??「2人でやらないか?」
??「おー!それも面白そうだなぁ!」
カルゴ「!?!?!?」
ちょっと待て、これボロ負けするんじゃね!?
守矢神社の面々の元へ向かおうとした俺に立ち塞がったのは───。
勇儀「見てるだけではなく、実際にやってみたいからな!」
萃香「うんうん!よしやろう!」
鬼2人だった。
よしやろう、じゃねぇよ!!
なんで鬼が寄ってたかって俺を!?
カルゴ「あの…何で俺なんですか…?」
勇儀「なんでって…なぁ?」
萃香「エスカルゴと戦いたいからだろ〜?」
ひ…ひえぇぇぇ…おっかねぇ…!
自分の力把握してるのか!?
鬼2人vs俺って…1人で精一杯なのに2人とか!
マジでふざけんなよ!?殺したいのか!?
カルゴ「せ、せめて1対1に…」
勇儀「あんな楽しそうな戦いを見せられちゃあ、やりたくもなるだろう?」
萃香「だよなー!あ、エスカルゴは1人な!」
カルゴ「えええええ!?こちらもせめてもう1人くらい…」チラッ
フラン「!」
観客達をチラ見すると、フランと目があった。
勇儀「うーん…エスカルゴ1人とやりたいんだがなぁ。萃香と2人で」ニヤリ
萃香「どんな戦い方するのか見てみたいしね〜」
カルゴ「……」
フラン「……」
私を呼んで!…とでも言いたげな目でこちらを見てくるフラン。だが、過去に勇儀さんと戦った時のことを思い出し、あのような思いはさせたくないと思い、そっと視線を外した。
腕が吹っ飛ぶとか砕けるとかザラにあったから…あんな痛い思いはさせたくないな。
カルゴ「わかりました、お相手しましょう」
姿勢を正して、目を見据えて返事をする。
緊張からか、少しばかり足が震える。
勇儀「そう来なくては!」
萃香「よーし、頑張ろ〜!」
あーもー、なんでこーなったんだろー…。
咲夜Side
レミィ「さっきフランと目合ったわよね?なんで呼ばなかったのかしら…」
隣の妹様に向けて、お嬢様がわざとらしく呟く。
フラン「足でまといになるからかなぁ…?」
呟きを聞いた妹様は、今にも泣き出しそうな声でお嬢様に訊ねる。
エスカルゴさんはそんな考え方しないと思いますけどね…。誰よりも妹様を大事に思っておられるようですし。
レミィ「あなたよりエスカルゴの方がずっと強いもの、そう思っても仕方ないわね」
フラン「…エスカルゴと一緒に戦いたいよ…」
咲夜「恐らく、妹様を大事に思われてるからこそ呼ばれなかったのではないですか?」
あまりにも寂しそうな表情をするので、つい口を出してしまった。
フラン「え…?」
咲夜「以前、地底であの鬼と戦った時、エスカルゴさんは瀕死まで追い込まれましたし…お優しいエスカルゴさんの事ですから、妹様にそんな痛い思いをさせまいとしているのでは無いでしょうか?」
レミィ「(そうでしょうね…)」
フラン「そっか…大事に思われてるんだ…♡」
先程までの寂しそうな表情とは一転し、うっとりした表情になる妹様。その顔は、とても幸せそうだ。
フラン「応援しよ♪」
すっかり立ち直った妹様は、鬼と見合っている最中のエスカルゴさんの方へ向き直り、応援の言葉をかける。
フラン「エスカルゴ〜!頑張って〜!!」
エスカルゴSide
フランに応援されちゃ、勝つしかないよなぁ…!
よし、やってやる!鬼2人を倒す!!(←単純
萃香「むむむむ…!」
何やら力を込めている萃香さん。
次第にその輪郭がボヤけはじめる。
だが俺は、それを前に見たことがあったので、相手が何をするつもりなのかがすぐに読めた。
カルゴ「雷牢『雷神の牢獄』!!」
勇儀「!」
萃香「ぬぉっ…」
ボヤけていた輪郭が、元通りになった。
術を中断したようだ。
カルゴ「先日の事件解決でその術は見ましたからね、俺には通じませんよ!」
軽くドヤって指を鳴らす。
萃香「ゲッ!?ちっちゃくなってきてない!?」
よし、もう1回だ!!
勇儀「この程度…フンッッ!!」
ドオォォ……バキィィン…
もう1度指を鳴らそうとした瞬間、外から勇儀さんが1発のパンチを入れると、脆くも粉砕されてしまう。
萃香「(そこまで強くないのか…)」
カルゴ「うぇっ…」
驚きのあまり情けない声が漏れる。
だが驚くのは無理もない。
あの壁は雷の壁、即ち触れればただでは済まないからだ。いや、効かないことはわかっていた。わかっていたのだが、以前までよりも確実に強度は増している。それがまさか、ただの一撃で壊れる事になるなんて、思っていなかったのだ。
勇儀「ボケッとするなッ!力業『大江山嵐』!」
パンチやキックなどの格闘技を繰り出すのではなく、スペルカードを発動した勇儀さん。そのスペルの弾幕はとても大きく、とても早い弾幕で、避けるのは至難の業だ。少なくとも、初見では。
クソ、格闘でもヤバくて弾幕でもヤバいのかよ、勇儀さんは!麗葉がこれ使わなくてよかった…。
でもこれ避けにくいぃぃ…!!
カルゴ「雷装備『翼────」
スペルを発動させ、飛び上がって避けようとした瞬間、背後から気配を感じた。そして、頭で判断する前に身体が勝手に動き、スペルを切り替えた。
カルゴ「───雷装備『勇者の纏い』!!」
右手に鎌、左手に盾、全身に鎧を纏う。
さらに、そこから時計回りに1回転し、360°切り裂く。無論、硬度は落としてある。
萃香「うっ、腹が…(この感覚…痺れた!?くっ、これもエスカルゴの能力なのか…!)」
背後から感じた気配の正体は、もう1人の対戦相手の萃香さんで、鎌の範囲内に居た彼女は腹筋が痺れてしまい、動きが鈍る。
どうやら腹あたりに刃が当たったらしい。
俺はそんな彼女の様子を見、内心で舌打ちした。
チィッ…意識までは奪えなかったか…!
実を言うと、一撃で気絶させようとしていた。
それはもちろん、鬼2人vs自分という圧倒的不利な勝負を早く終わらせるためだ。だが、鬼の肉体は兎に角頑強で、並の電気では、多少痺れさせても行動不能や気絶までには持ち込めないのだ。
とは言え、萃香さんの動きが鈍っているので、これを逃す手はない。彼女への追撃…では無く、健在な勇儀さんの方へ攻撃するのだ。
カルゴ「雷神『荒れ狂う霹靂神』!!」
全エネルギーのおよそ1割を使い、狂ったように暴れ回る雷を発射し、勇儀さんの発射する巨大な弾幕を相殺しながら本人へと突き進む。
彼女はそれを避けず、左腕で受け止める。
勇儀「ゔぐっ……う、腕がッ…(まずい、完全に痺れた!)」
まともに攻撃を喰らってしまった左腕は完全に痺れ、使い物にならなくなる。
カルゴ「しめた!」
萃香さんより先に勇儀さんを!
そう判断して彼女に接近しようとするも、目の前の地面に巨大な影が映るのを見、思わず目的を忘れて振り返る。
カルゴ「なななっ…なんだこりゃあっ!?」
そこにはなんと、巨大化した萃香さんがいた。
萃香「おおおおおおおっ!!」
鬼らしく、雄々しい雄叫びを上げながら巨大な拳を振り下ろす。
潰されるぅぅぅっ!!
しかし、巨大化した影響か、そこまで動きは速くないようだ。振り下ろされる拳は速くなかった。俺は、それを避けるためにステップバックし、拳を回避しようと試みるが────。
勇儀「力業『大江山颪』!!」
背後で、先程のスペルの強化版のようなスペルを放つ勇儀さん。先程のスペルは右斜め前から、今回は追加で左斜め前からも飛んでくる。
斜めからなんていうスペルには不慣れであり、ましてや弾が巨大で速いのだから、とても避けにくいのは言うまでもなかった。
上から拳、背後から弾幕。
いくら鎧を纏っていても、これでは無意味だ。
カルゴ「雷符『Dark Side of the Full Moon』!」
不意に、漆黒の闇が神社を襲う。
闇に驚いた2人は一瞬硬直する。
俺はそんな一瞬の隙も逃さず、闇に乗じて逃走。
攻撃対象を見失った拳や弾幕は、虚しくもその場を通過するだけである。
萃香「(手応えがない…。)何処行った!?」
勇儀「何も見えないぞ!?」
勇儀さんはキョロキョロと辺りを見回し、萃香さんはズシンズシンと歩く。そうなれば当然…。
勇儀「ぎゃぁぁぁぁ!(蹴られたァァァァ!!)」
萃香「(ん?足に何か当たったような…。ハッ!)ごめん、蹴っちゃった!?」
勇儀「…み、見えていないんだからな、仕方ないさ…うん…」
こうして仲間を傷つけた事で、完全に身動きが取れなくなってしまう。やられた側としても、これ以上動いても先程の二の舞になるか、次は自分が相手を傷付けてしまう恐れがあると考え、勇儀さんまでも動かなくなる。しかし、直立不動のその姿でも、十分すぎるほどの威圧感を感じられる。
スペルで発射した弾幕は、いつの間にか萃香さんに当たっていた。だが、巨大化していたせいで、虫がぶつかったかのように、全く意に介していない様子だ。
勇儀「む」
萃香「おっ」
弾がぶつかり終わり、次第に闇が晴れてくる。
完全に晴れきった頃、2人の視界に俺は居なかった。萃香さんの頭の後ろで、攻める方法を思案していたのだ。それが、闇が晴れた時に思い付いた。
これで今度こそ決める!
カルゴ「絶雷『紫電一閃』!!」
エネルギーの2割ほどを消費させ、強力な雷を萃香さんの頭上に落とす。
萃香「ぎゃっ……くっ、うぅ…(危なかった…)」
地に膝をついて何とか耐える萃香さん。
勇儀「大丈夫か萃香!!」
萃香「お、おう!」
大丈夫なのかよっ!もう勝てる気しねぇわ!!
カルゴ「『雷速断刀』!!」
ヤケクソ気味に、右手に持っている鎌を刀に変形させ、高速で萃香さんの首を斬る。
萃香「うあ゙っ……お゙っ………」
意識を失う手前まで来ている萃香さんは、目を白黒させていて、気絶までもう少しだった。
カルゴ「っ…まだ気絶しないのかっ!」
流石鬼だなぁ…クソッ!
カルゴ「一閃『Mishap of Thunder』!!」
地面が大きく陥没しない程度に微調整した、巨大な魔法陣を空中に展開する。
萃香「セイッ!……壊せないっ!」
危ないと直感的に感じた萃香さんは拳を振り上げて魔法陣を壊そうとする。だが、空中に出た魔法陣とは立体ホログラムのようなもので、実体は無いので壊せはしない。
地面や紙に書いたやつだったら、壊せてたな。
カルゴ「召・喚!!」
ズガアアアアアアアアアッ!!
萃香「ぎゃああああああああああ……っ」
頭をぶち抜かれ、流石の萃香さんも気絶する。
すると、勝手に術が解除されたのか、普段の大きさに戻った。
勇儀「萃香がやられたかっ…」
まともにスペル使ってこなかったから勝てたが、本気でスペル使ってきたら、一体どうなってた事やら…。
カルゴ「次はっ…勇儀さんですよ…!」
残り…60%も無いかも…。
正直言ってギリギリだろう。
勇儀「フン、掛かってこい!(私達2人を相手に…互角以上に戦うとは…流石だな、エスカルゴ…。これ程の力を持ちながら、何故幽香には負けるのかが分からないが…)」
勇儀さんに勝つにはアレしかないんだけどな…。
力が足りてないこの状況で、一体どう戦う…?
雷落とそうにも、勇儀さんはそれすらも避ける。
短距離間での素早さは鴉天狗並みだし…。
ほんっっっとに、規格外過ぎて困る。
弾幕ではなくて、格闘で挑むなんて以ての外だ。
でも…くっそー、やるしかないかー…。
そうだ、格闘で時間を稼いで電力を回復させて、ある程度回復したら総攻撃を掛ければ良いんだ。
カルゴ「うおおおおっ!!」
勢いよく地を蹴って拳を繰り出すが、勇儀さんはものともせずにそれを受け止め、反撃とばかりに膝で腹を蹴る。鎧など一撃で砕け、更にはバキバキと肋骨までもが砕ける音が響く。
カルゴ「おげぇぇ……っ」
勇儀「まだまだそんなもんじゃないんだろう??もっと力出しなよ!」
胸ぐらを掴み、繰り返し蹴りを入れる。
明らかにテンションが上がっている。
そしてそのテンションを俺にぶつけている。
荒ぶる怪力乱神はもう、トメラレナイ…(?)
そして、薄れゆく意識の中ふと思う。
死んでリセットすりゃいいんじゃね?…と。
カルゴ「ら……ぶ…『雷、刀』………」
既にボロボロになっている刀を再構築し、ナイフサイズにして己の胸に当てがう。
勇儀「どうしたァ!?自殺するつもりかァ!?」
あれ…俺が不老不死になったの知らないのか…。
カルゴ「ス……ペ………ド……発、動…」
臓器までボロボロになっているので、途切れ途切れに喋るのでやっとだ。
勇儀「?」
カルゴ「…奇……『ヴ………ア…誕』…ゴフッ」
スペルを何とか言い切り、ナイフを突き立てる。その瞬間に絶命し、勇儀さんは慌てる。
勇儀「お、おい!?ホントに死んだのか!?」
ガクガクと身体を揺さぶるも、反応は無い。
妹紅「エスカルゴは不死身だぞ〜」
観客席から妹紅が声をかける。
あまりにも慌てるので、教えてやろうと思ったのだろう。
勇儀「なん…だと…!?」
その時、スペルが発動した。『リザレクション』改め、奇術『ヴァンパイア再誕』。
勇儀「うおっ!?」
妹紅「あいつ…復活の瞬間の
慧音「攻撃の為…だけでは無いな」
妹紅「え?」
慧音「見ろ。あの鬼、驚きのあまり、掴んでいた手を離している。恐らくは、鬼の手から逃れるのも、エスカルゴの計画の内だったのだろう」
妹紅「…ははっ…なんって奴だ…」
カルゴ「ふぅ…やっと抜け出せた…」
胸ぐら掴まれたまま蹴りを喰らうのは辛かった。
勇儀「お前、本当に不死身なんだな」
カルゴ「ええ、まぁ。ではそろそろ、決着をつけましょうか…!」
勇儀「良いだろう!全力…且つ派手にな!四天王奥義『三歩必殺』!!」
カルゴ「絶技『天翔雷霆零槍』!!」
やはり、最後の最後は互いの必殺技が出される。
これだけは、いくら時が流れようと、何度戦おうとも変わらないだろう。
勇儀「1歩……!」
カルゴ「んぐぐぐっ……」
勇儀さんは1歩目を踏み出し、俺は力を貯める。
勇儀「2歩…………!!」
2歩目、足を踏み込んだ時、地面が軽く陥没。
観客達も、ゴクリと生唾を飲み込む。
勇儀「3歩!!!」
地面がさらに陥没し、とんでもない勢いで拳が放たれる。
カルゴ「おるぁぁぁぁぁっ!!!」
前回と同じく、拳と極太の槍がかち合う。
何故貫けないのか、本当に不思議だ。
カルゴ「うぎぎぎ…!」
勇儀「負 け る かァァァッ!!!」
ジワジワと押されている。
このままでは、殴られて…この身体は粉々に砕けてしまうだろう。そんな中、1つの解決策を思い付いた俺は、能力で剣を鞘から引き抜き、左手に持つ。槍を支える方の手が右手のみになってしまったので、ますます押されてしまう。
カルゴ「『霊力遷移』!!」
剣を介して槍に霊力を与え、強化する。
その後は、左手に持っていた剣を遠くに飛ばし、再び両手で槍を支える。
カルゴ「うおおおおおおっ!!」
ピシッ……ピキキッ……
槍にヒビが入るが、構わず力を込め続ける。ここで力を抜けば、間違いなくブチ抜かれる。尤も、このまま力を込め続け、槍が耐えられなくなった場合も同様の結果となるが。
フラン「エスカルゴ頑張れー!!」
巫月「がんばってー!」
恋人や娘の声を聞き、あることを思い付く。
それを実行するために、またもや槍から右手を離し、剣を引き寄せる。今度は持たず、あくまでも浮かばせておくだけだ。
カルゴ「『電力遷移』!!」
恐らく、この剣を手に入れてから、電力単体のために剣を使ったことなんて無いと思う。…忘れているだけかもしれないが。
あの時は分身が居たが、今回は居ない。
こういうぶつかり合っている時に一撃でも入れれば、敵は揺らぐ。その隙に押し込むのだ。
カルゴ「『雷撃刃』!!」
浮かばせた剣を振るい、電撃の刃を飛ばす。
勇儀「ぐぅっ…!?」
すると、予想通りに抵抗が弱まった。
勿論それを逃さず、一気に槍を押し込んだ……。
勇儀「いけると思ったんだがなぁ…。また負けてしまうとは…」
カルゴ「偶然ですよ…」
萃香「2人で挟み撃ちにしようとしてたのにさ、両方に対応してくるとか凄いなぁ!」
カルゴ「そんな凄くもないですよ…」
見事勝利を収めた俺は、戦った3人で酒を酌み交わしていた。勝利したとはいえ、実質上は相討ちのようなものだった。勇儀さんを気絶させた直後、俺自身も気絶したのだ。
目覚めた時はフランの膝の上だったので、思わず抱き締めてしまったのは言うまでもない。
カルゴ「…あ、そうだ。俺、行かなきゃ行けないところがあったので、これで失礼致します」
勇儀「そうか…戦ってくれてありがとうな!また戦おう!」
萃香「また一緒に飲も!」
カルゴ「ええ、いずれまた」
にこやかに挨拶し、その場をあとにした。
向かう先はもちろん、諏訪子様の居る守矢神社の陣地だ。
なんで宴会編がこんなに長引くんだろう?