の自由な時間…」

 

仕事というのはもちろん診療所の事だ。

分身に任せきりにはしていない。

 

神奈子「おいおい、彼女や娘は?」

 

カルゴ「彼女や娘との時間は、遊ぶ時間こそズレましたが、1分も削ってませんよ」

 

神奈子「うむ」

 

寧ろ、霊夢と過ごす時間がうなぎ登りに増えた。

これで、フラン達の時間が減ったら…フランの事だ、怒るだろうな。

いや、怒られるから遊ぶって訳じゃない。

修行の疲れを癒し、尚且つ仲を深めることが出来る。そして何より、大好きな人と居れる時間というのはとても幸せな時間だ。

 

?「こんにちは♪」

 

そんな事を考えていた時、突然背後から女性の声が聞こえてきた。

 

カルゴ「!?」

 

咄嗟に剣を抜き、振り向く際の運動エネルギーを利用して袈裟懸けに振るう。

 

?「危ないじゃないの」

 

斬撃は軽々と避けられてしまった。

そこに居たのは、優雅に傘を持つ紫さんだった。

 

カルゴ「すいません…。突然背後に立たれたので驚いてしまい…」

 

紫「良いのよ。驚かせたこっちも悪いしね」

 

心臓に悪いからやめてくれ…ホント…。

 

諏訪子「どしたの急に」

 

紫「エスカルゴに用があって。エスカルゴは借りるわね」

 

カルゴ「え」

 

そんな急に言われてもなぁ…。

 

諏訪子「えー…しょうがないなぁ…。私とはいつでも話せるもんねー♪」

 

神奈子「(最近やってないが)私ともな」

 

紫「なら話が早いわね。行きましょ」

 

スキマを開き、俺の手を引く紫さん。

 

カルゴ「あわわ…すいません、また来ます!」

 

体を半分引き込まれながら別れを告げる。

 

諏訪子「うん、またおいで!」

 

閉じかけているスキマの向こうで、諏訪子様達が笑顔で手を振っているのが見えた。

 

暗い…。前にも来たな、スキマの中。

出入口として使うのとは別な…凄く暗い空間。

 

紫「突然悪いわね。少し話があるの。…いいえ、お願いかしらね」

 

カルゴ「紫さんが…俺にですか?わかりました、俺でよければ」

 

紫「そう、なら良かったわ。でもね、これはエスカルゴにしか出来ないの。とても大変な事なの。霊夢やレミリアも出来ないような…ね」

 

霊夢やレミリアに出来なくて俺にしか出来ない?

やばいな、話が見えない…。

 

カルゴ「そんな大変なんですか?」

 

紫「そうね。とても危険だし…」

 

おいおい、そんな事を俺にやらせようと?

いや、俺の実力を見込んで頼んでくれるのでは!?

 

カルゴ「大丈夫です、危険には慣れっこです!!何をすればいいですか!?」

 

紫「(貴方ならそう言うと思ったわ♪)貴方には、月の都を壊滅させて欲しいの」

 

カルゴ「?????」

 

破壊?月の都を?Why?( ͡° ͜ʖ ͡° )

 

カルゴ「何故です?」

 

紫「私達幻想郷の妖怪はね、ずっとずっと昔に、月の技術を盗もうと月の都に攻め入ったの。でも、コテンパンにされちゃってね。萃香もいたけど、月人に殺されかけた」

 

カルゴ「萃香さんが…」

 

あ…あれ?それってもしかして…いや、もしかしなくても第一次月面戦争?

 

紫「貴方を連れてくる数年前にはもう一度向こうに行って…囮とか様々な仕掛けをして、やっとの思いで月人達を出し抜き、一滴の血も流さず勝利したわ」

 

カルゴ「ならそれで良くないですか?」

 

それって…儚月抄だよな?

 

紫「結局、一勝一敗でしょ?」

 

カルゴ「…ですね」

 

紫「決着つけたいと思わない?」

 

カルゴ「まぁ…そうですね」

 

天魔と引き分けた時、それが嫌で再戦を申し込んだ訳だしな。もしかして紫さん、俺の負けず嫌いな性格も利用して…?

 

紫「今度は、大昔にこちらが喰らった損害を受けてもらうわ。昔は、こっちの妖怪が何体も殺されたから…」

 

カルゴ「うわ…」

 

第一次月面戦争…ガチの殺し合いだったのか。

 

カルゴ「俺…壊滅させるなんて出来ますかね?」

 

紫「勇儀や天魔を越えた貴方なら、壊滅させる事なんて造作もないでしょう」

 

カルゴ「しかし…壊滅させるというのは具体的に何をすれば?」

 

紫「壊滅させた後は、私が支配するのが望ましいから…建造物の破壊というより、組織の上層部の人物の殺害をお願いしたいわね」

 

カルゴ「…マジで殺害ですか…」

 

紫「同胞の敵討ちよ」

 

そりゃあそうだけど…大昔の事を今更…。

いや、負けるのは嫌だし…うーん…。

 

カルゴ「みんなに相談してもイイですかね…?」

 

紫「ダメに決まってるでしょ」

 

ですよねー…。

 

紫「…と言いたい所だけど、良いわよ」

 

カルゴ「え」

 

何故に!?

 

紫「月の賢者はもう、都を見放してるだろうし、何より貴方にはもう娘まで居るものね。危険な所に行かせる訳だし、それ位ならいいわ」

 

カルゴ「ありがとうございます」

 

紫「でも、連れていくのは絶対にダメよ。彼女達を思いやるのならね」

 

カルゴ「わかっています」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩、永遠亭に住まう皆が揃っているところで今日話した事柄を簡潔に、順を追って話した。

行ってもいいか、という疑問形ではなく、行く、という確定系で話した。

 

1.紫さんに“月の都の壊滅”を依頼された事。

2.それは、大昔の同胞の敵討ちである事。

3.俺にしか出来ない事。

4.それには、絶対に誰も連れていかない。俺一人で行くという事。

5.大量殺戮の可能性。

 

巫月「えすかるご、おつきさまにいくの!?」

 

巫月は目を輝かせ、

 

鈴仙「壊滅…ほんの少し寂しいかも…?(玉兎達はどうなるんだろ…?)」

 

鈴仙はどこか寂しげで、

 

レミィ「月か…あんまりいい思い出はないわね」

 

レミリアは仏頂面になり、

 

咲夜「私もです…」

 

咲夜さんは苦笑いする。

 

綿月 依姫にコテンパンにされたんだよな。

負けるのは誰だって嫌さ、仕方ない。

 

てゐ「外で遊んでくるウサ〜」

 

てゐは夜だというのに外に行き、

 

パチェ「私は行ってないけど…私も行っていたとしたら、レミィと同じ事言ったかもね」

 

パチュリーは本を読みながら言葉を返し、

 

フラン「私行った事ない…」(๑˘・з・˘)

 

フランは頬を膨らます。

 

カルゴ「…永琳先生…?」

 

ずっと黙り込んでいる永琳の顔色を伺う。

 

永琳「ええ、いってらっしゃい。あなたなら無事勝利を収めて帰ってこれるでしょう。月の都は、今の私にはどうでもいい場所だし、壊されようが滅ぼされようが、何とも思わないわ」

 

わお…ホントに見放してら。

 

永琳「でも、月を攻めるにあたって、1つだけ…あなたにお願いがあるの」

 

カルゴ「なんです?」

 

永琳が俺にお願いとは…。

明日は槍が降るか?

…いや、降らせる(・・・・)んだ、この俺が。

 

永琳「上の奴らは兎も角…綿月姉妹と玉兎達だけは殺さないで」

 

真っ直ぐ目を合わせ、冗談めかすこと無く切に訴えてくる永琳。

 

鈴仙「(お師匠様…!)」

 

カルゴ「…わかりました」

 

綿月姉妹の事は普通に大事に思ってて…玉兎達は多分、鈴仙の事を思っての事だろう。

大丈夫。そもそも、殺す気はあんまりない。

向こうが俺を殺しに来てるならそれ相応の対応をするけどね。

 

永琳「あと、皆も、あなたの力がわかってるから月に行くのを止めないのよ。だから…皆の期待を裏切らないでね」

 

一同「……」コクコクッ

 

皆は黙って俺を見、力強く頷く。

 

カルゴ「……ありがとう、皆。頑張る」

 

永琳「行く日は決まってるの?」

 

カルゴ「ええ。次の満月の夕方に」

 

永琳「そう…。第三次月面戦争…頑張って」

 

カルゴ「はい」

 

 

 

 

 

紫「今度こそ…真っ当な復讐が出来そうね」

 

そんな永遠亭の様子を盗み見ていた紫さんは、スキマの中からほくそ笑んだ。

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