不老不死となる為にパチュリー達に協力を求めたエスカルゴは、“吸血鬼が気化した気体”を吸い、不老不死化したか確かめる為に己の心臓を完全に破壊した───。
パチュリーSide
エスカルゴが合図を送ると、上空から無数の黄色い槍が降り注いできた。
それらはグチャグチャと嫌な音を立ててエスカルゴの上半身…心臓を集中的に破壊する。
顔と下半身こそ無事だが、それは見ていてとても不愉快なものだった。
フラン「お姉様っ……」
レミィ「見ちゃダメ…っ」
フランはレミィに顔を埋めて、レミィも固く目を瞑っている。
咲夜「エスカルゴさん…」
咲夜でさえもあいつの名前を呼ぶ。
全く…どーせすぐに復活するっていうのに。
肉片からだろうが、本体からだろうが…ね。
それにしても、死体消えないわね。
ペンダント着けてるからかしら?
血塗れの死体に近付くのは嫌ね…とはいえ小悪魔も居ないし…本人に片付けてもらうのが一番ね。
その時…死体にある変化が現れる。
死体に針山のように刺さっていた槍が消えた。
そして、蝙蝠の形をした雷のエネルギー(と思われる物)が巻き起こり、その中から無傷のエスカルゴが出てきた────。
エスカルゴSide
心臓に沢山突き刺さった所までは覚えている。
その時に確実に死んだはずだ。
何たって心臓を破壊したんだからな。
けど、俺が今見ている景色は…。
俺の前には、目を見開いているフラン、レミリア、咲夜さん、パチュリーが居る。
カルゴ「…つまり…成功か?」
フラン「エスカルゴぉぉっ!!」
フランが涙目で抱き着いてきた。
カルゴ「おっとと…どうした?」
フラン「成功したのね…!」
カルゴ「みたいだな!」
フランを抱きしめ、頭と背中をポンポンする。
レミィ「(死体が消えて、今出てきたエスカルゴは服も来ててペンダントも付けてる…。なんか不思議ね。エスカルゴがいつも言ってる通り、“流石幻想郷”って所かしら。あぁそういえば、妹紅も服ごと復活してたわね…)」
パチェ「おめでとう、エスカルゴ」
カルゴ「パチュリー様…。ありがとうございました!」
深々と頭を下げ、礼を述べる。
パチェ「…別に私は、あなたを実験台にして本の内容が本当か試したかっただけよ。それじゃ」
そう告げて館の中に戻るパチュリー。
ツンデレか…?
いや、そりゃ無いか。
咲夜「おめでとうございます、エスカルゴさん」
カルゴ「どもです!心臓破壊したはずなのに復活とか凄いですねぇ!」
…って、この言い方は悪いか。
他人事に聞こえる。けど、マジで凄いと思う。
咲夜「(そんな他人事みたいに…。)そうですね。それにしても、エスカルゴさんが出てくる直前に見た、雷の蝙蝠らしきものが印象的です…」
カルゴ「そんなん出たんですか」
かっけぇな…見てみたい。
文に写真撮ってもらおうかな?
フラン「自覚無いの?」
カルゴ「無い」
フラン「へぇ〜…」
不老不死…つまり、俺の本体が肉体では無く魂になったって事だから…お空に単身突っ込んでって燃やされて死んでも大丈夫…てことは、捨て身の攻撃が出来るんだな!
レミィ「気分はどう?」
カルゴ「別に、吸血鬼だった時と変わらないな。不老不死になったからって、何か変わった感じしないよ」
レミィ「ふーん…あくまでもだけ体質が変わったってことかしら」
カルゴ「多分ね」
これにて、Project蓬莱人、完遂だ!!
小悪魔「エスカルゴさん、不老不死化、おめでとうございます!」
背後に、日陰へ行ったはずの小悪魔が来た。
カルゴ「おう!…あれ、腕は?」
小悪魔「先程パチュリー様が、『成功したから蒸発させてしまいなさい』と仰られたので、蒸発させてきました!」
カルゴ「成る程。手伝ってくれてありがとうな」
手伝ってくれたことに対して礼を言い、小悪魔の頭も撫でる。
小悪魔「えへへっ♪」
頭を撫でられた小悪魔は顔をほころばせ、羽を小刻みに動かす。
これくらいなら俺と小悪魔の関係についてバレる事は無いはずだ。もし怪しまれても、『いつもフラン達にやってるから、そのクセが出てしまった』と言えるし。
フラン「ねぇエスカルゴ!まだ昼間だし、遊びましょ!」
カルゴ「いいぜ!夕飯前には帰るけど」
フラン「はーい!」
不老不死化後、フランやレミリアと弾幕ごっこをしている内に、空は夕焼け色に染まってきた。
カルゴ「おっと…そろそろ帰らなきゃ」
フラン「えー?そんなに暗くないじゃない!」
カルゴ「夕飯作らなきゃ。ほら、咲夜さんはもう夕飯の準備してるだろ?」
フラン「うん…」
さっきまで楽しそうにしていたのに対し、翼はしょんぼり垂れ下がっている。それを見て、申し訳なく思うと同時に、もっと居て欲しいと思われている事に内心喜びを感じている。
カルゴ「また来るから。な?」
フラン「うん…。ちゅー…」
背の低いフランは背伸びしながらキスをせがむ。
いつもは互いが座っている時にしているが、立っているとその身長差の為にキスは難しい。
ちなみに、フランが130cm、俺が172cmなので、身長差は実に42cmだ。
カルゴ「ふふっ………んっ」
背の高い俺が腰を折って唇を重ねる。
頑張って背伸びしようとしていたその姿は、見ていてとても愛おしく思える。
レミィ「わ・た・し・も!!」
口を離した瞬間、服が破れるかと思うほどに裾を強く引っ張るレミリア。
カルゴ「わかってるって。……っ」
レミィ「んむ…」
レミリアは133cmなので、身長差は39cmだ。
レミィ「っ……あなた今…舌入れようとした?」
カルゴ「えっ?あー…気のせいさ、ははっ☆」
一瞬ギクリとしたが、ジト目で見られたので軽く笑ってやり過ごす。
レミィ「そういうのはベッドでね。こういう所でやるモンじゃ無いわよ?」
カルゴ「はーい…反省しまーす…」
レミィ「(やっぱりやろうとしてたんだ…)」
そういえば、レミリアとDキスした事ないな。
フランや鈴仙、小悪魔とはよくしてるけど。
カルゴ「それじゃあ、また今度な」
フラン「はーい!」
レミィ「今度はもっとゆっくりしましょ?」
カルゴ「おう。それじゃ!」
手を振ってその場から飛び立つ。
それから、美鈴に結果報告することを思い出したので、報告をしてから神社へと帰った。
カルゴ「ただいま」
霊夢「おかえり。実験は…成功のようね」
俺の表情で成功か否かを見抜いた霊夢。
カルゴ「ああ。無事、不老不死になれた」
不老かどうかはまだ分からないというのが実情であるが、おそらく不老にもなっているだろう。
老けるのに不死という事になったら、とんでもない老体になっても生き続ける事になる。
それはもはや生殺しと言っていい。
霊夢「後悔はしてないわよね?」
カルゴ「もちろんだ。そして、これからもな」
霊夢「なら良いのよ。あなたの好きな道へ進むと良いわ。私はそれを、止めたりしないから」
カルゴ「…ありがとう」
霊夢…どうした?何かあったのか?
霊夢「ほら、早くご飯作って!霊愛には飲ませたけど私はお腹空いたわ!」
カルゴ「は、はーい!今晩は何をご所望で?」
霊夢「とりあえずステーキ!」
とりあえずで頼むレベルじゃねぇよそれ!
てかそれは紅魔館でしか食えねぇよ!
カルゴ「生憎だがそんな肉は無い」
霊夢「じゃあエスカルゴ肉!」
カルゴ「お前はルーミアかっ!」
霊夢「じゃあねぇ…うどん!」
カルゴ「はいよ!」
あ…昨日のカレー地味に残ってる…。
しゃーないや、カレーうどんにしよっと。
…うどん……うどんげ……鈴仙……。
カルゴ「麺つゆ足してカレーうどんにすっぞ」
霊夢「えー?服汚れるじゃないのよそれ」
カルゴ「洗濯すんの俺だろ」
麺つゆを足しながら一言答える。
霊夢「それもそうね。そうと決まったら遠慮無く汚しましょ」
カルゴ「わざとはやめろよ!?」
霊夢「わかってるわよ。汚れるのは嫌だもん」
カルゴ「ったく…」
軽く溜息をつき、鼻歌を歌いながら調理を開始した。
その晩
霊夢「あなた、本当に不老不死なの?試した?」
カルゴ「うん。心臓壊しても復活した」
霊夢「そう…。でも、見た目は吸血鬼のままなのね。不老不死=蓬莱人じゃないの?翼は飾り?」
それについては俺も疑問に思っている。
だが、ペンダントを外すと翼から煙が出てくるし流水は苦手だから吸血鬼らしさは残ってる。
フランによれば、目も紅いままらしい。
吸血能力についてはまだ試していない。
カルゴ「翼は本物さ。この牙も…多分ね。霊夢の血、吸ってみる?」
霊夢「また今度ね…。今日は萃香が来たせいで、疲れたわ…」
カルゴ「そりゃお疲れ様」
霊夢「おやすみ」
カルゴ「うん、おやすみ」
不老不死になっても変わらない俺は、霊夢の頬を触ってから眠りについた。