※この作品はR-18です。

吸血鬼人間の幻想生活   作:エスカルゴ・スカーレット

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あらすじ
紫の助言により、異変の犯人を突き止めたエスカルゴ。そして紫に滅するよう依頼されてしまう。
犯人の名は、不知火 麗葉────。
無面鬼という、実体を持たない唯一無二の種族である。







本領発揮

え…紫さん、今なんつった?

俺にお願いしたいって?

いや、普通に考えて無理くね?

そんなチートなやつを相手に…俺には無理だ。

強敵との戦いは好きだ。

だけど、チートと強敵は違う。

 

カルゴ「紫さんに出来ないのに、俺には出来ないですよ…」

 

紫「…恐らく、霊夢でもあいつを殺すのは無理。だからあなたにお願いするの」

 

待ってくれ、本気を出したら俺よりも霊夢の方が強いんだぞ。余計無理だ…勝てる訳が無い…。

 

触れただけで全てを模倣するというチート能力を聞かされ、半分絶望していた。

紫さんですら封印でやっとなのに、紫さんより下の俺に出来るはずがないからだ。

 

霊夢「はぁ?人間ならともかく、妖怪なら滅せるけど?巫女達の敵っていうなら尚更ね」

 

紫「あなた…誰かを殺したことないでしょ?」

 

霊夢「結構あるわよ。低級で言葉も話せない様な妖怪だったけどね」

 

紫「そんなんじゃダメ…。言葉を話せて、自分の知り合いの姿で出てくる…そんな奴を、あなたは殺せないでしょう?」

 

霊夢「………」

 

言葉を失う霊夢。

もしも殺しに手を染めた時の、“その後”を考えているのだ。

 

紫「その点エスカルゴは、殺しに関しては気持ちのコントロールが出来るわよ。月に行った時も、私のお願いした通りに仕事をこなしてくれた。…綿月姉妹は残してしまったけどね…」

 

なおも黙り込んでいる霊夢を一瞥し、こちらに向き直る。

 

紫「あなたがやってくれなきゃ、他に頼める者が居ない。…このままだと、幻想郷が終わってしまうわ…」

 

幻想郷が終わってしまう。

その言葉を聞き、俺の心は決まった。

 

カルゴ「…わかりました、やります。無面鬼……不知火 麗葉を…この手で滅します」

 

紫「ありがとう、エスカルゴ…。あなたに話してよかったわ。出来る限りのサポートはするから、何でも言って」

 

少しやつれた笑顔を浮かべる紫さん。

 

紫さんが俺に頼むってことはよっぽどなんだろうな…。幻想郷が終わってしまう…か…。

させるかよそんな事。

 

カルゴ「早速ですが、そいつの事を知ってる限り全て教えて下さい。情報は多い方がいいですから」

 

紫「そうね…。まず見た目だけど、さっき言った通り実体が無いから、あいつは特定の姿を持たないの。でも、過去に喰った女の姿が気に入っているみたいで、戦闘時以外はその見た目をしているわ。名前も、その女の名前を使ってるわ」

 

“不知火 麗葉”は本人の名では無く過去に喰った女の名前なのか。殺した相手の名前と姿を使うなんて、悪趣味だなぁ…。

 

カルゴ「どんな見た目ですか?」

 

紫「例えるなら…永遠亭の姫を少し幼くした感じといえば伝わるかしら?」

 

輝夜を少し幼くした感じ?

つまり和風美人ってことね。

だから目も黒なのかな?

どうして固定なのかはわからんが。

 

カルゴ「伝わりました」

 

紫「それと、誰に化けても、目は黒のままよ」

 

カルゴ「…みたいですね」

 

あの巫月の目は黒かった…。

ダメだ、思い出しただけでムカムカしてきた。

 

紫「それと、模倣出来る能力の数には限界が無い。触れば触るほど出来る事が増すの」

 

カルゴ「触れば触るほど…か。ッ!まずい!!」

 

ここで、今更ながらある事に気が付いた。

絶対に模倣させてはいけない能力に。

 

カルゴ「禁忌『エスカルゴ・カルテット』!!」

 

その場で立ち上がり、分身を3体作成する。

 

紫「どうしたの?」

 

カルゴ「紫さん、今すぐスキマを3つお願いします!妖怪の山にある天魔の屋敷前、紅魔館門前、迷いの竹林近くに!!」

 

紫「わかったわ!」

 

縁側に3つのスキマを開く紫さん。

それを見、分身達に早口に指示を出す。

 

カルゴ「まずお前は、天魔に事態を伝えて山中にお触れを出して貰え。“黒目の奴に警戒せよ”と!その後は再分身して、文、にとり、はたてを護衛しろ。次にお前は、フラン達の所へ…いや、咲夜さんの所へ行って事態を伝え、皆の護衛をしてもらえ。次に、パチュリーにも話して館を覆う結界を張ってもらうんだ。それを終えたら美鈴と門番しろ。最後にお前は、チルノと遊んでいるらしい巫月を探して永遠亭へ連れ帰り、皆を護衛しろ。あと、霊夢と輝夜以外で目が黒いヤツを見かけたらその場でぶっ殺せ!!」

 

分身達「おう!!」

 

分身達は大きな声で返事をしてそれぞれのスキマへと飛び込んで行った。

もっとも、霊夢は俺の前に居るし、出不精の輝夜が…ましてやこんな時に出かける訳が無い。

また、紅魔館には黒目の者など存在しない。

さらに、文を始めとする天狗達は、鴉天狗も白狼天狗も目の色は黒では無いので、黒目が居たら殺せと指示したのだ。

 

霊夢「なんでお触れを出させるの?」

 

カルゴ「天狗の数はとても多いからな、1人1人に口頭伝達してたらキリがないだろう?」

 

白狼天狗だけで300ちょい、鴉天狗で数100、その他の天狗でどれだけ多く居るかわからない。なら天魔に頼んで、号令を出してもらうしか無いだろう。

 

霊夢「門番を護衛するっていうのは?あんたの事だし、フランを第一に守りたいんじゃないの?」

 

流石に霊夢は、俺の思考なんてお見通しだった。

だから俺は、嘘偽り無くそれに応える。

 

カルゴ「そりゃそうだ。けど彼処には咲夜さんが居る。怪しい気配を感じた瞬間に時を止めるあの人なら大丈夫だ」

 

霊夢「まぁ、あのメイドならそうね」

 

俺よりも咲夜さんとの付き合いが長い霊夢は、彼女の対応を知っているために即納得したようだ。

 

カルゴ「けどフランは、“守りたい”対象であり、“守らなくてはならない”対象なんだ。いずれ、俺が自ら行かなくちゃならなくなるかもしれない」

 

霊夢「…?それ、同じじゃないの?」

 

カルゴ「違う。前者は、“やりたい事”だ。それに対して後者は、“やらなくてはならない事”なんだ。絶対にフランの能力だけはコピらせちゃダメだ」

 

霊夢「なんでよ?あいつの能力って何だっけ?」

 

カルゴ「“ありとあらゆるものを破壊する程度の能力”」

 

ゆかれい「!!」

 

それを聞いた途端、霊夢と紫さんの表情がより一層強ばる。

 

カルゴ「不死身の俺や妹紅、永琳、輝夜は大丈夫だが、それ以外の者がこれを喰らうと1発アウト…殺されちまう。だから、“時”という絶対的なものを止められる咲夜さんに守ってもらうんだ」

 

霊夢「確かにフランは死守しなくちゃダメね…」

 

ブルリと身震いする霊夢。

 

紫「一瞬でそんな正確な指示が出来るなんて…。エスカルゴ、あなたは凄いわね…」

 

カルゴ「いえ…。出来るだけ被害を少なくしたいっていうだけですよ。普段の遊びみたいな異変なら兎も角、今回のこれは、信頼関係は崩れるし、命狙ってくるし、遊びの域を完全に脱しています。かなり厄介ですね」

 

紫「そうね……」

 

 

 

それからしばらく、無面鬼を滅する方法を思案するも、妙案は浮かばなかった。

まず、物理攻撃はダメだ。

鈍器なら兎も角、格闘は禁じなくてはならない。

直接触れられたら終わりなのだから。

スペルでカタをつけようとしても、霧になって逃げられてしまっては意味が無い。

囲もうとしても、霧をも逃がさないほどの牢が果たして作れるかどうか…。

そう考えると、どうにも八方塞がりとなってしまうのだ。

 

カルゴ「最強の能力、“模倣”か…どう滅せばいいのか見当つかないぜ…はぁ…」

 

ボリボリ頭を掻きながらため息をつく。

 

紫「…最強にも思える無面鬼の能力にも、弱点があるの」

 

カルゴ「え…弱点?」

 

紫「まず、能力を模倣出来ても、完璧には使いこなせないの。私の力を模倣しても、多数のスキマを同時に開いたり、私の張った結界を解除するのは出来ていなかったわ」

 

あ…それなら何とかなるかも?

いや、落とし穴みたいにされたらオワるんじゃ?

…常に飛んでればいいだけか。

 

紫「それに、萃香の“密と疎を操る程度の能力”を模倣しても、小さく分裂したり、彼女の操る妖術までは扱えてなかった。あくまでも、程度の能力を一部模倣するだけ。万能に思えるけど万能じゃないの」

 

カルゴ「なるほど…」

 

でもそれは、程度の能力の中でも幅がある紫さんや萃香さんだからだ。

もしフランの能力を模倣されたら…。

あの破壊の力には、幅なんてものはない。

とにかく破壊し尽くす能力だ。

使いこなせないからと言って、易々と模倣されていいという理由にはなり得ない。

 

カルゴ「んー…現在無面鬼が持っている能力は、勇儀さん、紫さん、萃香さん、鈴仙、巫月、妹紅の6人の能力…か…。あれ?妹紅の能力って…“老いることも死ぬこともない程度の能力”じゃ…?」

 

紫「妹紅のそれは、能力と言ってるけどあくまでも蓬莱人という“体質”。無面鬼は、“体質”まではコピー出来ないわ。私は冬眠するけど、あいつは冬眠しなかったからね」

 

カルゴ「ふむ…」

 

冬眠…紫さんって動物だったっけ?

これまで、冬でも普通に活動してなかった?

何にせよ、限りある命なら断つことが出来るな。

幻想郷…そんで、みんなを守りきらなきゃな。

……ん?みんなを?

 

カルゴ「なぁ…魔理沙やアリスも護衛した方がいいかな?」

 

霊夢「大丈夫よ。魔理沙もアリスも、そんな奴に引っ掛かったりしないから」

 

霊夢は、魔理沙とアリスにはかなりの信頼を置いているようだ。どこか確信的な言い方に、そんな様子を感じさせられる。

 

カルゴ「そっか。…今更だけど、今俺の前にいる霊夢は本物か?霊愛も」

 

霊夢「散々喋っといて酷い言い草ね…。本物よ」

 

紫「この2人が本物なのは私が保証するわ。それにこの霊夢は、神社を覆う強い結界を張ったわ」

 

カルゴ「結界?そんなのあったっけか?」

 

自分が神社に来た時のことを思い返す。

そんなものはなかったはずだ。

 

霊夢「悪の心を持つ者は通せない結界よ。悪事を企んでいればそれに阻まれる」

 

カルゴ「すげー仕組みだな…」

 

その時、結界に触れた時に発せられる、電気の音とは違うバチバチ音が聞こえてきた。

 

霊夢「…来たわね」

 

カルゴ「え…犯人がか!?」

 

霊夢「今言った通り、悪事を企んでいなければ結界は見えないし触れることも出来ない。けど今、その結界が破られかけている…。犯人のお出ましね」

 

カルゴ「よっしゃ、俺がぶっ潰してきてやる!!霊夢はここで霊愛を頼む!」

 

霊夢「わかってるわ、気を付けて」

 

障子に立て掛けていた剣を取り、縁側から飛び立つ。上空では、よく見慣れた白黒の人物が、極彩色の極太レーザーを発射していた。

 

カルゴ「なっ…魔理沙…!?」

 

…じゃない!目が黒い!

それに、箒に乗ってない!

アイツは箒が無きゃ飛べないはずだ。

 

偽魔理沙「ようエスカルゴ!なんか結界があるみたいなんだが、これは何だ?」

 

気付かないふりをしていると、本気で気付いてないと思い込んでいるらしく、いつもの魔理沙の調子で話しかけてくる。

 

魔理沙…触られたのか…。

チッ、一体誰の姿で触られた?

とりあえず、このまま演技を続けるか。

 

カルゴ「…知らん。俺には結界なんて見えんし、触れん。魔理沙だけじゃないのか?」

 

偽魔理沙「そうか…。(だとすればこれは私だけが通れなくなる結界…。今代の巫女…面倒な事をしてくれる。スキマすら通じないとは。だが、この中から八雲 紫の気配が感じられる。大妖怪特有の独特な気配…。絶対に殺しておかなくては。その為にも、この間抜けを利用しなければ)」

 

油断させて、それで攻撃すんのが得策だろうな。

最初から敵意むき出しで接しても逃げられるだけだ。

 

偽魔理沙「なんで私だけ進入禁止なんだ?博麗の巫女め、何を考えてるんだ全く…」

 

カルゴ「おい。魔理沙ならそんな呼び方しないよな?」

 

偽魔理沙「あ。(しまった…!)」

 

やべ、ついツッコンじまった!

とりあえずぶっ潰す!

 

カルゴ「テメェは偽物だ!今ここで滅してやる!絶雷『紫電一閃』!!」

 

魔法陣の無い高威力の雷が偽魔理沙を襲う。

だが偽魔理沙は、とんでもない速さで降ってくる落雷を事も無げに避けた。

当てる対象を失った雷はそのまま地面に落下し、直径10m程のクレーターを作る。

 

カルゴ「なっ……嘘だろ!?」

 

俺の雷は鴉天狗レベルじゃなきゃ避けられないはずだ!魔理沙の身体で避けられるわけが無い!

 

クレーターから偽魔理沙に視線を戻した時、驚くべきものを目にした。

 

偽???「どうした?俺を滅するんだろう?」

 

カルゴ「お、お前は…!!」

 

目の前に居たのはなんと、目が黒い自分だった。

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙Side

 

縁側の片付けも終えた私達は、永遠亭の中で大人しく過ごしていた。今までの異変と違って、命の危険があるからだ。

 

巫月…まだ帰ってこない…。

こんな時だし、いつまでも外行かせてちゃ危ないわよね。探しに行った方が良いかな…。

 

鈴仙「お師匠様、巫月の事を探してきてもいいでしょうか…」

 

永琳「…そうねぇ…。エスカルゴから手ほどきを受けてる巫月ちゃんなら大丈夫だとは思うけど…犯人と接触している可能性がある以上、その方が良いでしょう。私も手伝うわ」

 

鈴仙「お師匠様…!ありがとうございますっ!」

 

私とお師匠様と、ついでにてゐの3人で、永遠亭周辺から捜索を開始した。

それから数分後─────。

 

分身「よっ、鈴仙ちゃん」

 

巫月「やっほ♪」

 

エスカルゴと、抱えられた巫月が私の前に舞い降りた。見る限り、2人共目が紅いため、本物と判断して良さそう。

 

鈴仙「巫月…!ありがとうエスカルゴ!今、丁度探してた所だったの!」

 

降ろされた巫月を抱き締め、彼に礼を言う。

 

分身「そりゃ良かった。でも俺はあいつの分身、本物じゃないぜ。本物は博麗神社に居る」

 

鈴仙「そう…。もう戻るの?」

 

分身「いや、これから永遠亭の皆を護衛するよ。この異変が終わるまでな」

 

鈴仙「わかったわ!」

 

それから私は、巫月探しを手伝ってくれたてゐとお師匠様を呼び戻し、屋内に戻った。

それから、エスカルゴの分身の提案で、お師匠様が強力な結界を張り、本格的な篭城を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

文Side

 

鈴仙達が永遠亭に篭城を開始した頃、妖怪の山では丁度お触れを出されたところであった。

その、帰り道─────。

 

文「う〜ん…“黒目の奴に警戒せよ”とは、一体どういう意味なのでしょう…」

 

はたて「さぁ…。ま、天魔様が何考えてるのか、なんて、私達が考えても仕方ないでしょ。言われた通り、黒目の奴に気を付けるだけよ」

 

文「しかし…エスカルゴさんからの伝言というのが何とも腑に落ちませんねぇ…」

 

エスカルゴさんなら私に直接言ってくれると思ってましたが…ちょっぴり寂しいですね…。

 

はたて「警戒も何も、黒目の奴が居たら妖怪の山(ここ)じゃ目立ちまくりよねぇ…」

 

はたての言う通りだ…。

私達鴉天狗はもちろん、白狼天狗も目の色は紅。

それは大天狗も天魔様も、最底辺の天狗も同様。

河童は綺麗な青、秋姉妹は、紅葉を表していそうな紅と黄色、秘神流し雛こと鍵山 雛は深緑…。

守矢神社の風祝は緑、二柱もそれぞれ黄色と紅だと記憶している…。

黒目の者が居るだけで目立つのだから、警戒とは少々大袈裟なのでは…?

 

妖怪の山の主な面子の目の色を思い出していた、その時。よく見慣れた男吸血鬼が2人、私とはたての前に降り立った。

 

分身達「よ、文ちゃん。はたてちゃんも」

 

はたて「ちゃん!?」

 

あやややや…これは驚きですね…。

よもや、ちゃん付けで呼ばれる日が来るとは。

 

分身「突然で驚くだろうが、この異変が終わるまで2人を護衛するから、よろしくな」

 

はたて「護衛?ど、どういうこと?さっき天魔様が言ってた事と関係あるの?」

 

分身「大ありだ。俺らは本物じゃなくて分身なんだけど、文ちゃんとはたてちゃん、にとりちゃんを守れと命令されたのでな。さぁ、今すぐ身を隠せる所に行こう」

 

はたて「…だってさ、文」

 

文「では、代わりと言ってはなんですが、取材させてもらっても…?」

 

分身「わかった、いくらでも答えるから早く移動しよう。今頃にとりちゃんも身を隠せる所にいるはずだ」

 

文「了解です!」

 

こうして、鴉天狗2人と分身2人は文の仕事場へ行き、2人の分身のうち1人は扉前で警戒し、1人は取材を受けるという風に作業を分担した。

はたては、嬉々として取材をする文と、だんだんゲンナリしていく分身を部屋の隅から眺めて心の中で笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

美鈴Side

 

美鈴「…………」

 

何でしょう…少し嫌な気を感じますね。

今まで感じたことの無いような…。

心が落ち着かない…集中出来ませんね…。

こんな時は自主トレをするに限りますね。

 

美鈴が自主トレを開始しようとした、その時。

前方10m程の地点の空間が裂け、中からは1人の男吸血鬼が飛び出してきた。

 

美鈴「わわっ、エスカルゴさん!?」

 

分身「美鈴ちゃんか!ちょっと通るぞ!」

 

言うなり、風のように走り去って館の中へ入っていった。

 

美鈴「はいぃぃ!?」

 

い…今、美鈴ちゃんって…?

どういう事でしょうか…?聞き間違いですよね?

 

しばらく考え込むが、答えが浮かぶはずもなく、首を傾げながらも自主トレを開始しようとするが、その瞬間にあるものを目撃する。

館を覆うように水色の壁ようなものが現れた。

 

美鈴「こ、これは…結界…?なんで…?」

 

さらに首を傾げる美鈴。

そして、上空から気の抜けるような声と共に男が舞い降りてきた。

 

分身「ちかれた〜…」

 

美鈴「あっ、エスカルゴさん!これは何なんですか!?」

 

聞きたいことが多すぎて、大雑把な質問しか出来ない美鈴。

 

分身「美鈴ちゃん、これから俺と門番な」

 

美鈴「本当ですか!?心強いです!」

 

聞き間違いじゃなかった…!

 

分身「言い忘れてたが、本人は博麗神社に居る。俺はエスカルゴの分身だ」

 

美鈴「ほう…!なぜ分身さんがここに?しかも、私と門番なんて…」

 

分身「実は────」

 

美鈴の隣に移動しながら、異変についての説明を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

エスカルゴSide

 

カルゴ「なんでテメェ、俺の姿を…!」

 

なるほどな、俺の身体能力なら俺の攻撃は避けられるよな…。さて、どう攻める…?

 

偽カルゴ「やはりお前は間抜けだな。この程度のことに気付けないとは。さっきお前に会った時に堂々と触れたじゃないか」

 

カルゴ「さっき…だと?」

 

攻める方法を考えるのをやめ、前に無面鬼と遭遇した時のことを思い返す。答えはすぐに出た。

 

カルゴ「───巫月に化けてた時か!!」

 

偽カルゴ「そう、その時だ。目玉抉りとったろ?痛かったか?」

 

カルゴ「まぁまぁな!よし、お喋りの時間はもう終わりだ。今すぐ殺してやるから覚悟しな!!」

 

偽カルゴ「ふんっ、殺れるものなら殺ってみやがれってんだ。雷装備『翼竜の舞』」

 

巨大な翼を出し、逃げる訳ではなく撹乱してくる無面鬼。

 

スペルまでコピーするのかコイツは!!

そりゃあそうか、記憶もコピーするんだもんな!

クソ、俺ってこんな早いのか…目で追うので精一杯だぞ!?

 

偽カルゴ「クハッ、その様子じゃあ、次の加速で俺を見失うぞォ!?」

 

頭上でそんな声が聞こえ、声につられて天を見上げる。しかし、そこに偽物の姿は無く…。

 

い、居ない!?

 

偽勇儀「ここだノロマ」

 

カルゴ「────ッ!?」

 

背後から勇儀さんの声が聞こえた直後、痛みを感じる間もなく背後から心の臓を貫かれた───。




今回のまとめ
紫の依頼を承諾したエスカルゴは、絶対に模倣されてはいけない能力を思い出し、恋人、さらには友人達を保護するために分身を飛ばす。
その後、犯人から襲撃を受けるが、撃退することは叶わず、無惨に殺された。



無面鬼が現在までにコピーした能力者達

星熊 勇儀
八雲 紫
伊吹 萃香
鈴仙・優曇華院・イナバ
巫月・優曇華院・スカーレット
藤原 妹紅
霧雨 魔理沙
エスカルゴ・スカーレット

「紫」は攻撃を逸らす際に使用。
「勇儀」は物理攻撃の際に使用。
「萃香」は逃走の際に使用。
「エスカルゴ」は高速移動、撹乱の際に使用。
それら含めその他は、他の者を騙す際に使用。
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