無面鬼を滅する方法を思案していた最中、ふと思い立って幻想郷各地に分身を飛ばし、恋人、友人達を保護する。だが、その直後に黒幕からの襲撃を受け、応戦するも敗北してしまう。
エスカルゴが心臓貫かれたシーンのイメージとしましては、コミックの方の“暗殺教室”で“2代目死神”が茅野カエデを殺害したシーンをイメージしました。
(あっちは正面からブチ抜かれたけど…)
……って、なんで前回のあとがきに書かなかったんだろう?
カルゴ「────ッ!!」
振り返る間も無く心臓を破壊され、即死する。
直後、偽勇儀は貫通して血塗れになった腕を引き抜き、死体を真下に蹴落とす。
そして、血で赤黒くなった拳を見ながら呟く。
偽勇儀「ククッ…やはりこの身体が一番攻撃力が高いな。少し遅めなのが難点だが…そこはこの間抜けの能力で補える。…さて、八雲 紫が出てくるまで、知り合い共を潰しに行くか。(あの得物、拾えば良かったな…)」
再び姿を変え、山のどこかへスキマを繋げ、その中に入って行った。
霊夢「嘘…エスカルゴが…」
結界を通り抜け、境内に落ちてきた死体を見て、悲痛な声で呟く。
霊夢「(あ、死んでも復活するんだった。不死身で良かった…)」
紫「まさか、エスカルゴの能力も模倣されていたなんて…完全に予想外だったわ…。本人がそれを言わなかったってことは、触られたことに気付いてなかったか忘れてたのでしょうね…」
霊夢「あのバカ…いつの間にそんなヘマしてたのかしらね…」
蹴落とされて数秒後、『リザレクション』発動。
怪我は完全回復し、記憶もそのままに復活する。
カルゴ「…くっそ〜…!」
ギリギリと歯を食いしばって地面を殴る。
やられた…!
まさか背後から…しかも、俺のスピードで動き回って勇儀さんのパワーで攻撃してくるとか…!
能力が多い分、天魔よりも厄介だぞこれは。
どうやったら勝てるんだよ、あんな奴に…。
地面に刺さっていた剣を抜き、屋内へと戻る。
カルゴ「すまねぇ…負けた…」
霊夢「馬鹿。なんであの鎧を使わなかったの?」
カルゴ「…あ…」
あああああああああっ!!
俺の馬鹿野郎ォォォォォォ!!!
カルゴ「…すっかり忘れてた…」
霊夢「そういう大事なこと忘れんじゃないわよ…ホントに馬鹿ねぇ…」
カルゴ「うぅ…」
紫「そう言わないの、霊夢。自分の能力を模倣されて、使われたのを目の当たりにしたんだから、焦ってたんでしょう。忘れちゃっても仕方ないわ。あの時の私も、しばらくは驚きで動けなかった…」
遠い過去を思い出し、遠い目をする紫さん。
霊夢「……」
紫「新たな被害が出る前に食い止めないとね…。でも、さっきから奴の行方を探してるけど、全然見つからない…」
紫さんの目から逃れるとはこれ如何に…?
こうなったら、霧になって逃げられるのを覚悟で囲んで自分ごと滅するくらいしか無いか?
開発中のあのスペルは…下手したら俺が幻想郷を壊すことになりかねない。
なら、確実性のあるスペルで攻撃するのが得策。
カルゴ「俺も探してきます。今度こそ…!」
紫「…でも、無策で突っ込んでもさっきみたいに返り討ちにされるだけよ。それに、操れる能力がさっきよりも増えているかもしれない…」
カルゴ「わかっています。ですが、早くカタつけなきゃもっと事態が深刻化します。それなら早いうちから動くしかないです」
紫「…そうよね。私も各地を探してみるから、見つけたらすぐ伝えるわ」
言うが早いが、小さいスキマを複数開き始める紫さん。自分が知らない間にこうして覗かれていると思うと、見られたくないものを見られていそうでヒヤヒヤする。
カルゴ「…よろしくお願いします。霊夢、霊愛を頼んだぞ」
霊夢「安心して。気を付けなさいよね」
カルゴ「ああ」
再度剣を掴み、先ず最初に、人数が幻想郷イチと思われる妖怪の山へ向かった。
ヒビキSide
エスカルゴが麗葉に敗れた頃、白狼天狗のいつものメンバーは、ヒビキと椛の2班合同で山中を警備しながら雑談していた。話題は、先程の鴉天狗組と同じく、天魔のお触れについてだ。
ヒビキ「“黒目の奴に警戒せよ”とか、余裕過ぎてつまんねぇわ」
太刀をブンブンと振りまわしながらボヤく。
とても真面目に仕事をしているようには見えないが、目だけはしっかり周囲を見ている。
将輝「そ〜ですねぇ…」
キョロキョロしながら隊長に同意する将輝。
楓「楽しむものじゃないですよ。これも任務の一環なんですから」
椛「(先に言われちゃった…。)そうよ、ヒビキ、将輝。真面目にやってよね」
彼と彼の部下を注意する犬走姉妹。
ヒビキ「出たァー!女子特有の『ちょっと男子、真面目にやってよね』!!幻想郷でも聞くことになるとはなぁ〜!」
額に手を当て、大袈裟に喚く。
椛「何でも良いから、もう少し真面目にしてよ…隊長なんだから、部下の手本にならないといけないでしょ?」
ヒビキ「そーなんだけどな…わかってんだけど、どーにもやる気が出なくて…」
椛「それはいつもの事でしょ」
ヒビキ「…いや、“やる気が出ない”とは少し違うな…。なんかモヤモヤしてるっつーか…スッキリしねぇんだ」
おちゃらけた顔から一変、真面目な顔付きになり、太刀を振り回す手を止める。
椛「何が?」
ヒビキ「兄貴からの伝言を天魔様が伝えたって事に対してもそうだし、詳しい説明も無しに単独や少数での行動を禁ずるなんて…おかしいと思わねぇか?」
椛「それもそうね。いつもはちゃんとした説明があったもんね」
ヒビキ「そう。それなのに、今日はろくな説明が無くて、2班ずつ合同で警備にあたれとか…。まるで、これから強大な敵が攻めてくるみたいじゃないか」
なんて事を考えちまうのはゲームのやり過ぎか?
幻想郷来てからやってないけど…。
椛「強大な敵が来るんなら、お上も動くでしょ。私達みたいな下っ端には任せ切りにしないわよ。(それをやりそうな上司だから怖いけどね…)」
ヒビキ「あれっ?その後のお上の動き見てなかったのか?鴉天狗だけが集まって、山の中腹より上の警備してるぞ」
中腹より下は俺ら下っ端だからな。
基準は大体、守矢神社らへんかな。
あそこより下が俺ら、上が鴉天狗達…。
椛「…そうなの?いや、なんでヒビキがそんな事知ってるの?まさか、あとをつけたんじゃ…!」
椛も勘が良いよなぁ…。
兄貴といい、俺の周りにはこういうのばっかか?
ヒビキ「少しだけな。隊長っていう任務もある。だから、ほんの少ししか見てないぞ」
本当は、速すぎて目が追いつかなかったってだけなんだけどな。
椛「当たり前でしょ!バレたらどうなるのよ!」
大丈夫だろ別に。
そう言おうとした時、20mほど前方の空間が縦に裂け、中からよく見知った男が出てきた。
偽カルゴ「ようヒビキ」
人懐っこい笑みを浮かべ、手を上げる。
ヒビキ「あ、兄貴?さっきのお触れはなんだ?」
椛「待ってヒビキ。この人、エスカルゴさんじゃない…!」
兄貴に近付こうとする俺の肩を掴んで止める椛。
ヒビキ「え?どゆこと?」
椛「目を見て!エスカルゴさんは紅なのに、この人の目は黒よ!」
椛の言葉に天狗達はざわめく。
偽カルゴ「(なんだと…わざと顔が見えないように日光を利用したというのに…。天狗の目の良さを甘く見ていた!)」
マジか!?クソ、逆光で見えない!!
椛、やっぱ俺より目が良いんだな。
純粋な白狼天狗の方が目は良いのか。
後天的に天狗となった俺との最大の違いだな…。
天狗「黒目ってまさか…さっき天魔様が警戒せよと仰っていた…?」
天狗「ならばどうする?ここで殺すか?」
天狗「お上への報告が先では…?」
椛「みんな静かに!!報告に行くのは1人や2人で十分!その他の天狗はこいつを追い出す!」
太刀を構え、横目で仲間を見やりながら指示を出す椛。
天狗達「はっ!!」
集団の中から2人、弾かれるように飛び立つ。
それを横目で見届け、再び偽物に視線を戻す椛。
椛「エスカルゴさんの姿を模したところでバレバレよ!早く山から出ていけ!」
ヒビキ「そ、そうだぜ!」
俺は見えないけど!
てか、何だってこいつは兄貴の姿に…?
そうか、兄貴は自由に出入り出来るからか!
偽カルゴ「キャンキャンうっせぇよ犬っコロが。出てけと言われて出ていくと思うか?」
ヒビキ「犬っコロだとゴルァ!ぶっ殺すぞ!!」
牙を剥き出し、大声で威嚇する。
椛「ヒビキっ!殺害許可は出てないわ!」
ヒビキ「そんなら半殺しにして山から追い出してやるまでだ!!っはあァァァっ!!」
椛「ちょっ、1人ではうごかないでって…」
椛が止めようとするが、それを振り払って重い太刀を横に構え、地を蹴って飛び出す。
偽カルゴ「(なるほど、間抜けの記憶通りだ。真っ直ぐにしか突っ込んでこないとは…馬鹿な奴だ。他にも何かしらあるだろうに…)」
俺がこうして向かってるのに突っ立ったままとか舐めてんだろコイツ!!
偽カルゴ「魔剣『妖魔雷霊剣』」
右手を天にかざして兄貴のものと思われるスペルを発動する偽物。すると、何も持っていなかった右手に漆黒の剣が現れる。
このまま突っ込んで行ったら、頭から真っ二つにされると本能が察知し、足を止める。
ヒビキ「それは兄貴の…!?何でテメェが!」
偽カルゴ「案ずるな、偽物だ。えーと…あの技、なんて言ったかな…?(コイツ、まだ18年ほどしか生きてないのに濃い記憶してやがる…)」
剣を頭上に構えたまま、ニヤニヤと笑いながら独り言を呟く偽物。「今だ!!」…理性はそう判断しているのに、本能が敵への接近を許してくれない。足が動かない。謎の威圧を感じるのだ。
椛「危ない!」
椛が俺の襟首を掴んで隊列に引き戻す。
冷静になって周りを見ると、他の仲間達が遠巻きに、且つ扇状に偽物を囲んでいた。偽物はそれに気付きながらも余裕の構えを崩さない。
ヒビキ「くっ…!みんな、一斉にかかるぞ!」
天狗達「はっ!!」
指示を出したその直後────。
偽カルゴ「やっと見つけた…!『風の傷』!!」
技名を叫ぶと共に剣を振り下ろし、広範囲に広がる強力な衝撃波を放った。
ヒビキ「椛ィィッ!!」
椛「危な───」
白狼天狗の素早さでは、目の前で放たれた衝撃波を避けることは叶わず、かなりの至近距離でそれをモロに喰らう。椛を庇った瞬間、背中に激痛が走り、意識がブラックアウトした。
Side麗葉
偽カルゴ「…?」
おかしい…。
最大まで威力を上げたから、目の前の天狗どもは塵となって消えるはずだ。
それなのに何故…天狗の身体が残っている?
違和感を感じる麗葉に、更なる異変が現れる。
麗葉「なっ、なんだと!?」
「エスカルゴ」の姿を模倣していたのにも関わらず、普段愛用している人間の女の姿に戻ってしまったのだ。もちろん、手に持っていた剣は消えた。
麗葉「もうリミットが…。クッ、やはり間抜けは頼りにならんな」
無面鬼・不知火 麗葉には、紫ですら知りえない、もう1つの弱点があった。
それは、“コピー出来る能力数は無限だが、力量は丸々模倣する事は出来ない”という事だ。
何故こんな早くリミットが来たのかと思えば…。
先程神社で間抜けの力を使ったからか。
あの時に無駄に使ってしまったな。
チビ鬼の力にしておけば良かったか…。
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簡単に言えば、エスカルゴの最大MPは10000で、麗葉自身の最大MPは1000なので、そこまでの大技は使えなく、エスカルゴの変身を維持する力すらも失った、という事です。
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麗葉「『エスカルゴ』がダメなら次は……人間のあの女にするか。なんて言ったっけ…。“まりさ”だったか」
和風美人の不知火 麗葉から、黒目の霧雨 魔理沙に変身する麗葉。使えなくなったのは、あくまでも“エスカルゴの能力”のみだ。
偽魔理沙「間抜けの知り合いは何処にいる?」
魔理沙の記憶を探る麗葉。
紫の殺害及び幻想郷の破壊を目論む麗葉は、それを完遂するにはエスカルゴが最大の邪魔だと理解していた。そこで、注意が他の者に向くよう、こうして知り合いを襲い始めたのだ。
偽魔理沙「地底だと?間抜けめ、間抜けのクセに無駄に顔が広いのだな。面倒だ、スキマで行k…あれ?開けない…」
チィッ…スキマを使い過ぎたか?
強い力はそれだけ消耗が激しいからな…。
つまらん、霧にでもなるか。
しかし、霧にもなれない。
その力すらも使い果たしてしまっていた。
偽魔理沙「クソッ!!何なんだこれは!」
まともに変身出来るのは兎2匹と白髪の女、あとこの女だけか…!
“戦闘時以外に不知火 麗葉の姿をしている”のは、気に入っているというだけではない。
力の消費を抑える、回復させる、の2つの理由もあっての事なのだ。
そしてそこに、ある人物が現れる。
偽魔理沙「お前…!」
???「これっ…て…」
エスカルゴSide
な、なんだこれ…。え?
白狼天狗達がバタバタと倒れてる…。
神社を出た俺は、先ず山へ向かった。
だが、ここに向かっている途中、轟音と共に土煙が上がったのを見、急いで煙の根元に来たのだ。
地面が抉れてる…。
これは『風の傷』の跡?
つまり、白狼天狗達は風の傷を喰らって…?
風の傷を喰らって生きてるはずがない…。
俺は月でも何処でも、手加減してたけど、こいつが手加減なんてする訳がない…。
偽魔理沙「(よし、この隙に…!)」
ソロリと飛び立つ偽魔理沙。
カルゴ「待てやゴラ」
飛び立ちかけた偽魔理沙の足首を掴みながら引き留める。
偽魔理沙「ひぇっ!」
カルゴ「どーいう事だよこれは。あ゙?」
偽魔理沙「ふ、ふん、ただの憂さ晴らしだ。八雲 紫が全然結界から出てこないのでな!」
カルゴ「憂さ晴らしだァ?それでこいつらを傷付けたってのかよ?」
偽魔理沙「傷付けた?そんな生温いことをするとでも思ったか?皆殺し、だ♪」
皆殺し…だと…?
偽魔理沙「驚いたか?ククッ、間抜けに関わった奴は皆こうなるんだ!」
ダメだ、コイツは殺すしかない!
背中の剣に手をかけたその時。
ヒビキ「…ゲホッ………ゲホ、ゴホッ…(血の味…ケッ、血を吐いたのか…)」
うつ伏せになっていたヒビキが目を覚まし、吐血する。
カルゴ「ヒビキ!?」
お前だったのか、麗葉にやられてた奴は!
だとしたら椛と将輝と楓もここに…いや、椛は別の班か。
ヒビキ「……そ、そいつが…俺、と、椛の班を…壊滅させやがった…!」
太刀を杖にして息も絶え絶えに立ち上がる。
じゃ、じゃあ、この数十人の白狼天狗の中に……あいつらも居るのか!?
偽魔理沙「クハハッ、間抜けと関わりがある奴は皆殺しにするさ!」
ヒビキ「テンメェ…!」
カルゴ「皆殺しだと…?ふざけんな!!」
ヒビキは太刀を、俺は妖魔雷霊剣を構える。
カルゴ「殺るぞヒビキ…覚悟を決めろ」
ヒビキ「覚悟だぁ?そんなの必要ねぇ、仲間の敵討ちだ!(俺が一番近い所にいたから、全員生きているだろうが…)」
カルゴ「…そうだな」
余裕の笑みを浮かべる麗葉を前にして、俺達兄弟は久しぶりに一致団結した。
兄弟「テメェをぶち殺す!!!」
今回のまとめ
復活後妖怪の山へ向かったエスカルゴ。
だがその頃、弟達は麗葉により蹂躙されていた。
その後、麗葉は地底へ向かおうとするも、能力が使用不可になっており、スキマを開けず霧にもなれなかった。魔理沙の姿で地底へ向かおうとするが、エスカルゴと再対面。
そしてエスカルゴは、目覚めたヒビキと力を合わせる事を決意する────。
けんちく先生が第2話をうpしました!
是非どーぞ!!