戦闘はもちろん大好きですが、平和な日常も大好きですね。
霊愛の由来ですか?
ある人から言われましたけど、リオレイアって奴じゃないですよ。モンハンらしいですが、筆者はドラクエ派なので。
レイアってなんか可愛くない?と思ったんです。
レイカル「…………」スヤスヤ…
霊愛「っ…おぎゃあああ、ほぎゃあぁあっ!」
ある日の夕方。
親子3人で日向ぼっこをしていた時、霊愛が唐突に泣き出した。
カルゴ「ふぁっ!?なななんだ、どした!?」
ウトウトしていた俺と霊夢は目を覚ます。
急にそばで泣き声が聞こえて過度に驚いたので、心臓がバクバクと脈打っている。
霊夢「どうしたの、霊愛?」
霊愛「おぎゃああぁ……うぅぅ……」
そんな俺を他所に、寝ぼけ眼の霊夢は優しく囁きかけながら腕の中の娘を撫でると、霊愛は次第に泣き止んでいく。
なんで霊夢だとすぐ大人しくなるのかなぁ?
俺が同じことやってもすぐには大人しくならないっていうのに…。
霊愛「うぅぅ…」
大人しくはなっても、完全に泣き止んだ訳ではなく、まだ少しばかりぐずっている。
そんな娘の様子を見て、ある事を思いつく。
カルゴ「もしかして、ミルク飲みたいんじゃ…?漏らした様子もないし」
霊夢「あらら…さっきも飲ませたのに。この子、凄い食欲ね。医者から聞いてた話とは随分違うけど…」
室内に戻り、少し巫女服をはだけさせる。
そんな霊夢の様子を見、2児の親とは言え精神が幼い(高校生で止まっている)俺は、顔を若干赤面させて生唾を飲み込む。
霊夢「…見てないで、夕飯の準備してくれない?霊愛に飲ませてるから」
カルゴ「は、はーい」
ふと我に返った俺は台所に向かい、テキパキと夕飯の準備を始める。
カルゴ「そーだ、今晩は何がいい?」
台所から授乳中の霊夢に呼びかける。
霊夢が授乳する様子を見てしまい、何となく今日はシチューの気分ではあるが、1人で決めるのは良くないと思うので一応尋ねてみる。
霊夢「……うーん……」
だが、しばらくの間があって霊夢から返ってきた言葉は、「任せるわ」の一言。
カルゴ「ホントにイイんだな?俺に任せて。後で文句言うなよ?」
念を押して再度尋ねる。
こう何度も尋ねる理由は実にシンプルだ。
以前、俺に任せたにも関わらずちょっとした文句を言われたからである。味付けに対してではなくメニューに対してだ。霊夢らしいなとは思うが。
ちなみに、育児の合間を縫って…つまり夜のことだが、咲夜さんや鈴仙から料理を教わったため、ある程度の料理は作れるようになっている。
霊夢「んー……そうねぇ…。今日はシチュー」
カルゴ「りょーかい♪」
俺もシチューがイイと思ってたからなんか嬉しいな、こういう偶然の一致は…。
カルゴ「〜♪」
鼻歌交じりに調理を開始する。
霊夢「(なんかご機嫌ね…何かあったのかしら)」
霊愛の誕生から数週間。
俺は博麗神社に住んでいる。
もちろんの事だが、“ほぼ毎日会いに行く”という条件でフラン達の了承は得ている。料理を教わるのと同様、皆に会いに行くのは大体が夜に限定されてしまっている。しかし、会いに行く対象は吸血鬼を初めとする妖怪(咲夜さんは例外)なので、俺の訪問…つまり、夜まで待つのはさして苦痛でもないらしく、それを聞いた時はとても安心したものだ。
また、半妖などの混血児の成長が早いのは、巫月という前例が居るために周知の事実だったので、巫月の時の様な綿密な説明は全く必要無かった。
カルゴ「ん〜…イイ匂いだ」
我ながら、今回のスープはかなり良い出来だぜ♪
シチューの準備を済ませ、咲夜さんのように並行して調理していたスープの味を確かめる。
カルゴ「…薄い…」
若干肩を落としながら、スープに調味料を足す。
カルゴ「んなっ…ちょっと濃い…!」
調味料のバランスに悪戦苦闘しているそんな時、1人の来客が訪れる。
魔理沙「お〜っす霊夢〜、来たz…おっと…」
霊夢「…授乳中よ」
魔理沙「す、すまない」
やって来たのは霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ。
聞こえてきた声だけでも、魔理沙が慌てている様子が手に取る様にわかる。
ホント毎日来るよなぁ…流石幼馴染って所か。
俺の幼馴染達はどうしているのだろうか…。
カルゴ「お待たせ」
完成した料理を持って霊夢達の元へ行く。
霊夢は、お腹一杯になって眠った霊愛を抱っこしながら魔理沙と話し込んでいる様子であった。
調理中に聞こえてきた話から察するに、魔理沙はまだ夕飯を食べていないようだったので魔理沙の分の皿も持ってきた。
魔理沙「おう、邪魔して…ぶはっ、エスカルゴがエプロンつけてやがる!あははははっ、こりゃあ傑作だなぁ!!文屋に撮られたら恥ずかしい事になりそうだな!!あっははははっ!!」
畳をドンドン叩いて大笑いする魔理沙。
咲夜さんとお揃いのエプロンをつけた姿がそんなおかしいかな…?
カルゴ「料理の時にはエプロン付けるようにしてるからな。ま、形から入ろうってだけだぜ」
魔理沙「そーかそーか…ぷくくっ……腹痛い…」
未だに腹を抑えて笑っている魔理沙。
霊夢「私も、最初の方は笑いを堪えるのが大変だったわね。でももう、毎日見てるから慣れたわ」
カルゴ「おまっ…そんな様子全く見せなかったじゃないか…。このポーカーフェイス巫女め…」
霊夢「そんな様子も見抜けないなんて、あんたもまだまだね♪」
料理を乗せた皿を配る俺の頬をつつく。
カルゴ「っ……/////」
あ、やばい、なんか凄く照れる…。
というか、霊夢が俺のほっぺをつつくなんて…。
魔理沙「なんつーか…場違い感やばいな…。私はそろそろ帰るぜ、夕飯もまだだしな」
カルゴ「呟いたの聞こえたぞ。そんなに場違い感あるか?」
魔理沙「…だってなぁ…エスカルゴなら兎も角、霊夢がお前の頬をつつくなんて…」
それな、俺も思ったわ。
霊夢「はぁ!?違うし!つついてなんか無いし!エスカルゴの頬にゴミついてただけだし!」
魔理沙「はいはい…。そんじゃ、またな」
帽子を被って席を立つ魔理沙。
どうやら箒は外にあるらしい。
カルゴ「マジで帰るのか?魔理沙の分も持ってきてるんだし、食ってけよ。咲夜さんの程美味く無いかもしれんがな」
魔理沙「…良いのか?邪魔じゃないか?」
振り返った魔理沙は、どこか寂しそうな顔をしていた。
レイカル「邪魔じゃないし。何言ってんだ(の)?」
魔理沙「…へへ、それじゃお言葉に甘えるぜ!」
被った帽子を取り、再び席につく魔理沙。
霊夢「誰もあんたのこと邪魔なんて思わないわ。変な事考えるのはやめなさいよね」
カルゴ「そうだぜ」
魔理沙「ああ!」
そんなに場違い感出てたのかな…?
それも…いつも明るい魔理沙が暗くなる程の?
ま、まぁ…“らしくない霊夢”を見て少しおかしくなってただけでしょ。普段の魔理沙ならあんな事言わんし。
霊夢、俺、魔理沙の順でスープとシチュー、サラダ等のおかずを配る。
魔理沙「ほー、美味そうだな。早速頂くぜ」
カルゴ「待て待て」
今にも食べ始めそうな魔理沙を止める。
魔理沙「なんだよ?」
カルゴ「みんなで言うんだぜ」
霊夢「ふふっ…あんた来てからそうするようになったわよね」
霊夢は、寝ている霊愛をベビーベッドに下ろしながら微笑混じりに答える。
ちなみにこのベビーベッドは俺が作った。
外の世界の知識も、たまには役に立つ。
魔理沙「(なるほど、いただきますの挨拶か)」
カルゴ「だな。それじゃ…」
3人「いただきます!」
霊夢「────って感じでさ〜。いちいちスペル使わなきゃダメなのよ?便利なのか不便なのかよくわかんないわよね、エスカルゴの能力って」
カルゴ「それについては俺も同意だ。とにかく、必要以上の力を使っちまったな」
魔理沙「そりゃご苦労さん」
皿の片付けなども終えた俺達は、他愛の無い話に花を咲かせていた。今話しているのは、俺がベビーベッドを作った際の話だ。
エネルギーを集めて刀の形にし、物を斬ることは出来るが、一定以上の硬度を持つ物は斬れない。
何故か野菜のような硬度の低い物しか斬れずに、材料として用意した木が斬れなかった。
木を斬るには、スペルで作った刀や斧でしか斬る事が出来なかった。
スペルと非スペルでは力の消費具合が違う。
なので、“便利なのか不便なのかわからない”のである。
なんで木が斬れないのかな…?
こんなんじゃ、確かにスペル使うしか無いわな。
霊夢「…それでさ、参拝客は増えた割にお賽銭は一向に増えないから困るのよねー…。0のまま。エスカルゴが貰うお小遣いがあるからまだイイけど…って、聞いてる?」
カルゴ「え?あ、あぁ、聞いてるよ」
少し考え事しているうちに話題が変わった様だ。
酒飲んでねぇと話題が変わりやすいんだよな…。
今度の話題はどうやら参拝客の話らしい。
確かに、霊愛の誕生から参拝客は増えた。
霊夢の出産という大ニュースは、俺との交際の事実が広まった時以上に幻想郷中に反響を与えた。
ゆえに、霊愛を一目見るために毎日様々な人妖が参拝客として博麗神社に訪れる様になったのだ。
いや、魔理沙や早苗以外は皆妖怪や妖精だ。
無論、皆一貫して賽銭を入れる訳では無い。
そこについては、今と同じく酷く残念がっていたが。
霊夢「なんでみんな入れてくれないのよー…」
テーブルにダランと俯せる霊夢。
魔理沙「やっぱ、何の神様なのかわからないって言うのが大きいんじゃないか?早苗んとこの方がわかりやすいだろ、信仰対象が側にいるんだし。あと、早苗自体が神様みたいなもんなんだろ?」
霊夢「そうみたいねー。はぁ〜あ、信仰を集めるのも大変よねぇ〜…」
魔理沙「まぁ、何とかなるだろ」
根拠の無い慰めを言ってお茶を口に運ぶ。
霊夢「なるといいけどね〜…はぁ…」
魔理沙「それはそうと。おいエスカルゴ」
カルゴ「む」
魔理沙「霊愛はどれくらいお前の
中々鋭いな、魔理沙は。
この事については、それなりに実験をしてきて、その結果からは霊夢の血が強いのが証明された。
カルゴ「俺の
魔理沙「というと?」
カルゴ「俺ら吸血鬼の能力ってさ、結構繋がってる事が多いんだよ。表裏一体……いや、それとは少し違うのかな……。繋がってる…とも少し違うな…うーん…」
口に出してから己の発言に違和感を感じ、ほんの少し考え込む。
魔理沙「繋がってる?どういう事だよ」
カルゴ「…翼があったら、日光に弱い代わりに再生力が高い。牙があったら吸血能力がある…ってこと。飾りだけっていうのはまず無い」
巫月がそうだった。
翼がありつつ日光に弱かったし、牙があって吸血能力もある。スカーレット姉妹の事もあり、そこから飾りだけというのはまず無いと判断した訳だが…。
魔理沙「てことは、霊愛は吸血能力しか無いって事なのか」
カルゴ「そゆこと。現に、霊愛に吸われてる時に変な声出してたし、霊夢の胸には歯ではなく牙の跡が残ってた。母乳だけじゃなくて、多少の血も吸ってるんだろう。吸血鬼に血を吸われてる時は気持ち良くなるからな、声が出るのも仕方ない」
今でこそ声は我慢出来ているようだが、慣れるまでが大変だった。数時間に一度は神社に霊夢の嬌声が響いたのだから、俺がムラムラして大変だった。
魔理沙「ほうほう……なるほd…って待てオイ。霊夢の胸見たのか」
カルゴ「おっと、失言」
魔理沙「いつ見たんだよ全く…」
カルゴ「さぁな?まぁ、そんな頻繁に見てる訳じゃないぞ。たまーにだ、たまに。な、霊夢」
霊夢「…うっさいわよ…ばぁか…/////」
魔理沙「やれやれだぜ」
霊夢「この子、ちゃんと幻想郷に馴染めるかしら…」
魔理沙が帰ってしばらくして、霊愛の寝顔を見ながらポツリとそんな事を呟く。
カルゴ「ん?どういう意味?」
霊夢「ううん…。博麗の巫女と妖怪の間に子供が生まれたっていう事自体が、幻想郷始まって以来類を見ない事だって紫が言っててね」
いつの間に紫さんと話してたのかが気になるな。
まぁあの人は神出鬼没だから聞くだけ無駄か。
カルゴ「そうなのか…。霊夢が幻想郷初だな、やったじゃん」
霊夢「そうだけど…」
そうやって言葉を濁す霊夢は、とても霊夢“らしく”なかった。
カルゴ「霊夢は後悔してるのか?俺との間に子供作ったって事…」
霊夢「そんな訳無いじゃないの。この前、色んな奴らに紹介した時は、皆に受け入れられてた感じがしたけど…これから暮らして行くうちにどうなるのかと少し不安になってね…」
カルゴ「………」
霊夢の悩みも尤もだと感じ、黙り込む。
つい先日、フラン達はもちろん、巫月やヒビキにも会わせ、これから関わっていくであろう者達へおおよその紹介を済ませた。
ヒビキや早苗といった、外から来た者ならではの発想には、巫月の時以来に頭を悩ませたものだ。
カルゴ「大丈夫だって。俺らがついてるだろう?幻想郷最強の巫女とそれが認めた男がさ」
霊夢「…そうだったわね」
何だかんだ言って、俺は最強にはなれないんだと思う。それに、幻想郷最強は博麗の巫女であるべきだと思うんだ。そうでなくちゃ、均衡が崩れそうな…根拠は無いけど、なんかそんな感じがする。
月はチートだから除外して考えてるけど。
霊夢「でも、霊愛は霖之助さんと同じ半妖。しかも、とくに寿命の長い吸血鬼との混血。この子がちゃんと成長するのを見届けるまで…私が生きていられるかどうか…」
カルゴ「────ッ!!」
ここに来て気付いた、寿命の問題。
いや、気付いていた。
気付いていたが、
考えたくない事実…種族の違い故の寿命の違い。
そして、混血がもたらす親子の寿命の差。
ふと、約1年ほど前にした、月の大将…
『地上と違って、月には寿命という概念自体無いからな。羨ましいか?』
『まさか。俺だって半分不老不死さ』
『貴様がそうであったところで、周りの奴らはそうでは無かろう?さぞかし寂しいだろうよ、周りの者が死にゆく様を見るのはな』
カルゴ「………」
周りの者が死にゆく様…。
その“周りの者”には当然、霊夢や魔理沙…咲夜さんや早苗などの人間が含まれている。
確か、あの時もこの4人のこと思い出して、ブチギレたっけなァ…。
夜空に浮かぶ月を眺めながら、ぼんやりと過去のことを思い返す。
あの月の裏側では、まだ依姫たち月の民が元気に暮らしているのだろうか…?
そもそも復興はどうなったのだろうか…?
そんな思いが胸の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。
寿命の差……か。
俺…全然そんなの考えてなかった。
現実から目を逸らしてばっかりだよ…。
霊夢「どうしたのよ、急に黙っ…て…………何であんた…泣いてるの?」
黙り込んでしまった俺を見、霊夢がギョッとする。
カルゴ「え……」
バッと顔に手を当てる。
手が温い水に触れたような感触がした。
泣い…てたのか、俺…。
霊夢「何かあったの?」
覗き込むようにして尋ねてくる霊夢。
その顔は、本気で俺を心配してくれているような…そんな表情だった。
カルゴ「っせーよ…。お前がそんな事言うから…胸糞ワリーこと思い出しただけだよ」
変わらず涙を流しながら、無理に笑顔を作る。
霊夢「……ごめんなさいね…私が人間だから…」
カルゴ「馬鹿言ってんじゃねぇよ。俺は、人間の博麗霊夢を好きになったんだ。これからの霊夢がどう変わろうがこの気持ちは変わんねぇけどな、お前が人間じゃなかったら子宝にも恵まれてねぇだろうし、そもそもこんな仲にだって成れてなかっただろう」
霊夢「…エスカルゴ…」
カルゴ「だから…そういう事考えるのはやめろ。いや、考えるなとは言わない。けど、出来るだけ俺の前では言わないでくれると助かる。聞くだけで寂しくなる…」
霊夢「…ごめんなさい…」
カルゴ「いや、いいんだ。霊夢は悪くない」
悪いのは…そう、“寿命の差”なんだ。
全部1つに統一しろよ…。
全部、全部、全部、全部……。
虫も鳥も妖怪も人間も、全部同じになればいい。
そうすればこんな苦しみを味わうことなく暮らせるんだ。多少の病気とかがあったって…寿命が数百年も数千年も違うなんて事にはならないんだ。
寿命の差についてはもう1つ、具体的でごくごく身近な例がある。紅魔館だ。
フランは約500歳でまだ幼女の姿…。
身体が大人になるまでには、それの倍近くの時間がかかる事だろう。フランらが大人になる頃……その頃には当然、人間である咲夜さんは───。
カルゴ「…チッ…変な事ばっか考えが捗るぜ…」
霊夢「凄い汗…」
言われて気付いたが、顔はもちろん首周りまで、汗びっしょりだった。
カルゴ「もっかい風呂入ってくる」
霊夢「うん…」
明日の洗濯物は俺やろ…。
余計な仕事増やす訳にはいかないしな。
霊夢Side
霊夢「はぁぁ…」
彼が部屋を出るのを見届け、深く長い溜め息をついた。
余計なこと言っちゃったな…。
あいつだって、全く考えてない訳じゃ無いだろうけど…ふと気付いてついポロッと言っちゃった。
霊愛のことを、せめて成長するまで見届けたい。
これは紛れもなく霊夢の本心だ。
でも霊夢が思ってるのは、“巫女としての成長”じゃなくて“身体的な成長”。
巫女としての成長なら、エスカルゴが巫月にやっている様に幼い頃から指導すれば力はつく。
けど、そうじゃない…。
エスカルゴがああやって娘を指導しているのも、娘の成長を見届けられるのを前もってわかっているから。私が見届けたいのは…そう、娘の成長。
単なる“力”の成長じゃない…。
だがそれは叶わない。
半妖と人間という、種族の違いが織り成す絶対的な障害。人間を辞めなければ…到底越えられない。その違いゆえの苦悩に、霊夢は揺れていた。
エスカルゴSide
カルゴ「はぁぁ〜…」
丁度その頃、俺は風呂に入っていた。
やっぱ風呂って落ち着くなぁ…。
カルゴ「寿命の差…か」
天井を見上げ、ボソリと呟く。
その声は湯気と共に天井にぶつかって消えた。
さっきからこのワードが頭の中でやけに印象強く残っている…やっぱさっきの霊夢の発言が原因…って、なんで霊夢に原因を求めてるんだよ、最低かよ。違うだろう。今まで俺が目を背けてきた問題が、より大きくなって降り掛かってきただけじゃないか。
くそッ……。
結局、気分はスッキリしないまま風呂を出た。
霊夢「おかえり、もう寝る準備は出来てるわよ」
戻った時、霊夢は既に布団を敷いて寝る準備を整えていた。俺と違って、気持ちの切り替えが上手なのが霊夢の特徴の1つだ。
カルゴ「…ああ、ありがとう」
いつも通り霊夢の隣に横たわる。
霊夢「電気消すわよー」
カルゴ「…うん」
瞬間、視界が暗転する。
少し経つと、目が闇に慣れて周囲にある物が見えてきた。隣を見ると、天井を真っ直ぐに見上げる霊夢が居る。
霊夢「…何考えてるの?」
こちらを見、真っ直ぐに目を見据えて問いかけてくる霊夢。
カルゴ「…いいや、何も」
霊夢「声のトーンが低いわよ。表情も暗いしね」
カルゴ「そっ…か…。とりあえず、一旦考えるのをやめるよ。寝付けそうにないや…」
霊夢「………」
この深刻な問題は、今度こそ考えなくてはならない。しかし、その為には健康が第一だ。
考えるあまり睡眠をおろそかにしてはいけない。
なので、意図的に忘れるのではなく、頭の片隅へと寿命の問題を追いやった。
代わりに浮かんできたのは、人懐っこい娘の顔…永遠亭に置いてきた、巫月の顔だ。
今日は結局、朝しか行けていない。
こんな父親のことを、巫月はどう思っているのだろうか…。
霊夢「また…何か考えてるでしょ」
カルゴ「…永遠亭に置いてきた、巫月の事をね。鈴仙も居るし、人形達も居る、てゐも居る。仕事はしてるけど、永琳だって居る。退屈はしないだろうけど…あまり長い時間会えない父親の事を、巫月はどう思ってるのかなって…」
霊夢「……」
カルゴ「鈴仙は、こうなるのも分かってて俺との子が欲しいって言ってくれてた。鈴仙は“後悔なんかしてないし、する訳が無い”って今朝言ってた。でも…鈴仙が良くても巫月が俺の事をどう思ってるのかと思うと…ははっ…眠れそうにないや…」
思わず自虐的な笑いが漏れる。
霊夢「前…あんた自分で言ってたわよね?」
カルゴ「?」
はて、何のことだろうかと小首を傾げる。
霊夢「“子供は、自分の育った環境によって自分にとっての常識を作り上げていくものだ”って…」
カルゴ「あぁ…確かそんな感じなこと言ったな」
霊夢「だから…巫月ちゃんは、あんたの事を普通の父親だと思ってるわ」
カルゴ「なんで…そう、言えるんだよ?」
霊夢「あの子が生まれた頃は、あんたはこうして1箇所に定住すること無く、毎日紅魔館と永遠亭を行き来してたわよね。たまに博麗神社による程度でさ。巫月ちゃんにとって、“父親が色んな所へ行き来するのが常識”なら…あまり長い時間会えてなくてもあの子の常識の範疇だと思うの」
霊夢は迷いなく自分の考えを述べていく。
無論、これは霊夢の本心である。
カルゴ「そう、か…。ふっ、まさか自分の言葉に論破される事になるなんてな」
霊夢「それにね。私、あんたのこの言葉は正しいと思ってるの。どうしてだかわかる?」
目を合わせたまま、暫く考え込む。
だが、「これだ!」と言えるような答えが浮かばない。
カルゴ「…わからないな」
霊夢「私は幻想郷生まれ幻想郷育ち。物心ついたころから、私の周りには妖怪やら妖精やらが沢山居た。私にとっては、“人ならざるものに囲まれているのが常識”。だから前に、あんたから外の話を聞いた時は驚いたわよ…。“妖怪も妖精も居ないのが常識”なんだから」
カルゴ「………」
霊夢「つまりこれは、あんたと私の育ちの違いによる“常識”の違いってこと。違う?」
カルゴ「…そうだな、霊夢の言う通りだ」
霊夢「だから…私達がこうであるように、巫月ちゃんはそんな中で育ってる子だから、この状況に対しては何とも思ってないはずよ。それに、異変解決にこっそりついてきたような子なんだから、寂しかったりしたらここに来るでしょう?」
カルゴ「…あー…」
約1年ほど前に、お空の暴走を止めた時のことを思い出す。
確か、「エスカルゴがみんなでどこかにいくから、ついてきちゃった」とか言ってたっけ。
あの時は確か…………勇儀さんに高い高いをしてもらってたはずだ。酷く驚き、同時に娘の好奇心に驚かされた出来事だった。
霊夢「これらの事から、巫月ちゃんのあんたに対する認識について、これといった問題は無いと思うわ」
カルゴ「…ありがとう、霊夢。おかげで気が楽になったよ」
相変わらず頬を触りながら礼をいう。
霊夢「そう?…なら良いんだけど。眠れる?」
カルゴ「まぁな。けど……」
霊夢「…けど?」
カルゴ「ギュッてしても…いいか?」
霊夢「…!クスッ……私のこと抱き枕扱い?」
カルゴ「違うし…」
霊夢「冗談よ、冗談。………これならどう?」
モゾモゾと動き、此方の布団に入って抱きついてくる霊夢。
カルゴ「温かい…スグに寝れそうだよ…」
霊夢「私ももう……ふわぁ…」
小さく欠伸をし、俺の胸に顔を埋める。
その様子はさながら幼い子供のようであった。
カルゴ「おやすみ、霊夢…」
霊夢「お や…す み…」
霊夢の返事を聞くと同時に、俺の意識も暗く深い谷へ転げ落ちていった。
思えば、俺が日常系を書こうと思ったのは昔見たアニメの影響かもですね。「あたしンち」ってアニメなのですが、とても面白いので是非どうぞ。