※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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あらすじ
蓬莱の薬の服用以外に不老不死となる方法を探していたエスカルゴは、調べ物をしようと紅魔館へ向かった。そこで小悪魔と一戦交え、本を借りて帰宅。
その晩、ついに不老不死となる方法を発見してしまった。







Project蓬莱人 〜発動〜

パチュリーから3冊の本を借りた、次の日。

 

 

 

カルゴ「霊夢、また少し出掛けてくる。何か買うものあればついでに買ってくるが…何かある?」

 

霊夢「特に無いけど。あんた、何するつもり?」

 

カルゴ「本返しに行くのさ」

 

小脇に抱えていた3冊の本を見せる。

 

霊夢「そ、それだけの本を一晩で?寝たの?」

 

カルゴ「まぁね。少しは寝たよ」

 

徹夜だけど。

 

因みに、読み終えたのは“吸血鬼の全て”だけであり、残りの2冊には深く目を通していない。

目次を見て、核心に迫っていそうな部分のみしっかりと読んだ。

 

霊夢「別に何してきてもいいけど、夕飯までには帰って来てよね。あっ、その前に掃除終わらせてくれるかしら?」

 

カルゴ「あー…『分身』」

 

即席の分身を作成。

楽に作ったように思われがちだが、パシリよりは強く、戦闘用にするには弱いという絶妙な力加減である。

 

分身「戦闘以外で呼ぶなっての」

 

カルゴ「俺が更なる高みに上れるかもしれないんだよ、助けると思って…な?」

 

分身「やれやれだ…」

 

諦めたような顔をして掃除道具を取りに行く。

その場には俺と霊夢だけが残った。

やはり、何だかんだ行って言うことを聞いてくれるのが分身である。

 

霊夢「あんた…まさかとは思うけど…不老不死になる方法を見つけたんじゃ…」

 

鋭いなぁ…。

 

カルゴ「さーね♪ 何でそう思うん?」

 

内心動揺しているが、そんな事はおくびにも出さずに軽く返事をする。

 

霊夢「“更なる高み”って言ってたからね。生き物をやめるっていう覚悟は出来てるのかしら?」

 

カルゴ「…覚悟は出来てる。でもな、この方法が本当だと証明出来たら…誰でも不老不死になる(・・・・・・・・・・)事が出来るんだ。その気になれば……霊夢、お前も不老不死になれる」

 

霊夢「………私は、生き物辞める気無いわ。面白そうだとは思うけどね」

 

くるりと俺に背を向ける。

声色から察する限り、機嫌を損ねてしまったわけでは無いらしい。

 

カルゴ「そうか…」

 

霊夢「(あくまでも、生き物は(・・・・)…ね)」

 

カルゴ「…それじゃ、俺自身を被験体にして実験してくるよ。これが成功すれば…不老不死だ」

 

翼を広げ、縁側から飛び立った。

 

 

 

 

 

霊夢Side

 

あくまでも、生き物は辞めないわ。

腐っても博麗の巫女、その誇りは捨ててない。

それに…人の身体を捨てる方法はわかった。

 

──────────────────────

昨晩───博麗神社

 

霊夢「紫」

 

紫「はいは〜い♪ あなたから呼ばれるなんて久しぶりねぇ♪何か用かしら?」

 

名を呼ぶと、目の前にスキマが開いて上半身のみ出てきた。呼び出したのは他でもない。

考えを話すためだ。

 

霊夢「エスカルゴが、生き物辞める方法を探ってるみたい。あんた、何か変な事吹き込んだ?」

 

紫「まさか。そんな訳無いわよ。吸血鬼だって不老不死みたいなものなのに、なんで不老不死なんかに興味持つのかしら…。(覗いてたから、調べてる事はわかってるわ。)本人はどこなの?見たところ、夕飯のあとらしいけど」

 

霊夢「お腹痛いらしくて、トイレ篭ってるわ」

 

紫「あら…」

 

霊夢「それでね?私…もしかしたら人間を辞めるかもしれないわ」

 

紫「…どういう意味?」

 

冗談では無い様な真面目な雰囲気を察した紫も、真面目な顔付きになる。

 

霊夢「ああ、真に受けないで。適当に言っただけだから。私は生き物は辞めるつもり無いし…不老不死にもならないわ。あくまでも“人間を辞める”、だから」

 

紫「成る程…つまり、人間を辞めて“不老長寿”になりたい…って言いたいのね」

 

霊夢「…まぁね。今すぐって訳じゃないわ。霊愛の育児もあるしね。ただ、不老長寿になる方法があるのなら…って思ってね」

 

紫「そうねぇ…。それなら、良い方法があるわ」

 

霊夢「教えて」

 

紫「不老長寿になるには─────……」

──────────────────────

 

けどそうなったら…少しの間、皆とお別れね…。

 

 

 

 

 

エスカルゴSide

 

紅魔館へと着いた俺は、門番を軽くスルーして、小悪魔を従えてパチュリーの元へと向かった。

 

カルゴ「こんにちは」

 

小悪魔「〜♪」

 

パチェ「…どうしたの?」

 

相変わらずこちらを見ずに答える。

 

カルゴ「本の返却です。ありがとうございました」

 

パチェ「へぇ、読むの早いのね」

 

微笑を浮かべて3冊の本を受け取る

 

カルゴ「それと…吸血鬼の本に書かれている事を実験したいんです。お手伝い願えますか?」

 

パチェ「貴方まさか…本当に試すの!?」

 

珍しくパチュリーが声を上げる。

 

カルゴ「ふふっ…パチュリー様だって、俺に実験して欲しいからこの本を渡したんでしょう?」

 

吸血鬼の本を指で指し示す。

 

パチェ「…何の事かしら?」

 

カルゴ「パチュリー様が自ら俺に本を渡したんですから…その様な意図が無ければ有り得ないですよね?」

 

パチェ「フッ……。それで、私は何をすればいいの?」

 

 

 

その後、パチュリーと小悪魔に事細かな説明をし、日当たりのいい中庭に出た。

これで、全ての準備が整った。

 

レミィ「ホントに生き物辞めるのね?」

 

カルゴ「ああ」

 

因みに、俺が生き物を辞める瞬間を見たいと言うので、フラン達も近くに居る。

 

レミィ「ま、私達も辞めてるようなもんだから、止めたりとやかく言ったりはしないけどね」

 

カルゴ「助かるよ」

 

優しく微笑んでレミリアの頭を撫でる。

 

フラン「エスカルゴが不老不死になっても、エスカルゴの一番は私なんだからね!」

 

カルゴ「わかってるさ」

 

反対の手でフランの頬を撫でる。

 

レミィ「咲夜。これを機に、あなたも人間辞めて私の眷属にならない?それなら、不老不死じゃなくて不老長寿になるわよ?」

 

咲夜「…申し訳ございません…」

 

レミィ「……そう……」

 

咲夜さん…やっぱ人間は辞めないのかな…。

本当は長く一緒に居たいんだろうな、あの二人。

でも、人間と吸血鬼では寿命の差がな…。

そういえば、前に説得した事あるってレミリアから聞いたことある。“私は一生死ぬ人間ですよ”って断られたそうだが…。

 

パチェ「あの…早くしてくれない?あんまり長く外に居たくないんだけど」

 

カルゴ「あ、そ、そうですね。それではパチュリー様、お願いします」

 

パチェ「バックアップとやらは大丈夫なのね?」

 

カルゴ「美鈴に見張らせてます」

 

パチェ「そう。じゃあ…─────────」

 

呪文の詠唱を始めるパチュリー。

次第に俺の意識が遠のいていく。

 

頑張るぞ、俺…。

俺は…吸血鬼を辞める…。

 

そう決意した途端、意識が途切れた。

 

 

 

 

 

パチュリーSide

 

さて…エスカルゴは眠らせた。

でも、実験はまだまだ続く。

 

パチェ「小悪魔!フェイズ3よ!」

 

小悪魔「はい!」

 

小悪魔に実験の第三段階を発動させ、眠っているエスカルゴのペンダントを外させる。

 

パチェ「そのペンダントを美鈴に!」

 

小悪魔「はいっ!」

 

バックアップは美鈴の元にある。

それならば、復活後すぐにつけられるよう美鈴に渡すのが得策である。

少し経つと、翼からジワジワと蒸発を始める。

 

パチェ「始まったわね…。────────」

 

更に呪文を唱え、蒸発した気体を集め始める。

 

この実験は、吸血鬼の性質を最大限に活用した、まさに禁忌とも言える行為。

そもそもこんな事が出来るのは、再生慣れしているエスカルゴだからこそ(・・・・・)…と言っても過言じゃない。成功例は無く、何もかもが初めて尽くしのこの実験。上手くいくかは五分と五分…。

大丈夫、私は言われたことをやるだけ…。

 

エスカルゴが考えた実験方法は、そこそこ細かい段階に分かれている。それをパチュリー目線で解説するなら以下のようになる。

フェイズ1……バックアップをとらせる

2…エスカルゴを眠らせる

3…日除けペンダントの回収し、蒸発を促す

4…蒸発した気体を全て集める

5…門番が見張っている肉片(バックアップ)から再生

6…復活した本人が、自分が蒸発した気体を吸う

7…不老不死化(?)

8…再度バックアップをとらせる

9…誰かが不老不死化(?)エスカルゴを殺害する

10…バックアップから再生→不老不死化失敗

10'…本体から再生→不老不死化成功

10"…バックアップを蒸発させて実験終了

 

────という流れだ。

実は、“吸血鬼は長時間日光に当たると蒸発してしまう”という弱点には、続きがある。

それは、“吸血鬼は日光に当たると蒸発するが、それを吸った者は不老不死になる”というものだ。

これは、そのチートじみている特性を活かした実験だ。

成功例が無いのは、実験すらしないからである。

当たり前だ、気化する=死ぬ という事だ からだ。

自ら死にたいなどという吸血鬼が居る訳が無い。

蝙蝠1匹分の肉片から全て再生する、という特性だって、本当かどうか疑う、若しくは知らない吸血鬼も多い中、エスカルゴがそれを行うのはレミリアを信用していたから。それだけで命を懸けたのだ。

 

フラン「うぅ……」

 

レミィ「くっ……」

 

咲夜「っ……」

 

親友とその妹は、彼が蒸発していく様子を目の当たりにして目を逸らしている。咲夜もだ。

絶対に帰ってくるとわかっていても、目の前で死なれるのは心が痛む。

 

全く、レミィとフランは…。

 

パチェ「…嫌なら見なければいいでしょ?」

 

レミィ「だ、大丈夫よ…この程度。エスカルゴが生き物をやめる瞬間まで、全て見届けてあげるのが私の役目…!」

 

フラン「そ、そうよ…」

 

咲夜「お嬢様方…」

 

咲夜は、脂汗をかく2人の顔をハンカチで拭う。

やがて、エスカルゴの肉体全て蒸発し終わり、跡には衣類のみがその場に残った。

 

 

 

 

 

エスカルゴSide

 

カルゴ「………………」

 

俺はまた、暗い地下で目が覚めた。

だが、以前とは違う所がある。

暗くて何も見えないのは前と同じだが、ほんのり温かい。前回の竹林に囲まれていた地面とは違い、日当たりのいい地面だからだ。

 

あ…フェイズ5、開始か…。

よし、出なきゃ。

 

右手を真上に突き出すと、ズボッと地上に飛び出した感覚がある。

 

おお、自然の風だ…。やっぱ気持ちいいや。

 

美鈴「あわわっ、今掘り起こそうとしてたのに!いきますよー!よいしょーっ!」

 

スコップを構えていた美鈴は、急に手が出てきた事に驚いたが、すぐにスコップを放り投げて本体を引っ張り出す。

 

カルゴ「へへ…サンキュ、美鈴」

 

美鈴「いえいえ!さ、これを!」

 

カルゴ「うん」

 

受け取ったペンダントを首にかける。

こうしなければまた蒸発してしまうからだ。

 

美鈴「というか、隠そうとして下さいよ全く…」

 

顔を赤らめて目を逸らす美鈴。

 

カルゴ「ごめん…すっかり忘れてた。あと、預けてた衣類は?」

 

美鈴「そ、そうでした!」

 

タオルを受け取って土を払い、美鈴から受け取った衣類に身を包み、皆の元へ戻る準備を整える。

 

カルゴ「それじゃ…不老不死になってくるぜ」

 

美鈴「グットラックです!」

 

グッと親指を出す美鈴。

俺はそれに笑顔だけを返し、フラン、レミリア、咲夜さん、小悪魔、パチュリーの待つ中庭に飛んで戻る。

 

カルゴ「ただいま」

 

フラン「やっと来た!」

 

レミィ「遅いわよ、全く…」

 

カルゴ「悪い悪い」

 

2人の頭を軽くポンポンしてパチュリーの元へ向かう。

 

パチェ「遅い。これ維持するの疲れるんだけど」

 

その場には、パンパンに膨らんだ大きなゴミ袋の様な物(魔法で作ったのでナイロンでは無い)がある。

 

カルゴ「すみません。…この袋の中に入っているのが…」

 

パチェ「そうよ。あなたが蒸発した時に発生した気体よ」

 

カルゴ「そんじゃ…吸いますね」

 

パチェ「ええ、早くして」

 

急かすパチュリーの目は、少し輝いている様にも見える。

 

カルゴ「わかっています」

 

袋の口を掴み、最後に深呼吸をする。

 

これを吸えば…。

本当に不老不死になれる…“かも”しれない。

 

覚悟を決めたその時────。

 

レミィ「本当にいいの?不老不死になるって言う事は、下手したら吸血鬼じゃなくなるかもしれないんでしょ?だとしたらその翼や牙は…」

 

レミリア…折角覚悟出来たのに…。

 

カルゴ「無くなるかもしれないな」

 

レミィ「っ…!」

 

フラン「(別に大丈夫だもん。吸血鬼じゃなくたってエスカルゴはエスカルゴだもん♪)」

 

カルゴ「大丈夫、記憶まで失う訳じゃない。また3人で寝ようぜ」

 

レミィ「…………」

 

フランはどこか納得した様子だが、レミリアは俯いて黙り込んでしまった。

 

カルゴ「じゃ、吸います」

 

袋に口をつけて、思い切り吸い始めた。

 

無色透明無味無臭…本当に俺が蒸発したモノか?

ただの空気にしか思えない───。

 

 

 

休み休みその気体を吸い、ついに吸い終わる。

俺が吸い終わると同時にパチュリーが魔法を解除し、袋のようなものは消えた。

 

レミィ「(吸い終わった…。翼はそのまま…本当に不老不死になったのかしら?)」

 

パチェ「気分はどう?」

 

カルゴ「…普通です。翼も消えてないし、牙もそのままです。フラン、俺の目はどう?」

 

フラン「紅いわよ」

 

カルゴ「ありゃ…。成功したのかな…」

 

パチェ「はいはい、疑う前にフェイズ8を発動しなさい!」

 

手を叩いて更に急かすパチュリー。

 

カルゴ「は、はい!小悪魔、俺の腕持ってて」

 

小悪魔「は、はい…」

 

俺の左腕を掴む小悪魔。

ちなみに、小悪魔はその腕に、蒸発した俺の服を引っ掛けている。

 

カルゴ「雷武器『雷刀』」

 

右手に刀を出し、左腕を切り落とす。

 

小悪魔「ひっ…」

 

本体は即再生するが、切られた方からは血が溢れる。

 

パチェ「早く日陰に行きなさい!」

 

小悪魔「はいぃ……」

 

小走りにその場を離れる小悪魔。

その場に居ては、日に当たって蒸発するからである。

 

パチェ「さて、次はフェイズ9…えーっと確か…エスカルゴの殺害ね」

 

パチュリーが次のフェイズを言った時、その場の空気が凍りついた。

 

どうしたみんな、そんなに表情強ばらせて…。

 

パチェ「レミィ、グングニルで心臓貫いたら?」

 

レミィ「嫌よ」

 

パチェ「フラン、レーヴァテインで殺ったら?」

 

フラン「嫌」

 

パチェ「咲夜、あなたの銀のナイフで…」

 

咲夜「申し訳ございません、私には出来ません」

 

パチェ「ええ…私も嫌よ…」

 

うん、話が進まないね。

仕方ない、ここは…殺るしかないか。

 

カルゴ「俺自分でやりますよ」

 

パチェ「自殺…って事になるけど…」

 

カルゴ「そりゃ、『誰か俺を殺してくれ』なんて言われて『はいそうですか』って簡単に殺せる程残酷で冷酷な人は居ないですよね」

 

そういった俺は、上半身裸になってその場に寝転がる。

 

パチェ「…どうするの?」

 

カルゴ「ちょっと離れててね。血、飛び散るよ。禁弾『降り注ぐ厄雷』」

 

寝転がったまま上空にエネルギーを放ち、チャージさせる。

 

パチェ「…?あのエネルギーは何?」

 

フラン「まさか、あれをぶつける気じゃ…」

 

レミィ「あれをどうするの…?」

 

この技は初見のものは困惑する。

そうこうするうちにチャージが完了する。

 

カルゴ「想像以上にグロイから気を付けてねー。…我が肢体から解き放たれし力よ、無数の槍となりて我の心の臓を打ち砕け!!」

 

合図を送ったエネルギーは、上空で無数の槍へと形を変えて心臓目掛けて降り注いでくる。

 

この技で殺した奴はこんな景色を見たんだ…。

クレイドール……ははっ、あいつの場合は木っ端微塵にしたけど、今度は違う。

 

過去に葬った敵を思い出した瞬間、心臓が弾けた。




人間辞める……不老不死化or不老長寿化を指す
生き物辞める…不老不死化を指す
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