月の都
依姫「お2人に報告致します。地上で何やら怪しげな動きが見られます。近日中に地上の妖怪や人間がやってくる可能性が…」
豊姫「兵士や玉兎に命じ、警備を強化致します」
地上を監視している綿月依姫とその姉、綿月豊姫は、月の重鎮に報告をする。
??「やれやれ…馬鹿の一つ覚えとはこの事ですね。2度も返り討ちにされたというのに…いつまで同じ過ちを繰り返せば気が済むのやら…」
羽扇を仰ぐ、中性的な顔立ちの男性。
大昔の第一次月面戦争では、影で指揮を執っていたのがこの男である。
依姫「(前回は出し抜かれてお酒盗まれたけど…)そうですね。今回も前回同様、殺生は行わぬ所存です」
??「……そうですね」
??「敵の数は?」
重厚な鎧を纏う、体格のいい男性が尋ねる。
大昔に伊吹 萃香を殺しかけたという男だ。
依姫「今の所、敵勢力はたったの2です。しかし、これだけとは到底思えませんので、用心に越したことはないかと」
??「うむ。兵士の指揮は私が執る。2人には兎への指揮、地上人の撃退を任せる。好きに陣取るがいい。私は念の為に都の結界前に陣取る。昔の事もあるのでな」
第一次月面戦争の際は、紫は都の結界前へと進軍した。そこで月の軍と衝突するも、主にこの男の活躍により敢無く敗北してしまったのだった。
姉妹「はっ!失礼します!」
??「お待ちを」
部屋を出ようとする姉妹を引き止める中性的な男性。
??「依姫は
重厚な鎧を纏う男の名は
月の軍の総大将である。
飛竜「わかった」
依姫「わかりました」
飛竜「して、
中性的な男性の名は
指揮を執る立場…つまり、軍師である。
世羅「ええ、それが私の役目ですから。今度もまた、地上からの進行を退けましょう」
姉妹「はいっ!」
飛竜「ああ!」
世羅「では早速ではありますが────…」
カルゴ「よし、終わりっと」
服を数式入れたカバン等の準備を整える。
緊張するなオイ…。
俺1人vs月の軍勢だろう?
圧倒的にヤバいらしいが…やるしかないか…。
実を言うと、強敵との戦いを楽しみにしている。
レミィ「紫が来たわよ」
カルゴ「む」
丁度準備が整った所に、迎えに来たらしい。
何ともタイミングのいいことだ。
カルゴ「じゃあ、行ってきます」
永遠亭玄関前で見送られる。
今宵は満月…。紅くは無いが、やはりいつもより力が湧いてくる感覚がするのは何故だろうか。
フラン「いってらっしゃい…気をつけてね」
フランはどこか不安げに此方を見上げる。
レミィ「あなたの事だから、心配なんてするだけ無駄よね。とりあえず気をつけて。月の奴の強さは尋常じゃないから」
自らの経験を振り返り、苦虫を噛み潰した様な顔をするレミリア。
巫月「がんばってねっ!!」
鈴仙「たとえ負けても、生きて帰ってきてね…」
永琳「そんな心配は要らないわよ、ウドンゲ。いくらアイツが強いと言っても、エスカルゴの強さには適わないわ。余程油断しなければ…ね」
月に居た永琳は、向こうの顔ぶれは承知している。
てゐ「とりあえず生きて帰ってこいウサ。お前居なくなると、いじり甲斐のある奴が鈴仙しか居なくてつまらんウサ」
パチェ「…気を付けて」
小悪魔「死なないで下さいね…」
咲夜「頑張って下さい!」
美鈴「お気を付けて!!」
皆、思い思いに言葉をぶつける。
カルゴ「皆…ありがとう!それじゃ!」
笑顔で手を振り、スキマに飛び込む。
みんなのおかげで、恐怖心も緊張感も拭えた。
大丈夫、俺はやれる。
月へ行く前に、スキマ内で最終確認をする。
紫「装備品とかは大丈夫ね?」
カルゴ「もちろんです。剣はあるし…」
念の為、ペンダントはつけていない。
団扇も置いてきたし、充電器も置いてきた。
今の俺の装備品は剣、カバンのみだ。
ペンダントをしていないので夕方出発なのだ。
紫「まず私が都の結界をどうにかするから。破ったあとのことは…わかるわね?」
カルゴ「はい」
都の中へは直接スキマを繋げられないらしい。
紫さんの能力すら通用しない程に強力な結界なのだとか。
つまり俺は、紫さんが結界をどうにかするまでに結界前で月の奴らの相手をし、どうにかした後は中で暴れ回る、と。これが今回の任務か。
余裕のよっちゃんイカだね、こんなん。
紫「覚悟はいい?」
カルゴ「ええ。いつでもどうぞ」
紫「…健闘を祈るわ」
目の前にスキマを開く紫さん。
そこからは、荒野のような平野と、その奥には三国志のドラマで見るような巨大な城壁がみえる。
なんだこりゃ…三国時代の中国か?
長安のイメージ図で書かれてるやつそっくりだ。
呑気な観光客のような気分で月面に降り立つ。
空気があるのは前もって聞かされている。
その時は腰が抜けるほど驚いたが。
さて、
カルゴ「…だぁれも居ないけどなァ…」
準備を終え、キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていた…その時。
ドンッ!
300mほど前方に、一筋の雷が落ちる。
カルゴ「んなっ…」
雷が落ちた地点には、夥しい数の兵士が隊を成していた。その数、およそ3000人。
白狼天狗の時のおよそ10倍だ。
安そうな鎧をつけ、赤いビームサーベルのような剣を持っているのが遠くからでも視認できる。
また、両脇を兵士によって固められた綿月依姫の姿も確認できた。
大将のようなガタイのいい男の側についている。
あの紫のが依姫か。
殺さぬよう気を付けますかね。
所で…さっきのはなんだ?
あの雷で移動した?転送装置なのか?
なるほど、そんな技術あれば盗みたくもなるな。
飛竜「穢き地上の妖怪よ!何故貴様はまたやって来たのだ!!」
大将のような男が口を開く。
穢き…って…こんにゃろォ。なんか腹立つぜ。
またというか、初めてなんだけど。
地上からの進軍、って事だよね。
よし、ここは少し強気で臨みますかね。
カルゴ「大昔の同胞の敵だバカヤロウ!!都ごとぶっ壊してやンよォ!!!」
中指を立てて挑発し、都を破壊するという目的…つまり、スペルカード戦では無いことを暗に告げる。
依姫「(なるほど…今回はスペルカード戦では無い、と言いたいのだな)」
前回、魔理沙の発案にてスペルカード戦で戦った依姫であったが、頭のキレる依姫は、今回はスペルカード戦では無いという事を即座に見抜いた。
依姫「(殺生は行わぬつもりだったが…都が壊されるのであれば殺す他あるまい。だが…奴はたったの1人…相当な実力者に違いない。気を引き締めねば…)」
また、敵の数からその実力を図ろうとしていた。
飛竜「都には…一片の穢れも入れさせない!!」
穢れ…ねぇ…。
月の奴らはマジでそんな事言ってんのか。
自分らは穢れてないとでも?
カルゴ「穢れ穢れうっせーんだよバァカ!!テメェは全く穢れてねぇってのかよ!?はっ、チャンチャラおかしいぜっ!!!」
飛竜「…!」
この発言に、眉をピクリと動かす飛竜。
飛竜「兵士達よ!かかれぇぇぇぇぇ!!」
兵士達「おおおおおおおおおおおお!!」
地を揺るがしながら兵士達が向かってきた。
依姫と大将っぽいのはまだ来ない、と。
ふむ…まずは雑魚からか。
ふんっ、ウォーミングアップには丁度いいぜ。
お前ら兵士も殺さないでおいてやるよ。
大体何人だろ?数千は居るよな。
それがウォーミングアップとか……俺もかなりの逸脱者だな。
カルゴ「っしゃああ、来やがれ!!!」
指を鳴らし、軽くジャンプして体を温め、戦闘態勢に入る。
なんか…すげー楽しみだぜ!!
緊張を楽しみにすり替え、歯を見せて笑う。
こうして、第三次月面戦争の火蓋が切って落とされた。
月霞 飛竜(げっか とびと)……月の軍の総大将であり、月では最強と謳われている。大昔に伊吹萃香を殺しかけ、紫一行を全滅寸前まで追い詰めた。
スペルカード?ナニソレオイシイノ?な人である。
第二次月面戦争は綿月姉妹に任せ切りにしていた。
御華影 世羅(みかかげ せら)……月の軍の軍師を務めており、大昔の第一次月面戦争では、自らは動かずに裏で指揮を執っていた。
また、禁忌を犯した輝夜を地上に追放しようと月のトップに申し出たのもこの人物。
飛竜同様、スペルカード?ナニソレオイシイノ?な人である。
第二次月面戦争は依姫豊姫に任せ切りにしていた。